(第16章)激戦!!魔人フランドールVSエア・マドセン(前編)

(第16章)激戦!!魔人フランドールVSエア・マドセン(前編)

 

赤く四角いルービックキューブのような異空間。

しばらくしてエア・マドセンはまだ魔人フランドールから

「ストークスが殺処分」される理由を聞いていない事に気が付いた。

何故?HCFは彼女を殺処分しようとしたのか?

上層部側は僕にも会議に出たママにも知らせていない!!

何故だ?答えはお茶を濁されたと言っていた!!

何か不都合でもあるか?分からない!!僕は絶対に認めない!

殺処分なんて!!僕は許せない!!僕はまだここで死ねない!

死ぬ事なんて出来ない!!僕はストークスを命を懸けて守りたいっ!

僕は自らの意志で魔女王ホラー・ルシファーを倒し!ストークスを守る!

僕はその為にHCFにいる!彼女と両親とみんな関わっているんだ!

僕はストークスを守る為に生きたいんだ!!

魔人フランドールっ!君には絶対に負けないっ!!

こんな巨大な獄炎の薔薇なんかに絶対にっ!絶対に負けるもんかああああっ!」

やがて真っ赤に輝く獄炎の超巨大な薔薇の形をした火球はエアの全身を飲み込んだ。

魔人フランドールはそれをただ黙ってみていた。

そして真っ赤な瞳は巨大な獄炎の薔薇の形をした

火球をとても真剣な眼差しで見ていた。

真っ赤な獄炎の超巨大な薔薇の形をした火球エアを飲み込んだまま

パチパチと燃え続けていた。しかし突如、真っ赤な獄炎の超巨大な

薔薇の形をした火球の中心がグニャリと大きく歪んだ。

続けて中心は風船のように大きく膨らんだ。

それから一気に爆(は)ぜた。同時にその凄まじい衝撃波が真っ赤な

超巨大な薔薇の形をした火球の全体も激しく震わせた。

やがて徐々に真っ赤な超巨大な薔薇の形をした火球は崩壊して行った。

その度に巨大な薔薇の真っ赤に輝く花弁は周囲にバラバラになり散った。

やがて散った真っ赤な薔薇の花弁はオレンジ色の

空間の空に大量に散って広がって行った。

ヒラヒラと超巨大な薔薇の破片は衝撃波の風に

煽られるようにビューンビューンと周囲に吹っ飛ばされ、

衝撃波の影響を失うと今度は下へ下へ左右に大きく揺れながら

オレンジ色に輝く床に向かって落ちて行った。

それはまるで桜吹雪の様にオレンジ色に輝く床に向かって

ヒラヒラとヒラヒラと降り注いだ。

やがて爆心地となった真っ赤に輝く超巨大な薔薇の形をした火球の中心には奇跡的に

生き延びたエアがいた。しかもエアは何かに目覚めたようにゆっくりと瞼を開いた。

彼の両瞳は真っ赤に輝いていた。そして胸元まで伸びた真っ赤に輝くサラサラの

ポニーテールの髪型。キリッとした真っ赤に輝く眉毛。

高い鼻。両頬には真っ赤に輝く天秤の模様があった。

背中から真っ赤に輝く巨大な無数の剣が集合して出来た鳥の翼が2対生えていた。

すると魔人フランドールは「面白くなってきた」と言った。

魔人フランドールとエアは睨み合っていた。長い間、2人は動かなかった。

しかも先に動き出したのは魔人フランドールだった。

魔人フランドールは右手から今度は中位の大きさの火球をまるでマシンガンの様に高速

で射撃し始めた。放たれた無数の中位の火球は

一直線に並びエアに向かって飛んで来た。

更に左手からも無数の中位の火球を高速で射撃した。

こちら一直線に並びエアに向かって飛んで来た。

エアもまるで戦闘機のように身体を回転させて上下左右に移動した。

そして全ての火球を全て回避した。魔人フランドールは両手から

巨大な火球をマシンガンの様に射撃し続けた。

しかもエアは冷静に飛行しながら魔人フランドールの隙を伺った。

魔人フランドールはまた楽しそうに笑って見せた。

続けて魔人フランドールは両腕を組んだ。さらに大きく小さな両腕を広げた。

そして魔人フランドールの背後に真っ赤に輝く魔法陣が浮かんだかと思うと

その真っ赤に輝く魔法人から大量の小さな火球が弾丸の様に連続で放たれた。

それはマグナムの弾の形をしていた。エアは空中で背中の真っ赤に輝く

無数の剣が集合して出て来た鳥の翼をグニャリと自分の目の前で曲げた。

そして真っ赤に輝く無数の剣が集合して出来た

2対の鳥の翼を自ら守る盾として利用し、

全てのマグナム弾の形をした小さな火球の弾丸を次々と

赤い火花を散らして全て弾き返した。魔人フランドールはそのままエアの目の前に急接近するとゼロ距離からまた両掌から火炎属性魔法特大威力ブラッディローズを

エアに向かって撃った。エアは真っ赤に輝く無数の

剣が集合した2対の鳥の盾のおかげで直ぐにブラッディローズは

また真っ赤な巨大な花弁を周囲に散らし、威力は半減された。

それでも特大威力とだけあって大威力の火力と凄まじい衝撃波により、

エアの身体はナナメ下の方向に吹っ飛ばされて、オレンジ色の床に激突した。

同時に大きな赤とオレンジの火柱と爆発音がした。

エアはどうにか黒い煙に包まれる中、立ち上がった。

そして腕の心電図モニターを見ると既に心電図はオレンジ色になっていて

モニター画面は『CAUTION』と表示されていた。

直ぐにエアは何処からかレッドハーブとグリーンハーブの調合薬を取り出した。

 

HCFセヴァストポリ研究所のBOW(生物兵器)及びウィルス兵器中央実験室

の片隅にあるHCF研究開発主任ダニア・カルコザ博士の自室。

ダニアは大きな金色の柱と縁取られた黒色の玉座に座って目の前の大きなモニター画面

の前ですーすーと寝息を立てて可愛らしい表情で居眠り、いや昼寝をしていた。

どうやら仕事で疲れていたのだろう。純粋な人間故にやはり身体も心も休めないと。

そう思いながらかれこれ、30分間も居眠りをしていた。

やがてふとダニア博士は瞼をそっと開けて起きた。

するとAI(人工知能)のアポロはこう言った。

「おはようございます!ダニア博士!休みは取れましたか?」

「ええ、お陰でたっぷりとね」

ダニア博士は「そろそろ」とモニター画面を見た。

「アポロ!あの例の魔女王ホラー・ルシファーの反応は?」

AI(人工知能)のアポロはしばらくしてこう回答した。

「魔女王ホラー・ルシファーの超常生命体反応なし!」

「そう、どこに潜んでいるのかしら?」

ダニア博士は目を凝らしてモニター画面の監視カメラを見た。

しかしそれらしき不思議な現象や存在は見つからなかった。

AI(人工知能)のアポロはモニター画面に問題の男子ロッカーの映像を映し出した。

ちなみにこのAI(人工知能)アポロのプログラムシステムには

『ホラー感知能力』を模倣したプログラムが組み込まれている。

実際、人間の眼ではどの人間がホラーに憑依されているのか全く分からないらしい。

唯一ホラーを感知出来るのは魔道具や魔導輪に封印された人間共存派の

契約ホラー(我々は勝手にネイティブホラーと呼んでいる)

のみで最近はジル・バレンタインもこの能力があるらしい。

恐らくジルのクローンのストークスも同じ力を持っているかも?

とにかく普通の人間が見た目や気配で見分けるは不可能に近い。

それこそ神がかり的な運の良さか虫の知らせが無い限りはー。

大体は捕食され掛けて初めて人間がホラーだと知るのである。

ホラーの正体を知ったが最後捕食されてしまうのである。

そして全ての真実は神隠しに遭った失踪者として誰にも知られず

闇の胃袋の中に全て葬り去られると言う。

ちなみに実はダニア博士は数年前に秘密組織ファミリーに所属していた頃に

前のシモンズ家の現当主で長だったジョン・C・シモンズを

生き返らせようとディレックと部下達から彼の遺体を強奪して

秘密の場所で大量の輸血とアメリカで認可されていない強心剤を含む

様々な薬品と人工呼吸器に高圧電流を流す改造電気ショックを利用して彼を生き

返らせようとしたが人工呼吸器が魔界と現世を繋ぐゲート(門)となってしまい。

魔王ホラー・ベルゼビュートに憑依され、既に人間では無くなっていた。

そして空腹だった魔王ホラー・ベルゼビュートは9人を仲間を捕食した。

ダニア博士ともう一人の仲間の女性に事実を隠蔽しろと脅された。

ダニア博士と仲間2人は泣く泣く『ラザロ処置』で魔王ホラー・ベルゼビュートに

ジョン・C・シモンズが憑依された事実を隠ぺいした。

魔王ホラー・ベルゼビュートはダニア博士ともう2人の仲間の約束通りに

それ以降2人に危害を加える事は無かった。ダニア博士は

「もう!何年も前の話!あいつはまだ約束を覚えているかしら?

まあー悪魔の契約なら破棄されない限り大丈夫……」

それからダニア博士は生物兵器ビジネスを成功させる為に今度は

『新型T-エリクサー(仮)(E型特異菌遺伝子有り)』を

以前から温室実験室『プラントE・R型シリーズ開発研究所』内にある

地下の管理実験室で全米の死刑囚達に投与してウィルスの力で

『プラントRE2-43遺伝子』を組み込む実験を行った。

結果、全米の囚人達はそのまま植物の蔓をお互い絡ませて融合した。

もはや人間の原形さえも崩壊し、太く長い二等辺三角形の赤い多数の

花弁と多数の蔓を持つ寄せ集めの超巨大植物となり、

HCFのダニア博士はその超巨大な怪植物の制御にますます頭を悩ませた。

 

(第17章に続く)