長編ゴジラシーズンファイナル

(終章)過去の陰謀に決着と新たな生活。

(終章)過去の陰謀に決着と新たな生活。 東京・音無凛の自宅のテレビでは緊急速報が流れていた。 「緊急速報です!先程アメリカ政府は違法な人体実験の事実を公表しました!」 「えーっ!」 凛と山岸は声を揃えて大声を上げた。 さらにテレビのニュースの場…

(第51章)時には止まり、花の匂いを嗅げ

(第51章)時には止まり、花の匂いを嗅げ 島上冬樹の事件から2ヶ月後の大戸島では無くベーリング海に浮かぶアドノア島。 僕は再び狭い洞窟で目を覚ました。 狭苦しい上に真っ暗で何も見えなかった。 僕は手探りで僅かに漏れた光を頼りに洞窟の外に這い出…

(第50章)終焉

(第50章)終焉 大戸島近海、海轟天号のブリッジ。 「恐らく膨大な核エネルギーの使用と旧支配者のクトゥルフの強力なテレパシーから 防御する能力の長時間の持続によって一時的に精神が混乱して、記憶を失ったのでしよう。」 スノウや他の乗組員達は初代…

(第49章)ありがとう、そしてさよなら

(第49章)ありがとう、そしてさよなら 大戸島近海の無人島。 旧支配者クトゥルフをようやく倒した初代ゴジラのクローンはどうにか 生命活動に必要な最低限の核エネルギーを残していた。 しかしそれ以外のかなり膨大な核エネルギーを失った。 同時に僕の背…

(第48章)熾天使ーセラフー

(第48章)熾天使ーセラフー 大戸島近海・無人島 旧支配者のクトゥルフは激痛の余り、名状し難いおぞましい咆哮を上げた。 そしてクトゥルフが激痛を感じた右腕を見るなり戦慄した。 なんとぶよぶよした5本鉤爪の付いた右腕は鋭利な純白の放射熱線により…

(第47章)白斬光

(第47章)白斬光 大戸島・モーテル風ホテル。 真鍋はベッドの上ですやすやと安らかに眠っていた。 その間、彼は夢を見ていた。 「ママ!ママ!僕!日東テレビのアナウンサーになったんだ!」 「凄いわね。大変!お祝いしないと!」 真鍋の父親はニッコリ…

(第46章)戦慄

(第46章)戦慄 大戸島の無人島。 大きく吠えた後、旧支配者クトゥルフはドスン!ドスン! と地響きを立てて、初代ゴジラに接近した。 同時に初代ゴジラのクローンの背びれも真っ白に何度も発光を繰り返した。 僕は旧支配者のクトゥルフ同族を再びオレンジ…

(第45章)どうしようもない絶望の中に希望を

(第45章)どうしようもない絶望の中に希望を 大戸町モーテル風ホテル。 覇王と蓮、山岸、真鍋は結局、一度、全員、モーテル風ホテルに帰る事にした。 レンタカーに乗っている間もホテルに着いた後も全員無言で一切言葉を発しなかった。 やがて真鍋はホテ…

(第44章)デメント

(第44章)デメント 「人は誰でも、多い少ないかは別として、ある一点では狂っている。」(R・キップリング) 大戸島近海・轟天号内。 アヤノは急に悲鳴を上げて怯え始めた杏子を落ち着かせようと何度も優しく話しかけた。 今度はニックがいきなり悲鳴を…

(第43章)発狂

(第43章)発狂 大戸島の大戸町病院。 成程、旧支配者のクトゥルフを捉えた映像を見た数名のスタッフやアナウンサーやカメラマン達が 精神が狂い正気を失ったと言う情報がニュースで流れていた事を小美人の話を聞いていた覇王は思い出した。 あの情報が真…

(第42章)平和な日常

(第42章)平和な日常 昨日、東京のまだ太陽が天高く昇っている穏やかな昼間。 その頃、覇王と蓮、山岸、凛、真鍋が大戸島で島上冬樹失踪事件を追っている頃、 東京にある保育園では次の世代を担う、まだ幼い子供達がランチを食べ終え、 自由時間の間、園…

(第41章)この地球上に大いなる災いを

(第41章)この地球上に大いなる災い 大戸島病院。島上冬樹の病室。 「だとしたら?旧支配者クトゥルフに偽のヨグーソートスの召喚方法を教わり、それを利用して」 今まで黙っていた覇王は口を開き、旧支配者クトゥルフが感染した人間を呉爾羅化させる 危…

(第40章)愛する者達。

(第40章)愛する者達。 大戸島病院・島上冬樹の病室。 「貴方や他の人達は放射能や放射線物質に汚染される恐怖や凶暴な怪獣や宇宙人の恐怖に怯えています。 しかし中には放射能や放射線物質に汚染される恐怖や凶暴な怪獣や宇宙人の恐怖に真剣に向き合い、…

(第39章)宇宙的恐怖

(第39章)宇宙的恐怖 ゴジラは砂煙を上げて突っ込んで来たリヴァイアサンの口の中に直接、 今までよりも一番強烈な破壊力を誇る放射熱線を叩きこんだ。 凄まじい爆発音と共に巨大な口の内部にある巨大な毒矢は花の様に円形に弾け飛んだ。 リヴァイアサン…

(第38章)命がけの救出

(第38章)命がけの救出 アメリカワシントンDC・ホワイトハウス。 エバート大統領は大統領の黒い椅子に座り、 まだあの「Bウィルスによる感染の中間報告書」を読んでいた。 やがて報告書を机に置き、再び「特別なG血清に関する資料報告書」を読み始め…

(第37章)天敵

(第37章)天敵 覇王と蓮、真鍋と山岸は気絶した男の検査結果を聞きに 彼の検査を担当した医師のいる診察室を尋ねた。 「ええ、2人の命に別条はありません。 アメリカ人の男の方は先程、 意識を取り戻しました。」 「アメリカ人の男とは事情聴取は可能で…

(第36章)奇病の正体

(第36章)奇病の正体「クソ!クソ!クソオオッ!」 人間のまま意識を失っていたウィルソンは再び目覚め、 両拳で床を叩き、悔しさを滲ませた。 凛は仰向けに倒れているウィルソンに近づいた。 彼は顔を上げて憎らしい表情で凛を見上げた。 両目は青い複眼…

(第35章)地球の旧支配者

(第35章)地球の旧支配者 「これは何の冗談だ?」 そう、部屋の中にいた半ば腫瘍に 覆われた成人男性の姿をした怪物は一匹だけでは無かった。 6匹の異形の怪物が現れ、たちまちSPB(スピーシ・バック)を包囲した。 旧支配者クトゥルフは大昔にジュラ…

(第34章)凛の正体

(第34章)凛の正体 凛は凄まじい反射神経で素早く後ろを振り返った。 そして黄金の稲妻を帯びた拳を木製の床に叩きつけた。 その瞬間、ウィルソンは背中に激痛を感じたかと思うと、 彼の足元は無重力状態となり、そのまま物凄いスピードで宙に真っ直ぐ舞…

(第33章)クトゥルフ

(第33章)クトゥルフ 「怪物と闘う者はその過程で自分自身も怪物 になる事が無いよう気をつけなければならない。 深淵を覗きこむ時、その深淵もこちらを見つめているのだ。」(ニーチェ) アメリカ ワシントンDC・ホワイトハウス。 エバート大統領は真…

(第32章)偉大なるイースの種族

(第32章)偉大なるイースの種族 対テロ特殊部隊のSPB(スピーシ・パック)はバイオテロが発生したビルに突入して行った。 尾崎とゴードン上級大佐は部隊の先頭に立ち、真っ暗な廊下を進んだ。 「生存者はいるのかしら?」と杏子。 「いるとしたら何と…

(第31章)山岸と凛の決死の反撃

(第31章)山岸と凛の決死の反撃 大戸島近海を航行していた新轟天号は大戸島ビルでのバイオテロの発生を受けて現場に向かっていた。 対テロ特殊部隊SPB(スピーシ・パック)はそれぞれ轟天号から武器を持って降り、 バイオテロが発生した大戸島ビルの玄…

(第30章)リヴァイアサン

(第30章)リヴァイアサン 午後7時50分。 大戸島近海。 初代ゴジラのクローンは、途中で見失ったゴジラを探して泳いでいたが、 未知の病原菌に感染しガニメ達がいた洞窟の近くの岩場に腰をおろしていたゴジラを発見した。 初代ゴジラのクローンは心配し…

(第29章)門にして鍵

(第29章)門にして鍵 再び東京とある閉鎖された空間。 「やれやれ困った事になった。」 ドイツの地球防衛軍司令官の中年のドイツ人は溜息を付いた。 「第2のフーパ。まさか我々が造り出した特別なG血清と自分の息子が造ったウィルスを利用して 物兵器ビ…

(第28章)ブルーアイの恐るべき正体

(第28章)ブルーアイの恐るべき正体 「その闇は圧倒的なまでに深くそこに存在する。」(出エジプト記 第10章21節) 東京のとある封鎖された空間。 「ドラクルは原始アオシソウのDNAをメガギラスの化石から発見した。」 封鎖された空間にある3Dの…

(第27章)TWinkle Twinkle Little star

(第27章)TWinkle Twinkle Little star 7時40分。 大戸島近海。 フィーン!フィーン!フィーン! 轟天号の巨大ブリッジ内にけたたましい警報音が響いた。 「敵襲か?」 「モニターに映します!」 轟天号内のブリッジの中央に…

(第26章)嫌な予感

(第26章)嫌な予感 大戸島、蓮と覇王の部屋。 「やった!やっと繋がった!!」 何かの事情で国外のMBI捜査官が連絡を試みたらしく、 蓮が電話に出た途端にロシア語で歓喜の声が聞こえた。 「君は?サミー?」 「覚えてる?感激したよ」 「一体?何があ…

(第25章)ゴジラと怪獣の起源

(第25章)ゴジラと怪獣の起源 中生代ジュラ紀。 古代のシダに覆われた太古の森の中で、獲物の草食恐竜を探して 肉食恐竜のアロザウルスが葉を掻き分けのっしのっしと歩いていた。 やがてのんびりとシダの葉を食べている雑食性でおとなしい ティラノサウル…

(第24章)異形の神

(第24章)異形の神 「遺伝子は出来るだけ多くの子孫を残そうとする。 リチャード・ドーキンス 」 午後7時25分。 轟天号の艦長室。 艦長であると同時に対テロ精鋭部隊のSPBの隊長である ダグラス・ゴードン上級大佐は仲間のアヤノとジェレルの不可解…

(第23章)愛し合う二人

(第23章)愛し合う二人 大戸島米軍基地から少し離れた洋館内。 凛は、極秘指令保管庫で手に入れた、キャンサーカクテルと言う毒薬・ 何者かに遺伝子操作で改良された昆虫のDNAデータ・ RNA(リボ核酸)分子機械のブルーアイに関するデータを整理して…