(第26章)決戦!!エア・マドセンVS魔女王ホラールシファー

(第26章)決戦!!エア・マドセンVS魔女王ホラールシファー

 

ダニア博士の自室ではまたモニター画面に一件のメールが届いた。

ダニア博士がメールを開くと差出人はエアの母親のアンヘラ博士だった。

メールには例の『プラントRE2-43の調査報告について』と

『R型計画具体案』の詳しい資料データファイルが添付されていて。

さらにその下部には短くこう書かれていた。

『最後のメール』。

「ダニア博士!!息子と保安部長の夫をあとは頼みます!

私は本日をもってHCFを退社させて頂きます!

今まで本当にありがとうございました!」

すると急にダニア博士の両眼から涙が両頬に向かって流れた。

「そう!寂しくなるわね・・・・・」

ダニア博士は静かに泣き続けた。

するとAI(人工知能)アポロは優しくダニア博士に語り掛けた。

「彼女の為に『スーサイド・パレヱド』をスピーカーで流しました。

「ご苦労様。彼女の励ましになるかしら??なりそうもない気がするけど。」

「でもきっと喜んでくれている筈です!自分の好きな曲ですから」

「そう言えばHCF内でハロウィンをした時にエアの

ママったら自分が若いからと言って。

そうそう。幻想郷の紅魔館のメイド長の十六夜咲夜(いざよいさくや)の

メイド服でそれで『スーサイドパレヱド』を踊って!!それで胸の黒い服を脱いで」

「乳首部分は白いハートのパットで隠していたわね」

「あとでHCF上層部と何人かの上司に叱られていましたが(汗)」

 

エア・マドセンはようやくストークスと魔女王ホラー・ルシファーがいる

BOW(生物兵器)及びウィルス兵器中央実験室深部の

『BOW(生物兵器)特性テスト広場』に辿り付いた。

更にその隣には『BOW(生物兵器』及びウィルス兵器開発中央実験室』

と言う看板もあった。ここだ!間違いない!!

そしてすでに何百にも分厚い板で重ねられ、厳重にロックされた

巨大な分厚い扉は既に魔女王ホラー・ルシファーの超常的な力によって

何百個ものロックが解除されていた。既に開いたままだ。

僕はその広場に足を踏み入れるとー。

突然、巨大な分厚い扉は閉じ、厳重にロックされた。

これもきっと魔女王ホラー・ルシファーの力なのだろう。

僕は直感した。これはAI(人工知能)アポロでも保安部長の親父でも無い。

間違いなく奴の力だと。確信した。

そこは実験用の円形の広場だった。

ここは完成したBOW(生物兵器)の特性や能力、商品としての価値を

審査する為のテストやチェックを行う場所である。

僕は周囲を見渡してストークスと魔女王ホラー・ルシファーの姿を探した。

そしてストークスは直ぐに見つかった。彼女は広場の中央のコールドスリープ

(冷凍冬眠)カプセルの中にすやすやと眠っていた。

「ストークス!」とエアは大声を上げた。

すると背後で魔女王王ホラールシファーの声が聞こえた。

しかもまだ肉体を手に入れていないのにも関わらずその声は

最初のノイズが掛かった高い声とは異なり、はっきりとした

威厳のある女性の高い声だった。

素早くエアは振り向き、戦闘態勢を取った。

しかし魔女王ホラー・ルシファーは不敵な笑みを浮かべた。

「現代版の眠り姫はどうじゃ?気に入ったかえ?」

魔女王ホラー・ルシファーは右腕を真上に振った。

次の瞬間、背後の中央にあるストークスが入ったコールドスリープ

(冷凍冬眠)カプセルは急にガチャっと動き出し、

エアが異変に気付いて振り向く頃にはー。

トークスの入ったコールドスリープ(冷凍冬眠)カプセルはゆっくりと

プシューと空気が抜ける音と共に広場の中央の開いた床の奥の暗闇に消えて行った。

同時に開いた床は閉じ、そして巨大な広場全体の天井、壁、床、

角の隅々に至るまで真っ赤に輝く分厚い板のようなもので覆い尽くされた。

勿論、入り口の分厚いあの扉でもある。

「これでストークスが怪我をする事も誰かが入って来て邪魔する事もあるまい!!

さあー!汝は我に力を与えた!!そして我が与えた試練は覚えておろう!!

我はストークスの魂と血肉を奪いに来た!さあ―闘うのだ!エア・マドセン!

この理不尽に抗い!我を倒して見せよ!我が勝てばストークスは我のものじゃ!

しかし汝が勝てば!ストークスは汝のもの!!」

「ああ!必ず!お前を倒し!俺がストークスを救い出す!」

こうして魔女王ホラー・ルシファーとエア・マドセンのストークスと言う名前の

眠り姫の血肉魂をめぐる過酷な戦いの火蓋が切って落とされるのであった。

しかしそれを真っ赤に輝く分厚い板に覆われていない床の小さなダクトの中に

母親のアンヘラがこっそりと四角いダクトの中から頭を覗かせて茶色の瞳で見ていた。

ただただ心配そうに。そして自分の成すべき事に集中しようとした。

しかしなかなか決断出来ない。いざと言う時に頭の中で色々な事が廻った。

心底恐ろしかった。だから彼女の身体は雨に濡れた小鹿の様にブルブルと震えていた。

怖い。怖い。でも!息子とストークスの未来を!!幸せを守る為には!

私がやらないと!もう!後には引けない!!

息子が殺されたくないし!ストークスも死なせない!!

やるなら今だ!今!奴を満足させれば!!

トークスや息子に危害を加えずここを立ち去るかも!!

でも!出来ない!身体が動かない!動きなさいっ!!

私がどうにしなければ!覚悟はちゃんと決めた!

なのに・・・・どうして?原始的な本能が邪魔するの??

ああくそっ!始まっちゃった!くそっ!くそっ!もう!もう!

母親のアンヘラがハラハラした様子でダクトから茶色の瞳で覗いていると

魔女王ホラー・ルシファーはエア・マドセンに向かって一本の真っ赤に

輝く鉤爪から電撃を帯びた真っ赤にが焼く三角形の魔弾が放たれた。

しかしエアは自分でも驚く程の高速で側転した。

そして高速で飛んで来た真っ赤に輝く三角形の魔弾を回避した。

それを見ていた母親アンヘラは安心して胸を撫で下ろした。

円形の広場のダクトの中にこっそりと隠れている母親のアンヘラに気付く事なく

エアは魔女王ホラー・ルシファーに向かって得意満面に自信を持ってこう言った。

「同じ手は二度も通用しないぞ!」と。

魔女王ホラー・ルシファーは冷静に笑いつつもこう返した。

「フフフッ!おっと!そうじゃったなあっ!二度は通用せんか!!」

間も無くして魔女王ホラー・ルシファーは両腕をガバッと左右に広げた。

同時に全身が七色に発光した。

続けて魔女王ホラー・ルシファーの両手の10対の鉤爪が七色に輝いた。

徐々にまた電撃に包まれて行った。魔女王ホラー・ルシファーは高速で

両腕をエアに向けてまるでマシンガンの様に何百発もの七色に輝く魔弾を

巨大な扇子のように左右に開いたり、閉じたりして休みなく大量に撃ち続けた。

エアは冷静に左右に走り、続け、時々、背中の無数の剣が集合して

出来た鳥の翼で何百発かは弾き返した。

しかし全ては防ぎきれず走って何十個か回避に成功した魔弾を除いて。

ほとんどの魔弾がエアの身体に直撃した。そしてエアは何百発かは分からない

七色に輝く魔弾が直撃する度に広場のあっちこっちに吹っ飛ばされて激しく転倒し、

ゴロゴロと無様に広場の床を転げ回った。しかしそれでもエアは素早く

持ち前の反射神経で立ち上がった。エアは全身が痛かった。

更に頭もあっちこっちにぶつけてガンガン痛かった。

でも普通に立てたし、ふらつく事無くしっかりと両足を広場の床に付けて立っていた。

また腕を見るとまだ緑色の『FINE』のままだった。

不思議な事に体力が異常なまでに高くなっていた。

やはりこれもあの魔人フランドールの激しい死闘で勝ち残ったお陰なのだろうか?

つまりレベルアップのようなものだろう。

「フフフッ!汝は力を付け使いこなしたようじゃな!!

これもあの魔人フランドールのお陰かえ?」

どうやら魔女王ホラー・ルシファーは魔人フランドールの事を知っているようだ。

魔女王ホラー・ルシファーは何故かつまらなそうな表情をしてチッ!と舌打ちをした。

 

実験用の広場で魔女王ホラー・ルシファーとエア・マドセンが戦い始めた丁度その頃。

地上のBOW(生物兵器)及びウィルス兵器開発中央実験室にある

『ウィルス兵器遺伝子改良実験室』では大変な事が起きようとしていた。

そこで働く研究員の男女はウィルス兵器遺伝子改良実験室の研究員で

ほとんどの人物が無名のウィルス学者であり、この実験室では桜谷萌博士主任の

キビキビした指導のもと自分それぞれの各自の仕事をこなしていた。

そしてしばらく全員が黙々と仕事をこなしてから大体、30分頃経った時。

ふと男性では珍しい金髪のアメリカ人の研究員が何かに気付いた。

それは実験内の四角い研究所の隅っこに黒い影がちらりちらりと見えた。

 

(第27章に続く)