牙狼Xバイオ・伯爵騎士編

(最終章)平和

(最終章)平和 ジルとクリスは牙浪の世界とバイオの世界を繋ぐ異空間の中を漂っていた。 クリスにはオレンジ色に輝く道しか見えなかった。 ジルは暫くオレンジ色の輝く道を通っている最中、 何の前触れもなくいきなり脳幹への鋭い痛みに襲われた。 同時にキ…

(第53章)帰還

(第53章)帰還 牙浪の世界。 ジルとクリスを向こう側(バイオ)の世界と こちら側(牙浪)世界を繋げる結界を制作すべく。 数人の魔戒法師達は高原の草の無い広い 広場の地面にペタペタと貼っていた。 一方、邪美法師は魔導筆で五角形の模様を描いていた…

(第52章)兄妹

(第52章)兄妹 牙浪の世界・閑岱のジルの小屋。 翼はジルと話し終えた後、彼は部屋を出て行った。 続けて入れ換わりに白いコートを纏った鋼牙が入って来た。 「鋼牙!大丈夫なの?大怪我じゃないの?」 「ああ、大怪我だが大丈夫だ!ただもう少し安静が必…

(第51章)未来

(第51章)未来 閑岱・医務室に当たる小部屋。 鋼牙は全身を包帯でグルグル巻きにしたまま布団の上でしばらく ガ―ゴイルが創った彫刻のジルそっくりの魔獣ホラーについて考えていた。 「ソフィア・マーカーはやはりあいつなのか?」 彼は自分の問いに対す…

(第50章)壁画(イコン)

(第50章)壁画(イコン) 翌朝・閑岱の広場。 「昨日の夜?何があったんだ?」 クリスが持っている無線機からパーカーの声が聞えて来た。 「昨日……は……」 やがてクリスの脳裏にはドラキュラ伯爵と 闘った散々な様子が思い浮かんだ。 クリスが両手にペイル…

(第49章)死闘

(第49章)死闘 ニャルラトホテプは名状し難い甲高い咆哮を上げた。 そして狂血剣を地面に向かって振り上げた。 凄まじい爆音の後に狂血剣の刀身から放たれた剣圧の刃は 凄まじいスピードで地面を抉り、鋼牙に向かって飛んで来た。 鋼牙も両手で牙浪剣を構…

(第48章)祝歌(キャロル)

(第48章)祝歌(キャロル) 閑岱近くの森を抜けた広場。 ドラキュラは一人残った鋼牙とザルバの目の前で禍々しく 冒涜的な外神ホラー・ニャルラトホテプの姿に変身した。 彼が言うにはこの変身したホラーの姿も あくまでも千の仮面の中の一つに過ぎないら…

(第47章)約束

(第47章)約束 閑岱近くの深い森。 「止めて……クリス……彼は……ただ…… あたしを……ただ……あたしを……」 「ジル!今こいつがお前に何をしたのか分かっているだろ!」 「止めてよ!クリス!彼はあたしを愛しているの! 愛しているの!愛しているの!」 ジルは両…

(第46章)色情狂(ニンフォマニア)

(第46章)色情狂(ニンフォマニア)注意・R18の展開あり!! 牙浪の世界・閑岱 大きな丸い燃える様に赤とオレンジ色に輝く太陽は徐々に 真っ黒な巨大な二つの山に向かって落ちて行った。 空は暗闇とはいかずも濃い青空に無数の星がキラキラと輝いてい…

(第45章)前世

(第45章)前世 閑岱のジルが借りている部屋。 「もしかしたら俺達はドラキュラ伯爵について 何か重大な事を見落としていたのかも知れんな。 鋼牙!屋敷から持って来たあの冊子がある筈だ!」 「あの冊子にはドラキュラ伯爵の情報は記載されていなかった。…

(第44章)祝福

(第44章)祝福 バイオの世界・クイーン・ゼノビア。 向こう側(牙浪)の世界でレギュレイスが崩壊したとほぼ同時期に クイーン・ゼノビアの大ホールの天井に発生した時空の歪みから まるで津波のように押し寄せて来た無数の カラクリの群体に異変が起こっ…

(第43章)鷹麟

(第43章)鷹麟 牙浪の世界・クイーン・ゼノビアのプロムナードの通路。 やがて石の床に2つのクモの巣状のヒビが入り、 大きな音と共に巨大な穴が開いた。 クエントは破壊された石の床から這い出て来た2匹のカラクリを倒すべく 腰のホルスターからハンド…

(第42章)祈祷

(第42章)祈祷 バイオの世界・クイーン・ゼノビアのプロムナードの通路。 クエントとパーカー、烈花は石の床や壁で 作られた曲がった通路を駆け抜けた。 しかし天井に時空の歪みが発生した後、一匹のカラクリが クエントとパーカーの背後を一人歩いていた…

(第41章)血筋

(第41章)血筋 バイオの世界・クイーン・ゼノビアの大ホール。 パーカー、クエント、烈花はクイーン・ゼノビアのホールの 天井に発生した時空の歪みからまるで津波のように押し寄せて来る 無数のカラクリの大群に圧倒され、3人は撤退を余儀なくされてい…

(第40章)群体

(第40章)群体 バイオの世界・クイーン・ゼノビアの大ホール。 クエント、パーカー、烈花は大きな星型の 模様が付いた床の中央に立っていた。 そして彼らは時空の歪みを通り、向こう側(牙浪)の世界から 無数のカラクリがこちら側(バイオ) の世界に侵…

(第39章)白夜

(第39章)白夜 翌朝の牙浪の世界。 白夜の日にしてレギュレイス一族復活の日。 クリス、ジル、翼は閑岱の小屋から早起きした後、 慌ただしく朝ごはんを食べた。 ちなみに鋼牙は既に早起きし、 ご飯を食べ終え、鷹燐の矢を持って来ていた。 それからすぐさ…

(第38章)決戦

(第38章)決戦 牙浪の世界・真夜中の閑岱の広場。 ジル、鋼牙、邪美、翼、クリスはそれぞれ武器を持ち、 周囲の真っ暗闇に覆われた木々を長い間、睨みつけていた。 空は既に日が落ち、夜になっていた。 明日は白夜の決戦の日、そうレギュレイス一族が復活…

(第37章)快楽

(第37章)快楽 牙浪の世界・閑岱のジルが借りている部屋。 鈴法師は烈花法師の体内にあるドラキュラの毒を浄化させた後、 ホッと一息付き、ジルとお茶を飲んで休んでいた。 しばらく鈴とジルはお茶を飲み終え、それぞれ机に置いた。 「実は伝えるべき事が…

(第36章)責任

(今日から少し今まで書いた小説の手直し後、連載再開。皆様お待たせ♪) (第36章)責任 牙浪の世界・閑岱。 烈花は一人自分の部屋で座禅を組み、両瞼を閉じ、長い間考え込んでいた。 そう数分前に我雷法師に言われた事を心の中で反芻させていた。 「一つ…

(第35章)敗北

(第35章)敗北 閑岱のジルが借りている部屋。 ようやくクリスが頭を冷やした頃、話題は再びドラキュラの話に移った。 「まず復讐は諦めるとして。そもそも何故? あいつはジルの肉体を選んだ?」 「うーむ、そこは本人に直接尋ねないと分からんな。」 「…

(第34章)復讐

(第34章)復讐 閑岱の小屋のジルが借りている部屋。 ザルバはただ唖然とした表情を浮かべている ジルに仕方が無くこう説明をする事にした。 「ホラーは陰我の宿ったオブジェ(物体)の影から魔獣ホラーは出現して。 そして陰我のある人間に憑依して、その…

(第33章)神託

(第33章)神託 10mの高さの真っ赤に輝く異様な塔『バベル』の外部の閑岱の森。 翼と鋼牙はそれぞれ魔戒剣と魔戒槍を構え、頭上に円を描いた。 やがて頭上の円形の裂け目から魔戒騎士の鎧が召喚された。 鋼牙は黄金騎士ガロ。 翼は白夜騎士ダンの鎧を纏…

(第32章)神塔『バベル』

(第32章)神塔『バベル』 閑岱の魔戒法師の練習場になっている広場。 鋼牙に続いて翼、邪美、鈴も芝生から次々と飛び出して来た。 翼は魔戒槍を両手で構えた。 邪美と鈴は魔導筆を両手で構えた。 「今はそんな時間は無いな。TATA!」 そしてドラキュ…

(第31章)安全

(第31章)安全 閑岱の魔戒法師の練習場になっている広場。 「あれは何?」 ジルが白く輝く無数のアルファベットの 文字の塊を指さしたので烈花はこう答えた。 「あれがセディンベイルの本来の姿だ!」と。 やがてアルファベッドの文字の塊は急激に変化し…

(第30章)母親

(第30章)母親 閑岱に再び暗闇が支配する夜が来た。 ジルは一人、閑岱の魔戒法師の練習場になっている広場で練習をしていた。 「はあああっ!」 彼女は気合を入れ、ソウルメタル製の短い棒を横に大きく振った。 するとソウルメタル製の短い棒を大きく振っ…

(第29章)幸福

(第29章)幸福 鋼牙は号竜と言う名前の機械仕掛けの 魔戒獣の中に入っていた手紙を読んでいた。 元々号竜は余り戦闘経験が無い若い世代の魔戒法師が 下級ホラーの封印を容易に可能にする画期的な発明品だった。 しかしこの時空の歪みの事件が起こる3日…

(第28章)鉄橋

(第28章)鉄橋 翌朝の閑岱。運命の日。 閑岱の魔戒法師の練習場になっている広場には邪美法師の 呼びかけで翼、鋼牙、邪美、烈花、クリスが集まっていた。 更に遠巻きに鈴と我雷法師と見習いの魔戒法師の女の子達が立っていた。 ジルは広場の地面に突き刺…

(第27章)真実(後編)

(第27章)真実(後編) 1971年。12月24日。クリスマス・イヴ。 その男は天空に現れた謎の青い四角形を 追って走っている内に教会の前で立ち止まった。 ここか?さっき空に青い四角形が浮かんでいたのは! あれは確かにこの歴史書に書いてあった記…

(第26章)真実(前編)

(第26章)真実(前編) 魔戒の森の入口の祠。 こいつは何故?生まれたんだ?この妖怪はジルに何を伝えようとしたんだ? 邪美は再び目の前に現れた死伝鳥事。以津真天に向かって魔導筆を構えた。 すると邪美の指に嵌められた魔導輪ザルバがカチカチとこう…

(第25章)妖怪

(第25章)妖怪 その日の夜の閑岱。 先程、大きなノイズが無線機から聞こえたので 不審に思ったジルは無線機を耳に当てた。 「応答願います!」 「ザーザーザーザー」 無線からノイズ音が聞こえ続けたあと女の声が聞えた。 「ザーいつまでも!ザーいつまで…