(第28章)儀式の始まり(ブログの2021年今年最後の小説投稿)

(ブログの2021年今年最後の小説投稿)

(第28章)儀式の始まり

 

のぴとドラキュラ伯爵とクリスは天空を自然に見上げると

鳥と貝を合成させた人型の巨大生物が見えた。

それか既に虚無空間のディラックの海の暗黒空間にすでに完成した(と思われる)

ルービス型。レイアン型。

ダニエル型。沢口桜型。

田中萌歌型。

根本はるみ型。

キム・コンスタンス型。

アレックス・ミーガン型。

8体の量産型イリスの完成体が出現した。

続けて次々の8体の量産型イリスの胸部の分厚い

中央に輝くコア(核)からドシュッ!ドシュッ!と音を立てて

その真っ赤なコア(核)の形が大きく鋭利に変形した。

同時に8体の量産型イリスの真っ赤なコア(核)から

真っ赤に輝く槍が高速に伸びて行った。

しかもそれぞれ見た目では全く区別がつかずどれも同じだったが。

実際、各個体。『ルービス型』は『虚無の槍』。

レイアン型は『暗黒の槍』。

ダニエル・シー型は『憂鬱の槍』。

沢田桜型は『絶望の槍』。

田中萌歌型『誘惑の槍』。

根本はるみ型は『起源の槍』。

キム・コンスタンス型は『監視の槍』。

アレックス・ミーガン型は『混沌の槍』をそれぞれ赤いコア(核)の中に持っていた。

そして8つの槍の鋭利な真っ赤に輝く槍の先端は次々とイリスオブジェクトの胸部が

ガバッと開いた左右に超巨大な真っ赤な球体のコア(核)を貫いた。

続けて黒き月から奪い去った21の秘跡の『虚無』『暗黒』『憂鬱』『絶望』

『誘惑』『起源』『監視』『混沌』の生贄となった女性の魂を貫いた。

全員、対となった若い女性達は恍惚の笑みを浮かべて次々と

歓喜に満ちた甲高い喘ぎ声に変わって行った。

そしてイリスオブジェクトは起動を始めた。

イリスオブジェクトは映画の『ガメラ3邪神(イリス)覚醒』に登場する

ガメラの最大の敵の邪神イリスと双子のようにそっくりだった。

イリスオブジェクトは素早く天空に向かって三角形の顔を向けた。

続けてイリスオブジェクトの頭上にあの再び

死神ホラー・タナトスと同じ天使の巨大な輪が現れた。

ドラキュラ伯爵は「始まったぞ!若村はインパクトを起こす気だッ!」と叫んだ。

「ああ、確か第2のラッパまでは終わっている。第3のラッパからか!」とクリス。

「あれを止めないと!大都市から国内や国外に広がって行くよ!」とのぴ。

しばらくしてイリスオブジェクトの全身が真っ赤に発光した。

続けて頭上の天使の輪が真っ赤に発光した。

それからすぐに高熱の円形の衝撃波が放たれた。

咄嗟にドラキュラ伯爵はクリスを庇い、暗黒の虚空の床の上にうつぶせに伏せさせた。

のぴはもろに直撃したが、両脚を踏ん張り、転倒しない様に身体を支えた。

更に真っ赤に輝く衝撃波は現世の現実(リアル)のこちら側(バイオ)の世界の

ニューヨークを中心にシェリル刑事が神の力で守っている結界の中にいる

フィッシャーズや他の生存者とアスカに救出されたケリー・ブライアンと

ごく一部の何人かの生存者を除いてアメリカ全土の街の人々は一人残らず

全員、男も女も子供も赤ちゃんも動物も生命の力を完全に失った。

結果、パシャアッ!と音を立てて首輪や衣服や所持品を

残してオレンジ色の液体の生命のスープに還元されて。

人間の感覚で言う『死』を大陸と街全体を覆い尽くした。

そして大勢の人々と動物達の魂達は生と死の境の三途の川へと向かって行った。

やがて三途の川に辿りついた大勢の魂達は巨大な天空まで届く三角形の

銀色の塔に向かって落ちて行く若村に選ばれた大勢の若い女性の魂の姿があった。

また逆に選ばれなかった大勢の男性、赤ちゃん、子供、動物の魂は若村に選ばれた

大勢の若い女性の魂と別れた後に全ての不必要な魂として選別(せんべつ)され。

黒き月の中に吸い込まれるように消えて行った。

それを大河と阿門法師、ピアーズ、スティーブン。

2万人のハガネの騎士達は黙ってそれを見ていたのだった。

こうして異世界の外側の現実(リアル)と虚構(フィクション)の境界が完全に

消滅しつつある危機的な状態のこちら側(バイオ)の世界のニューヨーク市内は。

若村秀和がトリガー(引き金)となった人類補完計画発動により。

アメリカ合衆国全土は一人残らず大統領も政府の人間も米軍も多様性のある人種。

その一般市民で女も子供も男もオレンジ色の液体の生命のスープに還元されて

アメリカ大陸全体は『死』に覆い尽くされてしまい。

とうとうアメリカ大陸全体のあらゆる大都市や田舎町や村等はオレンジ色の液体で

道路も歩道も全て覆い尽くされていて誰もいなくなった為、不気味な静けさになった。

 

再び話は戻って『柳星張の宇宙』ではとうとう第3のラッパが

放たれた事で若村秀和による楽園創造による人類補完計画が始まっていた。

ドラキュラ伯爵は語るように話した。

「ついに目覚めたな。生命と創造を司る虚空の女王『イリス』。

太古の昔。別次元の地球に現れた全ての生命に死を与えた

銀色の卵の死神ニュクスの美しき一人娘よ。父親のニュクスの代わりに

生命を終わらせ。新たな生命と創造する虚空の女王イリス。

この先は大事だぞ!普通の人間の女性のぴよ!」

「うっ!うん!あのコア(核)の中に入れば。

私!あのコア(核)の中に入って若村を説得して見せる!」

「はい!あとはアスカがガイウスの槍を持ってくる筈だ!」

「直ぐに俺達がイリスオブジェクトのコア(核)の中に届ける!」

「儀式を止める反対儀式は私達に任せてくれ!」

ドラキュラ伯爵とのぴとクリスは真剣な表情でお互い納得した。

3人は無言で頷き合った。のぴはクリスとドラキュラ伯爵に背を向けた。

もうこれ以上!誰も酷い目にあわさせないし!傷付けさせない!誰も死なせないッ!

待ってなさいッ!若村秀和!私が貴方を止めるっ!貴方の心を救い出すッ!

のぴは暗黒の空の床を強く蹴り、斜め上に高速で飛行した。

そしてのぴはそのままイリスオブジェクトの胸部の

真っ赤なコア(核)の内部に吸い込まれるように姿を消した。
クリスとドラキュラ伯爵はうつ伏せに伏せたまま次の機会を待った。

クリスとドラキュラ伯爵が伏せている虚空の床は透明なガラスのようなものでー。

眼下には真っ赤な液体。いや、海が広大に存在していた。

しかも海の水面には天魔ヴァルティエルにより洗礼を受けた外側が

純白で内側から漆黒の鳥の翼を背中から離した生やした

ハンターα(アルファ)と思わしき生物が死んでプカプカと浮かんでいた。

しかもよく見ると全ての唇は口紅を塗ったように真っ赤でとても不気味だった。

彼らの唇はピクリと動かなかった。さらに太陽の聖環も消滅していたようだ。

「どうやら太陽神テスカトリポカが知らなくとも天魔ヴァルティエルが

軍団を動かしてイリスオブジェクトを利用して

無理してでも儀式をしようとしたようだ。

しかし失敗して太陽の聖環の進化体を無力化させられたから完全に停止した。

文字通り返り討ちだな。これで若村が有利だ。

奴は切り札の死神ホラー・タナトスを失っている。

太陽神テスカトリポカはもう儀式を続けられんな。」

「それはつまり?若村秀和は既に『神殺し』の力を手に入れたと?」とクリス。

「恐らくそうだろう。これで奴は一気に神に近づいた。」とドラキュラ伯爵。

「まさか?自らが道具として利用しようとした人間に神が負けるとはな。」とクリス。

「ちなみに天魔ヴァルティエルは安全な『静かなる丘・サイレントヒル』の裏世界から

洗礼をしたハンターα(アルファ)達に指示を送っていたのは確かだ。

奴はこんな危険な場所に自ら望んでこようとは思うまい。神の従者であり。

異世界の案内人であり。管理者だからな。勿論、失敗したのを知って。

今頃は神の異世界と裏世界を守る為に慌てて防護策をしているだろう。」

「神の従者。天使達も大変なんだなー」とクリス。

「天使は結局悪魔と同じ肩書の職場に過ぎないのさ」とドラキュラ伯爵。

「天使も悪魔もあくまでもお役所仕事か?」とクリス。

「その通り、両者はそれぞれ神に与えられて役目を全うしているんだ」

とドラキュラ伯爵。

その時、クリスは急に素早く指さした。

同時にドラキュラ伯爵もつられてクリスの指さす方を見た。

巨大なイリスオブジェクトの頭部の前に女の子がいた。誰だろう?

「チッ!やはり冥王ホラー・サウロン

ワイルドハントの力をもってしても無理だったか」

「どういう事だ?あの女の子は誰だ?アスカでは無い様だが」

「『解放』の若村秀和。『知恵』ののぴ。

最後の21の秘跡の生贄『母体』の十六夜咲夜(いざよいさくや)だよ」

クリスとドラキュラ伯爵は改めて

『柳星張の宇宙』空間の暗黒に浮いている彼女を見た。

「本来の21の秘跡の儀式のやり方を失っていた。ただ一部だけ切り取られていて。
切り取られた儀式の一部はアメリカのインディアンや他のアジアの国の人々等に

形を変えて独り歩きして伝わり。それぞれの場所に伝わって行った。

分かりやすく言えば『金色龍神の玉』のようなものだ」

「成程、奴はそれらの儀式の一部を組み合わせて。」

「どうしても足りない部分はエヴァの儀式を取り入れて補完した。

そして最後の欠落した儀式を行うであろう。」

とドラキュラ伯爵はクリスにそう言った。

「クソっ!どうすれば!」とクリスはつい頭を抱えてしまった。

すると冷静にドラキュラ伯爵はクリスにこう言って励ました。

「落ち着き給え。いいか?私と君とあの子が若村秀和の儀式を阻止しなければ。

君のかつての大切な人であり。私の愛した人のジル・バレンタイン

私の愛する双子の娘のアリス・トリニティ・バレンタインの親子が

幸せに暮らしているこちら側(バイオ)の世界は破壊されて居場所を失ってしまう!!

いいか!よく聞け!私と君とあの『のぴ』って子の力と他にも大勢の人々の力!

それだけじゃない!『守りし者』として闘った大勢の魔戒騎士や魔戒法師の英霊達!!

魔女王ホラー・ルシファー!!ジル・バレンタイン

リヴァイアのゲラルド!フィリパ・エイルハート!

偶然にも巻き込まれてしまったユーチューバーのフィッシャーズ!!

まだまだ大勢いるぞ魔女王ホラー・ルシファーの力を持つ

HCF(ハイ・キャプチャー・フォース)の男のエア・マドセン!

自らの油断の為に今回の一連の『静かなる丘・サイレントヒル』の怪異事件を

引き起こす最初のトリガー(引き金)になってしまい

責任を感じている魔人フランドール!

他にも『静かなる丘・サイレントヒル』の表世界と裏世界の

創造主となったアレッサ・ギレスピーの転生体のシェリル・モリス・メイソンも!!

アサヒナ探偵事務所のアサヒナ・ルナや怪異事件専門家の鬼島神具!!

そして・・・・闇を切り裂き光をもたらす黄金騎士ガロの冴島鋼牙も

この大事件に臆することなく立ち向かっている!

何も私達だけが孤独のまま闘っているだけじゃないんだ!!

あの儀式によって生き残った人々がそれぞれ自由に!

この超常的な理不尽に抗い続けている!ここで頭を抱えるな!!

クリス!クリス・レッドフィールド!!己が信じる正義の為に!!

この理不尽に抗え!!もう!既に儀式を止める術はあるんだ!!

ドラキュラ伯爵の余りにも必至かつ真剣な魂の訴えに心を動かされた

クリス・レッドフィールドはさっきの弱気な自分に腹が立ちつつも。

思いっきり両手でバシン!と力強く両頬を叩いた。

そして両頬に鋭い痛みが走ったと同時にしっかりと気合を入れ直した。

まさかお前に鼓舞されるとな・・・・OK!やってみよう!」

何もかもが吹っ切れたクリス・レッドフィールドの顔をドラキュラ伯爵は

確認すると「それでこそ!クリス・レッドフィールドだ!」と言った。

クリスはふと何処かでそれを聞いたような気がした。

やがてすぐにやがてそのセリフが直ぐにあの宿敵の

アルバート・ウェスカーのセリフだと言う事に気付いた。

全く・・・粋な奴だ!あいつのセリフを吐くなんて・・・・・。

「私は例え!太陽神テスカトリポカに業火でこの身が焼き尽くされようとも!

命を懸けてジル・バレンタインとアリスと

トリニティと友人と仲間の為に闘うだけだ!」

「いや!それでは駄目だ!お前は少なくとも

ジルとアリスとトリニティの家族としてこの厳しい戦いを共に生き延びて貰うぞ!

俺はあんたを生かして!この戦いに勝つなら何でもしてやる!

もう!ピアーズやイーサンの時のような悲しい出来事を繰り返させない!!

必ずこの戦いに勝つぞ!!」

クリスの言葉に逆に鼓舞されて今まで味わった事の無い物を感じていた。

それはとても暖かい光と呼ぶべきか?あるいは・・・・・・・。

あるいは希望の光・・・。黄金の輝きか?

もしかして?これこそが?人間達が持つ観測の力?

そして・・・・『絆』の力なのか?私の心にも!!

外神ホラー・ニャルラトホテプの化身の邪悪で血に飢えた野獣の

原始的な本能とも全く異なるもの人が持つ希望の光か?

これが?かつての向こう側(バイオ)の世界の魔戒法師の里の

閑岱の土地で冴島鋼牙と一騎打ちをした時に。私は・・・・。

ジル・バレンタインの前世のジャンヌ・ダルクを目の前で奪い取った復讐の為に

彼らを悲しませて絶望の淵に落とす為に私は大勢の魔戒騎士や魔戒法師を惨殺した。

更に私はクリスの目の前でジルを奪い取った。全ては復讐の為に。

しかし冴島鋼牙はかつて同じような間違いを犯して復讐の為に自ら鎧を喰わせて

暗黒の淵に身を委ねそうになった時も彼の友人の

銀牙騎士ゼロ・鈴村零に助けられていた。

そして彼の周りには愛する女性がいた。

しかし・・・・私は独りだった。きっと若村秀和の同じだろう。

私が『ジル・ジャンヌを幸せにできたのか?』を彼に質問した時に彼は・・・・。

冴島鋼牙は答えなかった。それが何故なのか?分かった気がする。
私はジャンヌも転生体のジルさえも幸せに出来なかった。

だからこそ!私は!!せめて現世の向こう側(バイオ)の世界での何気ない日常を。

人々と彼女や娘の人間らしい日常生活が送れる今の世を守らなければならないのだ!

それが私がここへ来た理由!!私の存在理由なのだ!!

クリス・レッドフィールドも同じだろう!!

クリス・レッドフィールドもまた彼のように同じ気持ちだった。

俺も大切な人のジル・バレンタインとドラキュラ伯爵の娘の

アリス・トリニティ・バレンタインの住んでいる

こちら側(バイオ)の世界での何気ない日常と大勢の一般市民。

世界中の人々の人間らしい日常を送れる今の世を!

そして。ドラキュラ伯爵も!今度こそ!全て守り切ってやるんだ!!

こうしてかつて敵同士だったドラキュラ伯爵と

クリス・レッドフィールドはお互いの目的の為に協力し合い。

そして二人の間に太陽の様に熱い友情が芽生えた。

同時にパリン!とクリスの心のガラスが割れる音がした。

続けて彼の脳裏に一枚のカード。タロットカードが浮かんだ。

そのタロットカードは『太陽』だった。続けて自分の心の声が聞こえて来た。

『汝は我。我は汝。汝の心の中により、新たな絆『太陽』を見出したり。

そして『太陽』の絆の力により『太陽の最奥の扉』を開かれたり。

汝に究極の『太陽』の力『クトゥグァ』の力を授けん!」と。

「『クトゥグァ』?なんだそれは?」と変えは首を傾げた。

するとドラキュラ伯爵は皮肉交じりにこうつぶやいた。

「成程。ニャルラトホテプと敵対して私の化身のひとつが潜んでいた

ンガイの森を焼き尽くした旧支配者が彼のペルソナになったか・・・・」と。

つまり私と彼は和解したか訳か?おもしろい!!

 

(第29章に続く)

2021年最後。12月31日(金曜日)読者の皆さんよいお年を。