(第42章)リーピング(災いの報いを受けよ)

(第42章)リーピング(災いの報いを受けよ)

 

『静かなる丘』の異世界・表世界のモーテル。

鳴葉とエイダとエアはホワイトフランドールが失踪したまま止む負えず

モーテルの受付の中に潜入していた。そのモーテルの受付は四角い部屋だった。

四角い部屋の周囲にテレビが置かれた木の台やチェックインアウト用の

ノートが置かれた長四角の木の机があった。

チェックインアウト用のノートの間に一枚の新聞記事の切り抜きが挟まっていた。

エアがその一枚の新聞の切り抜きを手に取って読んだ。

ワンバックの突然変異体出現か??

エジプト内にリビドー・ストランディング(性の座礁)が出現。

出エジプト記の十の災いか?神の怒りか??

サバクトビバッタ型のワンバックの群れが各地の街を襲撃!!」とあった。

さらに新聞の切り抜きの写真には巨大なセミに前屈みに丸まった態勢の

異形の怪物は群生相のサバクトビバッタの姿をしていた。

前翅は半透明で多数の斑点があり、後翅にはほぼ斑点は無かった。

そんな異形のサバクトビバッタの姿をしたワンバックは仮面のように

サトル・ユウマの顔が付いていた。とても不気味だった。

さらに新聞記事には「ヨハネの黙示録の始まり??」

「40000万か8000万の個体が各地の都市や村の

10代、20代、30代の若い女性達を性欲で喰い尽くす!」「かつてない大災害」

「政府は対策を各国で協議」と言った文章で世界中は大騒ぎしていた。

鳴葉はスマートフォンでSNSを見るとほとんどのネットニュースでは

新聞のサトルトビバッタの他にも出エジプト記の十の災いの『ナイル川

水が血の川になった』『雹を降らせる』と言った記事が投稿されていた。

しかしフェイクニュースかもかも知れないし、デマかも知れず真実は分からなかった。

もう!訳分かんない!!と鳴葉は苛立ち、スマートフォンを服にしまった。

エアと鳴葉は木の机に置かれた銀色の呼び鈴の隣に無線機が置かれているのが見えた。

また無線機から声が漏れていた。エアの無線機のスイッチを押した。

するとトルコ司令部と特殊部隊の会話が聞こえて来た。

「こちら!HQ!第一司令官!応答せよ!」と。

「こちら!第一司令官!!こちら特殊隊員!!現在!

例のクリーチャー達は無事捕らえました!!しかし!

反メディア団体ケリヴァーの怪物『教団狂信者』の襲撃により。

ですが全て逆に全滅させました。何人かやられましたが数人程度です。

軍部が規定した10000万体を捕らえて

コンテナに収容し、A400アトラスに運びました。

しかし彼らをあの人間の闇の心、もとい妄想から生み出された

クリーチャー達を我々トルコ軍はどうやって利用する気で?」

「彼らの中にある『静かなる丘』の土着神のデモニックジーン(悪魔遺伝子)を

含んだウィルスを利用する!このウィルスと賢者の石の研究と実験をして!!

未だにシリア政府軍とシリア反対派及びそれらの同盟組織は内戦を続けている!

そして過去に初めてシリア領内に潜入し、自由のシリア軍と共にアレッポ県北部国境

地帯のISILの拠点の制圧に成功している。しかもクルド人勢力による

超境軍事作戦によって「ISIL」「IS」元戦闘員の

収監施設が今では管理不能となり。大量脱獄が起きている。

既にトルコ人クルド人勢力が衝突する現地情勢は混乱に拍車がかかっている。

既にISが我々の軍事作戦に生じた混乱に乗じて国内に潜伏する

残党共が勢いを盛り返していた。しかし今は何故か弱体化している。」

「つまり?弱体化しているからあのクリーチャー達とデモニックジーン(悪魔遺伝子)を利用してISとクルド人を殺傷する兵器を作ろうと?」

「違うよ対テロ兵器だよ。他に国にはそう説明するさ!!」

「それでは!クルド人がまるでテロリストみたいじゃないですか?!

ただでさえ長い間、空爆のせいでシリア情勢はますます悪化している!

地域の不安かはどんどん酷くなっているんです。年々酷くなりつつあるのに。

それに加えてクリーチャー達を未知のBOW(生物兵器)として投入するなんて!」

「ますます悪化すると?いいかクルド人は敵だ!害虫を殺すのは当たり前だろ?

いずれ必ず内戦は我々が終わらせる!連中をこの世界から消し去ってね!

それがあのクリーチャー達で可能な筈だ!」

「そんなの!私は納得できません!やはりこんなのは・・・・。

こんなやり方は間違っています!司令官止めるべきです!」

「黙れ!兵士なのだから!司令官に従え!」

そこで再びノイズが走り、ザーザーザーガーガーガーピーピーピーと言う

騒がしい音以外は何も聞こえなくなった。

エア、鳴葉、エイダは黙ってそれを聞いていた。

エイダは無線機のスイッチを切った。エイダは秘密道具を使った。

彼女はテープレコーダーのような機械からコードを伸ばして無線機に繋いだ。

テープレコーダーのような機械のスイッチを付け、更に無線機のスイッチを付けた。

するとテープレコーダーの機械は自動的に無線機内のトルコ陸軍司令部と

特殊隊員の会話した電波を読み取り、全ての内容を録音した。

エイダはテープレコーダー型の秘密道具のスイッチを切り。

コードを無線機から外してスイッチを切った。

「これで連中の情報は私達のものよ!!あとでどうするか考えましょ?」

エイダは悪戯をした子供の様ににっこりと笑った。

鳴葉はそんなエイダに唖然としながらもテープレコーダー型秘密道具を指さした。

「それでさっきの会話を?貴方達って?まさか?」

エイダは鳴葉にこう答えた。「ご想像にお任せするわよ」と。

「まさか?脅しに使うんですか?」とエア。

「いいや!平和利用の為よ。私達や人類の為のね」

エイダはテープレコーダー型の秘密道具をしまった。

3人はモーテルの受付から『MANGER(管理室)

の下の方の茶色の扉をギィィツ!と開けて外へ出た。

そしてまずは受付の左側の大きな銀色の南京錠の付いた柵があった。

勿論、開かないのは知っていたので全員無視した。

そして厳重に南京錠の付いた柵の隣の小さな柵も鍵が壊れて全く開かなかった。

どうやら先へは進めないようだ。

また小さな柵の近くの上へ続く階段も大きな木の板によって封鎖されていた。

仕方が無く階段近くの目の前に見える

鉄の柵をガチャッ!キーツ!と音を立てて開けた。

その先は『208』から『304』までの客の泊り用の部屋が左右一列に並んでいた。

エイダと鳴葉はまずは『300号室』から『304号室』までドアノブが動くか

試して見た。しかしどれも鍵は壊れていてドアを開けられなかった。

その時、ふと鳴葉はモーテルの『304号室』のある

ドア近くの白い霧から人影がちらりと見えた。

その人影は若い男性のようにも見えた。しかし彼女は知っていた。はっきりと。

「えっ?マイキー?」と小さくつぶやいた。

そしてマイキーらしき男性の人影は直ぐに茶色の門をキーッと開けて入って行った。

鳴葉は慌てふためいて駆け出した。

「マイキー!待って!待ってよ!」と声を上げてマイキーらしき

男性の人影を追って茶色の門を開けて先へ走り去って行った。

エアとエイダは鳴葉がいなくなった事に気付かぬまま『300号室』

から『304号室』のドアノブが動くか試してみたが結局は動かなかった。

2人はシャッターの空いた窓から『300号室』を覗き見た。

全ての部屋の中でワンバックと日本人、ロシア人、カナダ人、ドイツ人。

ポーランド人に日本人の美しい白い肌の若々しい美女と

ベッドの上で交尾している様子が良く見えていた。

エアとエイダはそのままガン見しないように注意しながらスルーした。

しかしエアはロシア人、カナダ人、ドイツ人の若い女性と

ワンバックの交尾はスルーしたが唯一1人だけどうしても気になってしまった

純粋な日本人の若い女性とワンバックではない(あれは恐らく)

異世界の案内人の天魔ヴァルティエルのセックスだけはどうしても見たかった。

実は彼はHCFセヴァストポリ研究所で見慣れたドイツ人やカナダ人。

ロシア人や他の国々の女性達よりも中国や韓国、日本人女性に興味があった。

勿論、アメリカ人のストークスも好きだがその根本的な理由は

彼女もまた日本人や韓国人や中国人のアニメや

ゲームのキャラが好きでお互い趣味が合ったからである。

エアは一番日本人の美しい(と自分で思っている)姿や言葉が好きだった。

彼は純粋な日本人の女性と天魔ヴァルティエルの交尾を食い入るように見つめていた。

エイダも苦笑いを浮かべた。一方『304号室』では。

部屋の中央の白いベッドの上には純粋な日本人の女性が仰向けに寝転んでいた。

彼女のピンク色にほんのりと染まった白い肌の身体の上に

天魔ヴァルティエルが覆いかぶさっていた。

天魔ヴァルティエルは前後に激しく痙攣し続けるように腰を動かし続けた。

その純粋な日本人の彼女は。両頬まで伸びた茶色の2対の細長い左右の前髪。

後ろ髪は赤と紫と黄色のピンクと赤と色とりどりの花の付いたヘアバンドを

付けたお団子の髪型。キリッとした細長い茶色の眉毛。

ぱっちりとした茶色の瞳。スラリと通った美しい丸っこい低い鼻。

ピンク色の唇。ふっくらとした両頬は紅潮していた。

「今日は精一杯汗をかくのよ」と呟いていた。

やがて彼女は口を大きく開けて荒々しく高い声で喘ぎ続けていた。

更に彼女の細長い茶色の眉毛をハの字にした。

同時に彼女の張りのある90cmのGカップの美しい大きな丸い両乳房を

前後左右にプルプルプルと目にも止まらぬ速さで揺れ続けていた。

「あっ!あっ!あっ!あっ!」と愛しく喘ぎながら白い歯を見せて笑った。

その間にもエア・マドセンは『304号室』の部屋の中で

天魔ヴァルティエルと交尾し続けている純粋な日本人の女性を見続けた。

流石のエイダもこれ以上待てずホワイトフランドールを探す為にエアの右肩を掴んだ。

「先へ行くわよ!」と声を掛けた。

しかしエアは茶色の瞳で気持ち良さそうに悶えている

純粋な日本人から決して目を逸らさなかったし、その場から動かなかった。

エアははっきりとした口調で口を開き、予言めいた事を語り出した。

エアの予言めいた言葉は以下の通りである

「とある魔術師の大アルカナはこう示したのだった。

強い意志と努力こそが唯一夢を掴む可能性があると。」

「とある女教皇はこう示した。

心の奥底から響く声無き声。それに耳を傾ける意義を。」

「とある女帝はこう示した。生が持つ輝きとその素晴らしさと尊さを。」

「とある皇帝と法王はこう示した。

あらゆるものに毅然と向き合いその答えを決する勇気を!それを知る事の大切さを。」

「とある恋愛は示した。他者と心が通じ合う喜びと素晴らしさを。」

「とある戦車は示した。目標に向かって跳躍する。人が命を得た可能性である事を。」

「とある正義は示した。何もかもが不確かな故にその答えを導かねばならなぬ事を。」

「とある隠者は示した。時に己を見つめ自らの意志で道を決する勇気を。」

「とある永劫を示した。時と共に回り続ける。」

「とある運命が示した。残酷な運命の存在を。」

「とある剛毅が示した。

どんな苦悩に苛まれようともそれに耐え忍ぶ力が必要だと言う事を。」

「とある死刑者は示した。

避けようの無い窮状においてこそ新たな道を探る機会がある事を。」

「そして・・・このアルカナ13番目はこう示す。全ての旅路に待つものはー。

いかなる人間や動物達。全ての生物が行き着く先は絶対の終わり!!

つまり!死神が待っている事を!!だからこそ!

いかなる生物は自ら死と死神の力に抗う為に男と女は。

性別がどんなに不確かなものでも。いずれは生命の本能に従い。

交尾。または性行為をして精子卵子を受精させて自らが死んだとしても。

そこに自分達が生きた証が残る。子孫が残る。それが目の前の事だ!」

エイダは予言めいたエアの言葉を聞いて大きく戸惑っていた。

『304号室』の部屋は天魔ヴァルティエルと交尾し続ける内に

純粋な日本人の女性はまるで獣のように荒々しく息を吐き続けた。

更に彼女の声は徐々に高くそれが叫ぶような声に変わって行った。

純粋な日本人女性は両眼を大きく見開き、両頬と深い胸の谷間を

もっと血のように真っ赤に紅潮させた。

やがて全身から大粒の汗が大量に白い肌を滑るように

ベッドの白いシーツの上にどんどん落ちて行った。

彼女は両脚を左右に広げ、両膝を曲げたまま

全身が途轍もなく熱くなるのを感じ続けた。

やがて純粋な日本人女性は性的興奮が絶頂に達した。

次の瞬間、純粋な日本人のピンク色の肌の裸体が真っ赤に輝いた。

やがて両耳に球体のイヤリングを付け、光沢のある濃緑色の服と腹部から

伸びた鮮やかかな赤色の長いスカートに早変わりした。

さらにバサッと光沢のある濃緑色のキヌバチドリの仲間の

ケッアールに似た羽根を広げた。天魔ヴァルティエルは彼女から離れた。

純粋な日本人女性は天魔ヴァルティエルに茶色の瞳を向けた。

ドックン!ドックン!と純粋な日本人女性の耳に

胎内から小さな心臓の鼓動が聞こえた。

純粋な日本人女性の女性は優しく両手で下腹部を抑えた。ニッコリと笑った。

「私のような女性達は沢山います。

私達は『恋愛』『女帝』の大アルカナを司る『シッチョケッアルズ』!!

天魔ヴァルティエルはその『ショチョケッアルズ』の前に跪いていた。

更にエア・マドセンは最後にはっきりと何かを呟いた後に正気に戻った。

「やはり虚空の女王イリスの我には人間の性の扱いに不満があるのう。」と。

エアの言葉に呆然としていたエイダもふと我に返った。

エイダはすぐさまエアがまた正気を失わない内に彼を連れて『304号室』を離れた。

 

(第43章に続く)