(第74章)止められない反乱!

(第74章)止められない反乱!

山岸は咳込みながら頷き、洋子に支えられフラフラと立ち上がり、レベッカの方を見た。
レベッカは心臓近くをアヤノに撃たれ、断末魔の声と共に
「G塩基を持ち…反乱を起こしたあたし達の仲間が…
X星から…ここに来るわ…窓の外の雪を御覧なさい…もう…誰にも反乱は…止められない!」
と最後の言葉を残すと、体中から火花をまき散らした。
後には本来の人間だった頃のレベッカの死体だけが残った。
洋子は激しい嫌悪をむき出し
「最低よ!同族として!」と言った。
言わないと自分の気が済まなかったのである。
 レベッカによって物置小屋の外に吹き飛ばされたジーナやサミーが入って来た。
そして元FBI捜査官の男女に
「彼女は?」
と尋ねた。
アヤノは
「死んだわ……」
と言った。
サミーは残念な表情で
「そう……」
とつぶやいた。それから元FBIの男女は山岸と洋子、
長野先生は、気絶しているガーニャや蓮、凛を外に運び出し、
網走厚生病院の避難所に連れて行った。
アヤノは
「ジェレルが心配」
と言うと元FBI捜査官の男女と共に車で別の病院に向かった。
しかしアヤノはすぐに蓮の病室で押収したノートパソコンを
起動させると一度、パソコンのディスクを開き、もう一度閉じた。
中には小さなディスクが入っていた。
パソコンの画面には何かファイルらしきものが現れた。
ジーナは
「これは何?」
アヤノは鞄から2枚の資料と録画したビデオを取り出しジーナとサミーに見せた。
その2枚の資料を見たジーナは
「MWM社?」
サミーは
「これが例のドリームキューブの中身?」
アヤノは首を振り
「そうよ!これを見て!」
と言い画面を指差した。

青緑色の空間で蓮は、自分自身の邪心を追い払ったサンドラが閉じ込められている
青緑色のクリスタルを見て、改めて自分自身のデストロイアの過去に
向き合うべきではないかと思い始めた。
きっと母も同じ気持ちかも知れない……
きっと親子でお互いデストロイアの過去から逃げていただけなのかも知れない
と生まれた初めて気が付いた。
その時、ガーニャが
ゴジラは?」
と蓮に尋ねた。
凛はゴジラの方を見て
「大丈夫!サンドラ!見て!もうすぐで本来のゴジラになるわ!」
サンドラは
「本来のゴジラ?」
ガーニャも驚いた表情で
「すでにゴジラは体力は限界の筈じゃ……」
静かに凛は
「見ていれば…すぐに分かるわ!感じるのよ!」
さらに蓮も
「あいつは……餌を求めている……」
と謎の言葉を言いゴジラの方向を見据えた。
ゴジラの背びれが青白く輝き始めた。
怪獣化したサンドラと青緑色のクリスタルとを繋いでいた
16本の触手から始まって徐々に全身が黄金と漆黒の砂に変わって行った。
怪獣サンドラは耐え難い苦痛に苦しみ、ほとんど動けない体を懸命に動かし、逃れようとした。
そして黄金と漆黒の砂に変わっていない爪のある腕を精一杯振り、16本の触手全てを切断した。
 閉じ込められたサンドラは背中と腹にかけて激痛が一瞬走ったがすぐに収まった。
ガーニャは
「サンドラ??大丈夫か??」
サンドラは弱々しい声で
「大丈夫……大丈夫よ……」
と答えた。
凛は
「切り離したのね……」
蓮も
「ああ……これであんたとあの自分自身の影との因縁は断ち切られた訳か?」
 一方、魔獣サンドラの崩壊しかけた肉体は元の紫色に戻り、もともと2つに裂けた下顎から腹にかけて真っ二つに裂け始め、両腕や両足がドロドロに溶け出し、肥大化した体に吸収されて行った。
もはやサンドラはおろか人型は完全に消滅し、完全に軟体動物のような身体になった。
また16本の触手に加え、2つに裂けた下顎の歯が急激に巨大化し、牙に変わった。
16本の触手は完全に硬化し、下顎の歯と同じ巨大な紫色の牙になった。
そしてその牙を大きく広げ、天に向かって空気が震える程の
大音響で『グオオオオオオオオオオッ!」と女性の声の混じった咆哮を上げた。

 轟天号内でニックが
ゴジラの体内の僅かなエネルギが増幅されています!」
グレンは
「おい!ありゃなんだ??」
杏子もあまりの不気味さに唖然とした様子で
「ちょっと!なんなの?ナマコか?ナメクジみたいな……」
青緑色の空間でも蓮は
「どうやら……人型を維持できたのは……」
凛は
「サンドラの意識があったから?……」
サンドラは
「それじゃあたしの意識とあの魔獣が切り離されたから?」
ガーニャは
「だから……人型を維持出来なくなったんだ……」
魔獣サンドラは全身をまるでゴムのように伸縮させ、
切り離した青緑色のクリスタルを大口で噛み砕いて飲み込むべく、
地上でAサイクル光線車を次々と押し潰し、大口で飲み込みながら
徐々に近づいて行った。
サンドラはその様子を見て、青緑色のクリスタルが自分が
閉じ込められているものだと同じだと悟り
「やめててててえぇぇっ!」
と両手でクリスタルを叩いた。
蓮、凛、ガーニャは彼女のただならぬ様子から大慌てで
「まさか?」
ガーニャは
「彼女を道連れにするつもりか?」
と大声を上げた。

(第75章に続く)

では♪♪