(第24章)自己進化するBOW(生物兵器)

(第24章)自己進化するBOW(生物兵器

 

双葉は充電切れになって自分が眠る前にまた他の色々なデータを漁り始めた。

そこに例のDOOPの潜水艦と深海基地での暴走事件と同じ行動や習性を

行いながら例の調査の深海基地での長峰氏やロックリー博士による復活と

再起動により真っ先にロックリー氏の生徒の前に

(大学生及び研究員やスタッフや職員達)が現れて

何度も何度も襲撃している様子が各場所の彼女達の自室の

金属の壁を通してそのDOOP(ドォープ)の原種のモルぺウスは

出現していたという記録が多数残されていた。

その姿形はギャオスとイリスとも似ているようにも見えた。

DOOP(ドォープ)の原型のモルぺウスは背中からバサッと三角形の形をした

4対の長い羽根のようなものを天井近くまで伸ばし、左右に展開させた。

モルぺウスは三角形の頭部と2対の三角形の角をぱきぱきとゆっくりと伸ばした。

胸部は2対の青緑色の発光体と周囲の小さな発光体を輝かせた。

やがて胸部の中央がガバッと開き、真っ赤に輝くコア(核)が露出した。

また4対の翅の他に巨大な三角形の真っ白に輝く蛾の翅を更に左右に大きく広げた。

そして無数の毛に覆われた4つの妖しい光を放つ2対の触手を伸ばすと周囲に変異した

性フェロモンを散布した。それがヒトリガの習性によく似ていた。

更に下半身からは8対の鋭利な槍状の途中に赤い関節を持ち、

曲がる細長い蜘蛛に似た脚を左右に開いて自室の床から素早く起き上がった。

そしてベットの上で怯えている女子大生にゆっくりと接近していった。

モルぺウスは露出させた真っ赤に輝くコア(核)

を胸部の中央の外骨格が閉じてしまった。

やがてモルぺウスは今度は頭部の三角形が

ガバッと4対の三角形の花弁のように展開した。

そして中心の銀色の球体の内部からシュルシュルと銀色に

細長い触手を6本伸ばしたのだった。

先端からは丸い球体を次々と露出させた。

続けて素早く伸ばして彼女の首と両腕と両脚を二重に巻き付けて拘束した。

さらに2本の内の1本をシュルシュルグニャリとしならせて伸ばして行った。

伸ばした触手はそのまま女子大生の張りのあるお尻から白衣のスカートの

中へと伸ばして行った。やがて女性大生は「あっ!はっ!あんっ!」と短く喘いだ。

同時に張りある掌サイズの一回り大きな白衣と白いシャツに覆われた丸い両胸を

目にも止まらぬ速さで上下左右にプルプルと震わせて揺らし続けた。

両首筋まで伸びた茶色と金色の混じったショートヘアを前後に揺らした。

短く太く細長い眉毛をハの字にして額にしわを寄せていた。

更に驚きで澄んだ青い瞳を見開き、丸っこい高い鼻をヒクヒクさせた。

ピンク色の唇を震わせて張りのあるふっくらとした両頬と

髪の間から見えた両耳を紅潮させて浅い胸の谷間も紅潮させた。

モルぺウスは背中を大きく左右に開いて餃子のひだ状に大きく変形していた。

モルぺウスはロッキー・レヴィを高々と天井に持ち上げた。

モルぺウスは背中の捕食器官にまで運ぶと一気にロッキー・レヴィの

華奢な身体をバクンと飲み込み、捕食した。やがて大量の銀色の粘液と

ひとまとめにされた白衣や黒いブラジャーと

穴の開いたパンツが天井に排出されていた。

やがて生前に着ていた衣服が天井に張り付いていた。

「う・・・・わ・・・・」と双葉は絶句してしまった。

それでも何とか気を取り直して彼女はキーボードを指で叩いた。

次の瞬間、いきなり天井裏がカタカタと揺れる物音がした。

元々静かで音がひとつも立っていない状態だった為、余計大きく派手に聞こえた。

「ひいっ!なんにゃあ?ネコかああっ?!」と双葉は体を丸めてビクンとした。

そして天井裏からオレンジの縞模様の猫が近くの机の上に華麗に着地すると

たったったったったっと素早く自室の入り口から出て行った。

「おっ・・・脅かすなよ・・・・ジョーンズううう・・・・」

涙目で双葉は逃げ去るジョーンズの小さな猫の背中を見送った。

 

ニューヨーク市内の一般社会福祉法人コラボの事務所ビルの玄関を私服で

張り込みをしている一人の若い日本人の成人女性がいた。

彼女の名前は御影真で心の怪盗団ザ・レミリアスカーレットの参謀担当である。

彼女は再び活動を再開したと言う噂を聞きつけてあの男である『』が高校時代に立ち上げた心の怪盗団専用のホームページ『怪盗お願いチャンネル』のリクエストの

事前調査の為にあの予告状を送った堀口英利氏の次の改心の対象として

真がその男の心が歪んでいるのが明らかなのは分かっていた。

真は更にその男の心の歪みの確信を掴む為、

より詳しく花川昇弁護士の調査を進めていた。

真は物は試しとスマートフォンの復活したばかりのイセカイナビを起動した。

早速、真はキーワードの『一般社会福祉法人コラボ』と

音声で言うとナビのガイドはこう答えた。

『ヒットしませんでした』と。これには真も激しく動揺した。

続けて『花川昇』と検索したがやはりナビは『ヒットしません』と答えた。

「どうして?うーん。明らかにパレスがあってもおかしくない

位に心が歪んでいる筈なのに・・・んっ?

今更『一般社会福祉法人コラボ』でヒット??

でもこれは『花川昇』のパレスじゃない?どうなっているの?これ?」

彼女は首を左右に振り、どうして?と大きな疑問を抱いた。

真はずーっとスマホのイセカイナビのアイコンを見ていた。

そこにいきなり真っ黒な影が覆った。「えっ?」と思わず顔を上に向けた。

すると建物の壁に何かがいたそれは巨大な人間の顔の昆虫のような・・・・・。

彼女はみるみる顔が青白くなって行った。

花川弁護士らしき顔の昆虫は巨大な蜂にも見えた。

しかもビルの壁に四つん這いに張り付いていたのだ!

真は恐怖の余り、口を開けたまま声も上げられなくなっていた。

花川昇弁護士の顔をした巨大な蜂の怪物の口が大きく上下にゆっくりと開いた。

更に口内からにょきにょきと4対の曲がりくねった牙を伸ばした。

さらに花川弁護士の顔をした巨大な蜂の怪物は

ゆっくりと真の顔に向かって迫って行った。

「あ・・・・あ・・・・あ・・・・」と真は声も出せずにその場を動けずにいた。

花川昇弁護士の顔をした巨大な蜂の怪物は

ゆっくりと真の目と鼻の先まで接近してきた。

それから口から4対の曲がりくねった牙をガバッと左右に大きく開いた。

同時に4対の牙の中央から素早く太く長い第2の口をしゅーつと伸ばした。

第2の口はX字型に大きく開き、彼女の口にへばりつき、口を塞いだ。

真は急に口を塞がれて息できずに鼻の穴を大きく膨らませて鼻で呼吸した。

間も無くして口の中に何か円形の塊のようなもの口から喉まで一気に

強引に飲み込まされた嫌な感覚が喉を駆け巡った。

いやその円形の塊は喉の食道の壁に潜り込むような奇妙な違和感に襲われた。

それには思わず真も戦慄してぞわーっと全身の鳥肌が立った。

やがて誠の意識が遠くなり、目がかすみ始めた。

やがて彼女は徐々に意識を失い始め、完全に失神してしまった。

彼女はすぐにパタンと床に仰向けに倒れてしまった。

そして花川昇の顔の巨大な蜂の怪物はビルの建物の壁から

夜の暗闇の中へゆっくりとサーサー消えて行った。

2時間後。失神していた真は「うーん」と唸り、意識が戻った。

そして彼女はようやく仰向けに倒れていた状態から何とか立ち上がった。

「一体何が?ゴホゴホ!うっ!ゴホゴホ!」

真は大きく咳き込んだが特に体に異常がないので仕方無くこの場から離れたのだった。

とにかく気味の悪い場所だと本能的に危険を察知したからである。

 

秘密組織ファミリーの本部に当たる魔獣新生多神連合の

ジョン・C・シモンズの大きな屋敷内にあるジョンの自室では。

例の『死神プロトコル計画』について話した後にさらに

DOOP01の細胞内にある厄介な遺伝子の報告をマルセロ博士はしていた。

「それともうひとつ厄介なものがある。この完成型と思われるDOOP01じゃが。

どうやら自己進化しておるかも知れん!」

「と言うと?」とジョンは聞き返した。

「あやつはDOOP(ドォープ)の力を持ちながらあの

ニュクスと始祖ウィルスの遺伝子情報を取り込んだ事で僅かに自己進化した結果。

染色体構造じゃが少し変化しておる。

幸いにもイリスほどの爆発的な進化ではないものの。

あの深海から回収した野生のDOOPの個体の心臓部のコア(核)の

コアユニットを詳しく分析した結果。

あの覆われた赤い宝石じゃよ。

そのコアユニットの表面は大昔に一夜で

沈んだあの異世界、こちら側(バイオ)とは違う

平行世界(パラレルワールド)のアトランティス大陸に存在していたとされる

オリハルコン』と呼ばれる特殊な金属物質が検出された。

そしてメインはコアユニットの遺伝子をさらに調査と分析を行った結果。」

マルセロ博士は一枚の資料をジョンの机に置いた。

ジョンはその資料を読み始めた。

「ふむふむ。なるほどな。このDOOPのコアユニットの遺伝子とえーと。

つまり初めのネプチューン社の実験台を含む個体と野生の全ての個体は

性別を決める染色体が全てXYの雄である事が分かっている。しかも・・・・」

そのDOOP(ドォープ)の染色体は一対だけだ。」

「勿論、普通の動物や植物ではありえんよ。人間で23対。

鶏で39対。アマガエルで12対。その染色体には。

いや染色体の情報には進化の過程で無駄がない。

でも実際、人間や他の動植物の遺伝子は

全体の90%以上は無駄な部分が多いものじゃ。

しかしDOOP(ドォープ)のコアユニット内の染色体の遺伝子は無駄がないんじゃ。

これがどういう働きをしているかは2つの推論ができる。

ひとつは遺伝子の量が人間どもや動植物に比べれば10分の1しかない。

つまり複製する速度が非常に早くなる可能性がある。

つまり恐らくDOOP【ドォープ】は人間の若い女性と有性生殖したり、

本来の野生に帰り、男性は一切取り込まず。

主に20代の成人女性と融合して取り込んだりを繰り返しながら

複製体の卵や分離した個体を生み出して爆発的に増殖する。

しかも産まれた複製体は初期に速い速度で発育し。

早い段階で傷が回復する能力を産まれながら備わっているとみて間違いあるまい。」

「もう一つの可能性はDOOP【ドォープ】もギャオスやイリスと同様に他の性質を

持った生物に変化しないように設計されているというものじゃ。

あやつは好んで若い女性を捕食や繁殖の対象として狙っておる。

他のそもそもネプチューン社の連中が余計な改造をしない限りは

捕食と言う名の融合を繰り返しているが。

地球上の少なくとも現世の捕食生物は時間が経つにつれて

やがて穏やかな生き物になると言われておる。

これこそ我々、人間の血肉魂を主食とする

魔獣ホラー達の中で共存を願うがいるように。

逆に凶暴な魔獣ホラーの軍団が餌となる人間を食い尽くせば自身まで滅んでしまう。」

「ふん!正に似非フェミニスト活動家や共産党の連中がAV女優やオタクや日本の文化

やアニメを無理やり修正させて食い尽くして男女の分断と絶滅を狙うようにか?」

「その点ではまるでギャオスのような存在じゃな。」

「じゃがギャオスもイリスもこのDOOP(ドォープ)もこれだけ無駄な遺伝子が

存在しないとなると共存の可能性はほとんど閉ざされてしまう筈じゃ。

つまり変化しない生命体じゃな。正直、死神プロトコル計画が成功するかは怪しい。」

「だから・・・遺伝子には無駄がないか・・・・。それで完全無欠にして無敵の1対で

完成された原種にしてギャオスの亜種であるモルぺウスと言う訳か。」

「しかもDOOP(ドォープ)の染色体には『〷』の染色体は雌の染色体と検出された。

じゃから。雄から雌に。雌から雄にと性転換できるなら単体で繁殖も可能じゃな。」

「厄介だな。クトゥルフとクティーラよりも

後々厄介な問題を引き起こすかも知れないな。

もしDOOP(ドォープ)のコアユニットがギャオスとイリスと同様なら。

今度はこいつのせいで世界が滅びかねんな。」

「備えは必要だな。何とか無理やりにでも共存させないと」

「確かに旧支配者のクトゥルフやクティーラーよりも共存か始末だな」

それにジョンとマルセロ博士は目の前のDOOP問題に頭を悩ませた。

ジョンとマルセロ博士は目の前のDOOP問題に頭を悩ませていた。

「やれやれまさかアトランティス文明の超古代のBOW (生物兵器」だったとはな。」

「それを発見したDOOP(ドォープ)をネプチューン社の連中が更に利用したと言う。

しかもあやつは独自の大きなネットワークを持っておる」

ジョンとマルセロ博士はお互い瞳を閉じてしばらく無言で考え続けた。

続けてマルセロ博士は思い出したようにこう付け加えた。

「そしてあの例の事件の映画の

モデルとなったあの生物学者も仲間に加えるのじゃろ?」

マルセロ博士の質問にジョンは当たり前のように答えた。

「ああ。そうだ。彼女は例の死神プロトコル計画の不測の事態に備えて実際に

間近でDOOP(ドォープ)と

サバイバルをした経験のある生物学者のルーシを利用する。

と言うよりアドバイザーとしてこの計画に参加して欲しいのさ。」

「それとあとDOOP01と野生のDOOP(ドォープ)達のベースとなった

初期型のDOOP(ドォープ)プロトタイプⅠは男性と女性を襲って

融合してしまう能力はのちに人間達が劣悪な改造を施したのが大きな原因のようじゃ。

しかし劣悪な改造回路を外された結果、本来の野生の個体と原種は

繁殖可能な若い女性と融合して自己進化するようにプログラムされておった。

しかし拒絶すれば惨殺する凶暴性を持っていたようじゃ。」

「うむ。幸いにも起動しているのはDOOP01DOOP03だけじゃ。」

その時、自室の電話が鳴ったので彼はすぐに出た。

電話の主はDOOP(ドォープ)について研究している研究員のカン・ルネ博士だった。

「死神ハンクから例の報告だそうです。」

「すぐに繋いでくれ!」とジョンが頼むと死神ハンクに電話回線を繋げた。

その直前にカン・ルネ博士は例の荷物についての質問をした。

「それと。例の極秘のDOOPバクテリアとコアユニットの一部を冷凍冬眠状態にした

耐圧コンテナ13個は契約協力の為に『セヴァストポリ遺伝子工学研究所』へ

予定通り発送するそうです。受取人はリー・マーラとエイダ・ウォンです。」

「分かった。荷物のトラックが到着次第、2人に渡してくれ!」

「分かりました。では死神ハンクさんに電話回線を繋げます。」

それからカン・ルネ博士から死神ハンクに電話回線を繋げた。

「DOOP01の他に極秘に多数のDOOP(ドォープ)の突然変異体の

『BR540M02』と言うコードネームの実験体を200体がイセカイの

パレス内に所持している模様。なお、以前、カン・ルネ博士が話していた

ギャオスとイリスのもの同じような染色体構造が検出されていますが。これは?」

さらに続けて死神ハンクは更なる報告を始めた。

「さらにカン・ルネ博士からの報告によるとその信じられませんが。

やはり例の深海から回収した野生のDOOP(ドォープ)個体の心臓部のコアユニットを

分析した結果、コアユニットの表面は大昔に沈んだとされるアトランティス大陸

オリハルコン』と言う特殊な金属物質が検出されたとの事です。

これは?つまり?信じられませんが。ははっ!流石の私も・・・・。」

「ああ。間違いない。DOOP(ドォープ)は元々アトランティス大陸の超古代の

BOW。バイオ・オーガニック・ウェポン。有機生体兵器だ。」

「それにすでにニューヨーク市内各地で性被害が多発しておる。

失踪者は2万5000人を超えておる。」

「そんな…馬鹿な。」と死神ハンクがつぶやくと同時に驚きと溜息を漏らした。

 

(第25章に続く)