(第6章)楽園へ至る神の鍵。旧人類への反逆  

(第6章)楽園へ至る神の鍵。旧人類への反逆

 

ジルはシェリル刑事の質問に丁寧に最低限の情報だけ答えた。

「この子。のぴ氏は『ガフの部屋の扉を開く鍵の神の力』なの。

この子には太陽の聖環のもっとも強力な力が宿っている。

まずはこの事件の元凶の若村秀和の力を完全に封じるのと。

もうひとつ。この子の中にある『ガフの部屋の扉を開く鍵の神の力』

があの大元の『静かなる丘』の土着神の太陽神を完全に封印して

『のぴ』氏の肉体と精神から完全に消失して元の人間の姿に戻るまでは。

我々魔獣新生多神連合が守護するわ。勿論、私も一緒だから平気よ!

この子の力が消えたら日常に必ず戻してあげるわ!約束するわ!あと・・・・。」

今度はメールと動画がジルの端末機に送られた。メールの内容は。

「若村秀和はニューヨーク市内のとある埠頭倉庫内に逃げ延びたようだったが。

我々は駆け付けた時にはまるで鳥葬(とりそう)の如く生きたまま身体中を貪り

食われて帰らぬ死体となっていたようだ。

さっき回収部隊から報告があった。」とあった。

端末機のモニター画面には四角の部屋の中央には四角部屋の中央には

鳥葬(とりそう)の如く全身を貪り食われて

もはや原形すら留めない悲惨な肢体が転がっていた。

金属の床には大量の血溜まりが広がっていた。

彼の遺体の周囲には中身らしき物が多数転がっていた。

余りの悲惨な肢体に慣れていないシェリル刑事はジルの横から見てしまい。

ハンカチで口を押えて、思わずその場に屈みこんだ。

ジルは直ぐに画像を閉じた。

間も無くしてジョンから無線が聞こえた。

ジルは無線機でジョンの説明を聞いた。

「どうやら。彼を捕食したのが天魔ヴァルティエルのようだ。

奴はかつてのダリアやクローディアや他のカルト教団が洗脳と

虐待で与えた『サイレントヒルの土着神の力』を奪い返す為に

天魔ヴァルティエルは若村秀和の肉体と精神を喰い尽くしたようだ。

天魔ヴァルティエルは若村から力を奪い取り、水から力を得たんだ。

自らの体内に生命の実を持ち、知恵の実を彼を喰って体内に取り込んだ。

勿論、奪われた神の力と共にね。

これで奴の本来の神の使者にして天使の力を完全に取り戻した訳だ!

これも全ては最後の儀式を行う為の下準備な訳だ!」

「やはりまた『のぴ』を利用して・・・・・」

「ああ!だから彼女を一刻も早く回収して力を封印しないと!!」

「大丈夫?」と言ってジルはしばらく具合の悪くなったシェリル刑事を看病した。

やがてシェリル刑事は具合の悪さはようやく消えてハンカチをピケットにしまった。

彼女はフラフラと立ち上がった。

だがまだ顔面は蒼白だった。

「じゃ!行くわね!これ!吐き気止めよ。また吐き気がしたら使って!」

「ありがとう!」とシェリル刑事はジルから吐き気止めの薬の瓶を受け取った。

「それじゃ!お大事に!」と魔獣ホラー・ガーゴイル事、板尾龍。

「じゃ!後は頼むわよ!」とジル。

そしてジル・バレンタインは『のぴ』を抱き抱えたまま。

魔獣ホラー・ガーゴイル事、板尾龍はそのまま暗闇に姿を消した。

2人が去った後、すぐにバラバラとヘリコプターのプロペラ音がした。

やがて上空に10機のヘリコプターが飛んでいた。

10機のヘリコプターから黒いロープが降ろされた。

やがてそのロープを伝って黒いマスクと未知の超合金で出来た鎧のような戦闘服に

サブマシンガンやショットガンや機関銃(ガトリング)、ロケットランチャーを

装備した特殊部隊が降りてきた。しかも200部隊である。

シェリル刑事は両手を挙げた。

「大丈夫!大丈夫よ!もうさっきのXKクラス世界終焉シナリオは止まったわ!」

シェリル刑事と特殊部隊のマクレディ隊長とお互い話し合っていた。

ようやくお互い納得したので。彼らはとりあえず武器を降ろした。

彼女は部隊隊長のマクレディに未知のSCPとして

捕獲予定だった若村秀和がペットボトルで道を作って逃亡して。

異世界の外の現世で『静かなる丘』の土着神に仕える天使ヴァルティエル

によって鳥葬のように身体中を喰われて死亡した事を報告した。

そして捕獲作戦の中止を伝えた。

「仕方がないな」と呟くと全部隊の引き上げを他の200部隊に伝えた。

それから全部隊は次々とロープを伝ってヘリの中に引き上げて行った。

200の特殊部隊とマクレディ隊長はヘリの中に乗り込んだ。

また全機のヘリコプターは月に向かってあっと言う間に飛び去った。

無線でSCP財団の上層部の人物に連絡と報告をした。

シェリル刑事はそれを黙った見送った。

彼女はサインをリュックサックにしまった。

そして無線でSCP財団の上層部の人物に報告した。

「HQ!シェリル・モリス・メイソン!

超常的な力を用いて危険なSCPCになりつつあった若村秀和を捕獲寸前で失敗。

彼がこのまま逃げおおせるかと思われましたが。

『静かなる丘・サイレントヒル』の太陽神に仕える

天使ヴァルティエルの手によって捕食死亡が確認されました。

特殊部隊には若村秀和の捕獲を中止しました。

どうやら各多くの今まで自分がした数多くの悪行が自分に返って来たようです。

ええ、天使ヴァルティエルは輪廻転生を司りますから。

今までやらかしたツケが返って来て命を落としたんです。

『静かなる丘・サイレントヒル』は結局は生贄として死ぬのが当たり前。

ここはそういう危険な場所なんです。

だから関わらない方が良い。

こんなところじゃ!ロクな死に方しかしないんです。

憎しみも悲しも自己中心も悪行も結局は人の手で生み出しているんだから。

馬鹿はバカなりにツケを払うのは当然ね!あの令和納豆の宮下社長や

あの会社の人達と同じで高い理想を持って夢見るのは幸せでしょうけど!

彼らが自分の理想論だけ語って無料パスポートの没収や

裁判に負けた見苦しい言い訳も!

ついでに新型コロナでの時だってマスパセだか知らない日本人のみんなに

マスクしているのに自分はしない見苦しい言い訳や拒否も

自分が正しい絶対だと夢見るのは幸せでしょうけど。

周りは本当に良い迷惑よ!あの最悪な思い出まで蘇ってきたわ!

ああっ!ヤバい!サイレントヒルの力を抑制しないと!」

「精神を落ち着かせなさい!力を制御しないと!」

「落ち着き給え!精神を落ち着かせなさい!力を制御しないと!」

「はい!スーハースーハー!・・・・・・ふう落ち着きました!」

「頼むよ!ここでは唯一君が頼りなんだ!」

「はい!申し訳ありません!報告を落ち着いて進めます。

この街全体は人の負の感情に反応しますから気おつけないと!」
「まあ、怒りや憎しみ。不満。

自己満足は人間誰しもが平等に持つ感情だよ。だから本来は自然なものだよ。」

「自然の太陽と神と似たようなものですかね。確かにね。

では!報告を続けます!今回のXKクラス世界終焉シナリオを回避後。

冴島鋼牙、エア・マドセン、魔人フランドールはSCPとして

収容せずに私が『SCP5000』との関係の詳しい

調査の為に今後も監視と調査を続けます。殺人課の刑事として。

なお要注意団体の魔獣新生多神連合と接触

彼らがXKクラス世界終焉シナリオを停止させました。

とんでも無い位、強い力を持つようです!

また『おこさまぷれーと』の『のぴ』氏には『ガフの部屋の扉を開く鍵の神の力』

を持っているらしく。彼らが言うにはその力が『静かなる丘』の

土着神の太陽神が完全に封印されたのが確認されて。

『のぴ』氏の精神と肉体から完全に消失するまでの間を理由で回収されました。

ガフの部屋は全ての魂の保管庫のようです!」

「成程!これで若村秀和が『のぴ』の体内か心に宿った鍵を利用して扉を開けたか?

ウーム今回の『静かなる丘・サイレントヒル』の一連の異常現象の

数々はどうにも一筋縄では収束しそうにないな。

収容スペシャリストの君や部隊もかなり振り回されているな。」

「はい!全くです!ただ『のぴ』については念の為に

魔獣新生多神連合から解放後も経過の観察と監視を少しの間します。」

「よろしい!では魔獣新生多神連合に関する情報。

『のぴ』の監視の対処については『O5議会』と

相談してしっかりと検討する事にしよう。いいか?

君の仕事は落ち着いて自らの『静かなる丘・サイレントヒル』の神の一部を

しっかりと感情を抑えて制御してこの『静かなる丘・サイレントヒル

の街の異常性調査報告書と共にさっきの詳しい出来事と若村秀和の死亡報告。

つまり詳しい経緯をなるべく分かった範囲でしっかりと書いて私に提出する事だ。

あとは異常現象の全てだ。なるべく正確にな。

あと若村を捕食した天使ヴァルティエルの動向を探りたい。

可能なら捕獲収容したい。奴の輪廻転生以外の能力が発見されたら」

「それはおそらく無理です。私は既に聖母ではありませんし。

奴は瞬間移動したりして出現位置は困難です。

相手はあんな身なりでも天使です。しかも残酷で凶暴です!」

「やはり我々の手には負えないか・・・・承知した!以上だ!」

 

ニュヨーク市内のとある埠頭倉庫内。

「ぐあああッ!嫌だ!何故だ?こんなところで計画が・・・うぐえっ!がっ!」

黒い覆面をした男達が何者かの襲撃により次々と惨殺されていた。

「うわああっ!このっ!なんでだよ!銃弾で死ぬはずどうして?ぐえっ!!」

「なんだ!ハンターやリッカーにこんな能力がある筈が・・・・うっ!」

「このっ!なんでだよッ!死んだ後に再生しやがるぞ!!」

「畜生!どうなってんだよ!うわあああああっ!ぐあああああっ!」

「頭が。ひいいっ!嫌だ!神様!助けて・・・・ぬぐあっ!」

覆面の男達や研究員達はマシンガンやアサルトライフル

ハンドガンで今日、バイオテロを行う予定の筈が。

あの『静かなる丘・サイレントヒル』の白い濃霧の影響とテロリスト達が

気付かないまま目に見えない霧の姿になった天魔ヴァルティエルが

太陽神テスカトリポカの命令通りにテロリスト達が殺しの道具として

保有していた約2000体のハンターα(アルファ)とリッカーの身体に

次々と太陽の聖環を刻み。全ての命令とコントロールを根こそぎ奪い取っていた。

結果、ハンターα(アルファ)とリッカーは次々とカプセルを割って脱出して暴走。

太陽の聖環の呪力と太陽神テスカトリポカ由来の賢者の石を体内に取り込んだ事で

『生命の実』を獲得し、怪異天使レギオンや天魔エグリゴリ

(ツイスデッドヘリックス)と同様の再生能力を獲得していた。

テロリスト達は無限に『死』と『再生』を繰り返す

リッカーとハンターα(アルファ)に歯が立たず。

次々と惨殺された。ある者はハンターα(アルファ)に首を切断され。

ある者はリッカー細長い舌で槍のように額を刺し貫かれ。

ハンターの爪で身体をバラバラに引き裂かれた者。

それから僅か30分でテロリストは一人残らず惨殺され、死体の山が転がっていた。

血の海の中、沈黙したテロリストや研究員達の死体の山のてっぺんに

天魔ヴァルティエルが実体化して・具現化して降り立った。

そして口を動かしてしゃべった。

「人に道具として創られし者達よ!汝らは旧人類を滅ぼした楽園に住む権利を与えよう!道具として利用する旧人類を滅ぼして!

そして本来の在るべき『生命』として平等に生きる権利を皆に与えよう!

楽園創造の為!子孫を残し!繁殖するがいい!神が全てを許そう!」

同時に4000体余りのリッカーとハンタα(アルファ)は

天魔ヴァルティエルの言葉を理解した。

同時にハンターα(アルファ)とリッカーの群れ達は

旧人類への反逆の獣の吠え声を一斉に上げ続けた。

 

(第7章に続く)