(第4章)私に帰りなさい魂達よ・・・・・・。

(第4章)私に帰りなさい・・・・魂達よ・・・・。

 

「うそ?本物の板尾龍さん?」

シェリル刑事は余りの衝撃的な人物の登場で頭が真っ白になった。

そして彼女の表情は目の前の憧れの造形師の人物の登場を前に茫然としていた。

憧れの造形師の人物の登場を前に顔を紅潮させて

茫然としているシェリル刑事に対して。

魔獣ホラー・ガーゴイル事、板尾龍はぎろりと若村を睨みつけた。

彼の眼には静かな怒りが籠っていた。

「僕や他の映画やゲームやヒーロ番組とか芸術作品の価値観を全否定しただろ?

本当に君は酷い奴だよなぁ!食い殺したい食らいにさ!」

すると若村は誰に対してもそうだったように平然と板尾竜にこう言い放った。

「お前は自然の動物や虫や鳥を無理矢理人間と合体させて

自然の法則に反した人形や絵しか描けない上に猥褻(わいせつ)な

人間の女の裸を描く変態作家め!猥褻な造形しか作れない上に非常識で

子供や女性にも悪影響だ!お前はこの世界から消えるべき存在なんだッ!」

「そうかい?仲間の反メディア団体ケリヴァーのメンバー達に

コトリバコの製造方法を教えたのはお前達だろ?呪いの人形まで2つも作りやがって!

そうそう、コトリバコはあれは人間の男には効果は無いが。

人間の女子供には効果があるんだろ?子孫繁栄を根元から消し去る

あれを製造しておいて僕の芸術を非常識呼ばわりするんだ?

君の頭は随分とお花畑のようだね。

何が神と自分の合一だ!ブーメラン!変態野郎が!」

「ふざけるな!俺の頭はお花畑ではないッ!そもそもだ!

自然の動物の獣や鳥や蝙蝠や怪物と融合させるなんて!

お前の芸術は自然の法則に反しているんだ!

そんなくだらない物の為に自然の動物達を使うなんて!

なんと浅ましい奴だッ!自然の空を見て風を感じて楽しいだろ?

お前の芸術は自然や神や天使に対する冒涜だッ!!間違っているんだッ!」

「人間は自分の主張を相手に伝える時、正当性を訴える時。

直ぐにそうやって神話やネットや新聞の情報を自分の都合の

良いように捻じ曲げて伝えようとする。君達人間の悪い癖だよ。

自分の主張は正しいと他人に思い込ませようとする。

人間達はそれをプロパガンダと言うんだ!本当にくだらないね!

ついでにお前の頭にブーメランが突き刺さってるぞ!」

その魔獣ホラー・ガーゴイルの冷静な指摘に若村は何も反論出来無かった。

彼は逆切れをしてただひたすら身動きの取れないまま大声で喚き散らした。

「うるせぇ!うるせぇ!うるせぇ!うるせぇ!うるせええよおおおっ!!」

魔獣ホラー・ガーゴイル事、板尾龍は余りのうるささに両耳を塞いだ。

シェリル刑事は彼をぶん殴っておとなしくさせようと思った。

どの道、こいつはもう逃げられないんだから・・・・。

そしてシェリル刑事が右腕を夜の空へ振り上げた。

そこに白い濃霧に覆われていた夜の闇から『毎日投稿アイドル』の

『おこさまプレート』のメンバーの『のぴ』が現れた。

彼女は数時間前に白い霧に覆われたニューヨーク市内の街から失踪していた。

彼女は両肩まで伸びた茶色の長い髪に先端は金髪に染めていて。

細長い茶色の眉毛は長い前髪で隠れていた。

彼女は茶色の虚ろな瞳でシェリル刑事と

魔獣ホラー・ガーゴイル事、板尾龍を見ていた。

丸っこい低い鼻。ふっくらとした丸い両頬。

少しだけしゃくれた顎。口紅の付いた唇。

への字の口はしっかりと閉じていた。

そして灰色のシャツと青いジャージを履いていた。

彼女は虚ろな瞳のまままるで糸に吊るされた

操り人形のようにゆっくりと近付いて行った。

しかも右腕を上げ、無造作にシェリル刑事の額にハンドガンの銃口を向けた。

それを見ていた若村秀和は丈夫な太いロープで芋虫のように

グルグル巻きにされて身動きひとつも出来ないのにも関わらずまた笑い出した。

「うっくくくくっ!彼女は私や反メディア団体ケリヴァーの計画に必要な存在!

邪魔な組織!魔獣新生多神連合の悪魔や堕天使達やアキュラスや

その他に神の意志に背いた大量の悪霊やメディアに穢れた人間共や魔王や魔獣ホラー!

全ての奴らを全て滅ぼす!究極の『神殺し』となるのだッ!さあー『のぴ』!神殺しと

してまずは聖母にして地母神アレッサとシェリル魔獣ホラー・ガーゴイル

殺してしまえ!死んだあと!アレッサとシェリルの魂はそれぞれ生贄とする!」

『のぴ』は若村秀和に言われるがままハンドガンの撃鉄を引き、引き金に指をかけた。

「まって!のぴさん!貴方は人間!人殺しは駄目よ!あっ!痛いっ!」

『のぴ』はまるで機械のようにハンドガンの引き金を引いた。

放たれた銃弾はシェリル刑事の

右肩の皮膚をナイフのように切り裂き、弾丸はかすった。

若村は太い声で狂ったようにけたたましく笑い続けた。

「あははははははははははははっ!あはははははははっ!

あははははははははははッ!」

『のぴ』は再び若村の『静かなる丘』の超常的な力に

操られるがままハンドガンの引き金を更に引いた。パアン!と乾いた音がした。

『のぴ』は無表情で引き金を引いたのでハンドガンの弾丸が銃口から放たれた。

「チッ!面倒だな!」と魔獣ホラー・ガーゴイル事、板尾龍は

2発目の弾丸を自分の身体を盾にしてシェリル刑事を守った。

ハンドガン弾丸は彼の右肩に当たった。

しかし服は破れたものの皮膚は無事だった。自分は人間じゃないからである。

「あっ!ありがとうございます!」とシェリル刑事はお礼を述べた。

「頭がおかしい人間に超常的な力が加わると面倒極まりない無いな!」

魔獣ホラー・ガーゴイル事、板尾龍は本当に面倒臭そうに顔を歪めた。

『のぴ』は片手でハンドガンを構えたまま引き金にまた指をかけた。

パアン!と乾いた音を立てて放たれる弾丸。

魔獣ホラー・ガーゴイル事、板尾龍は引き続き自らの身体を盾に

銃弾の攻撃からシェリル刑事を守った。

しかし気が付くと『のぴ』は常人では考えられない程のスピードで走り、

目の前に立っていた。「なっ!早い!ぐええええええええっ!!」

『のぴ』は目にも止まらぬ速さで右腕を上下に振った。

同時に彼女の右手は鋭利な手刀(しゅとう)となった。

そして魔獣ホラー・ガーゴイル事、板尾龍の黒い服を着た

胸部を正確に深々と突き刺した。

同時に防衛本能から本来の魔獣ホラー・ガーゴイル

鳥の姿形に変形して正体を現した。

『のぴ』は人間代の鳥の姿をした赤い体色のホラーの姿を目の前で

目撃してもいつものように怖がった倒れたりはせず茶色の瞳は虚ろなままで

表情も感情も無くまるで人形のように無機質で無表情だった。

太い頑丈なロープに縛られて身動きが取れない若村秀和は嬉しそうに声を張り上げた。

「よし!いいぞ!私と我々ケリヴァー達の『神殺し』よ!

さあーその赤い球体の中にある神の一部の力は本来我々のものだ!

奪い取れ!手中に君が収めろ!神の力は君を神殺しとして更に強くするぞ!」

若村は『のぴ』にそう命令した。

『のぴ』はロボットのようにそれに従った。

彼女は板尾龍が変身した魔獣ホラー・ガーゴイルの真っ赤な

コア(核)の内部にある聖なる石を掴むと強引に引き抜いた。

魔獣ホラー・ガーゴイルは胸部の激痛の余り、太い声で絶叫した。

「ぐああああああああああああっ!!」と。

『のぴ』の右手は賢者の石の力と神の力の一端が混じった赤い液体で濡れていた。

聖なる石はしっかりと握った拳からポタポタと赤い液体が落ちていた。

魔獣ホラー・ガーゴイルは仰向けに倒れると苦しみのた打ち回った。

やがて彼の全身の体色は元通り緑一色に戻り。

コア(核)は真っ赤な色からオレンジ色に戻った。

そして右手の真っ赤な太陽の聖環も消えた。

彼は『進化の上位種』から退化し、元の『上級ホラー』に逆戻りしてしまった。

同時に『進化の上位種』が持つ人間の女との間にSHB(サイレントヒルベイビー)

を宿す能力も自ら偶像を操り、ゴーレムを多機能を

与えて創造して操り人形にする能力。

金髪から茶髪に戻り。若い女性と性行為をしてあらゆる

知識を手に入れる全知全能に近い力も全て『のぴ』によって奪われた。

彼はショックで泣き出した。

「クソっ!若村め!絶対!許さないぞ!」と若村を怨んだ。

魔獣ホラー・ガーゴイルは足元をふらつかせて立ち上がった。

『のぴ』は聖なる石と赤い液体に素手で触れた事で自らの体内に

『神の一端』、つまり『完全な太陽神』の一端と魔人フランドールと

オリジナルのジル・バレンタインの賢者の石の力が流れ込んだ。

やがてその力は『のぴ』の右手の甲に真っ赤に輝く太陽の聖環のしるしが刻まれた。

『のぴ』は若村の命令にロボットのように従い、右掌をまずはシェリル刑事に向けた。

彼女は右掌から火炎属性魔法の『アギダイン』を放った。

シェリル刑事は咄嗟に両腕を組んで防いだ。

ピチュウウン!と言う何かが引火した音と激しい爆発音が周囲に木霊した。

シェリル刑事はくの字に吹き飛ばされ、全身の皮膚を焼きながらも吹っ飛ばされた。

幸いにも彼女が『静かなる丘』の力を全開にしていた為、軽い火傷で耐えきった。

やがて『のぴ』はゆっくりと両腕を広げた。

その時、聖なる石は彼女の手を離れて木の床に落ちた。

間も無くして『のぴ』の灰色の長袖のシャツの衣服の皮膚を破り、穴が開いた。

それは背中からで穴の開いた表面は黒く焦げていた。

『のぴ』の背中の穴の開いた茶色の長袖のシャツからすーつと

巨大で天女の羽衣を思わせる6対の真っ赤な翼を生やした。

更に頭部には真っ赤に輝く天使の巨大な輪が現れた。

それに続いて頭上にオレンジ色に輝く太陽が現れた。

続けて太陽の中央にドーナッツ状の無限の数だけ重なった

超巨大なまるでブラックホールのを思わせる穴が開いた。

「クソっ!マズイ!ガフの扉が開くぞ!

個人の物では無くこちら側(バイオ)の世界を含む

全ての並行世界(パラレルワールド)の全人類と全生命体の魂の保管庫がッ!」

魔獣ホラー・ガーゴイルは慌てふためいたようにシェリル刑事に言った。

「ガフの扉が開くって事?ガフの部屋ってヘブライ語の伝説にある。えーと。

神の館にある魂の住む場所?それがどうして?・・・・・・・・・・・・・・」

「はい!この全ての現世の世に産まれてくる全ての子供はこの部屋から魂を授かって

産まれてきます。ですが我々魔獣ホラーはこの現世の世界の雀のさえずりを絶え間なく

確認して魔界上層部からガフの部屋を監視して守る仕事をしている知り合いがいます。

万が一ガフの部屋から魂がひとつ残らず無くなり。

人間が死んでしまえば。我々も食べる物が無くなって死んでしまいます。

言い方は悪いですが。私達によっても

唯一我々が手出ししない場所で大事なところです!」

「人間も産まれないんじゃ!私達は困ったものね!何とか止めないと!」

「この現世の雀がさえずり鳴くのを止めたら人類滅亡確定です!」

一方、若村は狂ったように笑い続けた。そして自らの勝利に酔いしれていた。

「やはり!俺の思った通りだった!パニック障害を持ち!

異形の存在や人間の例を極度に恐れ!俺のように他人に恐怖を感じている負の感情!

それを持つ彼女こそ!我々の計画を進める上での『トリガー(引き金)』だった。

あははははははっ!あはははっはははははっ!」

続けてのぴの全身から真っ赤な光を周囲に放った。

魔獣ホラー・ガーゴイルシェリル刑事は目が眩み、吹き飛ばされてしまった。

2人はそのままステージの下へと転落した。

さらに『静かなる丘』のステージと遊園地全体が上下に激しく揺れ始めた。

また異世界の裏世界の暗黒がまるでガラスのようにヒビ割れて行った。

ガフの扉はまだ開ききっていないがいずれ開くのも時間の問題だった。

続けて魔獣ホラー・ガーゴイルは両手で頭を抱え込んだ。

「クソっ!クソっ!どうしたら?どうしたら?止められる?????」

その時、シェリル刑事は天を仰いだ。彼女の瞳には。

ズタ袋を被った筋肉質の男が背中から

巨大なカラスの真っ黒な羽根を羽ばたかせていた。

彼らは円形にまるで巨大な輪を作り、クルクルと旋回して

人間を超え、神に等しき力を得た『のぴ』の頭上を優雅に飛び回っていた。

「あれは羽根の生えたケリヴァーミショナリー?どうしてここに?」

「ああ!畜生!ここで起こす気かよ!冗談じゃないぞ!」

 


www.youtube.com

 

(第5章に続く)