(第31章)全ては同じ存在。兄弟である。

(第31章)全ては同じ存在。兄弟である。

 

更に米陸軍が研究所をHCF保安部隊の隊員達は旧米陸軍研究所跡地を調査した結果。

当時の細菌兵器の研究実験試料は終戦後かその戦争中に全て地下の暖炉や

焼却炉に放り出されて燃やし尽くされた

ほとんど残っていなかった事が明らかになった。

しかし辛うじてマッドやグーフィがマスクを付けて焼却炉や暖炉の中の大量の

燃えカスを引っ張り出して手分けして10時間以上も読めそうな文章の断片を

探し続けていた。結果、断片的があるが内容をおぼろげに理解出来そうな

文章を幾つか見つけた。そしてHCFセヴァストポリ研究所の保安室に持ち帰り、

マッドは更に一時間、破れてクシャクシャボロボロになった文章の断片を繋ぎ合わせる

作業を続けた。そして文章の内容も大体、理解出来るまで復元した。

しかも凄いのが仲間のグーフィと協力して極限の集中力と根気で

作業し続けて遂に完成させたのである。これにはAI(人工知能

アポロもブレス部長もアッシュ博士も驚きと感心の声を上げて喜び合っていた。

そして肝心の断片を繋ぎ合わせた文章は以下の通り。

「ルシファー様」「地下の洞穴」「賢者の石」「真っ赤に輝く細菌」

「細菌」「兵器」「研究」「中止」「全て燃やす」「終戦」「封鎖」である。

「つまり具体的にはこの地下の洞穴に魔女王ホラー・ルシファー由来の

真っ赤な細菌があって。」とマッド。

「細菌兵器として旧米陸軍が研究していた。」とブレス保安部長。

「だが中止されて」とアッシュ博士。

「それで全て燃やして終戦になって封鎖か」とグーフィ。

するとAI(人工知能)アポロは断片の文章を整理して理解した後にこう推測した。

「恐らく過去に一度、魔女王ホラー・ルシファーはこの地を訪れていた。

そして今回も何らかの陰我に反応してこちらへ来たのでしょう?

でも目的は明らかにストークスが狙いのようです。それに。」

急にAI(人工知能)アポロが言葉を切ったので全員不安になった。

するとその全員の精神を分析したAI(人工知能)アポロは

申し訳なさそうに謝りつつもこう言った。

「すいません。全員不安にさせて。

実はダニア博士と協力して魔女王ホラー・ルシファーがこの

HCFセヴァストポリ研究所へ来る前の様々な種類のBOW(生物兵器)の

隔離部屋やコンテナ。そして『R型』の隔離部屋と『プラントE46-43』

のいる温室を主な調査対象として。魔王ホラー・ルシファーがこの

HCFセヴァストポリ研究所に来た後の

様々な種類のBOW(生物兵器)や『プラントE46-43』の繁殖行動や捕食行動。そして『R型』の精神面の変化や行動等をつぶさに観察し、

魔女王ホラー・ルシファーがここにいる状態といない状態の様々な種類の

BOW(生物兵器)や『プラントE46-43』『R型』の行動や精神面の変化を

比べた結果、明らかに魔女王ホラー・ルシファーがこのHCFセヴァストポリ研究所

にいる状態の方が様々な種類のBOW(生物兵器)の内、特に捕食行動が盛んなのは

ケルベロス、ハンターα、生態観察用の10体のプラントデッド。

彼らはTウィルス遺伝子の新陳代謝の異常が通常よりも2倍に加速しており。

強酸性の胃液を吐き捨て共食いし、

今日未明1体を残してほぼ全ての個体は全滅しました。

一方あの銀浪さんをナイフで襲った小太りの男性も

18体のプラントデッドの共食いにより、バラバラになりました。

またプラントリーチも餌の小動物の捕食も盛んになっています。

あとはリッカーも捕食行動がとても盛んになっている模様。

続いて『R型』の精神状態ですが。魔女王ホラー・ルシファーが

HCFセヴァストポリ研究所内に侵入してから次の日の朝までの監視カメラの映像と

精神状態の記録を取った結果、魔女王ホラー・ルシファー侵入後は

精神面に大きな変化は無く。ごく普通の生活をしているようですが

やや不安定で落ち付かない様子で理由もなく

隔離部屋の中をうろうろ歩き回っています。

また以前よりも集中力が散漫になっていたり、途切れたりしています。

ですが急にエヴリンの様に暴走する程、精神は大きく乱れていません。

繁殖行動は他の様々な種類のBOW(生物兵器)達には全く見られませんでした。

どうやらTウィルスを利用したケルベロス、ハンターαもリッカーも

Tウィルスの特性である一世代だけの突然変異化の為、同種の雄雌と交尾する

リッカーβを除いて繁殖能力は全く持っていないようです。

ただ一部の共食いを免れた1体のプラントデッドは変異して

リッカープラントデッドとなり、人間の繁殖能力を持つ事が分かりました。

しかもその繁殖行動は今でも非常に活発な状態にあります。

女性研究員と職員やスタッフは注意しなければなりません。

またプラントリーチも同種で交尾して大量の卵を次々と産んでいます。

また『プラントE46-43』も人間の女性と繁殖しようと更に活発になって

捕食対象である男性も繁殖対象の女性も存在を感知すれば見境なく

襲い掛かる程、活発です。現に多数の研究員の男女が犠牲となっています。

現在は完全に封鎖されています。」

「それはよく知っている俺の友達のエリスもやられちまった。」

スペンスは悲しそうに顔を俯いた。

「またこれらの捕食や繁殖が活発なBOW(生物兵器)や『R型』を対象に

ウィルス検査と細胞検査を実施したところ。全ての個体に共通して通常の

Tウィルスや始祖ウィルス。そして

新型T-エリクサー(仮)(E型特異菌遺伝子有り)      

に含まれるTウィルスとGウィルスが極めて活性化している事が分かりました。

そして細胞活動も通常よりかなり分裂も新陳代謝機能も活発化しています。

特に顕著なのが生殖細胞の活発化です。これはリッカーβ、プラントリーチ

プラントE46-43に強く見られています。

またスーパープレイグクローラーは厳重に密閉されたコンテナや

内部の周囲の空気から昆虫のものと思われる

性フェロモン物質を盛んに放出しています。

また闇バイトの募集広告に惹かれて参加した若くて健康な女性を初め、

さらにHCFの物好きな女性研究員数名が実験に参加しています。

また相変わらず20代から30代の女性に

対して繁殖相手に興味を持っているようです。

コンテナに若い女性を入れただけで直ぐに発情して

盛んに交尾して子供をお腹に宿そうとしています。

また多数の人間の女性と交配している内に学習能力で

女性に対する扱いの技術が向上しています。セックスマスターと

呼ぶべき存在と言えばいいのでしょうか?私には分かりませんが。」

するとブレス保安部長アッシュ博士は真顔だったが

HCF保安部隊の何人かは苦笑いを手で隠し、堪えていた。

そんな中、AI(人工知能)アポロは話を続けた。

「もしかしたら?魔女王ホラー・ルシファーが放つ一種の命令に似た

電気信号の刺激を細胞が受けているのではと推測します。それが正しければ。

彼女がこの地を去ればそれらの電気信号は無くなり、おとなしくなるかと」

 

BOW(生物兵器)及びウィルス兵器中央実験室深部の特性商品テスト広場。

円形の広場の中央でエアは次の魔女王ホラー・ルシファーの

攻撃に備えて身構えていた。

一方、魔女王ホラー・ルシファーは余裕の笑みを浮かべてエアと真正面から

向き合っていた。すると何故か魔女王ホラー・ルシファーは

一度手を休めて話し始めた。

「ここまで汝が強くなり生き延びた。その褒美として面白い情報を教えてやろう。

汝、いや正確に我ら外神ホラーと始祖ウィルスは始まりも

終わりも全て同じところにある。」

魔女王ホラー・ルシファーの突然の告白にエアは戸惑いを見せた。

「そっ!それは?どう言う意味だ??」

魔女王ホラー・ルシファーは戸惑うエアの表情を見てニヤリと笑った。

「我、魔女王ホラー・ルシファー、そして他の外神ホラー達と始祖ウィルス

を産み出した賢者の石と汝らがここで遺伝子操作やらウィルス感染実験などで生み出された全てのBOW(生物兵器)やTウィルス、Gウィルス、Tベロニカ、ウロボロス

Cウィルス、Aウィルス、E型特異菌は全て同じ遺伝子と同じ肉体で出来ておる。

当然、陰我が有り、あのHCFが現在研究開発している

タイラントやG生物、ハンターα。リッカー等のBOW(生物兵器

に憑依して肉体を同化させることも可能だ。

しかし今は我はストークスを狙う。その理由は彼女が我の陰我と同じだからじゃ。

つまりオリジナルのジル・バレンタインそっくりじゃから」

ジル・バレンタイン?そっくり?どう言う事だ?」

しかし魔女王ホラー・ルシファーはエアの問いに答えなかった。

代わりに魔女王ホラー・ルシファーはエアに続けてこう話した。

「汝らは我ら外神ホラー達により産まれし、BOW(生物兵器)。

タイラント、G生物、ゾンビ、ケルベロス達、人間にとって忌むべき存在じゃろう!

賢者の石や始祖ウィルスは本来我々のものじゃ!!」

「そして!ジル・バレンタイン!今やホラーの母たる存在!!

我々ホラーはかつて母たるジル・バレンタインの元へ還った。」

エアはこの辺から魔女王ホラー・ルシファーの話が余りにも

象徴過ぎて何を話しているのか訳が分からなくなっていた。

「母たる存在!じゃ!ストークスも!」

「そうじゃ!いずれはここで生きられれば母たる存在になろう!」

そう言うと魔女王ホラー・ルシファーは真っ赤に輝く瞳でストークスを守る為に

強い意志を持って自分と真正面から向き合うエアの真剣な表情を更に

強いまなざしで見つめた。

 

(第32章に続く)