完全オリジナル小説・マーメイド

(終章)脱出

(終章)脱出 アンガスは小型ゴムボートのカプセルが 着水した事を確認しようと窓を覗いた。 窓からは海に着水したカプセルが 自動的に膨らみ、救命ボートに変わっているのが見えた。 格納庫を出たアンガスは慌ただしく 海に着水し救命ボートが着水した場所…

(第6章)吸収

(第6章)吸収 アンガスはマルクの胸倉を掴み、そのまま近くの棚に叩き付けた。 続けて彼は殺気に満ちた目でマルクの顔を睨みつけた。 マルクは急に涙を浮かべ、シクシクと泣き出した。 「お前のせいだ!お前が!マーメイドを捕まえようなんて言うから! ジ…

(第5章)捕食者

(第5章)捕食者 アンガス、マルク、ジミーは気絶した セバスチャンの頭と胴体と脚をそれぞれ持ち上げた。 3人は気絶したセバスチャンを運び、再び地下にある階段を降りた。 続けて3人は海から引き揚げた 魚介類を保管する部屋の中にセバスチャンを入れた…

(第4章)寄生虫

(第4章)寄生虫 マーメイドは口の周りを真っ赤な血で汚し、口元を緩ませ優しく微笑んだ。 次の瞬間、アンガスは余りの恐怖に耐えられなり、 一時的狂気に駆られ、叫び出した。 「うわあああああああああああっ! うわああああっ!うわあああっ!うわあああ…

(第3章)底網の中

(第3章)底網の中 その翌朝。 セバスチャンは客室のベッドの上で大の字となり、 豪快にイビキをかいて眠っていた。 だが突然、ドンドンドンドン激しく 分厚いドアを叩く大きな音で目が覚めた。 「ああ、何だ……朝っぱらからうるさいな……」 セバスチャンは怠…

(第2章)底網漁

(第2章)底網漁 幻の暗黒環礁に付近の海域に底引き網を設置してから5時間後。 5人の大学生は徹夜覚悟でマーメイドが 底引き網にかかるのを辛抱強く待っていた。 それから1時間、2時間と時間は無情に過ぎ、 マーメイドは一向にかかる気配は無い。 アン…

(第1章)遭遇

(第1章)遭遇 2017年。7月19日。 穏やかな広大なカリブ海を航行する一隻の船があった。 船にはアメリカの大学に通う大学生の5人の若い男性である。 大学生達はこのカリブ海の古い伝承と古びた地図を頼りに このカリブ海の何処かに存在する人魚が住…