(第40楽章)苦悩の狩人達の晩餐会

(第40楽章)苦悩の狩人達の晩餐会
 
ニューヨーク市内のセントラルパークの広場。
魔獣ホラー・バエルはジルとの契約に応じ、遠慮なく一本の鋭い牙を
通してジルの体内から血液と賢者の石の力をミルクのように吸い出して行った。
ジルは血液と賢者の石の力を吸い出される度にヴィシュヌフォームの
アンノウンの仮面の内側でジルは両頬を紅潮させて
性的興奮の余り、恍惚の表情を浮かべていた。
さらに口を大きく開けて、荒々しく息を吐き甲高い喘ぎ声を上げ続けた。
「ああん!ああん!はああっ!ああっ!あっ!はっ!んっ!あっ!あん!あっ!」
ジルの体内から血液と賢者の石の力をミルクのように吸い出す度に魔獣ホラー・バエル
のハート形の頭部の中央から伸びた赤白い長い触手はゴボン!ゴボン!ゴボン!
と音を立てて大きく膨らんだり萎んだりを何回か繰り返した。
それからある程度の大量の血液を吸収するとすぐに鋼牙や魔導輪ザルバに
悟られぬように魔獣ホラー・バエルはジルの深い胸の谷間に突き刺さっている
鋭い牙を引き抜き、細長い触手をハート形の頭部の中央に素早く引っ込めた。
「ハアハア!これで私の貴方の血は繋がった!そして鋼牙に封印されて
真魔界に強制送還され、時が経って再度現世に出現しても、新しい人間の魂を
喰って肉体を乗っ取らずとも15歳のアレックス少年の姿を
保ったままの肉体で再構成されるわ!ゲート(門)から出てすぐにね!」
「ありがたき幸せよ!寄る辺の女神よ!」
一方、鋼牙は「おおおおおおおおおおおおっ!」と雄叫びを上げた。
続けて魔獣ホラー・バエルの口内に突き刺さって喉奥にまで達した
牙浪剣を持つ手首をグイッ!と力強く捻った。
魔獣ホラー・バエルは甲高い悲鳴を上げた。
「ピイイイイイイイイイッ!」
やがて青白い分厚い鎧に覆われた蜘蛛の姿は徐々にヒビが入り始めた。
間も無くしてキィイイイイン!と言う甲高い金属音がした。
更に魔獣ホラー・バエルの赤白い分厚い鎧に覆われた蜘蛛の姿をした
巨体はパリイイン!とガラスのように粉々に割れて消滅した。
同時にとうとう魔獣ホラー・バエル事、アレックスの陰我を断ち切られた。
 
再びマンハッタンのとある道路の裏路地でジョン・C・シモンズは
魔王ホラー・ベルゼビュートとしてニューヨーク市内の街角で客引きをしている
ロシア系アメリカ人の若い売春婦を今回は捕食を目的に近づいた。
彼はいつものように懐から財布を取り出して金を払うと人通りの
しかもパトロールの警官やホームレスやゴロツキが一切
来ないような全く人気のない場所に連れて行った。
ジョンは捕食する前にそのロシア系アメリカ人の若い売春婦を見た。
両胸元まで伸びたサラサラの金髪。キリッとした細長い眉毛。
ぱっちりとした美しいつぶらな青緑色の瞳。丸っこい高い鼻。
美しいピンク色の唇。目の周りには黒いメイク。
両瞼には紫色の美しいアイシャドーをしていた。
ジョンは素早く彼女が反応出来ないような速度で口内から節のある
緑色の太い管の形をした舌を伸ばして先端の細長い針を既に
衣服を脱いで全裸になっていたロシア系アメリカ人の若い売春婦の
僅かに紅潮した白い肌に覆われた柔らかい大きな丸い両乳房の
深い胸の谷間にブスリと突き刺した。「あっ!いっ!」と痛みで声を上げた。
間も無くしてそのロシア系アメリカ人は両頬と深い胸の谷間を紅潮させた。
次第に性的快楽で気持ち良くなり、キリッとした細長い眉毛を八の字にした。
やがてジョンは節のある緑色の太い管の形をした舌を通して消化液を
ロシア系アメリカ人の若い売春婦の体内に多量に注入して溶かして行った。
やがて彼女の体内で液化して行った全ての細胞と血液と体液を節のある
緑色の太い管を大きく膨らんだり、萎んだりを繰り返し、吸い取り続けた。
ゴッポッ!ゴッポッ!ゴッポッ!ゴッポッ!ゴッポッ!ゴッポッ!ゴッポッ!
「ああっ!ああっ!ほおあああああっ!んんああああっ!んんああああっ!
はあっ!ぐっ!くっ!こっ!かっ!こっ!・・・・・・・・・・・・・・・・・」
やがて肉付きの良いスレンダーな身体も柔らかい大きな丸い両乳房も
大きな丸いお尻もゆっくりと風船のよう萎んで行き、張りを失って行った。
続けて全身の僅かに紅潮した白い肌は血色を失って茶色になった。
やがてロシア系アメリカ人の売春婦は骨と茶色の皮も消化液で溶かされた。
勿論、サラサラの金髪も消化され、金色の液体になっていた。
そして骨も茶色の皮も金髪も養分として取り込んでしまった。
更にドクンドクンと緑色の太い管の舌を通して青緑色に輝く魂を
何故か養分とせずそのまま生きたまま腹に吸収した。
勿論、ロシア系アメリカ人の若い売春婦の捕食は僕自身の変異型賢者の石の力を
極度に抑え込んでいるので恋人だったシルクのいとこの女の子に僕の恐ろしくも
悍ましい悪魔のモチーフの魔獣ホラーの正体を知らせないようにしている。
本当ならちゃんと僕が夜な夜な人間を平気で捕食して大勢のシモンズ家の若い娘達や
若い研究員の女性や若いメイド達に悪魔の契約をする姿を幻視させて元恋人のシルクの
いとこの女の子に僕が純粋な人間、しかも大昔のシルクのいとこの女の子が知る
あのゲームをしてくれた優しい僕はもうこちら側(バイオ)の
世界に存在しない事をちゃんと教えて危険を知らせないと。
もしも彼女がまだ僕の事を純粋な人間だと思ってこの先ずっと追いかけてきたら?
色々面倒な事に、いや!彼女を危険に晒す事になる。
間違って他の魔獣ホラーや魔導ホラー、
自分が彼女を喰ってしまう事にもなりかね無い。
僕はそれが心底嫌だったし、絶対に避けたかった。
でも僕がそう出来ないのは魔獣ホラーのルールがあるからである。
それは夜、人間を捕食する時かあるいは人間と悪魔の契約や
魔戒騎士や魔戒法師と戦う以外は無闇に理由無く真の姿を晒さない。
それは人間を何も知らないまま効率的に捕食の為に狩る為に必要だからだ。
ついでにマルセロ博士の実験体Cであるシルクのいとこの女の子の
精神と肉体の安定を図るルールとして僕は彼女と精神が繋がっている。
ワクチンの副作用で一時的に人間や悪魔、天使、神々の思念を読み取る能力がある為、
僕があの売春婦を捕食してメイド達との悪魔の契約を交わしている時の
思念や記憶が読み取られると実験体Cの精神と肉体が不安定になって
ミユキ・スズカワのように暴走する危険があるからである。
僕は秘密組織ファミリーの本部に当たるシモンズ家の大きな屋敷に戻った。
すると門の前で日本人とフランス人のハーフの美少女のメイドが
ジョンに客人が自分の屋敷の中で待っていると伝えた。
その日本人とフランス人のハーフの美少女のメイドは最近、
初めて入った新人でまだベテランのメイド長と僕の護衛をしている
メアリー・ウィスリーにメイドの仕事を教わりながらも大きな屋敷で働いている。
そこでジョンは優しく丁寧にこう言った。「分かったよ!食堂で待たせているね!」
その頃には町中で3人の人間を捕食して満腹となり、僕の元恋人あの子を喰わずに
済んで安心したおかげであの子と再会した時に感じた酷い心が乱れはなくなっていた。
その為、ジョンは再び精神の落ち着きと魔王の威厳を取り戻していた。
ちなみに自分の大きな屋敷に来た客人のロシア系アメリカ人女性はNSA
アメリカ国家安全保障局)のPRISM
(監視プログラム)を担当するスパイだった。
そのロシア系アメリカ人女性のスパイは
自らの技術を魔人ホラーのMSS(魔人保安警察
に提供し、更に協力して秘密組織ファミリーや
アメリカ政府に攻撃と侵略をしようとする
魔導ホラーを従えた金城慆星である最も忌まわしいテロリストを完全に排除するのに
必要な作戦を提案してくれたのだ。さてとこのロシア系アメリカ人の女性には
今回の働きの報酬をやらなければな。勿論、MSS(魔人保安警察)も同じようにね。
僕は食堂で豪華な夕食をそのロシア系アメリカ人女性に提供した。
僕は自分の屋敷の地下で行われる秘密の宴に招待した。
僕はそのロシア系アメリカ人女性にはさっき門の前で僕を待っていた日本人と
フランス人のハーフの美少女のメイドが案内してくれる事になった。
そして彼女に宴の開始時間のメモを渡した。
彼女は「自分は子供が欲しくて育てたい」
と言う願いが叶うかも知れないと大喜びした。
一方、フランスと日本人のハーフの美少女のメイドは最高の快楽にワクワクしていた。
 
ニューヨーク市内セントラルパークの広場。
とうとう魔獣ホラー・バエル事、アレックスは鋼牙とジルと死闘の末にとうとう
陰我を断ち切られたと同時に何故か元の15歳の少年の姿に戻らずまた赤いセダンの
姿に戻った。赤いセダンの真っ赤なボディはまるで先の死闘の末に出来たかのように
全身が傷だらけでボコボコにあっちこっちクレーターのように凹んでいてー。
四輪タイヤは全てパンクしていて空気が抜けていた。
更にボコボコに凹んでいて蛇腹状に凹んでいた
赤いボンネットはガバッと大きく開きっぱなしだった。
更に赤いボンネットの内部にはあのシャノンにプロポーズした時に作った
エンジンやバッテリー等の部品を組み合わせて作り出した時計仕掛けのハートが
トクントクントクンと弱々しく脈打っていた。
鋼牙は「ぐあっ!ぐっ!」と呻き声を上げて狼を象った
黄金のガロの鎧の全身のあっちこっちからバキッ!バキッ!
と音を立てて大量の剥がれ落ちた黄金のメッキが周囲に散らばるのを見ていた。
続けて鋼牙はガクガクと両脚を震わせて、時々、ガクンと足元を
左右にふらつかせながら動けなくなった赤いセダンに徐々に近づいて行った。
やがて赤いセダンの目の前まで近づくと両手で牙浪剣をしっかりと握りしめた。
そしてゆっくりと両腕を真上に空高く持ち上げた。
牙浪剣の両刃の長剣の先端は赤いセダンのボンネットの内部のエンジンやバッテリー等
の部品を組み合わせて作り出した真っ赤に輝く時計仕掛けハートに向けられていた。
鋼牙は意を決意して止めを刺そうとした瞬間、ブウウンと言うバイクのエンジン音が
広場に響いた。反射的に鋼牙とジルはバイクのエンジン音がしたした広場の入り口の
辺りに目を向けると警察のガードを自力で突破したと思われる白いバイクに
シャノン・カエデ・マルコヴィアとあのイスラム人の青年のアヴドゥルが乗っていた。
そしてシャノンは素早くバイクから降りると大急ぎで鋼牙と動けなくなって弱っている
魔獣ホラー・バエル事、アレックスの傍に駆け付けてその場に座り込んだ。
シャノンは両手を組み、祈るようなしぐさを見せた。
鋼牙はシャノンが涙目で「切らないで!」と祈り続けるシャノンを無言で見ていた。
一応鋼牙はシャノンの登場は予想していたので特に驚きはしなかった。
シャノンは再度「お願いです!彼を切らないで!」と泣きながらそう訴え続けた。
それ以降も切らないようにしばらく長い間、懇願し続けた。
それを聞いていた鋼牙も恐らくシャノンは赤いセダンの姿をした
アレックスが人間を大量に喰らう悪魔だとは知っているだろう。
いや、さすがにそこまでは知らないか?ただ彼女はあの
イスラムの青年のアヴドゥルの話によれば彼女は元々付き合っていて
ストーカーをしていた日本人の男にDV(ドメスティックバイオレンス
による酷い暴行を受け掛けたところを魔獣ホラー・バエルに助けられたのが縁で
あのシャノンと言う女はそいつの事を愛しているのは涙目で
必死に彼の為に祈り続けている様子から良く分かった。
切なく。恐ろしい程に。そして鋼牙の脳裏にはついフラッシュバックで
過去にかつての弟子のバラゴに彼の師匠であり俺の親父だった
冴島大河を目の前で腹を貫かれてほぼ即死で殺された光景が甦った。
一応そのトラウマは克服したつもりだった。
しかしそれでも鋼牙は愛する家族、父親を目の前で失った悲しみと悔しさと
ぽっかりと空いた空虚な心。多分、このシャノンの目の前でこの
魔獣ホラー・バエルを切ったら、きっと死んだ瞬間俺と全く同じ体験をするだろう。
そして鋼牙も流石に心が揺らぎ迷いそうになった。
しかしこのままこの魔獣ホラーをバエルを切らずに見逃したらー。
きっと奴はまた人間を大量に捕食して傷ついた
身体を回復させてまた力を取り戻すだろう。
しかも今回、奴はとにかく厄介なG変異株なるウィルス。
つまり伝染病の病気を持っている。これ以上感染を人々に広げてはいけない。
それに魔獣ホラー・バエルを放置しておけばまた毎日、芋づる式に
多数の人々が捕食されて犠牲者はどんどん増えて行くだろう。
それは『守りし者』の役割を放棄した事になる。
 
(第41楽章に続く)