(第45章)異生物ーメトロイドー

(第45章)異生物-メトロイド

 

クリスタ博士はダニア博士の冷酷な口調と気迫に圧倒されてその場で凍り付いた。

「ええ・・・・分かり・・・ました・・・・」

ダニア博士とクリスタ博士はしばらく話し合った末にとうとう電話を切った。

それからダニア博士は疲れた表情で眼をしょぼしょぼさせた。

続けてダニア博士はディスクの上にあるディスクトップパソコンの

スイッチを押して起動させた。パソコン画面には

ディスクトップスクリーンセーバーが映し出された。

ダニア博士はマウスを操作してメールのアイコンをクリックした。

それからメールが開かれた後、新しいメール文章を書こうとメールの作成分を開いた。

ダニア博士は電話の相手のクリスタ博士宛てにメールをキーボードで叩いていた。

「『プラントE45AR000』と『プラントE45AR001』を

スーパープレイグクローラーによる新型ハンター開発研究素材製造計画書』。」

更にクリスタ博士はマウスでメールのタイトルをクリックした。

するとタイトルのメールの内容でやや時間をかけて表示された。

「『R型。ハンター映像計画に使用する素体製造の母体。

マザープロトタイプを確保したR型機体。

『プラントE45AR000』浜崎優菜。『プラントE45AR001』岸田悠亜。

2人の母体による子育ての肉体的・精神的負担を考慮した

結果、2人母親と4人の子供。計6名を上限とする。

(しかし万が一上限の8名以上か9名の場合は再度検討する)

この計画は最高機密の為、母親は『オートマター』。

男の子は『9』。女の子は『2』と暗号名で呼ぶ事。それ以外は禁ずる。

なお複数で呼ぶ場合は『29』か『99』『22』の組み合わせで呼ぶ事。

後のこの男の子と女の子を利用して昆虫人間型の

新型ハンター・開発コードネーム『バグズ』の研究開発を確認する。

そして高い性能と知能が確認出来たらクローン量産をスタートさせる。

これは敵側の対ウィルス装備や防護服の対抗と悪魔と対立する大天使や天使や

テロリストにも対抗する目的がある。以上。」

ダニア博士はメールの送信をマウスでクリックしてクリスタ博士にメールを送信した。

更にダニア博士はリー・マーラが謎の白い仮面を被った黒いマントの怪人に

遭遇した時の彼の会話と黒いマントの皮膚から採取したDNAや

遺伝子ゲノムの分析結果を目の前のモニター画面に表示した。

最初のは音声のみでリー・マーラと白い仮面を被った

黒いマントの怪人の会話が録音されていた。

「君はどうやら・・・・フフッ!成程ね!」

「成程って何なんですか?貴方の目的は?」

「いずれ『静かなる丘』。サイレントヒル

事が起これば僕の目的もはっきりするよ!」

「では?何故若い女性と交尾を?まさか『静かなる丘』。

サイレントヒルで事が起こればすぐに分かるとでも?

交尾した女性達は妊娠していない。

でも彼女達の身体に赤い印が現れている?あれは?」

「太陽の聖環。神聖な自然に彼女達を戻す。つまり本来の人の子の在るべき姿にね。」

「本来の人の子の在るべき姿?人の子の在るべき姿って?」

「まあ。いずれ時が来れば分かる事さ!おとなしく待っていればいい」

「掴みにくい奴ね。貴方は・・・」

「僕は中庸。ニュートラルだからね。じゃ!もっとたくさんの全米中の若い女性達

と交尾して太陽の聖環を付けなくちゃいけないから長話はここまで!じゃあね!」

「まっ!待ちなさい!待って!くそっ!逃げられた!!」

そして音声ログは終わり、会話は無くなった。

ダニア博士はモニター画面に次の見たいものを表示した。

それは黒いマントの皮膚片から採取したDNAや遺伝子ゲノムの分析結果で。

それによると日本人男性のDNAとこちら側(バイオ)の世界に存在しない別世界。

あるいは並行世界(パラレルワールド

に存在すると推測される未知の異生物の2種類のゲノム遺伝子が発見されたようだ。リーが聞いたあの白い仮面を被った黒いマントの怪人の話によると

『ツイスデッド』と『メトロイド』のものらしい。

しかもその彼らが生息していた世界では完全に絶滅したらしい。

「あの怪人。一体何で別世界の生物を・・・・」

「まさか?マイケル・クライトン

ジュラシックパークの再現をしたいのでしょうか?」

しばらくダニア博士はAI(人工知能)アポロと議論をしていると

不意にモニター画面の電話アイコンが鳴った。

ダニア博士が出るとリー・マーラの声が聞こえた。

「ダニア博士!!音声ログは確認しましたか?」

「ええ、確認したわ。あの白い仮面を被った黒マントの怪人について何か?」

「はい!実はあの白い仮面を被った黒マントの怪人が出没し

ニューヨーク市内の特定の地域にまたリビドー・ストランディング(性の座礁

とは異なる全く別の異空間が出現しています。

恐らく白い仮面を被った黒いマントの怪人の仕業と推測されますが。

正確に誰が作ったかは不明です。映像を送ります。

リー・マーラはHCFセヴァストポリ研究所内のダニア博士の

自室のコンピューターに映像データを送信した。

間も無くしてダウンロードが終了し、映像がモニター画面に表示された。

それはニューヨーク市内の恐らくスパニッシュハーレムの地域と推測される

とある広い空き地内に時空の歪みと共に現れた。その謎の空間は。

まるで地球以外の惑星のようだった。何処かの洞窟らしく迷路の

ようなが四角の岩場が組み合わさったような入り組んだ岩場に

真っ赤な葉と紫色の毒々しい有毒の海藻の

ようなものが埋め尽くされるように生えていた。

更に別の場所には岩場の上に巨大な茶色のクラゲのような生物の抜け殻があった。

しかも内部から黄色の液体が漏れて岩場を濡らしていた。

また別の場面には青色に輝くクラゲの傘の内部に

真っ赤に輝く球体が三角形に3つ並んだ臓器類。

その臓器類の下部には鋭い4対の大きく短い牙が生えている

奇妙な生物がふわふわと空中に浮いていた。

更にそのクラゲの生物は緑色の肉食獣の別の異生物に4対の牙を突き刺した。

するとみるみる紫色の熱エネルギーをを吸収した後に内臓に蓄えた。

あのクラゲ型の異生物が去った後、灰色になった肉食獣型の異生物を調べた。

リーの報告によると体内に体液と血液が全く失われていないのにも関わらず

生命エネルギー(熱エネルギー)が吸い尽くされているらしい。

しかも彼女が軽く爪先で蹴るだけで粉末状に体組織が崩壊したと言う。

リーは引き続きこの異世界に出現したクラゲ型生物を更に詳しく調査する事にした。

「このクラゲ型の異生物?メトロイド?」

「はい!ほぼ間違いありません!先程送られたあのクラゲ型異生物のDNAと

あの白い仮面を被った黒マントの怪人が所持していた

メトロイド』のDNAと完全に一致しました。」

 

再びエアマドセンの自室。

エアは実は無意識の内にストークスを愛している事に気付いた。

気が付けば「『愛して』いたんだ!僕はストークスを愛していたんだ!!」

と大声を張り上げていた。その時自分が不意に恥ずかしくなり、顔を赤くした。

ブレス保安部長は「そうかーやっぱりなー」とニヤニヤと笑っていた。

エアはまた急に大きく気分が落ち込んだ。エアは顔を俯いたまま暗い表情になった。

ブレス保安部長は「どうした?」とエアに尋ねた。するとエアは静かに口を開いた。

「やっぱり!僕はもう。闘いたくない。もう闘う自信がない。

これ以上強くなりたくない!強くなんかなりたくないッ!!」

「何を言っている?いいか?ストークスを守る為にはやはりー。」

ブレス保安部長が優しくエアに言いかけた瞬間、エアは大声で怒鳴った。

「もう!嫌なんだ!!こんな現実!!僕はッ!僕はッ!ストークスを守る為に!

死に物狂いで魔女王ホラー・ルシファーと戦った!

トークスの為に強くなろうとしたのに!でも!!

守ってあげる筈の母親のアンヘラがいなくなったんだあああっ!

僕は!もう!誰も失いたくない!もう!目の前から大切な人が居なくなるのが!

もうたくさんだ!僕は闘いたくない!もう!嫌だ!嫌だああっ!クソっ!クソっ!」

ブレス保安部長はそんな両手で頭を抱えてうずくまり、

全身をブルブルと震わせている息子のエアを困った表情で見た。

「今更ー。今更ー。成長を拒否するのか?今まであんたが必死になって!

トークスを守る為に戦い抜いたのは?一体何だったんだ?

この野郎!いい加減にしろ!!いい加減大人になれ!」

しかしエアは凄まじい声で怒鳴り、父親に対して猛反発した。

「嫌だああっ!嫌だああっ!もう!大人になんかなりたくないッ!!」

エアは自分が大人になる事に凄まじい拒否反応を示した。

ブレス保安部長はこれ以上何を言っても無駄だと判断した。

そしてゆっくりと椅子から立ち上がった。彼は無言で自室のドアを開けた。

父親のブレス保安部長が部屋を去るとエアはベッドの上に

座り込んだまま再びシクシクとずっとずっとずっと泣き続けた。男として情けない。

 

(第46章に続く)