(第22章)温室の中の悪魔の植物(後編)

(第22章)温室の中の悪魔の植物(後編)

 

プラントE26-43は赤い花弁の中央から黄色の雄蕊(おしべ)

をぬるりと伸ばした。これから交配しようとするヘザーは

「大丈夫!大丈夫!大丈夫!」と自分に何度も言い聞かせた。

ヘザーは空高い所で手首と足首を太いタコのような吸盤の付いた繁殖用の蔓で

固定された状態でしかも立ったままの姿勢で操り人形の様に吊り下がっていた。

プラントE46-43は更に花弁の中から黄色の雄蕊(おしべ)の

先端をゆっくりとヘザーの膣の奥に挿入した。

やがてヘザーは全身を激しく上下に突き上げられるような感覚を覚えた。

間も無くしてヘザーはゆっくりと両瞼を閉じた。

「ああっ!ああっ!ああっ!ああっ!はあっ!ああっ!あああっ!はああっ!」

徐々にハアハアハアと甘いと息を吐き続けるヘザーの表情は幸せなものになった。

同時に彼女の白い輝くような肌の大きな丸い豊満な両乳房は上下左右にゆっくりと

跳ね上がるように揺れ続けた。更に彼女はプラントE56-23の

巨大な赤い花弁の中心に座り込んだまま、白い輝くような肌をした大きな

丸い張りのあるお尻をプルプルと更に激しく前後に揺らし、腰も激しく

クネクネと前後に振り続けた。自らの意志で。

同時に大きな丸い豊満な両乳房もますます激しく上下左右に揺れ続けた。

更に彼女は激しく甘い吐息を吐き続け、激しく甲高い喘ぎ声を上げ続けた。

「ああっ!ああっ!ああっあ!ああっ!あああっ!あああっ!はああっ!」

彼女は自分の腰が激しく痙攣するのを感じつつも天井を見上げ、静かに両瞼を開けた。

すると青い瞳には天井のLEDの優しい明かりが映った。

プラントE46-23とヘザーの繁殖行為を終えたあと

何故かプラントE46-23はヘザーを鉄の床の上に降ろした。

そして彼女の両手首から太いタコのような吸盤の付いた繁殖用の蔓を

解いてスルスルと天井へ消えた。どうやら彼女だけは解放されたらしい。

それから黄色の防護服とマスクを付けた温室実験室の研究員達に連れられて

無事に悪魔の植物がいる地獄の温室実験室から生還した。

更に精密検査が行われた。その結果はー。

予めダニア博士がヘザーに投与したワクチンは正常に機能していてほとんどの新型

T-エリクサー(仮)(E型特異菌遺伝子有り)ウィルスは身体から消滅していた。

更に彼女の子宮は変異せず正常な機能と形に保たれ大量の種子は発生しなかった。

その為、発芽した種子から流出した植物細胞がヘザーの全身の細胞と急速に

同化して行く事で『人間とは全く違う別種の植物生命体』へ姿を変わる事は無かった。

人間の女性の姿を留め、代わりに彼女の子宮にはたった一つの女性の卵子と花粉が

融合し、小さな種として子宮壁に着床して人間の女性と同じように正常な妊娠をした。

それから彼女は一応隔離部屋に入れられるが、すでにワクチンによりウィルスの

影響は抑えられているので直接触れても抱いても母子共々問題ないとする

旨の実験結果報告書をヘンリー温室研究室主任宛てにダニア博士はメールで送った。

 

HCFセヴァストポリ研究所の『BOW(生物兵器)及びウィルス兵器研

究開発中央実験室』のエア・マドセンの母親のアンヘラ・マドセンの研究室。

それからエアはこれから外へエイダ・ウォンと一緒に出掛ける準備をしている

アンヘラに会った。「あら!エア!だから大丈夫よ!貴方は心配しなくていい!」

するとエアはアンヘラにこう意見を述べた。

「でも!やっぱり!違うんじゃないかな?何の計画かは良く知らないけれど!

反メディア団体ケリヴァーの人達をわざわざ全員、BOW(生物兵器

やウィルス兵器の実験の為に犠牲にするなんて!しかもクレーマータックって

さっきマッド達に聞いたけれど命の尊さを知らない人間をターゲットにして

死のゲームを仕掛けるっていうんでしょ?実際、それで何人か死者や生還者が

いるって聞いたけれど!ストークスを守る為とは言っても!

それはやっぱりマズイと思うよ!あいつは危険なんだよ!

ママもエイダさんも危険な目に合うかも?・・・・・」

エアは母親のアンヘラとエイダを酷く心配した。

そして行くのを思い留まるように必死に説得した。

何故だか分からないがこのままママが僕と父親の目の前から

永遠に姿を消してしまいそうな気がした。

ここでママを説得しないともう二度と会えない気がした。

流石にすぐに死んでしまわないと思うが。

それでも僕の目の前から遠くへ行って欲しくなかった。

「お願い!ここにいてよ!ママ!ママ!」

アンヘラはエアの方へ歩み寄るとその場でしゃがみ込み

茶色の瞳で今にも泣き出しそうなエアの顔を見た。

「大丈夫よ!今はママはエアの前からいなくならないわ!

でもね!もう貴方は立派な20歳の大人!!

もうママの助けは必要ないの!貴方は一個人の大人として

お父さんや仲間の保安部隊達と責任と誇りをもってこの

HCF保安部隊の仕事を元気な内にやり続けないといけないの!!

ママだって貴方といつまでも一緒にいたいけれど

人間は必ず歳を取って80か90で必ず死んでしまうの!

あるいは不意の事故やアクシデントで死んじゃうかも知れない!

人間なんてね!いつどこで何日、何時に死ぬかなんてあたしにも

貴方にも誰も分からないのよ!!だから私は今自分が生きている内に

貴方と恋人のストークスの幸せを第一に考えているの!

例えあたしがが死のうと!貴方が。そして幸せな・・・家族を作れれば!

私はそれだけでもこの世界で命を懸ける価値があると思うの。

私は貴方達の幸せの為に自分が出来る事を精一杯してあげたいのよ!

それが私の人生!私の命を懸けた人生なの!

親が子の幸せを強く誰よりも願うのは当たり前なのよ!」

アンヘラはエアに精一杯の笑顔を見せた。

母親アンヘラ博士の小脇には3枚の報告書の入ったファイルがあった。

思わずエアはその2枚のファイルに入っていた白い紙のタイトルと

内容を茶色の瞳で見てしまった。1枚目には『R型計画具体案』。

2枚目は『核ミサイルによる滅菌作戦により地図上から完全消滅した

ラクーンシティの荒廃跡地のアンブレラ社所有の研究所NEST(ネスト)

内で発見されたプラントRE2-43の調査報告書について』

更に内容もある程度は読めた。内容は以下の通り。

「1998年。10月にての滅菌作戦で消滅したラクーンシティ

周囲12kmが放射能に汚染され、立ち入り禁止となった。

そしてクレーターまみれとなったラクーンシティ跡地では新しく研究施設

NEST(ネスト)を建設して『プラントRE2-43』の苗を

製造研究していたようだがアンブレラ社が事実上倒産し、

既に研究所は封鎖されている。

我々、HCFはその『プラントRE2-43』の苗のサンプルを極秘に回収し。

現在はその遺伝子を『プラントE46-43』にウィルスを利用して」

(この先は銀色のファイルに隠れて文章は判読出来ない)

「もう!また勝手にファイルを読んだわね!」

そのアンヘラの声に驚き、全身をビクンと痙攣させてエアは慌てて謝った。

「わっ!わあっ!御免なさい!」

「もう!そうやって盗み見したり!盗み聞きするのは止めなさい!

そんな事したらここじゃ!本当に幾つ命があっても足りないわよ!

特にこの『R型計画』は貴方のガールフレンドのストークスを

救い出す唯一の大事な方法なんだから!」

「あっ!ああっ!ごめん・・・・・な・・・さい・・・」

エアもつい弱気になり静かに謝った。

するとアンヘラも暗い顔になった息子の表情を明るくしようと笑顔になりこう言った。

「よし!素直でよろしい!これで『R型計画』が大成功して!貴方のガールフレンドの

命を危険に晒している反メディア団体ケリヴァーがいなくなれば!救われるはずよ!」

「でも!それって!本当に正しい事なのかな?ママ?」

「正しい事なんて本当は誰にも分らないものよ。

反メディア団体ケリヴァーは罪も無いゲームプログラマーやユーチューバー。

ニュースキャスター、ニュースアナウンサー、会社、プロゲーマ。

ゲーム実況者の居場所と職場を完全に排除しようとしている。

しかも貴方の好きなゴジラ人形や怪獣の人形、ストークスの好きなリカちゃんや

プリキュアシリーズの人形を全て命の無い物と否定して排除しようとしている。

あいつらは他人が心を込めて作った物を否定してないがしろにしている!

あいつらは私はどうしても許せないのよ!怒りを覚えちゃうの!

でもあいつらは自分達のやっている事が『全て正しい』『正義』だと思っている!

それで『メディアがなくなれば!子供達の心は必ず救われる!!』

と本気で思い込んでいる!でもね!エア!よく覚えておきなさい!

『自分が絶対に正しい正義』だと思って実行しても他人が

『絶対に正しい正義では無くただの迷惑行為』だと思われているのよ!」

母親のアンヘラ博士は熱心に自分の考えを息子のエアに教えていた。

 

(第23章に続く)