(第60章)新宇宙創成計画

(第60章)新宇宙創成計画

 

「ひあああっ!失礼しましたあああっ!」

女性研究員は叫びながら慌てふためいたようすで走り去った。

エアはもちろん悪気も無かった訳だが。酷く気分が落ち込んでしまった。

「あーあーあ」とエアは思わず声を上げた。

そしてがっかりと肩を落として走り去る女性研究員の背中を見送った。

これも?魔女王ホラー・ルシファーの力のせいだろうか?ホラーだけに・・・・・。

しかしエアはさっきの無礼を反省しつつもカを両手でパンパン叩いて正気に戻った。

 

ニューヨーク市内にある秘密組織ファミリーの本部に当たる大きな屋敷。

ジョン・C・シモンズは自室で一人の老人と話していた。

白髪に白いスーツを着た長身の男。佇まいはいかにも紳士だった。

ジョンは椅子に腰かけて木の机に両手を載せていた。

だが直ぐに両手を挙げて合わせて肘を木の机に乗せた。

「進んでいるかい?マルセロ・タワノビッチ。いやドクターリーパー!」

マルセロ・タワノビッチ事、ドクターリーパーと呼ばれた老人は静かに口を開いた。

「勿論じゃ!ジョン!まさか本当に冴島鋼牙、烈花法師、真魔界竜アナンタ。

魔人ホワイトライダー、魔人フランドールの細胞を例のHCFが開発した

『新型T-エリクサー(仮)』ウィルスを利用してジル・バレンタイン

血液から抽出した遺伝子とDNAを組み込む。

そしてかつてアンブレラ社の創始者のオズウェル・E・スペンサーの『W計画』

で生み出されたアルバートともう一人のウェスカー『アレックス・ウェスカー』

が研究していた『転生の儀』を利用して真魔界竜に転生する前のシェーシャの

記憶と精神を植え付けると言う方法を素体に行い、新しい龍王を創造する。

じゃが。その肝心の『素体』をどうやって手に入れるつもりかのう?」

「既に必要な情報はある。HCF社とグローバルメディア企業と

民主党多数党内幹事が協力して進めている

反メディア団体ケリヴァー壊滅計画『R型計画』だ。」

「まさか?『R型計画』の『新型T-エリクサー(仮)』ウィルスで

誕生した巨大クリーチャーを『素体』にするつもりなのじゃな?」

ドクター・リーパーの質問に無表情でジョンはこう答えた。

「そうだ!ウィルスによって突然変異して誕生したクリーチャーを利用する。」

「そうかい。じゃが『新型T-エリクサー(仮)』ウィルスには

E型特異菌の遺伝子も組み込まれておる。『R型』がエヴリンの時の様に

暴走すれば『素体』を手に入れる前に仲間が殺されるぞ!」

ドクターリーパーの意見はごもっともだと思った。しかし冷静にジョンはこう言った。

「大丈夫だ!既に策は考えてある。それに『素体』とするならゲームで言うラスボス

のかつてテロリストのネオ・アンブレラが製造したCウィルスを利用した

BOW(生物兵器)『ハオス』級の超巨大クリーチャーが丁度、良いのだが。

果たして生まれるかどうかな?」とジョンは口元を緩ませてニヤリと笑った。

「それとこちら側(バイオ)の世界のニューヨーク市内の主に20代から

30代の若い女性。一人暮らしでOL(オフィスレディ)や

大学通っている女性達や女の子、大学生達。つまり子供のいない若い女性達。

彼女達にどんどん僕の変異型賢者の石を寄生させる実健はうまく行っているね。

マルセロ・タワノビッチ、ドクターリーパー!」

「ああ、もちろんじゃ!特に魔獣ホラー・シーチェアはいわゆる女性達に

DV(ドメスティックバイオレンス)を酷い人間の男を手当たり次第、

捕食しつつも家具か何かに変形して家の中に侵入して自らの賢者の石の力で

結界状の空間を作っているとか?しかも結界状の空間の外には誰もいない感じで。

これで他人は入って来ても。盗撮の為にカメラ置いても。

人間が作ったカメラレンズ如きじゃ魔獣ホラー・シーチェアーも

家主の若い女性の姿も確認出来ない。魔戒騎士や魔戒法師でもあの結界は壊せない。

奴は結界の中で黒い革の椅子に化けて家主の女性を座らせる。

若い女性は最初は怪しむけど。しばらくしたら警戒心を解いて座ってしまう。

しばらくは若い女性の身体の感触を味わった後に椅子の上部が変形して

茶色の外骨格に覆われた胴体とクモの6対の脚とサソリのような長い尾を持つ

『ネメシス(NEーγ・ガンマ)』の寄生体を出して頭部だけを飲み込ませて

性的興奮をもたらす特殊な体液を出来るだけ飲ませて交尾出来る状態にしてしまう。」

「受精の確率は?ドクターリーパー!」

「魔獣ホラー・バエルと同じ確率じゃよ!50%!つまり半数じゃ!

今のところは魔獣ホラー化した若い女性はおらぬ」

「そうか!半数ならまだいいだろう!種の進化と強化の為だ。

そして僕の変異型の賢者の石を持つ様々な人種の20代から

30代の若い女性達と我々メシア一族のホラーの混血児が産まれている。

皆、賢者の石によって強い母性に目覚めて、全員自ら産んだ子供を受け入れている。

だから彼女達は今後20年から80年うまく育てて行くだろう。

勿論、裏では我々、魔獣新生多神連合や秘密組織ファミリーや

色々育てる為の支援をしている。ところで?あの世間を我々と

同じ位、騒がせている白い仮面を被った黒いマントの怪人について何か分ったかい?」

「まだ調査中じゃ!現在HCFの研究チームがそいつの細胞片から

別の異生物の遺伝子とDNAを2種類発見した。

1つ目はアヤブレアの世界の『ツイスデッドゲノム』。

2つ目はサムス・アランの世界の『メトロイドゲノム』じゃ。」

「未だに奴の目的は分からぬ。奴も我々と同じく若い女性に手を出していた。

そして太陽の聖環を利用して何らかの契約を結ばせているようじゃ・・・・」

「そうか。いずれ分かるだろうな。魔獣ホラー達を接触しているからな。」とジョン。

「既に一部の魔獣ホラー達が『彼に会った』とわしに報告してきおった。」

それからマルセロ・タワノビッチ事、ドクターリーパーは一枚の資料を渡した。

ジョン・C・シモンズ事、魔王ホラーベルゼビュートはその資料に目を通した。

あの白い仮面の黒いマントの怪人と接触した魔獣ホラーの名簿だった。

「リャナンシー。姑獲鳥。ラヴラビッド。カデーナ。ハル。

ヤシャウル。へルツヴァイ。ハナムシ。アボラデュラ。

コンべスクオ。ルトン。成程!それで彼らは?

その白い仮面を被った黒いマントの怪人に何をされた?」

「『メトロイドゲノム』の遺伝子を与えたようじゃ!彼らは強化された!」

数分後、ジョンとドクターリーパーの話題は『R型計画』に戻った。

「そして!4年後に『R型計画』が始動した時!

我々はジル・バレンタインの血液と黒炎剣が変形したロンギヌスの槍

使い『素体』となるハオス級の超巨大クリーチャーを卵にまで戻して捕らえる」

「でも?もし?ハオス級の超巨大クリーチャーが産まれなかったら?」

「仕方が無いが『素体』もゼロから作り出さねばなるまい。

ただ僕は必ずハオス級の超巨大クリーチャーが現れると確信している。

僕にはヨグ・ソートスの力。未来を見通す力があるからね。」

「では。心配無用か。しかしそれでは我々の住む

こちら側(バイオ)の世界の人類は滅亡してしまうのでは?」

「心配には及ばないBSAAのクエント・ケッチャムと魔戒法師の

烈花は必ず『R型』野暴走を止めてみせるさ!」

「当然、結末は知っておろうな?『R計画』が成功する事も?」

「でも、ここではまだまだ秘密だよ。

知りたければ4年後の(バイオハザード血の薔薇)

『R型』暴走事件の結末を楽しみにしてくれたまえ!そう!

僕が『欲しいのは未来のヴィジョンだ』『未来を見据えるなら本気でやる』さ!」

ジョンはニコニコと笑顔を見せた。

「この男は正確には未来が読める。いや、正確に見える。

だからここまで先の出来事を想定した計画が建てられるのか?

一体?そこまでして唯一神YHVAを滅して宇宙の卵を孵化させて

新宇宙を創世する理由はやはりバアル・ゼブルからベルゼバブにされて

神から悪魔に堕とされた復讐なのじゃな。

今はあのホラーの始祖メシアの涙のエイリスの手によって

魔王ホラー・ベルゼビュートとして転生しているが。

彼の神に戻りたいと言う部分は全く変わっていないようだ。

ジル・バレンタインも最初は我々、魔獣ホラーメシア一族のカルキ(救世主)であり。

寄る辺の女神となった。しかし現在は新宇宙の新たな主神になろうとしている。

そして万物の神となり、人間、動物、自然をゼロから作り直そうとしている。

ジル!あんたは本当にそれで良いのじゃな?そんな事じゃ!

かつて王では無く神を目指したオズウェル・E・スペンサーを

殺して彼に成り代わって本物の神を目指したアルバート・ウェスカー

やっている事は同じじゃ!歴史は繰り返すのか?

なあージル・バレンタイン本当にそれでいいのじゃな?

マルセロ・タワノビッチ事、ドクターリーパーはジルに対する

疑問を心の中で強く抱きつつもジョンを見た。

ジョン・C・シモンズ、いや魔王ホラー・ベルゼビュート様!

一体?何を彼女に吹き込んだんじゃ?何故?ジルをあんな風にした?

ジルはこちら側(バイオ)の世界のラクーンシティの英雄なんじゃぞ!

 

(第61章に続く)