(第34章)有り得たかもしれないもうひとつの結末・バッドエンド

(第34章)有り得たかもしれないもうひとつの結末・バッドエンド

 

十六夜咲夜(いざよいさくや)はあの真っ赤に輝く

コア(核)の内部から大勢の男達の声がした。

私は虚ろな瞳のまま「みんなが呼んでいる」と独り言のようにつぶやいた。

私はコア(核)の穴の中に入って行った。

でもしばらくしてふと我に返った。

そして気が付くと私はまたイリスオブジェクトの

真っ赤なコア(核)の上に立っていた。

更にもっと過去の前々回のループの記憶を思い出そうとした。

しかし頭痛がした。そのループの記憶は全く思い出せなかった。

自分が天魔ゼルエルの力も元々持っていた

『時間を操る程度の能力』も完全に封じられてしまい。

何も出来ぬままイリスオブジェクトの真っ赤なコア(核)

の中に完全に閉じ込められている間の記憶しか全く思い出せなかった。

しかし自分が太陽神テスカトリポカに殺害される若村秀和と

反メディア団体ケリヴァーのメンバー達の

断末魔を長々と長々と聞いた事を思い出した。

彼女は怖くなった。

そして咲夜は最近の前回のループの記憶を取り戻した。

最近の前回のループの時間軸で太陽神テスカトリポカが

若村秀和と反メディア団体ケリヴァーの悪霊を

火炎属性魔法特大威力ブラッディローズで焼き払った光景を思い出した。

のぴと同じく咲夜も全身を震わせていた。

のぴの顔色を見ると確かに顔面蒼白だった。

さらに太陽神テスカトリポカはのぴにゆっくりと近付いて行った。

一方で咲夜は途切れ途切れに前回の何処かのループの記憶を思い出していた。

『運命によりアメリカに来日した『おこさまぷれーと達』。

『生命と確約を宣言する太陽神テスカトリポカ』。

『おこさまぷれーとのメンバーのちゃきとゆいにゃとりあら達』。

『太陽神テスカトリポカに毒殺されるヘンリック・ターナの哀れな最後』。

『正気を失い発狂して絶叫するおこさまぷれーとのメンバー達』。

『虚空の女王イリスが殺せない存在で生命そのものだと言う』。

『14歳の女の子の霧島マナが閉じ込められているヱヴァンゲリヲン4号機の

コア(核)を見つけた。とおこさまぷれーとのしゅがーと話している事』。

『間に合わないと言う霧島マナの言葉』。

『私はショッキングな彼女の言葉に何度も絶望した事を』。

しかしマナは『運命の輪なら必ず見つけられると言った。』。

本当にループの記憶の断片かただの夢かどうかさえ分からなかった。

のぴも前回のループの記憶で自分の能力を思い出していた。

そうだ!私は!『死を殺し続ける存在』。

太古の昔から転生を繰り返す存在。

私は『死』や自分自身や大勢の人々が自然に抱く『死にたい』という

欲望を殺し続けて人類滅亡の処理を行う『死』を永遠に殺し続ける者。

だから私は『死』を殺し続けている。私の力がある限り私は決して倒れないッ!!

ここで屈しない!しかし彼女の心には不安が渦巻いていた。

直ぐに若村秀和と反メディア団体ケリヴァーの悪霊の集合体を完全に抹殺した後。

太陽神テスカトリポカはあっと言う間にのぴの目と鼻の先まで接近した。

のぴは危険を本能的に察知して『正義』メルキセデクに変身しようとした。

太陽神テスカトリポカは両瞳を真っ赤に輝かせた。

同時にのぴ『正義』メルキセデクの変身能力を

太陽神本来の力を利用して魔封状態にしてしまった。

これによりのぴは完全に『正義』メルキセデクに変身出来なくなってしまった。

太陽神テスカトリポカはのぴを吸収しようとした。

「無駄じゃ!汝はもう逃げられぬ!!これで終わりじゃ!」

次の瞬間、太陽神テスカトリポカの足元からブワアアアッ!

と赤と青に輝くカビのようなものが沸き上がってきた。

同時に赤と青に輝くカビのようなものが瞬く間にのぴの足元から両脚から

胴体から両腕と両手も顔面も頭髪も全て覆い尽くした。

たちまちのぴの視界は赤と青に輝く光で染まり尽くされた。

「うっ!うわあああああっ!ああああああっ!あああっ!あああああああっ!!」

そして瞬時にのぴの肉体は赤と青に輝く液体となって人型を失い崩壊した。

とうとう残ったのは彼女が生前着ていた衣服のみが

綺麗な状態で床に落ちていたのだった。

しかも床には僅かに赤と青に輝くシミが付着していた。

こうして太陽神テスカトリポカはのぴの肉体と魂ごと

『ネガブドネザルの鍵』を自らの胸部に吸収したと同時に『のぴ』の全ての

宇宙と世界の自然法則のプログラムをいとも簡単に支配権を手中に収めた。

続けて太陽神テスカトリポカは未だに怯えている十六夜咲夜(いざよいさくや)

の方を見た。「さて!のぴの『ネガブドネザルの鍵』は手に入れた!!

咲夜よ!汝の胎内に欠けた心の虹の女神イーリスの胎児を我に納めるのだ!!」

咲夜は絶望と恐怖でその場を動けずにいた。しかしすぐにある事を思い出して

自分の能力である『時を操る程度の能力』で時間を停止させようとした。

しかし幾らパチッパチッパチッと指を鳴らしても一切反応は無かった。

「無駄じゃ!ここは柳星張の宇宙の負のエネルギの力で完全に封じられておる。

ここはディラックの海。現実(リアル)と

幻想郷の虚ろな暗黒の時の流れとは異なるのだ。

咲夜は自分の能力を完全に封じられてしまい逃げる事が出来なかった。

太陽神テスカトリポカは同時に十六夜咲夜は急に頭痛を感じた。

「うっ!ああっ!ああううっ!何?あっ!いやっ!私の中に入ってこないでえっ!」

彼女は苦しそうに両手で頭を押さえて激しく呻いた。

「やめてぇっ!入らないでえええっ!出て行ってえええっ!」

咲夜はしばらく太陽神テスカトリポカが

自分の身体の中に入るのに必死に抵抗し続けた。

やがて「うっ!」と小さく唸り、たちまち彼女に精神を乗っ取られた。

太陽神テスカトリポカは虚ろな表情の咲夜を自分の思うように自由に操った。

咲夜は太陽神テスカトリポカに操られるようにメイドドレスを。

そして下着を脱いだ。

太陽神テスカトリポカは「咲夜は美しいのう・・・」とうっとりした表情で言った。

彼女は自らの右腕を伸ばして右掌を咲夜の張りのある丸い両乳房の

浅い谷間の肌に触れた。その瞬間、彼女の掌はズブズブと

咲夜の張りのある丸い浅い胸の谷間の白い肌の中に一気に沈み込んで行った。

やがて太陽神テスカトリポカの右掌がゆっくりと下へ下へと降りて行った。

それは深い胸の谷間からゆっくりと臍の辺りから下腹部の

虹の女神イーリスの胎児のいる下腹部まで移動させた。

咲夜は瞳を閉じて、両頬を紅潮させた。

彼女は思わず短い声で「あっ!」と高い声で喘いだ。

その瞬間、目の前が真っ白になった。

咲夜の脳裏に紅魔館の一室での出来事を思い出した。

「あっ!はっ!そんな・・・・どうして?!貴方が幻想郷の紅魔館にいて?あうっ!」

「さあ!咲夜よ!外神ホラー・イリスの宿る

イリスオブジェクトまでのぴと我を導くのだ!

汝は既に我とセックスをして。そのお腹に宿った

虹の女神イーリスの胎児は間違い無く我と汝の娘。

汝こそ正当な継承者なのだ!

我は『サトル・ユウマ』と『聖母マリア』がセックスをして

お腹の子供を宿した虹の女神イーリスの胎児を知っている。

我は人間の生殖行動のセックスのやり方を学習した。

我は人間達が行う生殖方法の知識を身に着けた。

そしてここよりも過去に遡り。

汝が魔獣新生多神連合の冥王ホラー・サウロンによって

こちら側(バイオ)の世界へと連れ去られる1週間前に来て!

正当な継承者として我と汝はお互いの肉欲の求めるがままセックスをした。

つまりもう汝のお腹には2匹目の虹の女神イーリスの胎児は存在していたのだ!

フッ!あのリヴィアのゲラルドも

フィリパ・エイルハートも烈花法師も迂闊だったのう。

そしてサトル・ユウマが行った不完全な『21の新約の秘跡』は

我の知識を得る手段に過ぎぬ故に

人間の生殖行動のセックスのさえ学習できればもはや用済みじゃ!

だからわざと自然の調和を乱して彼ら彼女らが手を下すまでも無く

失敗するように仕組んでおいた。

結果、儀式自体は失敗してしまった。

我の全ての計画通りに。

聖母マリア』の子供は何の変哲も無い普通の人間の子供となった。

元々母親役だった汝が神の兵力で『オペラ座の怪人・サトルユウマ』の偶像と

真の肉体を殲滅する事で十六夜咲夜(いざよいさくや)。

つまり汝が正当な継承者となり、真の母親となったのだ。

あれはその為の儀式だった。」

太陽神テスカトリポカはパチッと指を鳴らして咲夜の精神支配から解放した。

同時に咲夜は精神聖杯を解放された事で虚ろな瞳は元の輝きを取り戻した。

そして彼女は我に返り、正気に戻った。しかしその怯えていた表情は消えていた。

彼女は操られている間にも太陽神テスカトリポカが自らの口で語った真実と彼女こそ

が自分の夫であり、妻である事に気付いた。そして思わず喜びの涙を流した。

しかし喜びを感じる一方で不意に強い悲しみの感情も沸き上がった。

レミリアお嬢様。御免なさい!」と小さくつぶやくように謝罪した。

「安心しろ。儀式を終えたら肉体を再生させて幻想郷に帰してやる!!」

やがて咲夜はふわりと宙へ待った。

まるで風に煽られた木の葉のように。

彼女はまるで結婚したばかりの自分の夫であり妻でもある太陽神テスカトリポカを

買ったばかりの新居に案内するかの様に上へ上へと引っ張って行った。

続けて十六夜咲夜(いざよいさくや)は太陽神テスカトリポカとのぴの魂を

導くかのようにイリス・オブジェクトのコア(核)の前に宙に浮いた状態で静止した。

「もう誰も我を止められぬ者はおらぬ!私の勝ちじゃ!この時間軸ではな!」

十六夜咲夜は太陽神テスカトリポカを連れてイリスオブジェクトの

真っ赤なコアが左右に大きく円形に開いた穴に接近した。

そしてイリスオブジェクトの真っ赤なコア(核)の円形の穴に

咲夜は顔からそのまま太陽神テスカトリポカと共にバクッ!

と美しい白い肌の裸体は完全に飲み込まれて行った。

咲夜は静かな口調で「ただいま」とつぶやいた。

イリスオブジェクトも「おかえりなさい」と答えた。

同時にイリスオブジェクトは完全に目覚め、外神ホラー・イリスとなった。

外神ホラー・イリスは天を仰いだ。

そして一気に頭上の天使の輪と全身が真っ赤に輝いた。

高熱の円形の衝撃波を連続で放った。

完全な世界の終わりを告げる第4のラッパから再び始まり。

続けて第5のラッパ。第6のラッパ。第7のラッパ。

連続で放たれた衝撃波は現実(リアル)の現世のこちら側(バイオ)の

世界のアメリカ合衆国を中心に地球上の全ての大陸と海全体の拡散して包まれた。

そしてほとんどの人類は人間の感覚で言う『死』に覆い尽くされて行った。

大勢の人々の魂は若村秀和の意志とは異なり、生と死の境の三途の川に

着くと全て黒き月に包まれるように消えて行った。

やがて外神ホラー・イリスは現世・現実(リアル)のこちら側(バイオ)の

世界にゲート(門」を通り出現した。同時に天空に黒き月も出現した。

外神ホラー・イリスは頭上に黒き月を掲げた。

やがて超巨大な黒き月の中央に十字の切れ目が現れた。

続けて超巨大な黒き月の中央が完全に大きく開いた。

続けて解放された大勢の人々の死を迎えた魂達は妊娠した若い女性達の

子宮に宿りSHB(サイレントヒルベイビー)として転生して行った。

また世界は大都市や工場と言った人間社会の文明社会は粒子化して消え去った。

代わりに自然の木々や山や動物に満ちた自然が書き換えられるように現れた。

十六夜咲夜とのぴは太陽神テスカトリポカの胎内から魂のみの状態で古き自分達の

こちら側(バイオ)の世界が瞬く間に書き換えられて行くのを黙って眺め続けた。

もう自分にはどうしようも出来ない無力さを噛み締めながら・・・。

終わり行く古き世界に2人は涙を流して別れを告げた。

さらに外神ホラー・イリスは現世のこちら側(バイオ)の世界を

全て新しい世界へと書き換えると新しい世界の緑の芝生の上に着地した。

外神ホラー・イリスは太陽神テスカトリポカと胎内にある『ネガブドネザルの鍵』

と『虹の女神イーリスの胎児』力を自らの意志に従い。

旧人類の若い女性達とSHB(サイレントヒルベイビー)を

妊娠した事を確認して彼女は自らの目的を達成できて満足な表情をした。

太陽神テスカトリポカは約束通りにのぴと咲夜の肉体を元通りに再生させた。

更に太陽神テスカトリポカは元通りに再生させたのぴと咲夜の肉体に

2つの彼女達の魂とアストラル体を吹き込んだ。

やがてのぴと咲夜は静かに瞼を開けた。

目覚めたのぴは「あれ?」とぼうぜんとした表情となっていた。

それに対して咲夜は太陽神テスカトリポカに自らどんどん接近した。

咲夜は太陽神テスカトリポカの両方に触れた。

続けて咲夜は太陽神テスカトリポカのピンク色の唇に自らの唇を重ねた。

更に咲夜は太陽神テスカトリポカの口内に自らのピンク色の舌を入れた。

するとー。太陽神テスカトリポカもそれに呼応するように自らの舌を入れた。

しばらく二人はディープキスそしてお互いの唾液と舌を絡ませ続けた。

「うううっ!ううううっうっ!ううんっ!うっ!うっ!うっ!ううっ!」

大きく唸り続ける十六夜咲夜(いざよいさくや)。

「んんっうふっ!うううっ!うううんっ!

うううっぐううっ!ぐううっ!うううっぐううっ!」

まるで野獣のような唸り声を上げる太陽神テスカトリポカ。

それを見ていたのぴは引いてしまい後退した。

「えっ?どうして?そいつ?敵でしょ?なんで???」

彼女は顔面を蒼白させていやいや首を左右に振った。

十六夜咲夜はゆっくりと太陽神テスカトリポカからのぴに視線を移した。

彼女の瞳はオッドアイで右目が真っ青。左目が真っ赤に妖しく輝いていた。

咲夜は静かに口元を緩ませた。うふふふふっ!と妖艶に笑い始めた。

「私は本来は『静かなる丘・サイレントヒル』の

裏世界に閉じ込められていたリサ・ガーランドの分霊であり、娘。

本当の私の居場所は太陽神テスカトリポカの楽園なのよ。」

「違うっ!貴方の居場所は!!本当は・・・・違う筈だよ!!」とのぴ。

「いいえ」と咲夜は首を左右に振った。

「本当は違っていたのよ!私は月の佐久名姫でも無かったのだから!!」

「いいの?それでかつての仲間達の主人や家族の元に帰らないの?!」

「いいのよ!貴方はどうするの?

早く『おこさまぷれーと』の仲間達の元へ帰らないの?!

きっとこの太陽神テスカトリポカの楽園の何処かに必ずいる筈よ!」

咲夜の言葉にのぴは落ち込んだ表情となった。

彼女は咲夜を心底嫌いになった。

何故なら?仲間を裏切ったからからだ。

それは怒りに変わった。

「もう。いいよ。いいよ。貴方がそうしたいならすれば!?

私は決して仲間なんか!絶対裏切らない!

もういいよ!咲夜が仲間の元に帰らないのならさ!!
私は絶対に!ぜーつたいに!仲間なんか裏切らないんだからね!!」

「この世界では人間社会の常識はもう存在しない。

ここは混沌(カオス)の世界。裏切りも仲間を大事にするのも自由の世界なのよ。」

太陽神テスカトリポカと十六夜咲夜はのぴに向かって優しいまなざしを向けた。

彼女は威厳のある声でこう話し始めた。

「私は人間達や原初に戻った十六夜咲夜を愛しておる。我の妻として。

しかしかと言って怒り狂ったのぴを捨てたりせぬ。それが自由だから。」

「私はこの混沌の世界の全人類の『イヴ』となるのよ。彼女は『アダム』なのよ。」

咲夜は前の前が再び真っ白になった途端に本来の在るべき家族の記憶を思い出した。

「そう。私は幻想郷の紅魔館の主のレミリア・スカーレット様。

主人の親友のパチェリー・ノーレッジ。小悪魔達とメイド妖精達。

居眠り門番の。私のかけがえの無い家族。

私にとって帰るべき居場所。私にも本来帰るべき家も。

咲夜はふと右側に気配を感じて振り向くとすぐ隣に我に返ったのぴが立っていた。

咲夜はのぴに静かな口調で「ねえ?」と呼びかけてある質問を投げかけた。

貴方の帰るべき場所は?家族は?友人は?」と。

のぴは嬉しそうな表情の後に力強く答えた。

 

(第35章に続く)