(第59章)神の胎動(2021年・新年初投稿)

(第59章)神の胎動

 

エイダはさっき手に入れたビデオカメラを耐久性のある特殊合金のケースにしまった。

4人は気を取り直して懺悔室の先の廊下にある先の廊下を歩き始めた。

しかもいつの間にか壁や床は赤い血と錆に覆われた裏世界に変わっていた。

4人は目の前に柵があって通れなかったのでその横の茶色の扉のドアノブを

ゆっくり慎重に回して入って行った。そこは8mmテープのビデオに映っていた

広い部屋だった。汚れたタイルの床、部屋の隅に赤い椅子が沢山乱雑に置かれていた。

しかも中央には大量の血が飛び散っていた。

エイダは秘密道具で血液を分析した。

結果はどうやらアキュラスの血液のようだ。

エイダはサンプルとして特殊器具で回収した。

鳴葉は「なんかここ凄く焦げた匂いがする」と2人に言った。

恐らく妊娠した影響でやや匂いに敏感になっているようだ。

エアと魔人フランドールは辺りに大量の薬莢が転がっているのを見つけた。

4人は警戒してなるべく一塊になって何も書かれていない白いホワイトクリップを

通り抜けて反対側の出口になっている茶色の扉を開けて外へ出た。

やがりそこは赤い血と錆に覆われた裏世界だった。

エアが腕の端末機でマップを見るとT字型の廊下の上部に2つの茶色の扉があった。

またもうひとつの茶色の扉があった。しかし目の前の扉が鍵が壊れて開かなかった。

更に曲がった奥の赤い血と錆に覆われた扉の前にはストレイトジャケットフランが

立ち塞がっていた。エアはマシンガンで止む負えずハチの巣にして倒した。

また下の方にもうひとつの茶色の扉があった。

その扉の前にはセクシャルスラーパーがいた。エイダは怒りを込めて

鬼神のような表情をした。そして片手でマシンガンを構え、引き金を引いた。

セクシャルスラーパーはたちまちハチの巣になり、あっと言う間に倒れた。

エイダは扉を開けて中へ入った。エア、鳴葉、魔人フランドールも後に続いた。

部屋の中は茶色の汚れたシーツのベッド。本棚。ランタン。木の机があった。

机の上にはメモがあった。エイダは手に取った。

タイトルは『失われた記憶』とあった。

「例えば特徴的なものでは現在に忘れ去られ、希少な文献の中に

記されているのみであるが。生贄の儀式と言うものがある。

『祈りを捧げ男の胸に銅の杭を突き立てる。

心臓に穴を穿ち(うがち)、吹き出す血にて祭壇を濡らす。』

神を慰め、神への忠誠心を示す為である。

同文献内に生贄の儀式にもうひとつののものとして

生きながら炎に焼かれるのが書かれている。

これより高位な者で捕虜や罪人ではなく聖職者のみが生贄となる事が許されている。

火刑にも似たこの儀式は近郊の宗教では類似性が見られない。

これはこの神が太陽神である事が関係しているのでは無いだろうか?

この宗教が人々の救済を唱えながらもどこか後ろ暗い

カルト性を感じるのはこう言った歴史を内包いるのかも知れない」と。

それから魔人フランドールとエア、エイダ、鳴葉は

あのこの宗教にハマって異形の怪物化したであろう反メディア団体ケリヴァー達は

街中で『静かなる丘』のあの療養所の広場の公園やアルミケラ病院の裏世界や

メイン州の刑務所の囚人の大量死を引き起こしたのも

全ては神を慰め、従者を示す為だったんだ。

エアとエイダは鳴葉に気付き、同時に無差別に囚人や一般人の命を

軽弾みで奪った彼らに対して今までにない位の激しい怒りと憎しみを抱いた。

それを魔人フランドールが察して全員の湧き上がる感情を戒めた。

しかしながら魔人フランドールも自分が神を降ろす聖母にされて

自分の魔力が暴走して放出されて生きながらに身体を

焼き尽くされたあの暑さと痛みを思い出し、不快になった。

くそっ!あいつら!必ず全てのツケは払わせてやるッ!!

魔人フランドールは怒りと憎しみを抑えつつもそう決心した。

4人は部屋を出た。エアがコンパスで見るとどうやら南部屋らしい。

廊下にはさっき倒したストレイトジャケットフランと

セクシャルスラーパーが血溜まりの中で息絶えてピクリとも動かなかった。

それから部屋から出た直後、魔人フランドールは「うっ!あっ!」

と声を上げて両手で腹部を押さえて激痛で動けずそのまま座り込んでしまった。

異変に気付いたエアが魔人フランドールの傍にしゃがんだ。

「フラン!フラン!大丈夫か?お腹が痛いのか?うっ!くそっ!

どうやら君の怒りと憎しみに反応して胎内の神が成長しているんだ!

すまなかった!僕達が連中に対して怒りの憎しみを。」

魔人フランドールは痛みを堪え、涙目になりつつもこう答えた。

「いいえ!貴方達のせいじゃないッ!痛っ!痛っ!これは・・・・。

うっ!くっ!あっ!私の責任よ!私の不注意がッ!こんな事にッ!!」

エイダは「聞くかどうか分からないけど」と腹痛に効果のある薬を取り出した。

更にエイダはこう付け加えた。「効果がある。痛みが治まると思い込んで飲んでみて」

魔人フランドールはエイダから薬を受け取った。

魔人フランドールは痛みが治まると強く思い込みながら薬を飲んで見た。

すると魔人フランドールの下腹部の痛みは徐々に収まっていった。

魔人フランドールは「どうして?これは目に見えない力で起こっているものだから。

物理的な薬じゃ!ましてや普通の薬じゃ!どうして????」

するよエイダは自信満々な表情になった。これはプラシボ(偽薬)の効果である。

エイダはプラシボー効果を知っていたがそれが魔人フランドールに

知られてしまうと効果が無くなるので黙っていた。

その時、ふとエイダは懺悔室に見つけた

8mmのビデオテープがもう一本あったのに気付き、試しにもう

一本のビデオテープを手持ちの古いビデオカメラでまた再生させてみた。

ビデオカメラのモニター画面には

またあの最初の大部屋と同じ場所が映し出されていた。

ビデオカメラの画面にはアキュラスがいた。しかも酷く怒っていた。

「裏切り者め!!悪魔め!その女は僕のものだ!邪魔するな!!」

「戦え!山岡・フィリップス・詩音!!人間らしく!この理不尽に抗え!!」

「何で私の名前を知っているのか分からないけど!闘うわ!!

あんたは私の仲間を洗脳して化け物に変えた許さない!!」

詩音はどこからか手に入れたショットガンを両手で構えた。

アキュラスは怒り、獣のよう太い吠え声上げ続けた。

ダアン!と言う大きな音と共にショットガンの弾丸はアキュラスの

中心部の頭部と顔面が開いた内部のエイリアンのような

真っ赤なフードに覆われた小型サイズのもう一つの頭部に直撃した。

グシャッ!と音を立ててエイリアンの頭部の赤い皮膚を抉った。

ビシャアアッ!と大量の血が周囲に飛び散った。

詩音は更にもう一発のショットガンの弾丸を食らわせた。

グシャッ!と音を立ててエイリアンの頭部の赤い皮膚を抉った。

ビシャッ!と大量の血が周囲に飛び散った。

続けて詩音はまたどこからか手に入れた火炎放射(ガスバーナ)を両手で構えた。

そして引き金を引いた。同時に大量のガスに引火した

巨大な炎がアキュラスの巨体の表面を焼き尽くした。

アキュラスは甲高い悲鳴を上げた。

アキュラスは慌てふためいて詩音から離れた。

アキュラスは炎を消そうと床を転げ回った。

そこで8mmテープが無くなりモニター画面が真っ暗になった。

「間違いないわ!彼はマイキー!天魔アルミサエルよ!」

「彼は人間側の天使なんだ!」

「彼は心を捨てていない。守護天使ね!」

「彼女はアキュラスを退けて逃げられたかしら?」

「きっと!大丈夫ですよ!彼が付いているなら!!他の5人もきっと!」

エアは鳴葉の方を見て明るくそう言った。

それ以降、魔人フランドールはお腹が痛くなる度にプラシボー(偽薬)

を飲んでプラシボ効果で抑えていたがしかし思い込みだけではやはり

限界があるらしく徐々に効果は無くなって行った。

それでもどうにか彼女は歯を食いしばって耐え続けた。

エアと鳴葉、エイダは心配だった。

4人はこの悪夢を終わらせる為に先へ進み続けた。

4人は上の方の廊下を歩き、茶色の扉を開けて先へ進んだ。

廊下は3つの道に分かれていて茶色の扉が2つあった。

その3つの一本道の壁にニューヨークタイムズ紙の切り抜きの記事が張ってあった。

「20代から30代の若い女性が全裸裸のまま意識不明となって次々と発見される

怪事件が頻発しているの受けてニューヨーク市警も捜査を開始した。

新しい発見として10代の少女達も被害に遭っている事が地元警察の取材で判明した。

被害にあった10代。20代。30代の女性と少女の被害達は共通して

不審な黒服の男に『胸を触られる』『揉まれる』等の証言から

強制わいせつの可能性が出た。

更に身動きが取れない状態の彼女達は不審な黒服の男が白い霧から

無数の真っ赤な触手と黄色い触手を持つUMA(未確認生物)を呼び出した。

更にそのUMA(未確認生物)との性行為を強要されたと証言している

との事も後の取材で判明した。更に意識不明になった女性や少女の傍に

被害者女性の顔や容姿を模した彫刻を残している事が分かり。

それを手掛かりに現在、犯人とUMA(未確認生物)を

捜査中であるが一向に手掛かりは得られていない。

更に被害女性や少女は既に10000万人も出ている。」

魔人フランドールは犯人の見当はついていた。『魔獣ホラー・ガーゴイル』。

あいつUMA(未確認生物)を連れ回して何してるのよ(汗)

 

(第60章に続く)