(第24章)包帯の少女

(第24章)包帯の少女

 

「酷過ぎるよ・・・・こんなの・・・・ごめん・・・助けられない・・・・」

のぴは小さくつぶやき顔面蒼白のまま顔を俯いた。

ドラキュラ伯爵はパン!と手を叩き、のぴの正気を取り戻して周囲の空気を換えた。

「残念だが。彼女を助け出す時間は無い!先へ進み若村を止めるしかない!」

そしてドラキュラ伯爵の助言に従い、先へ進もう

としたクリスとのぴは何かに気付いた。

「おい!ドラキュラ伯爵!ひとつだけ水槽の中のイリスの量産型がおかしいぞ!」

どうやらその水槽は11人の被験者がいるケリー・ブライアンがいる水槽だった。

ケリー・ブライアンは両肩まで伸びたサラサラの金髪。

ややキリッとした黒い細長い眉毛。

茶色の瞳。丸っこい低い鼻。ピンク色の唇。笑うと美しい前歯が見えた。

ふっくらとした両頬と深い胸の谷間も紅潮していた。

ケリーは両掌と両膝をブヨブヨの繭の床に付けて四つん這いになった。

続けてブヨブヨの床から伸びた硬い触手がニュルリと硬い触手に挿入した。

デニスはゆったりと強く優しく性的興奮が訪れるのを感じた。

彼女は大きく口を開けると高く喘いだ。

「ああっ!ああっ!あああーん!」と。

そして身体を少し持ち上げて瞳を閉じた。

さらに口を大きく開けた。

「はあ!ああああっ!んんっ!あああっ!はああっ!ああっ!ああっ!」

また右側から垂れてきた長いサラサラの金髪もユラユラと前後に揺れ続けた。

やがて大きな白い肌に覆われた丸い張りのあるお尻の表面はプルプルと

波打つように揺れた。さらに片手で自らの金髪を掴み、持ち上げてかきあげた。

そして首を曲げて顔を横にした。そして瞳を閉じ、だんだん強く感じる

はっきりとした性的快楽に溺れ始めていた。

彼女は長々と甲高く喘ぐ声をサイレンのように出し続けた。

「ああああああっ!ああああああっ!ああああああっ!」

更に左右のブヨブヨした繭の壁から伸びて来た2対の太く短い触手は

ケリーの張りのある丸い両乳房を上下左右に揉まれてケリーはさらに甲高く喘いだ。

「ううっ!ううっ!あああっ!んっ!ああっ!」と。

更に続けてどんどんケリーの少し垂れた大きな丸い両乳房は

前後左右にプルプルと早く早く揺れ続けた。

さらに口を大きく開けて早く早く息を吐き、甲高い声で喘ぎ続けた。

「あああっ!んんんっ!んんんっ!あああっ!んああああっ!はああっ!」

とうとう『未完成の量産型イリス』とケリーは性的興奮が絶頂に達した。

同時に水槽の中で『未完成の量産型イリス』は自らの肉体を粒子状に分解させた。

ケリーは繭と交尾と融合から解放されて冷たい床にぱたっ!とうつ伏せに倒れた。

そして自らを粒子状に分解させた『未完成の量産型イリス』はケリーの方へ

近づいて行った。ドラキュラ伯爵は大声でのぴとクリスにこう知らせた。

「マズイ!あいつ人間の肉体に憑依する気だッ!」

彼は結界が施された水槽のガラスを叩き割ってでも中に入ろうとした。

のぴもなんだか分からないまま「急いで!」と叫び続けた。

「クソっ!マズいっ!」とクリスもハンドガンを連射し続けた。

しかし放たれた全ての弾丸は結界により無効化されており、一切効果は無かった。

それでも彼は諦めずにハンドガンの引き金を引き続けた。

しかし全て文字通り無駄弾だった。

さらにナイフも使ってみたが全くびくともしなかった。

それでもクリスは諦めずにナイフを振り続けた。しかし全ては無駄な結果に終わった。

水槽内部では『未完成の量産型イリス』はケリーの肉体と同化寸前だった。

このままでは倒れているケリーと言う若い女性の肉体と精神が危なかった。

正に絶体絶命のピンチ。その時。何の脈絡も無く水槽の中で女の子の声がした。

しかも日本語だった。「待ちなさい!使徒もどきッ!」と。

するとドラキュラ伯爵もクリスものぴも唖然とした表情で見ていた。

「誰?」

「誰なんだ?」

「やっとやる気になってくれたか?やれやれだ」。

水槽の中では急に時空が歪み、日本人とドイツ人のハーフの女性が現れた。

背中まで伸びた茶髪。長い茶髪の前髪。キリッとした黒い細長い眉毛。

また両方の茶髪の上に赤い三角形の飾りが付いていた。

ふっくらとした白い肌の両頬。丸っこい高い鼻。

また真っ赤な体形にピッタリとフィットしたプラグスーツを着ていた。

そして『未完成の量産型イリス』を美しい青い瞳で見ていた。

しかもその青い瞳はその『未完成の量産型イリス』をまるで母親が

子供を見るような優しいまなざしで見ていた。

彼女は優しく母親が子供に語りかけるように言った。

「貴方は本当は母親が欲しかったのでしょ?」と。

すると『未完成の量産型イリス』はその女の子の言葉に反応した。

そして謎の赤いプラグスーツの女の子の方をじっと単眼で見た。

すると女の子は両頬を赤く染めて、少し恥ずかしそうに言った。

「本当はあの天才の若村と同じように

貴方も孤独だったんでしょ?私もそうだった・・・・」

『未完成の量産型イリス』はその謎の赤いプラグスーツの女の子の話を

理解しているのだろうか?クリスとのぴはそう思っていた。

しかし真意は分からなかった。

しばらく『未完成の量産型イリス』と謎の赤いプラグスーツの女の子は沈黙していた。

再びゆっくりと謎の赤いプラグスーツの女の子は

『未完成の量産型イリス』に話しかけた。

「一人じゃ。寂しいもん。母親の愛情が欲しいんでしょ?

私もそうだったから・・・・。そう私も貴方も同じ。

だから。ねっ?誰かと対等を求めて子供のように愛情を欲しているの。

私に母親のトラウマのせいでー。一度だけ立ち直ったけど。

結局駄目だった。でも・・・・。」

しばらくして謎の赤いプラグスーツの女の子の青い瞳から大粒の涙が流れ落ちた。

それから一瞬で彼女は右目と左腕に包帯を巻いた姿に早変わりした。

「この包帯は私が人類の母たる存在。リリスの象徴。私は元々生理が嫌いでさ。

子供なんかいらないって!思っていた。でもね!私にも好きな子がいたのよ。」

彼女は何かを決意したように力強い声で包帯の美少女はこう言った。

「この私に憑依とやらをしなさい!望むなら母親になって貴方の子供も産むわ!」

『未完成の量産型イリス』はケリーの方を見ると包帯の美少女は大声を上げた。

「その人は駄目よッ!私を見なさいッ!

私だけを見るのよ!全て私が与えるからッ!」と。

しばらく『未完成の量産型イリス』と包帯の美少女はお互い無言で向き合っていた。

長い沈黙の後、ようやく『未完成の量産型イリス』は決めた。

対して包帯の美少女も『未完成の量産型イリス』

を受け入れるべく両腕を左右に広げた。

「さあ!おいで!遠慮!しなくていいわ!私の身体に還りなさい!

あとで大人の気持ち良い事をしましょう・・・・・」

包帯の美少女の言葉に『未完成の量産型イリス』は更に強く反応した。

続けて全長約9mの巨体を再び粒子状に分解させると迷う事無く包帯の美少女の

物理的な肉体に侵入し、吸い込まれるように消え去った。

そして水槽の中には包帯の美少女と失神しているケリー・ブライアンのみが残された。

包帯の美少女はまた包帯の無い真っ赤なプラグスーツの女の子の姿に戻った。

そして普通の女の子に戻った後、青い瞳でのぴとドラキュラ伯爵とクリスを見た。

「あのさっきの問題の『未完成の量産型イリス』についてだけど。

そこのドラキュラ伯爵の話によると。

問題になった日本の若村秀和があの女に人達と『邪神イリス』を利用して

かつて私達の世界で人間達がしようとしていた人類補完計画の為に

私の中で史上最悪の相手だった『エヴァシリーズ』のようなものを

建造しているって聞いて。私の話。推測だけどね。

多分あの『未完成の量産型イリス』は遺伝子操作やらゲノム編集やらの物理的方法。

それとコトリバコとか色々な呪術や霊的アプローチをしていたと思われるわ。

それは具体的に霊的な儀式で霊を集める。転じて人間の魂を集める方法と

封印の実験を何重にもやっている内に『邪神イリス』はただの物理的な怪物から

ある意味『邪神』とも呼べる?分からないけ

ど霊的な力を持つ様になったと言う訳なの。

本来の在るべき物理的な怪獣か超獣の類だったイリスは異世界のギャオスと言う

怪獣をベースに超古代アトランティス人が製造したBOW(生物兵器)だったけど。

もしもあのケリー・ブライアンに憑依して消えたら。

貴方達の世界。こちら側(バイオ)の世界の現世で自分達が繁殖。

または活動できる環境になるまではしばらく他に12番目の被験者と共に消えた

『未完成の量産型イリス』とさっき私が取り込んだ個体は休眠して

おとなしくしているか?あるいはどこかの人間の人間の子宮と

卵子を利用して耐久性の卵を産ませているか?

まあ―いずれにしろ環境が整うまではきっと胎内でおとなしくしていたでしょうね。

元々ヱヴァンゲリヲンのようにプログラムされているようだから。

ほとぼりが冷めたら活動する気ね!!でもあれと対話してみて分かった。

あれは邪神イリスとは似て非なる存在よ。完全な復活じゃない。

あの『未完成の量産型イリス』には心が宿っていた。

そう『若村秀和の分霊の魂の一部』が。

人間と同じ。エヴァと同じコア(核)に人の心が宿っている。

あれは実験だけのせいじゃない。彼の心と魂が邪神イリスのコピークローン。

人形として作り出した時にコア(核)に宿ったのよ。皮肉よね。

命の無いも同然のソフビ人形のようなクローンの肉体の器に自然に心と魂が宿るなんてね。その若村って男。命の無いソフビ人形を散々馬鹿にしていた癖にね。

笑っちゃうわよ。本当に馬鹿な男。・・・・・。あーあと安心してね!

今失神しているケリー・ブライアンは貴方達の世界の現世。

こちら側(バイオ)の世界にさっき言ったように問題の

太陽神テスカトリポカの神の力から守られている『静かなる丘・サイレントヒル

シェリル刑事のいるフィッシャーズのキャンピングカーの中に避難させてあげる。

でも他の人達や12番目の被験者は・・・・・。私には助けられないの。御免なさい。

あっ!そう!大事な話よ!のぴ!さっき私がした事、ちゃーんと覚えてなさいよ!」

赤いプラグスーツの女の子はのぴをビシッ!と指さした。

のぴはビクッ!となり自らの顔を指さした。

「そうよ!そこの貴方!待ってなさいね!守護天使であるこの私が!

必ず!絶対に!あのガイウスの槍を持ってくるから信じて待ってて!

それとさっきのをちゃーんと覚えておきなさいよ!」

のぴは呆けた顔で「はい・・・わかったよ」とおずおずと返事を返した。

すると赤いプラグスーツの女の子は満足した表情を浮かべた。

「さてと!のぴ姫に幸運を!それじゃ一度!バイバイ!また会いましょう!」

そして赤いプラグスーツの女の子が背を向けた。

しかしどうしてものぴは我慢できずにその赤いプラグスーツの女の子に声をかけた。

「待って!貴方は誰?もしかして?」と。

すると赤いプラグスーツの女の子はカッコつけて自分の名前を名乗った。

惣流・アスカ・ラングレよ!覚えておきなさいッ!

貴方だけの特別な私の名前をね!」

それからアスカと名乗った赤いプラグスーツの女の子と失神している

ケリー・ブライアンのいる水槽の一部のみ円形に大きく歪んだ。

そして数分後には『未完成の量産型イリス』に憑依されたアスカと

言う名前の女の子と失神しているケリー・ブライアンごと

まるで最初から存在していなかったように跡形の痕跡も無く消失させた。

まるでさっきまで幻を見ていたかのようにである。

それからクリスはドラキュラ伯爵にこう質問を幾つかぶつけた。

「あの!アスカって女の子!完全に未成年なのでは?呼び出したのはあんただろ?!

どういうつもりだ?!あとこれは全て夢なのか?現実なのか?どっちなんだ??

アニメの女の子が登場するなんて・・・・。しかも俺達の前に・・・・」

未だに戸惑いを隠せないでいるクリスにドラキュラ伯爵は冷静に答えた。

「君はこの世界は現実では無いと思うかね?」

ドラキュラ伯爵のあまりにも唐突な質問にクリスは戸惑った。

「じゃ?これは俺の知っている現実では無いと?」

「はっきりとお言っておこう。君達が言う現実とは何かね?明確な区別が出来るかね?

人間には無理なのだよ。五感で知覚できるのが現実と言うならそれは脳の電気信号に

過ぎない。そして五感の電気信号は高次元まで普通は届かない。

届いているのは幸運なのだ。そして人間が知覚できない者を

視認しようとすると脳が壊れて正常に動作しなくなる。

さっき見たあのアサヒナ探偵事務所のヘンリック・ターナやオウム真理教の教祖や

サイレントヒルの教団のようにな。文字通り、精神が狂ってしまい。

神や悪魔に支配されて悪事を働くものだ。視認していけない怪異も沢山いるぞ!

日本で有名なのが『くねくね』なんかがそうだな。

認めたら危険な存在は君達の思っている以上に存在していると言う訳だ。

世界は常に秘密のベールに隠されていなければならない。さもなければ・・・・。」

クリスものぴも『この事態を解決させる為のヒントを言っている』と。

ある意味都合よく解釈していたので長くても

ドラキュラ伯爵の話をまじめに聞いていた。

マトリックスの世界。つまり子宮に転じて囲まれたり、埋められた物に形や

起源を与えるものであり。組織の細胞間物質であり。

E型特異菌の死骸のような鉱物が埋まっている土や岩から成る物質なのだ。

同時に数学が発展して行列式となる整った記号に過ぎないのだよ。

だから夢でもあり、現実(リアル)でもある。

今我々はそんなところにいるのだ。大事なのは正気を失わない事だ!

かの1596年から1650年間を生きた

ルネ・デカルト氏はこんな言葉を残している。

「『睡眠と覚醒を区別する明確な線は無い。この事実は至極明白なのだ』とな。」

するとのぴとクリスは驚いて大きく戸惑い、お互いの顔を見合わせた。

つまり自分達もまたこの瞬間も夢を見ているのだと思わず信じそうになった。

ドラキュラ伯爵は続けてこうも言った。

「最終的にデカルトは『強大な力を持った〈邪悪な天才的な神〉が

感覚的経験を君達人類の心に植え付けている可能性を考えた。

彼は仮にそれが可能なら。

『陸、大地、色、形、音、そして全ての外囲的感覚は人の目を欺くものであり。

その〈邪悪な天才的な神〉が馬鹿正直な君達人類を騙す為に造り上げた幻だ』とね。

そして一部の人間達は『我思う。故に我在り』と言うデカルトの言葉に従い。

〈邪悪な天才的な神〉に対して『思う存分私を騙すがいい。

だが自分は何者かであると私が考えている限り〈邪悪な天才的な神〉の

強大な力を以てしてでも私達を無にする事は出来ない』とね。」

のぴとクリスは茫然とした表情でドラキュラ伯爵の話を聞いていた。

クリスが質問しようとするとドラキュラ伯爵は

彼の質問には答えず代わりにこう言った。

「我々には時間が残されていない。

話はまた今度だよ!クリス・レッドフィールド君!」

「ふざけるな!お前のせいで!彼女は!彼女は!」

クリスは直ぐにドラキュラ伯爵に食って掛かった。

しかしすぐに冷静に窘めるようにドラキュラ伯爵はクリスにこう言った。

「今はそれよりもジルや君達のこちら側(バイオ)の世界を守る事が先決であろう。

のぴと他の『おこさまぷれーと』や人々の魂を救い出さねばならない。

そうだろ?クリス?

それに太陽神テスカトリポカをエア・マドセンと言う男が封印しても。

死神ホラー・タナトスが封印されても若村の魂が悪霊化するのを阻止しないとな。

何よりあいつが創造神イリスとなれば全ての人間の魂女の魂は奴と合一してしまう。

結果的に奴は強大な力を得た若村秀和は旧人類とメディア社会を一掃するだろう。

そうなれば君達人間に未来は無い。全ての人々は排他されて滅されるだろう。

タナトスから奪い取った『死』の概念そのものの力によってね。

あれも魔戒騎士や魔戒法師達がタナトスを封印するタイミングで

元の持ち主に返上する必要がある。」

「『死』の概念を私が奪い返してタナトスに返してあげるの?それ?ヤバくない?」

「そうだ!そんなものを返したら!!」

反論するクリスにドラキュラ伯爵は厳しい表情でこう言った。

「いいか?クリス!人間代表のお前に忠告してやる!いいか?人間にはな。

『死』そのものを操る権利は一切無い!」とドラキュラ伯爵は強い口調でこう言った。

 

(第25章に続く)