(第70章)世界の終末の始まり

(第70章)世界の終末の始まり

 

「やっぱり!もう!確定ね!」とエイダ。

「読むまでもないが。そうだな。」と鋼牙。

すると魔人フランドールは「そう言えば」と何かを思い出した表情をした。

しばらくして魔人フランドールはコトリバコと若村についての関係を話し始めた。

「これは彼に関する事前の調査で分かった事なんだけどね。

彼は元々は日本の島根県隠岐出身だと判明しているの。

でもね。その隠岐にはコトリバコの伝承が無いようなの。

えーとつまりね。隠岐騒動にコトリバコが関係する噂がネットで囁かれていて。」

「ああ、知っている。ただそもそもコトリバコが隠岐騒動中に

隠岐から本土に伝わったと言う人間達が良く囁いている噂だな。」

魔導輪ザルバは魔人フランドールの話に口を挟んだ。続けて鋼牙も口を挟んだ。

「だがその場所にいる隠岐の年配の人間にその話をすると

知っているかのような素振りを見せるとか?『ああ、あれね』と。

ついでに他の説だと実際は出雲本土にコトリバコが元から存在していて。

隠岐騒動と絡めたと言う説がもっぱらの通説と言う奴らしい。」

魔導輪ザルバはカチカチとそう言った。

「それともうひとつ実は・・・・」とエイダは口を開いた。

「今まで長い間言おうと思っていたけど・・・・。

ただこの事件に関係しているの良く分からない。」

どうやらエイダによると最初のアルミケラ病院の2階に行くエレベーターで

エアと異世界の別々の場所に分断されてはぐれていた時。

彼女は独りでエアを探して3階の廊下を歩いていた。

中央の小さな隔離病室内で銀の台の上に魔人フランドールの写真を見つけて。

そしてアキュラスって言う男の子の手掛かりを求めて辺りを探していた際に。

ベッドの床の上に小さなメモが置いてあったらしい。

そのあとはブラックフランドールと何かに襲われてしまった。

意識と記憶が飛んで今の今まで忘れていたらしい。

エイダは服をあっちこっち探してようやく見つけて全員に見せた。

小さなメモは間違いなくニューヨークタイムズの切り抜きだった。

それは新聞の端に載っていたであろう小さな記事だ。

どうやら『静かなる丘』の事件が起こる一週間前のようだ。

しかもまた若村秀和が服役していた刑務所内の事件だ。

「2030×月×日。午前0時00分。深夜。

刑務所にて20歳から30歳の若い女性が失踪。

いずれも看守や女性の服役者。

所長の秘書。彼女らは衣服を現場に残して消える。

若村秀和が犯人だと考えたが。

彼は服役中であり。24時間監視カメラに彼の姿が映っているので犯行は不可能。

にも関わらず自分がやったと主張。後に刑務所内のスタッフと

職員、看守、所長総出で消えた彼女達を捜索。FBIも協力した。結果。

失踪した女性達は刑務所内の使用されていない死刑室内にて発見されたそうだ。

彼女達はまるで体液と血液が抜かれたかのように

カラカラに枯れた遺体となって発見された。しかし司法解剖の結果。

体液と血液が体内に生きるのに必要な量があるのにも関わらず。

しかも何かを吸い出された後が身体中に発見されている。

つまり何かに吸い出され殺された為にミイラ化している。

この不可解な死亡結果に・・・・。(新聞記事はそこで終わっている)」

「つまり?生気を吸い出されたか?」と鋼牙。

「あるいは魂を吸い出されたか?」と魔導輪ザルバ。

「そっ!魂とか?精気とか何に使うの?」

「分からないな。なんとなく何かの燃料か?」

「まさか?何かの機械なのかしら?」

鳴葉とエイダとエアはお互い意見を出し合い、推測し合った。

しかし結論は出せなかった。しかも女性陣のエイダと鳴葉は顔面蒼白だった。

「でも。とにかくそれを素材として何かを作ろうとした?」

魔人フランドールはうーんと考え込んだ。

「何を・・・」とエアは何か嫌な事を想像をした。

鋼牙は「人形?魔道具?しかし彼にそんな」と呟いた。

彼はその後も額にしわを寄せて考え込んでいた。

「つまり?女性達は何かの実験台にされた?」

「人形を。あるいは何かを作る為に?」

「もしかして?魔導人形か?」

「何それザルバ?それって?」

エイダが訪ねると魔導輪ザルバが答えた。

「ただあれは禁止されている筈だが・・・・」

「もしかしたら?誰かがその技術を見つけて・・・・」とエア。

鋼牙は「若村はその技術を手に入れて」と呟いた。

だが若村はその技術を手に入れて?目的はなんだ?

彼の目的は良く分からない。しかし完成した魔導人形は

間違いなくアキュラスと同様にロクでも無い事に使用するつもりなのだろう。

それがどこにあるのやら。『静かなる丘』の事件が片付いたら探さねば。

必要なら破壊か封印しないと。

しかし破壊してもアキュラスのようにまた体内に溜め込んだ

精気と怨念とかの呪いの力で回復再生するかも知れない。厄介だな。

鋼牙は目の前に輝く赤い扉を見た。

しばらくしてふと魔人フランドールもシェリル刑事が残したメモの一部を思い出した。

彼女はそのメモをエア達に見せた。

「気おつけて。その扉はあるギミックがある。この扉が開いた時。

神の誕生する地へと辿りつく事になる。

そして同時に太陽の聖環を持つ20代の若い女性達は神に選ばれた楽園へ至る

ギオンとして覚醒する事になる。同時にこの世界の本格的な終末が始まるのよ。

それを止めるにはエア達。力のある人の子達の力が必要となる。

もしも止められなければ。世界は終末へ向かい。

この現世の世界の全ての人間の社会は崩壊してしまうわ。

そうなれば何もかも取り返しがつかなくなるでしょう。

そうならない様に戦いなさい。そして勝ちなさい!

私は神とある賭けをした。そして今、その賭けでどちらかが正しいか分かる。

神か人間か?果たしてどちらの主張が正しいのか?

私に例のアキュラスと日本人の男が事件を起こす前に拒み。

不完全な神を殺した最初の心強き人間と認められた。

私に本来持つべきではない神の力の一部を与えられた。

だから私は人間を守る為に神の力の一部を使う事にした。

私はこの世界の人間を救う為に私は神を裏切った者なの。

貴方達は何故?戦う?人間の可能性を否定する存在と戦うの?

この先で貴方達と世界の今後の未来が決まるのよ!

頑張って!人の子よ!聖母アレッサ。シェリル刑事より。」

「この扉を開けたら終末の日って・・・・・」と鳴葉。

「でも。開けるしかない。」とエイダ。

「そうだな!あいつを止めないと何も変わらない。」と鋼牙。

「行くぞ!」「開けるわよ!」と

エアと魔人フランドールはそれぞれ両手で扉を触った。

次の瞬間、ゆっくりと扉が開いた。

同時に開いた扉全体が赤く発光した。

こうして深夜11時59分をもって終末の日が始まったのである。

 

同時刻・『静かなる丘』の裏世界と表世界の異世界の外の

ニューヨーク市内のとある2階建ての家。

「嫌だっ!やめてぇっ!やめて!やめて!」と泣き叫ぶ女の子の声がした。

すると自分よりも身体の大きな同級生の

男子中学生が深夜に泊りに来た事をいいことに。

力ずくでその女の子を押し倒していた。

しかも白いシーツの上に無理矢理。

女の子は両眼から涙を流して激しく両手を自分よりも身体の

大きな男子中学生の胸部を拳で叩いて攻撃した。

しかしそれはかえって自分よりも大きな男子中学生を怒らせた。

男子中学生は女の子の首を掴み、強引に押さえつけた。

彼女は余りの苦しさと恐怖であっと言う間にー。声が出なくなった。

自分よりも大きな男子中学生はニタリと笑い、レイプしようとした。

彼は『ただ女の子を物扱いして支配したんだ』と思っているだけで

性的興奮と支配欲の入り混じった何とも言えない高揚感に包まれていた。

更に男子中学生はこうも思っていた。

「そうさ!俺がやったんだぜ!」や「結局は嬉しがるに決まっているんだ!」

等と少しも罪悪感がないばかりか都合の良い話しにする為に

勝手な解釈でレイプを正当化していた。

女の子はただシクシク泣きながらゆっくりと目を閉じた。

その時、脳裏に威厳のある女性の声が聞こえて来た。

「目覚めよ!」と。更に続けてこう言った。

「汝!人形に在らず!!物に在らず!!さあ!!

この世界を無に変えようではないか?生き残るにはどちらかを選べ!」

女の子は無意識の内にその威厳のある女性の声に返した。

「世界を無に変える必要は・・・・」

しかし威厳のある女性は女の子の脳裏にこう返した。

「では!何も変わらぬ!ここで男にレイプされて都合の良い話しをして!

汝はその傷を死ぬまで一生背負う事になるのだ!」

「嫌だ!こんな世界を無にしてやる!

こんな強者を誉めそやして男らしさと言う下らない偏見に満ちた世界は必要ない!」

「よろしい!契約成立だ!我は太陽神である!

力を解放せよ!怪異天使兵レギオンよ!」

女の子は瞼をパチッと開けた。

そして首を絞められて全身に力を失っている筈なのに急激に力が張った。

同時に女の子の瞳が真っ赤に発光した。

更に全身の皮膚は塩のように真っ白に変色した。

彼女は右手で男の子を掴んでいた右手首を逆に掴むと軽く握った。

それだけで男の子の手首の骨が簡単に砕けた。男の子は絶叫した。

「ああああああああああああああああああああっ!!」

と声にならない絶叫を上げ続けた。

更に自らを怪異天使兵レギオンと名乗った後に女の子の顔が変化した。

その女の子の表情に男の子は恐怖した。

女の子の顔はまるで塩のように真っ白に染まった。

女の子は大きく口を開けると悍ましい甲高い声で絶叫した。

「ああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!」と。

悍ましい甲高い声で絶叫し、怪異天使兵レギオンに変身した女の子は。

自らの茶色の瞳の眼球を上下左右に激しく非対称にギョロギョロと回転し続けた。

続けて女の子の子宮と膣の生殖器が変異し始めた。

やがて女の子の両脚の間から無数の塩のように真っ白な鱗を纏った

百足(むかで)の脚に似た多数の棘を持つ触手が次々と素早く伸びた。

女性をレイプしようとした男の子は女の子に馬乗りしたまま恐怖で

金縛りにあって動けなくなっていた。

やがて女の子の子宮と膣が急激に変異して生まれた

無数の塩のように真っ白な鱗を纏った百足(むかで)の脚に似た

多数の棘を持つ触手の内の一本の触手がぐるりと

天所近くで真上でぐるりと折れ曲がった。

同時に触手の先端の2対の突起が螺旋状にまるでドリルの形になった。

更に物凄い速さで空を切り、触手の先端のドリルの形をした長い鋭利な

槍が男の子の背中上部を刺し貫いた。鋭利な槍の先端は

男の子の背中上部から内部の心臓を正確に刺し貫いた。

たちまち鋭利な槍の塩のように真っ白な体色の

表面を男の子の真紅の血で染め上がった。

男の子は軽くげほっ!げほっ!と軽く咳をしていた。

そして自分の掌が真紅の血で染められているのを見たのを最後に息絶えた。

女の子は上半身を起こし、塩のように真っ白な百足(むかで)の脚に似た無数の

棘を持つ鱗が表面を覆った触手全体を更に男の子の鮮血で染め上げた。

男の子は軽くげほっ!げほっ!と軽く咳をしていた。

そして自分の掌が真紅の血で染められているのを見たのを最後に息絶えた。


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(第71章に続く)