(第45章)闘いの終わり

(第45章)闘いの終わり

 

リサと共に魔人フランドール、エア、鋼牙は真っ赤な太陽の聖環をくぐった。

その直後、太陽神テスカトリポカと天魔ヴァルティエルが

創造した真っ赤に輝く異空間が完全に消滅した。

3人は目の前が真っ赤に輝いて何も見えなくなった。

「早く!早く!引き上げて!急いで!」

シェリル刑事は大きな円形の分厚い鏡からバシャン!と

水の音を立てて飛び出して来たエア、鋼牙、魔人フランドールを

シェリル刑事の呼びかけで大慌てでシルク、ンダホ、ダーマ、モトキは

3人を上半身を両手で掴んで一気に引き上げた。

さらにシェリル刑事は大声で全員に呼び掛けた。

「早く!離れて!早く早く!壊れるわ!急いで!怪我するわよ!」

それからダーマとモトキはエアを抱えてンダホとシルクは鋼牙を抱きかかえた。

さらに元の姿の10歳未満の少女に戻った魔人フランドールをブリーが

しっかりと抱きかかえた。アリー、フィッシャーズメンバー。

男子高生達は大慌てで円形の外側に離れた全速力で逃げ出した。

同時に大きな騒がしい爆発音と共に鏡が粉々に粉砕された。

バゴオオオン!とまるで地震でも起こったかのように

粉々に粉砕された鏡の破片は大きな柱になっていた。

やがて大量の鏡の破片は空中で消え失せた。

それを全員呆然とした表情で見ていた。

エイダと鳴葉は地上に無事帰ってきたエアと鋼牙と魔人フランドールに駆け寄った。

「大丈夫!しっかりして!」

「しっかり!ああ!何てこと!」

エイダと鳴葉はエアの腹部を見て余りの酷さに唖然とした。

そうエアの腹部は真っ赤に焼け焦げていた。

さらに僅かながら焼け焦げた肉の匂いと共に煙が

腹部のあっちこっちから立ち昇っていた。

「クソっ!何があったのよ!」と心配でたまらないエイダが悪態をついた。

すると仰向けに緑の芝生の上に倒れたままエアは

ゆっくりと笑いかけてエイダと鳴葉にこう言った。
「いや!復活した太陽神テスカトリポカに良い感じの強力な

電撃キックをまともに食らって!結構喰らっちゃって・・・・」

それからエアは自分の服からフラウロスを取り出して右腕に乗せた。

それから左手でグッドをするとこう言った。

「いいセンスだ!」

するとエイダが呆れた表情で首を左右に振りこう言った。

「もう!何が『いいセンスだ!』よ!死にかけたのよ!全く!」

鳴葉はどこか呆れたのやら安心したやらの表情で笑いかけてこう言った。

「とりあえず!大丈夫かしら?傷の方は??」

腹部に大火傷を負ったエア・マドセンはすぐに

SCP財団が建設した医療用テントに運んだ。
しかも医師の診断の結果は第3熱傷だった。

幸いにも内臓の損傷は細胞内の賢者の石の力によって防がれていた。

取り合えず組織障害は腹部の表皮に限定されていた。

勿論、エアの左頬の皮膚から取り出した細胞の一部を利用して

人工の皮膚を作り、腹部の焼け焦げた皮膚組織を全て取り除いた。

その上で人工の皮膚を移植した後にガーゼで固定した。

ちなみに担当した医師からは「火傷の跡は残ってしまう」と

本人と同伴者のエイダに説明された。

しかし当の本人のエアは別に構わなかった。

とりあえず生きて。食べてトイレできて。

子作りできれば十分だと思った。

いや。何を思っているんだ?まあーいいか?

それからしばらくはエアは久しぶりのふかふかの白いベッドの上でまどろんでいた。

とりあえず疲れたから寝ようかな・・・。ふーつ・・・・。

エアはゆっくりと瞼を閉じ体力を回復させるために眠った。

エイダと鳴葉と鋼牙はシェリル刑事から色々聞いた。

エイダはシェリル刑事の正体を直ぐに悟った。

しかし鳴葉がいるのといちいち個人のプライベートには

干渉しない自分のルールに従ってこれ以上彼女の正体を追求しなかった。

「TOUHPARK』のダリアとアレッサが住んでいた家の空地の緑の芝生の

ど真ん中に真っ白な分厚い装甲に覆われたティラノサウルスの巨大生物が

完全に機能を停止させて立っていた。

エイダはその巨大生物の姿形がエアの部屋に飾ってあったタカラトミー

おもちゃのゾイドバーサークフューラーにそっくりだと言う事に気付いた。

そっくり!むしろ正確に模倣している!

ちなみに大勢の女の子はコア(核)にされていた。

しかしコア(核)から解放されたその大勢の女の子は現在は全員無事保護された。

しかも都合の良い事にその大勢の女の子の記憶は何者かの超常的な力によって

強引に書き換えられたらしい事がSCP財団の研究員の調査で明らかとなった。

つまりケリヴァーミショナリーの大群を喰い尽くした記憶は抹消されているようだ。

恐らく原始的な本来の機能が完全に停止して

元の人間の制約に戻っただけだと判明した。

つまりもう少しわかりやすく言うなら元の普通の人間に戻ったのだと。

しかしSCP財団の研究員の更なる調査によると現在も彼女の肉体の遺伝子やDNAは

多数外部から吸収して取り込み、体内の構造は複雑なまま放置されているそうだ。

それからエイダはHCFセヴァストポリ研究所から端末機で久しぶりに連絡が来た。

その為、エイダは「ちょっと!失礼!」

と全員に言うと人目の付かない場所へ移動した。

エイダは無線端末機に出た。

「もしもし?エイダよ!久しぶりね!随分長い時間がたってた気がするわ!マット!」

すると無線端末機から懐かしい仲間のHCFセヴァストポリ研究所の

保安部隊委の隊員の一人のマッドの声が久しぶりに聞えて来た。

「こちら!マッド!えーと怪異天使レギオンの大群は世界各地で胎児か

猫の様に丸くなって機能停止しています!

勿論、HCFセヴァストポリ研究所内で暴れていたアダムも胎児の様に

丸まって眠りについた状態で機能停止中です。

だけどエイダさんとエアさんが怪異天使レギオンの大群を操っていたと思われる

太陽神テスカトリポカが封印された事でアダムは。そのアダムの子か。

完全に神の力を失ったか分からないけど。全員の神の力が休眠したんだと思う。

俺も正直信じられないが。唯一アダムの子だけが何の変哲の無い元の人間に戻った。

しかももっと不可解なのが怪異天使レギオンの大群とアダムの子が

暴れている間の記憶が完全に消失していたんだ。

だから今まで町を破壊して男達を

殺害した記憶も最初から何もなかった事にされている。

あとどうやらHCFセヴァストポリ研究所の建物や敷地内の周囲に

真っ赤に輝く太陽の聖環が無数に集まった三面体の箱のようなものに閉じ込められて。

気が付いたら結界の外に真っ赤な光が射していて。

周りの緑色の芝生に隠れていた小動物が・・・・。

パシャリとオレンジ色の液体になったんだ。あれはマジでゾッとした。

でも結界の中にいる俺達やHCFの仲間達はオレンジ色の液体にならずに無事だった。

人間の姿形を保っていた。

あれは何かの呪術的結界で俺達や仲間達を守護していたらしい。

あと似たようなものがシェリル刑事からも発信されていたらしい。

だからフィッシャーズもSCP財団も女子高生や男子高生達や

鳴葉も人の形を留めて無事だったようだ。

さらにあともう少し詳しく話を聞くのを約束した後にさらにマッドは話の続きをした。

現在、BSAAとブルーアンブレラ社が

彼女を保護して彼女達を保護して調査と止む負えず

隔離処置をしているそうだ。

少なくとも大勢の怪異天使レギオンの大群を。

アダムの子は俺達HCFのアッシュ博士と

医療スタッフと保安部隊と警備部隊が管理調査。

隔離して様子を見ている。あとは全米各地に広がったリビド・ストランディング

(性の座礁)は完全に消失した。同時にツイスデッドヘリックス、ワンバック

濃い霧の入道雲と共に完全に現実世界から異世界と共に完全に消え去った。

勿論、他のクリーチャーと共に。あと各地で頻発していた赤い血と

錆の裏世界も消え去っている。つまり現実(リアル)の世界と異世界

完全にシャットダウンされた。もう繋がる事は無いと思う。」

「そう!それは良かった!それで全米各地。

世界各地でSHB(サイレントヒルベイビー)を妊娠した女性達はどのくらい居そう?」

「正確にはまだ調査中で分かりません。

推測で普通の30代の社会人女性と最近有名になりつつある『スーパーフラッパー』

って名前の全く新しい女性像に憧れた主に20代の成人女性を含めて

約1800万人以上に昇るかと思います。主に世界47ケ所で」

「成程!かなりの数ですね!神様は色々やらかしてくれたわね」

「ハハハッ!全くですよ!それとクライアントのサンプルは?」

「もちろんあるわよ!後はクライアントに届けるだけ!

今は人が多過ぎるから詳しくは話せないが戻ったらね!」

それからふとエイダ・ウォンは鳴葉と自分を守ってくれた

ゴールドピラミッドシング事、破壊神ミカエルが気になった。

彼はあの教会から脱出した後にケリヴァーミショナリー達を捕食した

大勢の女性達が寄り集まってコア(核)になって飛び去った時に

彼がその行き先がフィッシャーズのキャンピングカーとS

CP財団の特殊車両とスクールバスのある『TOUTHPARK』

のかつてダリアとアレッサが住んでいた家のあった

空き地へ向かった事を教えてくれた。

更に彼はミカエルソードを一振りして時空の歪みを作り出した。

彼はこう言った。「君達の助けを待つ者がいる」と。

それから私達はゴールドピラミッドシング事、破壊神ミカエルに感謝した。

エイダと鳴葉は時空に歪みを通り『TOUTHPARK』のかつて

ダリアとアレッサが住んでいた空地にワープして

到着する頃にはゴールドピラミッドシング事、

破壊神ミカエルの姿は影も形も消え失せていた。

それからエイダと鳴葉はフィッシャーズとSCP財団、スクールバスの

男子高生と女子高生、避難して来たアリーや

はるかまゆみ達やリサ・ガーランドと協力して空から飛来して来た

バーサークフューラそっくりのティラノサウルスの巨大生物を

相手に武器を持って迎え撃った。

それをエイダは思い出し、何となく感動して、ちょびっと泣いた。

「じゃ!そろそろ切るわね!誰かに観られてもマズイし!」

「OK!では!本部で待っています!グーフィ博士も待ちかねている!」

「はーい!分かったわ!」と答えてエイダは無線を切った。

そして完全に機能停止しているバーサークフューラーそっくりの

ティラノサウルスの巨大生物を改めて全体を見た。

今とても精巧なプラモデルの模型に見えた。

今にして思えばこんなものを創造する太陽神も凄いなと思った。

一方、別の場所では鳴葉は真剣な表情でシェリル刑事に向き合っていた。

そして色々悩み迷った末に覚悟してしっかりと決めた。

彼女は両腕を伸ばして両手を彼女に差し出してこう言った。

「私は『静かなる丘・サイレントヒル』で人を殺しました。

親友のヴァイオレット・ネズリーです。私はトルーカー湖で彼女を刺殺しました。

それから証拠隠滅の為に白い袋に詰め込んで湖の中に投げ入れました。

あの時は無我夢中だったので何処から投げたか覚えていません。

ですがトルーカー湖のそこを調べれたら必ずあるはずです!

お願いです!彼女を探して無念を私の憎悪で悪霊になって湖を彷徨う前に!

どうか!どうか!どうか!お願いです!彼女を遺族のもとに返してあげて下さいッ!」

それをシェリル刑事は黙ってしっかりと聞いていた。

やがて静かに優しくゆっくりとまるで母親のような穏やかな口調でこう語り掛けた。

「それじゃ!自分自身で犯した罪はきちんと認めて罰を受けて償うのね?」

「はい!殺人の罪を認めて償います!」

それからシェリル刑事は「午前6時40分!殺人の容疑で逮捕します!」

鳴葉にカチャッと銀の手錠をしっかりと掛けた。

すると鳴葉は驚いたように空を見た。既に夏場であるだろう。

太陽は昇って暗闇の外は既に青く明るくなっていた。
「もう・・・・一日も経っちゃったんでですね。」

「ええ、異世界の外の現実(リアル)の一日は早いものね!」

鳴葉とシェリルは遠い目をしていた。

 

(第46章に続く)