(序章)暗く深い海の中

おはようございます。
畑内です。

ゴジラ・アフター・ザ・ファイナルウォーズ(シーズン供

(序章)暗く深い海の中―

「ドックン・・・ドックン」と心臓の音が聞こえ、
ゴジラの鳴き声と共にゴジラらしきシェルットが映し出される。
その鳴き声はまるで仲間の誕生を喜んでいるようだった。
再び暗闇が包んだ。
やがて一筋の光が差し込み女性のような人影が見える。
今度は太陽の柔らかな光が差し込んだ。
分厚い雲が晴れて日本が現わになった。
情景は東京の復興中の街に変わり、「東京仮設研究所」のドアの前に一人の女性が立っていた。
女性の声で「この女性が音無美雪さん・・・あたしの母になる人です・・・
今の所・・・あたしは彼女の中で眠っていますが・・・
しばらくすれば目覚めます・・・そろそろ物語が始まります・・・
最後まで決して目を離さないでください・・・」
「ドックン・・・ドックン」と心臓の音が鳴り響き
たちまち辺りは真の暗闇に包まれた。
眩しい位の光が射した。
すっかり周りは壊れかけた建物であふれ、ビルを取り壊す為トラクターや
ダンプカーが忙しく走り回っていた。
木々は怪獣たちの戦いでほとんどが倒れていた。焼けてしまった
木々からわずかに残った木々も赤色や黄色の葉で覆われ、枯れ木もいくつか見られた。
周りの空気は少しひんやりしていた。
もうすぐ秋が始まるらしい

―東京仮設研究所―

美雪は仮設研究所の前でその男の事を思い出して、静かに泣いていた。
しかし美雪はそっと涙を拭いて
「こんな所で泣いていたら!!覇王君に馬鹿にされる!!あたしがしっかりしなきゃ!!」
と自分に言い聞かせて研究所のドアを開けて中へ入って行った。
実はこの仮設研究所はガイガンが樟運佑砲茲衂鉷茲靴浸?
以前の研究所が破壊されたため、代わりに仮設住宅に研究用機材を持ち込んだのである。
ここでは、以前に研究所の住人だった新宮時一八郎博士と共に、M塩基により怪獣達が二度とコントロールされない方法を研究されている。
美雪が仮設研究所の中に入ると、ヘアスプレーをかけたばかりの若い男性研究員が突然
声をかけてきた。「美雪さん!!さっき内閣官房長官の野中剣士さんとえーと
新しい内閣官房副長官の金田トオルさんっていう・・・
なんかすごい人たちがお見えになっていますよ!!」
美雪は「えーとあなたが新入りの内田瑞穂君ね!!」
瑞穂は「はい!!内田瑞穂といいます!!」
美雪は「悪いけど新しく来た外国の怪獣のデータを整理しておいてね!!」
瑞穂は「わかりました!!」
と答えるとあわただしく去って行った。
美雪は少しドキドキしながら「何の用かしら?」と研究所の別室に入って行った。
別室には部下数名を連れた2人の男がソファーに座っていた。
1の男がイスから立ち上がり「あなたが美雪さんですね!!」
すると美雪が「失礼ですがあなたは?」
その男は「いや!!申し訳ない!!こちらこそ失礼をしました!!私は金田トオルです。
始めまして。実は色々ありましてね!!
名前は全然違いますが…有名なゲーム作家でした。ご存じありませんか?」
何故か手を組んで考えるポーズをとっていた。
美雪はトオルの顔を見て思い出したように
「ええ・・知っています。あたしの姉が大ファンでしたので・・1999年に
そのゲーム作家が突然亡くなったと聞いてものすごく悲しんでました。」
そしてもう一人の男が名乗りを上げた。
「私は内閣官房副長官の野中剣士です.以後お見知り置きを・・」
と言うと美雪に握手した。
美雪が動揺しながらも
「どうしたんですか?こんなところまで?」
トオルは「実はあなたは妊娠しているんですよ!!」
美雪は「えっ?なんで」と驚いていた。
何が何だかわからない美雪の顔を見てトオル
「知らないんですか?驚きました!!もうすでに知っているとばかり思ってました!!」
と肩をすくめた。剣士はトオルの前へ出て
「それであなたは以前『覇王圭介』という男と付き合っていましたね!!」
美雪は「ええ…そうですが…」
トオルは「あなたはその男の正体をご存じですね?」
美雪はドキリとしたように「質問の意味が良く分かりませんが・・」
と返した。トオルは少しにやりと笑った。
そのポケットの中には「対ゴジラ兵器神獣計画」と書かれた小さなメモが入っていた。

(第2章に続く)