(第35章)霧から現れた人型クリーチャー

(第35章)霧から現れた人型クリーチャー

 

電気屋の屋上で先程のとんでもない戦闘に巻き込まれてしまい。

改めて休憩と取っていたエアと鳴葉とエイダ、ホワイトフランドール

は疲れもだいぶ取れてきたので立ち上がった。

ちなみにエイダは既に休憩を終えて身体を曲げていて。

更にエイダは右腕、左腕、右脚、左脚をピーンと伸ばしてストレッチしていた。

大分、彼女も身体の機能も精神の安定も取り戻していたようだ。

その時、エアの無線が鳴った。

それで鳴葉をエイダとホワイトフランドールに任せて

水道タンクの陰に隠れてなるべく小さな声で無線に出た。

「グーフィか?何か分かったのか?」

間も無くしてエアの無線からグーフィの声が聞こえた。

「エア!大変な事実が判明した!ここ最近!

異世界やリビドー・ストランディング(性の座礁)に

取り込まれた人間の数が急速に増加している!!

しかもその取り込まれた人々の多くが学校や会社等でいわゆるパワハラやセクハラ。

更に虐待を受けて完全に精神的に追い詰められた高校生、小学生、中学生。

サラリーマンや会社員が自殺の名所や学校や会社近くで

取り込まれて多数失踪している。

更に親やクラスの同級生に酷いイジメを受けて、宮田やその他の

教育者達の権力によって真実を歪められた重い事実に精神的に追い詰められて。

やはり高校生、中学生、小学生は次々とリビドー・ストランディング(性の座礁

に取り込まれて失踪していた。これは人類にとって深刻な問題だ。

これは他の国の紛争地域でも通常の社会の中において全ての学校や会社で働き。

家族を持ち、新しい未来を想像出来ないのと同様にイスラム国や唯一神に対して

新しい不老不死のイスラム王国の明るい未来を想像出来ずに次々と異世界

リビドー・ストランディング(性の座礁)に消えて行った。

どんどん取り込まれて行ってこのままでは現実世界の人間の人口は激減する可能性も

現実味を帯びてきている。このまま多分、今回の事件が解決してもこの異世界

リビドー・ストランディング(性の座礁)に

失踪する人々は消えないのかも知れない。」

「やはり・・・・あいつはいつ限り・・・・」

「そのあいつとは?」とグーフィが質問した。

エアは直ぐにこう答えた。

オペラ座の怪人と名乗る人物だ。正体はもう一人のサトル・ユウマだ!

彼がリビド・ストランディング(性の座礁)やファントム(幻影)や

ツーバック、ワンバックを操っている。

あとアノマロカリス型のファントム(幻影)を切り札として隠してもいる。

僕もさっき遭遇した。気おつけてくれ!奴らが『静かなる丘』の外に現れたら

ヘリックス(天魔エグリゴリの事)だけじゃなくてそいつも気おつけてくれ!」

「分かった皆に伝えておくよ!それじゃ!」

エアは「じゃあ!また!」と言って無線のスイッチを切った。

それからエアは鳴葉やホワイトフランドール、エイダのところへ戻ろうと

水道タンクの陰から出ようと歩き出した。しかしその時、ズッ!ズッ!

と何かを擦る音がした。エアは素早く振り向くと

屋上から建物の下の道路の方を覗き込んだ。

すると白い霧の中から人型クリーチャーがいた。

それはあのニューヨーク市内のジル・バレンタインと会った

公園で見かけた奴にそっくりだった。

そう、あのまた黄金の三角頭(ゴールドピラミッドシング)だ。

素質は黄金の三角の装飾の付いた靴を

ズズッ!ズズッ!と擦らせて一歩一歩進んでいた。

「あいつはッ!」とエアは声を上げた。

間も無くして黄金の三角頭(ゴールドピラミッドシング)は

白い霧の中にスーツとあっと言う間に消えて行った。

エアはその消えた白い霧に覆われた道路を見ながら方向を確認して

端末機のモニター画面の『静かなる丘』の地図を確認した。

どうやら黄金の三角頭(ゴールドピラミッドシング)が去った方向とこの道路は

『TOLUCA ARE』通り。つまり今、歩いていた道路だと言う事が分かった。

更にその先の十字路からどんどん先へ行き、少し上へ昇って行って。

その先に療養所があった筈だった。しかも療養所の中にはどうやら広い広場。

公園みたいな所があるようだ。

確かあいつを最初に見かけたのはチェルシー地区の公園だった。

だとしたら?あの黄金の三角頭(ゴールドピラミッドシング)は

公園にいる可能性が高い。行ってみようか?だがエイダはともかく鳴葉もいる。

黄金の三角頭(ゴールドピラミッドシング)も危険かも知れない。

やはり行くのを止めるべきだろうか?いや僕自身の心がこう言っているんだ。

「黄金の三角頭(ゴールドピラミッドシング)に会え!!会わないと!

一生後悔するぞ!!」と。何故?そう思うか分からないが。

あいつには何か不思議な縁を感じる。

しかもあの黄金の三角頭(ゴールドピラミッドシング)はご丁寧にも。

確実にこの先の未知の療養所の公園内からより強くはっきりと

こんな遠くの電気屋のところからでも分かるような強大な賢者の石の力を感じる!!

しかも僕と同じ魔女王ホラー・ルシファーと良く似ている!!

出会うべきか?でも一般人がいる以上は危険は避けたい。!!

でも!駄目だ!あいつに会わないと!あいつと向き合わないと!!

あいつを『静かなる丘』の力で具現化させたのは恐らく僕だ!!

やはりほっとく訳にもいかないだろう!!行こう!!

エアはようやく決めると鳴葉とエイダに

「もしかしたら?あの療養場の公園に手掛かりがあるかも?ホワイトフランドールの

片割れの魂のブラックフランドールと魔人フランドールの肉体の行方も分かるかも

知れないからとにかく行ってみよう。」と言う感じに提案した。

エイダは「そう・・・・あそこ・・・か・・・あそこには・・・・」と

今回は意外にもエイダは乗り気では無かった。

彼女が言うにはあそこで『血まみれの赤い看護婦の幽霊』

に追い回された事があるらしい。

もちろん『血まみれの赤い看護婦の幽霊』

つまりリサ・ガーランドには一切悪意が無い。

ただエイダを危険から遠ざけようとしただけだ。悪い人じゃない。

エイダはそれでも少しだけ笑顔が引き攣っていた。少しだけ顔も青い。

「大丈夫ですか?エイダさん?」と鳴葉が聞いた。

エイダは「えっ?ああ!大丈夫よ!」と慌てて答えた。

ちなみにエイダがあの療養所で何をしていたのかはあえて聞かなかった。

何せ一般人の女性アナウンサーもいる。

HCFが調査した情報を簡単に漏らす訳にはいかない。

3人で相談した結果、その療養所から公園へ行って見る事に決めた。

電気屋の屋上から階段の下へ降りて電気屋の外へ出ると

『TOLUCAARE』通りを歩き始めた。

途中ストレイトジャケットフランやツーバックと遭遇したが3人は無視した。

療養所に現れるであろう強敵に備えて出来るだけ多くの回復と弾薬を温存した。

3人は次々と現れる複数の敵を大回りして回避したり。

複数の敵を撒くように走り続けて戦闘を回避した。

それから電機屋近くの十字路を通り抜けて緑の芝生に覆われた上側と

幾つかの入り口が封鎖されている建物の真っ直ぐ続く道路をエア、鳴葉、エイダは

進み続けた。また道路にはあのマネキンモンスターに襲われたであろう女性物の

ビリビリに破り捨てられた女性物の衣服があっちこっちに散乱していた。

「酷い。なんで?」と鳴葉は恐怖で顔を青くした。

エアとエイダはそれぞれマシンガンを両手で構えた。

いつでも発射出来るように指も準備をして置いた。

そして鳴葉を中心にエアは正面を警戒して、エイダは背後を警戒した。

時にはエアが右側を警戒してエアは左側の警戒と白い霧に向かって

マシンガンの銃口を向け続けた。とりあえずストレイトジャケットフラン、

ツーバックと言った敵には引き金を引かずもっと強い敵に向かって

いつでも引き金を引けるようにして置いた。不意打ちは絶対にさせない。

エアもエイダもそのつもりだった。鳴葉はそんな2人を見てとても心強いなと思った。

また後で気付いたがエアはオフになっていたポケットラジオの電源をオンにした。

するとその辺でノイズが鳴り始めた。エアはノイズがした方に目を向けると

ストレイトジャケットフランが2匹いた。

エイダと鳴葉にポケットラジオのノイズで異形の怪物達を探知出来るのだと説明した。

エアはポケットラジオのノイズを使って白い霧の中にいる

異形の怪物達の位置を確認しながらエイダと共に一般市民の鳴葉有子を

護衛しながらどんどん先へ進んで行った。

しかしその時、不意にポケットラジオからノイズが消えた。

続けて『静かなる丘』の異世界の外のどこか別の

街で起きた不可解な殺人事件についてのニュースが報道されていた。

「これは?外の世界のニュース??」とエイダ。

「場所はまたグーフィが言っていた東京の六本木じゃなくて。

今度は同じ日本の東京の歌舞伎町のようだ。」とエア。

「うう・・・私の国がそんな‥異世界になるなんて・・・・」

鳴葉は余りにも信じられないニュースに言葉を失いかけた。

 

(第36章に続く)