(第48章)殺人鬼の人格VS人間の人格

(第48章)殺人鬼の人格VS人間の人格

 

ガルヴァスタ―・スカーレットはエアとのセックスで性的興奮が

絶頂に達し、長々と甲高い喘ぎ声を上げながら大口を開いた。

「あああああああああああああああああああああんんんっ!!」

それからしばらく後。エアとガルヴァスターがまるで昔から親しい仲

だったかのように楽しくピロトークをしていた。

「知っている?オズウェル・E・スペンサー卿死んだって?」

「はい。知っています。彼はアルバート・ウェスカーに殺されました。

「そう、つくづく愚かな人間の貴族崩れの男ね。あっ!そうだ!

アレックス・ウェスカーは不老不死の技術を手に入れたのよね?」

「でもアルバートもアレックスも死んだ」

その時、エアは何故?そんな話をしているんだろうと思った。

まるで操られて話されているようにー。

「そう、ジル・バレンタインは生き残ったんでしょ?

ついでにパトリックとその孫娘の日本人の女は?」

「はい。でも貴方はレミリアさんの母親でしょ??」

「それが?もうあの子もジャンヌの娘のフランも独りで生きていられるんでしょ?

それにあの子は紅魔館現当主でしょう。

私達吸血鬼の一族はあの魔女達やイーサン・ウィンターズも

とても重要な人物なの。勿論、貴方も重要なのよ。」

「どうして??僕が重要なんですか?

オペラ座の怪人』が何かしたんですか??

彼は。サトル・ユウマは何を企んで!」

「彼は『卵』を完成させた。

間も無く新約の21の秘跡の儀式が始まるの。第2のカタストロフ(人類滅亡)。」

「それじゃ!大乱闘スマッシュブラザーズは出来ないぞ!!」

エアの唸るような声にガルヴァスターは寂しそうに答えた。

「そうね。リヴィアのゲラルドや天魔ゼルエル、フィリパ・エイルハートが

オペラ座の怪人』の凶行を止められたらね。

運命の日は彼女達に未来は委ねられる。第2幕が始まるのよ。

だから貴方は私と同様にサトル・ユウマの異形の怪物達ワンバックの様に

太陽の聖環に従って子供を要求してきたら第1幕から第2幕までセックスをして

子供を選ばれた若い女性のお腹に宿し続けなければいけないのよ。」

エアは右腕を見るとそこに真っ赤に輝く太陽の聖環が刻まれていた。

「これは。貴方の個体が死ぬまで永劫に続く『赤き太陽の呪い』なの。

受け入れてその力を自分のものにしなさい。そして貴方はストークスと

その子供や子孫にも代々受け継がれるものになる。呪いの力はね。」

エアはどう答えたらいいのか分からずにいると。

「その『赤き太陽の呪い』を受けているのは他にも多数の人間の若い女性が

美しい白い肌の美しい身体の掌、深い胸の谷間、両腕、臍の辺りの皮膚。

いずれかに太陽の聖環の証がある筈です。太陽の聖環の力は強大です。

万が一この呪いを受けた人間の娘が何者かに命を奪われおうものなら。

太陽の聖環の呪いはその呪いを受けた人間の娘の命を奪う野蛮な者達は

自らの運命の破滅と途轍もなく残酷で残虐な死の運命によって

この現世から永遠に消え去る事でしょう。

呪いを受けたものは大きなふらつきと立ち眩みが起こるのです。

くれぐれもこの呪いに恋人ストークスや仲間を巻き込まぬように

お気お付け下さい。そろそろ私の精神も肉体も限界です。

ここでお暇しましょう。ではお元気で。」

それかエアはどう答えていいのか分からずにいると。

エアの脳裏にエイダと鳴葉、レッドフランドールの声が聞こえた。

そして目の前が真っ白になり元の景色に戻った。

しばらく鳴葉とエイダとレッドフランドールは横目でエアを心配そうに見ていた。

しかし直ぐに鳴葉は気を取り直して改めて口を開き、大事な話をした。

エアは顔を赤らめながらなんとも気まずい雰囲気の中。

鳴葉の大事な話に全集中してエイダとレッドフランドールと

同様に鳴葉の話をとても真面目に聞いた。

それは何故?自分がこの『静かなる丘』へ来たのかについてだった。

彼女はトルーカー湖で親友だったヴァイオレッド・ネズリーと口論になり、

彼女を肉切り包丁で殺した事と凶器の肉切り包丁と返り血を浴びた服、

彼女の死体をトルーカー湖に捨てた事を告白した。

そして彼女を探しに来たのは嘘だった事と失踪していたと

自分で妄想していた事を3人に謝罪した。

そしてあの肉屋で見たブッチャーの正体は自分の殺人鬼の人格だったんだと気付いた。

3人はしばらく重苦しい雰囲気の中、黙り込んだ。

やがてエイダがシクシクと泣き出した鳴葉の横に屈んで優しくも厳しくこう言った。

「よく!話してくれたわね。分かったわ。

でも、もし貴方の殺人鬼の人格がブッチャーだとしたらこの街に野放しは出来ない」

「そうだな!放置しておけば迷い込んだ人間を次々と襲うかも知れん」

「ええ、分かっているわ!自分の妄想と殺人鬼の人格は!!」

鳴葉は涙を拭いて立ち上がった。

「私が必ず自分で決着を付ける!この子の未来の為に!」

鳴葉は自らの下腹部をさすり、ブッチャーを倒す決意を固めた。

もう!泣き言もビビるのもおしまい!私は前へと進む!!

鳴葉は決意の茶色の瞳でエアとエイダをレッドフランドールを見た。

3人は笑い「うん」と頷くとブッチャーを探して鳴葉と行動を開始した。

鳴葉はあいつの居場所がどこか分かっていた。

虫の知らせと呼ぶべきか?肉屋と言えばおそらく・・・・。」

それから彼女はエアとエイダとレッドフランドールと共に

『AUNDRO MAT』の扉を通り抜けた。

途中でエアとエイダとレッドフランドールは息を合わせて協力し合い、

見事な連係プレイで霧の中から現れたストレイトジャケットフランや

クリーパー、グローナス、ベビーバックとツーバックを倒して行った。

そして鳴葉の為に道を開け続けた。

そして鳴葉はゴミ捨て場にあのある部屋を通り抜けた。

更に幾つもの緑のごみ箱の間を縫って先へ進み続けた。

すると目の前に窓ガラスの付いた緑色の扉が見えた。

しかもすぐ傍にはツーバックが胸部から下腹部をバッサリと左右に切り裂かれていた。

地面には両腕の一部が血と共に転がっている死体を見つけた。

エアは思わず目を背けた。エイダは「ブッチャーの仕業ね」と呟いた。

レッドフランドールはごくりと生唾を飲んだ。

鳴葉はエイダとエアとレッドフランドールに

「ここは独りで決着を付けたい」と申し入れた。

3人は彼女の眼は本気で決意も硬かったので止めなかった。

鳴葉はひとり窓の付いた緑色の扉の前に立った。

エイダとエアはせめてもの助けとマシンガンの弾丸の箱を彼女に渡した。

鳴葉は「ありがとう」と礼を言って受け取ると緑色の扉を開けて

キッチンの中へと深呼吸して入って行った。

鳴葉が入ったキッチンは長四角のテーブルが中央にあり、天井の四角い吊り具に

鍋やフライパン、ボール類が吊り下げられていた。

しかもその右側の角に既に吊るしたセクシャルスラーパーの下腹部を左右に

切り裂いて仕事を終えたあの鳴葉の殺人鬼の人格のブッチャーがいた。

そしてブッチャーは鼻をひくひくと動かして鳴葉の匂いと気配を察知すると

鳴葉の方に正面から向き合った。鳴葉は迷わず武器を構えた。

「私は貴方のような殺人鬼のような力が欲しかった。

そうすれば今まで私を散々!セクハラやパワハラ

イジメる奴らを殺せると!それで何も無くスッキリすると思っていた。

私は取り返しのつかない罪を犯した!これ以上は罪を重ねない!!

もう!貴方はいらないのよ!もう・・・・・いらない・・・・・。

私が間違っていたのは分かったの!自分で決着をつけるわ!」

するとブッチャーは僅かに動揺したのか少し後退した。

ブッチャーは怒りの唸り声を上げて巨大な肉切り包丁を振り上げた。

鳴葉に向かって右斜めに巨大な二木切包丁を振り降ろした。

鳴葉はそのまま後退して回避した。

巨大な肉切り包丁の刃先が彼女の鼻先をかすめて僅かに切った。

少しだけ痛かった。でも私が殺したヴァイオレッドはこれよりももっと痛かった。

鳴葉は両手でマシンガンを構え、引き金を引いた。

連続で放たれたマシンガンの弾丸はブッチャーの胸部や腹部をどんどん撃ち抜いた。

ブッチャーは痛みで唸り声を上げつつも肉切り包丁の刃を

汚れたタイルの床に擦らせながらジリジリと鳴葉に接近した。

彼女は後退しつつもキッチンを周る様に走った。

そしてある程度距離を稼いだところで素早く振り向いた。

続けてマシンガンの引き金を引いた。

マシンガンの弾丸はまた連続でまたブッチャーの胸部と腹部を撃ち抜いた。

 

(第49章に続く)