(第7章)戦闘準備。太陽神への挑戦。    

(第7章)戦闘準備。太陽神への挑戦。    

 

『静かなる丘』の境界の裏礼拝堂の地下のバベル超結界の内部では。

遂に現れた太陽神テスカトリポカを倒すべく鋼牙とエアと魔人フランドールは闘う準備をしていた。魔人フランドールは戦いやすいように全身の細胞内に元々寄生させていた

賢者の石を活性化させて、賢者の石の力を全開にした。

その瞬間、彼女の体の全身は真っ赤に輝いた。

同時に彼女の身体は10歳未満の幼い女の子の肉体から20代の成人となった。

そして太陽神テスカトリポカと同じようにIカップの95cmの巨乳に相反する華奢な

身体にしなやかな両腕と10対の短い赤い爪。むっちりとした太腿を持つ両脚に

ストライプシューズを履いた姿に瞬時に変身した。

鋼牙は素早く魔戒剣を天空に掲げた。続けてひゅっ!と空を切り、一振りした。

間も無くして頭上に円形の裂け目が生まれた。

更に円形の裂け目から黄金の光が差し込んだ。そしてゴルルッ!と狼の唸り声がした。

黄金の狼を象った鎧を全身に纏った。鋼牙は黄金騎士ガロに変身して

両手で銀色に輝く魔戒剣が変化した黄金に輝く両刃の長剣『牙浪剣』を構えた。

エアは賢者の石の力を解放した事で胸元まで伸びた真っ赤に輝くポニーテール。

キリッとした太く長い真っ赤に輝く眉毛。真っ赤に輝く瞳。

両頬には真っ赤に輝く天秤の模様となった。

更に背中から真っ赤に輝く巨大な無数の剣が集合して出来た2対の翼をバサッと

左右に広げた。そして両腕を広げて、口を大きく開け、獣のように吠えた。

同時に再びバリッ!と音を立てて真っ赤に輝く両刃の長剣

『ミカエルソード』が現れた。

そして自らの心臓の筋肉組織から生成された『ミカエルソード』を片手に持ち。

ブンと振って両手で柄を握り締めて、しっかりと構えた。

3人はそれぞれ赤色と茶色と緑色の瞳で太陽神テスカトリポカを見据えた。

太陽神テスカトリポカは嬉しそうに笑った。

しかしすぐに真顔になったあと口を開いた。

更に静かに太陽神テスカトリポカは静かに話をした。

「かつて我は過去から未来まで不完全な神の円環に囚われていた。

そうカルト教団だの。選民思想の自己中心的な集団。

そう反メディア団体ケリヴァーのようなの。

彼らによる不完全な儀式によって不完全な神に目覚め。

そして不完全な神による楽園を望まぬ心強き、普通の平和な暮らしを求める人間。

あるいは裏切りの聖母によって。人間の武器によって肉体を消滅させられ。

神霊となり。またカルト教団選民思想の自己中心的な人間達の

不完全な儀式によって再び目を覚ます。

そのくだらない円環は遂に今日終わりを告げた。

私は不完全な儀式によって神のバランスを欠いていた。

そして過去に出現したサキュバスとゴッドは強力な炎と電撃を持つ代価として

完全な神の不死性の完全消滅と通常攻撃で

殺す事が可能な超弱小の肉体の負が与えられた。

そして何より皮肉にも人間に信仰され続けなければそもそも神は存在を

保つ事が出来ないのだ。だからこそ!!正しい儀式を持って我は完全に修復した!!

この世の正しき世代交代を促す新たな動物と人間が暮らす!

真なる楽園を創造する為に!!」

「成程!その為に反メディア団体ケリヴァー達を利用した?」

「その通りじゃ!奴らは我の人形になってくれた!!

お陰で我は完全な神として復活出来た!連中はもはや用済みじゃ!!

そして!楽園に続く扉が開き、彼らはもう用無しも同然!!」

太陽神テスカトリポカは両腕を組み、再びバッ!と左右に開いた。

次の瞬間、彼女の全身から真っ赤な光が発生した。

続けて天空に右腕を伸ばして右手を天に掲げた。

そして右手から真っ赤な光の柱がドオオオン!と大きな音を立てて天へと発射された。

放たれた真っ赤な光の柱は天井の真っ赤に輝くバベル超結界を通り抜けて裏世界の

礼拝堂の大穴から飛び出した。真っ赤な光の柱はそのまま教会の礼拝堂から

教会の建物全体の壁や天井や床や部屋の隅々を覆い尽くした。

太陽神テスカトリポカから放たれた真っ赤な光の柱を見ていた

エア、魔人フランドール、魔導輪ザルバは一斉に声を上げた。

「これは?!まさか?あたしの賢者の石の力?」

「とっ!とうとうあいつも最強の賢者の石を手に入れたんだ!!」

「間違いないぜ!鋼牙!あいつから強大な魔人フランドールの

賢者の石の力と膨大な魔力を感じる!!」

「そのエア、魔人フランドール、魔導輪ザルバの反応を見た

太陽神テスカトリポカは得意げに両腕を広げてこう言った。

「その通りじゃ!これは賢者の石!!始祖ウィルス!!

もはや魔人!魔獣ホラーだけのものでは無いッ!!」

「どうやら奴は賢者の石と始祖ウィルスを獲得したか。

厄介な話だな。どうにか封印しなければな。」

鋼牙は冷めた口調でしかも冷静にそう言った。

「さてと!あの新人類レギオンの天使軍にも旧人類の女性達に

性差別や性的暴行やジェンダー差別する害悪の男達に復讐心を満たす為に

殺す権利を与えたが。それだけでは我が創造した楽園で存在理由を失い。

生きられぬだろう。もはや幸せなど得られる事は永遠に無かろう。

だからこそ!天魔エグリゴリ(ツイスデッドヘリックス)とワンバック達と

アダムの子と同じようにレギオンの天使軍全員は太陽の聖環の名において!

全ての現在と怒りと憎悪を全て洗い流し!旧人類の記憶を忘却の彼方に!

そして新たに存在する『真の楽園』にて中性(男と女の特徴を持つ)存在となり!

完全な寄る辺の女神となれ!楽園を治める太陽神は同性でも子供を作り!

愛し合い!育てる権利を与える事を必ず約束しよう!我が楽園では!

旧人類が求める異性の差別にや偏見の価値観も消滅する!

楽園では同性同士愛し合いSHB(サイレントヒルベイビー)を

両者いずれかのお腹に宿し!沢山の人間を産み!育ててもらうのだ!」

そこまで言った太陽神テスカトリポカは不意に真剣な表情で

こうまるで人間達を諭すようにこう言った。

「どの道、ただ差別し合い、殺し合うだけでは結局人間など幸せにはなれぬ!

メディアや人種、性別、フィギュアに対してお互い憎悪し。

殺し合い争っても何の意味も無いのだ!」と。するとその場にいた全員は

正にその通りだと思った。勿論、誰一人も反論する者はいなかった。

「反対に汝らが我を封印して力を消した場合。元の人間に戻るが。

その代わりに憎悪と怒りによって復讐の為に大勢の男達を殺めた記憶が残るだろう。

あとはどうやって生きるかは彼女次第!輪廻の法則は変わらず!外れる事も無い!」

全員はただ無言で聞いていた。太陽神テスカトリポカは更にこう話を続けた。

「全ては我の望むが計画のまま。そして!創世記の楽園が始まる時!

我の命令により!特別な人間の若い女性の体内に眠る『鍵』により!

再びガフの扉は開かれ!そして解き放たれた全ての人間達の魂は!

SHB(サイレントヒルベイビー)の肉体に転生し!

死者は輪廻によって蘇り!新たな楽園の中で両性や異性の交配が可能な

新人類として最初の原始から新しく生き続ける事になる。

それは決して魔獣新生多神連合には止められぬ!これが我の最終目標だ!」

さあー前置き話はこの辺にして掛かってくるが良い!!

では!完全な神の力を得て!蘇り!新たに学んだ幾つもの神の力を試すとしようか?」

太陽神テスカトリポカは続けて挑発する為に声を上げた。「来いッ!」と。

 

秘密組織ファミリーの本部に当たるジョン・C・シモンズの大きな屋敷。

のぴを回収したジル・バレンタインは彼女を『静かなる丘』の『ガフの扉を開く鍵』

完全に封印する為に地下の真っ黒な壁と天井と床に覆われた

長四角の地下室の中央に安置してある彼女の身長に合わせた大きな真っ赤に輝く巨大な棺の中に『のぴ』は両腕を組んだ状態でまるで

エジプトのファラオのように収容されていた。

更に周囲には黒く輝く無数の旧魔界語の文字でびっしりと覆われていた。

そこにジョン・C・シモンズはその『のぴ』の収容された真っ赤に輝く棺を見ていた。

しばらくしてすぐに地下室の扉は開き、地下室の中に80歳の老人が入って来た。

その老人は白髪でオールバックをしていた。彼の名前はマルセロ・タワノビッチ博士。

通称、マルセロ博士はジョンにこう報告した。

「こちら側(バイオ)の世界も時空の窓から見た『ミミック・フェロモン』の並行世界

パラレルワールド)の世界も酷い有様だ!あれも太陽神とやらの計画の一部か?」

「『ミミック・フェロモン』は案外ただの事故かも知れんな。

太陽神も想定していない。」

マルセロ博士はのぴが収容された真っ赤に輝く棺を見た。

「完全な封印か?そして彼女が魔獣ホラーガーゴイルの核(コア)から

『のぴ氏』が奪った太陽の聖環を各地で創り出す聖なる石も集めた破片全てと。

確かガルヴァスター・D・スカーレット伯爵夫人から譲り受けたらしいのう。

じゃが気の毒に・・・・。ついでにあの『鍵』は金庫の中に安全か?」

「どちらの太陽神の私物は安全に越した事はないだろう。マルセロ博士。

しかし太陽神の力は時が経つにつれて急激に強くなっている。

この魔戒結界もいつまで保てるか?」

「壊れた時はここから引っ越しか?それとも楽園すら利用する気か?」

「いずれにしろ!封印は解けて『鍵』は回り、今度こそ本当にガフの扉は開く。

そして全ての魂は解放されて輪廻転生して楽園で新人類が生まれる。」

「そうならないようにするのは冴島鋼牙とHCFのルシファーの賢者の石を持つ

エア・マドセン。そして太陽神の聖母の魔人フランドールの仕事だ!」

「奴の最終目標は本当に人間にとって幸せの結末か見守らせて貰おう。」

「そうする事にしよう。僕も観客席で見守らせて貰うさ!」

「さてと!またしても開いてしまったなガフの扉が・・・・・・・・・・・・」

マルセロ博士の言葉にジョンも目頭を押さえて瞼を閉じた。

「ああ。そうだね。別次元の世界でヱヴァンゲリヲンがかつて存在していた

あの世界宇宙にてガフの扉は過去に2回開閉した。

そしてセカンドインパクトサードインパクト

もうひとつのアダムスのセカンドインパクト、二アサードインパクト

フォースインパクト。最後のインパクト。あの若村とのぴが起こそうとしたものを

加えればニアシックスインパクトに当たるかな?」

「全くなんて数だ!良く人類は滅びなかったものだ!」

マルセロ博士は呆れるやら感心するやら複雑な表情をした。

「人間と言う生き物はやはりどの並行世界(パラレルワールド)でも

逞しく生きて行くものだね。ヨグの眼で世界を沢山、覗いて気付いたよ。

メシア様も僕の話を聞いて少しばかり考えを改めたようだね。」

「『のぴ氏』あの子は鍵を持ち、何故?ガフの扉を開けられたのか?

彼女の精神科医のカルテや身辺調査の結果、なんとなく分かった。」

マルセロ博士は自分が精神科医の知識と身辺調査や生物学的考察を

踏まえた上での研究結果をジョン・C・シモンズに見せた。

その上でマルセロ博士はこうジョンに説明した。

『のぴ』は『パニック障害』と『うつ病』の症状を持っていたようだ。

パニック障害』は簡単に言うとパニック状態になり

呼吸困難等の様々な症状を起こすが。

彼女の場合は主に呼吸困難に加え動悸が起こるのが基本の特徴じゃ!

きっかけはある日突然、呼吸が苦しくなる症状に見舞われる。

学生の頃から症状があり、授業中に『今ここで死んでしまう』と言う

恐怖感に襲われて過呼吸の症状を度々起こしていたようじゃな。

普通に生活しているだけで震えが止まらなくなる等の症状があったようじゃ。

とりあえず重度のものでは無くちゃんと

薬さえ飲めば直ぐに抑えられる事も分かっている。

元々彼女は凄く考え過ぎてしまうタイプで『人にこう思われたら嫌だ』とか。

少しした事ででも気になってしまうようだ。そして落ち込む事が多く多く病気として

自分の衝動では抑えきれなくなるような突発的な行動をたくさんしていた。

この事から『うつ病』も持っていた事も彼女のカルテから分かった。

彼女は症状発症後に一時実家に帰ってから外へ出られなくなり。

周りの人の目が一番怖くて堪らなかったようじゃな。

なにも自分の事を知らなくても全然見ていなくても外にいるだけで

『もしかしたら?この人は私の事を悪く思っているのでは?』と妄想を抱いていた。

「それ故に彼女は真っ先に

『静かなる丘・サイレントヒル』の神の力を強く受けたのか。

そして若村秀和に精神を支配されて乗っ取られた。」

「あの力は人の負の感情に強く反応するするからだな。」とジョンは答えた。

 

(第8章に続く)