(第64章)ニュクスプログラム(前編)

(第64章)ニュクスプログラム(前編)

 

鳴葉はお腹の子宮の中にいる赤ちゃんの姿を思い浮かべた。

そして自然と自分の胎内の音が聞こえて来た。

そして自分の大きな心臓の音と小さな心臓の音も。

2人がその言われた事をしていることを確認すると

天魔アルミサエルは両手を広げて力を込めた。

するとアルミサエルの印章が真っ白に発光した。

真っ白な光は七羽のみ身体を覆い尽くした。

それからフッと真っ白な光が消えた。

同時に七羽の身体は吸い込まれるように鳴葉のお腹の中に消えて行った。

七羽の目の前には小さな胎児が見えた。

続けて七羽は鳴葉の親友を殺した過去の映像や殺人鬼の人格である

ブッチャーを倒し、自ら罪に向き合う彼女の姿が断片的な記憶となって

七羽の脳内に流れた。やがてまた真っ暗になった。

一方、鳴葉はまだ目をつぶってじっとしていた。

七羽は目の前にゴボゴボと泡が目の前に見えた。

更に七羽は自分の裸のイメージが見え、更に海面に向かって

上昇して行く自分のイメージが何度も浮かんだ。

やがてザバアアアアアン!!と海面が左右に割れたと

同時に目の前の長い間、フラッシュバックした。

やがてフラッシュバックは消えた。七羽は目を覚ました。

同時に上半身を起こした。七羽が目覚めて上半身を起こすと

そこはサイレントヒルの教会の地下では無く現実世界の。

しかも自宅の湯船の中だった。

しかも今しがた目覚めたようにほっかほっかで温かく湯気が出ていた。

まるで今、丁度お風呂の中に入って悪夢を見ていたかのように。

七羽はしばらくお風呂の湯に肩まで浸かった。

そしてスマートフォンで仲間に連絡したが誰一人繋がらず虚しい呼ぶ音と

「ただいま電話に出られません」と言う女性のアナウンスが流れた。

そしてこれが現実だと知り、あの悪夢が本当だと徐々に実感し始め、

やがて湯船の中でシクシク泣き出した。

風呂から上がった後、七羽は生気のない顔でベッドに倒れた。

ふとリビングに行ってテレビを付けた。

すると自分達の失踪に関するニュースが報道されていた。

しかし今はそんな事など、どうでもよかった。

彼女はリモコンでテレビを消した。

そして何も考えられずベッドの上で眠った。

もう二度とあの悪夢を見る事無くようやくぐっすりと深い眠りの中で幸福感を。

なにより今、生き残った幸せを噛み締めた。

やがて母親と父親が自宅へ帰って来た。

勿論、呑気に眠っている娘をベッドで見つけた途端、大騒ぎになってしまい結局は。

長い間、気持ち良く眠れなかった。

彼女はしばらく不機嫌になった。

とは言ってもー。行方不明になった自分の娘がいたら

流石にびっくりしても無理はないかな?と思い不機嫌も徐々に直って来ていた。

しかし自分だけ逃げ延びて、仲間を誰一人救えなかった事を。

自分があの時、恐怖に打ち勝ってちゃんと行動していたら?

全員、助けられただろうが?私は一生後悔する。ああっ!

七羽は自分が悲しくなりまたシクシクと泣き出した。

両親はそんな七羽を酷く心配した。

元々ニューヨーク暮らしだった私は直ぐに母親によって

ニューヨーク市警の刑事が来て色々話した。

勿論、どれも信じられないものだった。

彼らは混乱しつつもちゃんと真剣に私の話を聞いてくれた。

両親は信じていなかったが刑事はある程度信じてくれた。

また自分が異形の怪物に暴行された事も話した。

当然、両親は鬼神の如く激怒した。それをどうにか刑事と私で落ち着かせた。

そして念の為にアフターピルを飲み、聖ミカエル病院で精密検査をした。

天魔アルミサエルの言う通り、私は幸いにも妊娠していなかった。

しかしあの時の恐怖を思い出し、急に男性が恐ろしくなった。

また私の子宮からレイプの証拠となる精子が採取された。

それからDNA鑑定で異形の怪物になって私を襲った男の正体が分かった。

その男はレイプの常習犯だった。もっとも今はあのサイレントヒル

異世界を彷徨っている。いずれ必ず重い罰を背負い、罰が与えられるだろう。

いや、私は強く望んだ。誰かがあいつに罪を認めさせて罰を与えてくれる存在が!

そうすれば襲われた仲間達も少しは浮かばれる筈よ!!罪人め!

やがて七羽の自分や仲間の女の身体を傷付けた罪人に罰を与えたいと

言う強い想いは『静かなる丘』へ向かい、

ケリヴァーミショナリー化したあの罪人の前に

レッドピラミッドシングが地面から生えるように出現した。

 

教会地下に続くエレベーターの扉が開き、ケリヴァーミショナリー達に

攫われた鳴葉を救い出すべくエア、エイダ、魔人フランドールは

直ぐにエレベーターの外へ出た。

その直後、またしてもエアは急に目の前がモノクロの景色となった。

更にガルヴァスター・D・スカーレット伯爵夫人と

1人の男性吸血鬼の会話が聞こえた。

「魔獣新生多神連合の連中が我々と取引したらしい。

さっきの取引内容を聞き、すでに応じた。魔獣新生多神連合は予め『静かなる丘』

の人間達。つまり異世界に迷い込んだ連中を霧の中で失踪したとメディアの人間共に

情報操作した上に200名のアメリカ成人女性を保護の名目で集め、我々に提供した。

我々は全員、吸血鬼リーパーとして男性型リーパーに血液のみを吸われ、

新しい遺伝子を持つ新たな存在として仲間にした。彼女達は下顎が左右に裂け。

先端に神経毒がある2対の棘。吸血用に発達した円筒状の器官と無数の牙が生えた。」

「女性型リーパーに変身した若い女性達はそれ以降、我々吸血鬼はその名の通り、

人間や動物の血液。他にも魔獣ホラー達と同じように人間の魂や肉。

動物の肉や魂も食う。別に魔獣ホラーに憑依されてホラー化した訳じゃない。

近縁種のようなものだ。勿論、生殖能力もあり、感情もある。」

「魔獣新生多神連合は見返りに何を要求を??」

アメリカ大学の女子大生の『オズ』のメンバーの4人の内1人を利用して

あの人工の龍王エロースが暴走しない様にする人体実験を行って欲しいそうだ。」

エアの脳裏の中でガルヴァスター・D・スカーレット伯爵夫人は

男性吸血鬼と共に話を続けていた。

「つまり人工の龍王エロースが暴走しない様にプログラム通りに目的を達成させる為に

安全装置とコントロール装置(司令部)としてコア(核)の開発実験を任された。

実験体は『山岡・フィリップス・莉奈』。彼女はジル・バレンタインが助け出した

残り3人のメンバー『妹の詩音』『友達の小杉莉子と有村有子』を庇い。

自ら実験の被検体として申し出て来た。勿論、我々は了承した。

他に選択肢があったのかはまた別の話だけどね。フフフフッ!!」

ボチャアアアアアン!!と大きな水の音がした。

続けてゴボゴボと言う音とボチャボチャと叩く音が聞こえた。

するとガルヴァスター・D・スカーレット伯爵夫人の声が聞こえて来た。

「安心しろ!仲の赤き液体が肺を満たせば直接酸素を取り込む筈だ!!」

やがて莉奈は液体から恐らく酸素を肺に取り込めたのか?ぐぐもった声は無くなった。

「被検体の莉奈の神経と子宮を接続する。性欲増進剤を投与!!

細胞変異の痛みと苦しみを無くす!」

間も無くして特殊な薬品によって性欲が増進したのだろう。

莉奈は荒々しく息を吐き、「何これ?なんか・・・暑い・・・」と呟いた。

続けてひときわ大きな高い声と喘ぎ声をしゃべる声がした。

「きゃああんっ!きゃあん!あっ!あっ!太い触手が!!ああっ!ああっ!

はああっ!ああっ!あっ!あっ!もっと!もっと!突いて下さいッ!!

あうっ!ああっ!はあううっ!あっ!ああっ!暑いッ!暑いッ!

暑い液体が私の子宮の中にッ!ああっ!ああっ!んああっ!

あっ!まるで野獣みたいにッ!!優しい!優しいよおっ!あのズタ袋の連中より!

いいッ!いいッ!んん!あっ!凄いッ!凄い!ヤバい!」

その時、男性吸血鬼がガルヴァスター・D・スカーレット伯爵夫人にこう話し始めた。

「しかし元々、アンブレラ社が過去に開発した

肉塊の姿をした不定形BOW(生物兵器)ニュクスは無数の生えた触手で

外敵を取り込んで一体化させる能力を持つ危険な代物。

こいつのデータを利用して例の『R型暴走事件』に使用された

新型のTウィルス兵器『T-sedusa』んっ?シディユウサ???」

「多分、ウィルス開発者が日本人か誰かで英語が苦手なのだろうな(汗)

誘惑と言う意味なら正しくはー。

『Tーseduction』だな。この意味ならー。

性的に誘惑する事(そそのかし)、婦人誘拐、人を魅惑するもの。

あるいは魅力の事だな。」

「でもみんなローマ字ですが公式文章全部(苦笑)

「別に細かい事は気にしなくていい。

ただこの『Tーseduction(セダクション)』は少々厄介な特性がある。

この新型ウィルスは感染によって不適合者は肉体がウィルスの

始祖ウィルス特有の毒性に耐えきれずに液化してしまうようだ。

完全適合者は一人だけ。今ある程度ウィルスが適合した人間の女はいない。

データが正確であればすでに不適合者によって核(コア)内部で

肉体の一種の消化・分解による液化で死亡し、養分となっている。

その人数も5000人以上は突破している!!

せめて完全適合者かある程度ウィルスに適合した人間の女が現れると良いのだが。

実際、ニュクスの特性上、高濃度のT-ウィルスを持つ性質があり。

あれも高濃度の『Tーseduction(セダクション)』を体内に持っている。

現在はウィルスの濃度をあらゆる方法で下げようと手を尽くしたが。

なかなかうまく行かない。」

「そうですね。全員被検体になった若い女性達は肉体の消化・分解の崩壊が始まるまで

性的快楽を楽しんでいらっしゃった。

ある金髪の美女は2本の触手で大きな丸い両乳房を

下側から持ち上げるように揉まれて、瞳を閉じて、深い胸の谷間が強調されて

とてもお美しかった。お腰もまるで蛇のようで情欲に駆られましたが。

性的興奮が絶頂に達した時、肉体はバシャッ!と消化・分解されて

コア(核)の養分として吸収されてしまいましたが。」

「ああっ!ああっ!ああんっ!ああっ!あああうっ!ああっ!ああっ!ああはっ!

いいッ!ああんっ!あああっ!ああんっ!はああっ!あぐっ!あっ!あんっ!

ああっ!ああっ!ああっ!ああっ!あっ!あうっ!あうっ!あうっ!ああイクッ!

あっ!くっ!ごぼごぼごぼごぼ。ごぼっ!かっ!かっ!・・・・・・・・・・・」

そしてまた男性吸血鬼の話がエアの耳に聞こえて来た。

「またポニーテールのアメリカ人女性も張りのあるスイカのように

大きな丸い両乳房を上下左右に揺らし、仰向けに倒れて両脚を広げ、

左右両膝を曲げて性的快楽を楽しんでらっしゃった。」

さらにまたエアの脳裏に茶色のポニーテールのアメリカ人の

若い女性の荒々しく吐く息と喘ぎ声が聞こえて来た。

一瞬、脳裏に両瞼を閉じて恍惚な表情を浮かべている丸顔の女性が浮かんだ。

「ああっ!ああっ!あんっ!ああんっ!

凄く気持ちいいッ!イクッ!きゃあああんっ!

ダメッ!ああううっ!はあっ!はあっ!

ああんっ!ああぐううっ!はあああっ!

ああっ!あんっ!ああっ!あああんっ!ああっ!凄いッ!そこっ!ああっ!

あっ!はっ!はあああんっ!あっ!はっ!うごごごっ!ごぐっ!がっ!かっ!」

エアの脳裏に液化したアメリカ人女性の姿が浮かんだ。

彼は気持ち悪くなり、慌てて口を片手で押さえた。

しかも液化したアメリカ人女性の肉体は赤い壁に吸収されて行った。

続けて男性吸血鬼の声がまた聞えて来た。

「さて!今回の『オズ』のメンバーの一人『山岡・フィリップス・莉奈』さん!

彼女はウィルス適合者と成り得るか?それとも肉体が崩壊するのか?」

やがてまた莉奈の荒々しく吐く息と喘ぎ声が聞こえ始めた。

「ああ!ああっ!気持ちいいッ!ううん!ああっ!ああっ!」と。

 

(第65章に続く)