(第40章)新型タイラントコード・水虎

(第40章)新型タイラントコード・水虎

 

「マジかよ・・・・」とスペンス主任も全職員、スタッフ、研究員達も

リッカー・プラントデッド・プロトの胚の性質に全員背筋が凍り付き、ぞっとなった。

その時、AI(人工知能)アポロが気を使ったのか

また新たな計画の話題を持ち掛けてきた。

「そういえば現在進めている『第1世代・第2世代水虎計画』

と言うものがありましてね。

これは第1世代を繁殖可能な若い女性を第1世代として製造。

製造後、被験者男性の間に第2世代水虎を製造させると言うものです。」

アポロは新型のネメシス開発計画の『第1世代・第2世代水虎計画』の話を続けた。

「そして二人組で実戦投入する。新型のネメシスの製造計画です。

つまり2体の新型ネメシスが協力して戦う事により

効率の良い敵の殲滅方法を模索する実験プログラムです!」

「でも?水虎って中国の妖怪なのよね?大丈夫なの?」

「水虎って噂じゃかなり凶暴だとか?本当に・・・・」

「その為にきちんとした対処はして貰います!

また『第2世代水虎の製造実験は若い女性被験者の容態が安定次第!

男性被験者を決めて行う予定です!勿論男性達、男性職員、スタッフ、研究員の誰か

独りが選ばれる可能性があるのでそのつもりでいて下さい!

近々!HCFセヴァストポリ研究所内の全職員、スタッフ、研究員、各研究実験室

主任を含む男性を対象に健康診断と精密検査を必ず受けて貰います。

また20代から30代までの成人男性は被験者となり

『第1世代・第2世代水虎計画』に参加して貰います!

決めるのは今のところ1人です。しかし生殖能力が高い男性が

複数いる場合は全員被験者になる可能性があります!以上!」

「つまり?俺やスペンス主任、他の男性なら誰でも??」

唖然とした表情でダニエルはスペンス主任の顔を見た。

しかし一部の男性職員やスタッフ、研究員は大喜びしていた。

当然だ。彼らはまだ若い恋したがり屋の男の子だから。

彼らはモニター画面に表示された茶髪の日本人女性の顔写真を見るなり。

一斉に歓声を上げた。何人かは口笛を吹いて大騒ぎした。

その様子に女性研究員のクリスティンは呆れ果てた。

それからやれやれと右手を顔につけて首を左右に振った。

「うーうーっ!もーつ。どうして?男はみんなそうなの?」

「まあー仕方が無いさー男の子だし!みんな!」

ダニエルもニヤニヤと笑いながらクリスティンに言った。

「貴方もね。大体タイラントは量産の為にクローン化させるんじゃないの?

そんな有性生殖なんて大きさはどうすんのよ??」

するとスペンス主任が白衣のポケットに入れていた

日本の漫画を取り出しながら思い出したようにこう言った。

「確かアンブレラ社が所有していた研究所のあったジーナ島で確か名前は忘れたが。

その研究員が自らの最高傑作として作り出した

小型成功試作型タイラントの技術を応用するとか」

「ふーん。それで人間大までの慎重にしようとね。

確かそのタイラントの名前はヒュノプスだったかしら?噂では過去にアンブレラ社が

ヨーロッパで遺伝子操作で作り出された寄生生命体のネメシスの遺伝子を組み込んだ

新しい寄生体を開発したとか?名前は『水虎・プロトタイプ』だったかしら?」

「成程!かなり興味がある噂だな。」とスペンス主任は答えると

日本の漫画を呑気に読み始めた。その日本の漫画のタイトルは

『GARO牙浪魔戒ノ花』とあった。

ちなみに原作は雨宮慶太で作画は苺野しずくである。

 

HCFセヴァストポリ研究所内のBOW(生物兵器)及びウィルス兵器開発

中央実験室の片隅にあるダニア・カルコザ博士の自室。

ダニア博士はまた相変わらずいつものように大きな金色の柱と

縁取られた黒色の玉座に座って目の前の大きなモニターを見ていた。

モニター内では魔女王ホラー・ルシファーとの戦いの末にストークスを

守れたが代わりに自分の大好きな母親の

アンヘラを失った事ですっかり落ち込んでいた。

彼は心の穴を埋めようと自分の心を整理していた。

ダニア博士はとても心配そうに自室のベッドの上で体育座りとなり、組んだ両腕に

顔をうずめていつまでもメソメソ泣いているのをモニター画面を通して見ていた。

更にエアは時々、「ママ」と何度も小さく呼ぶ声を上げて「どうしたら・・・」と

呟き「どうして?ママは行ったの?」と悲しげに呟き続けた。

ダニア博士は今エアは母親のアンヘラを失ったショックでかなり

精神的に追い込まれているのを感じ取り、心配になった。

自分はママの代わりになれない。それでも。

それでも。それでもエアの事は誰よりも心配していた。

彼は幼い頃から母親アンヘラと一緒に可愛がって来た。

勿論、血は繋がっていないが自分の子供のような大切な存在だった。

と言うよりはむしろ姉と弟みたいな関係か?うまく言えない。

だからこそ彼が間違って自殺など考えを起こさぬように。

自暴自棄になって何かをしないようになるべく監視をする事にしていた。

だからコーヒを飲み、今も監視しているのだ。彼の母親のアンヘラの

お葬式や死体の無いお墓を建てるのかはまだ決めていない。

とにかくアンヘラ博士は『事故で死亡した』と言う風にHCF上層部に報告した。

しかしHCF上層部達はちゃんとした真相を知りたかっていたので

『魔女王ホラー・ルシファーによりアンヘラ博士は魂を

喰われて肉体を乗っ取られて死亡した遺体も無し』と有りのままを報告した。

HCF上層部達は私以外「有り得ない」や「信じられない」と言っていたものの

幽霊にイタズラされたのが効いたのか知らないが真実をあっさりと認めた。

正しくは認めざる負えなかったのである。

そして有りのままに公式の彼女の死は処理された。

AI(人工知能)アポロはダニア博士にある報告をした。

「HCFにスパイとして侵入していた反メディア団体ケリヴァーのメンバーは

全員無事に捕らえ、それぞれ処理は済ませました。侵入者は男女4人です。

しかしどうやらまだ他にも反メディア団体ケリヴァーと思わしき人物が

何人か確認出来ています。反メディア団体ケリヴァーのメンバーと思われる

男性と女性の10人を現在!囚人として捕えています!

彼らの処理はどうしましょう?」

「あのえーと、あのピエロ型宇宙人のキラークラウン達との

取引の為にあいつらを利用しましょう!食料提供と繁殖相手提供で」

「幽霊に悪魔に魔女に次は宇宙人ですか?・・・・」

AI(人工知能)アポロはホトホトついて行けないと言うように答えた。

「これも仕事よ!キラークラウン達からあの人間の女性から産まれた幼虫達や

ポップコーンの卵は我々の知的好奇心を満たしてくれるわ!ついでに

こいつらもうまく利用すればBOW(生物兵器)開発にも利用出来る筈よ!アポロ!

これはちゃんとした取引なのよ。私達は連中に餌の人間の男と繁殖相手の女を与える。

その代わり連中から幼虫やポップコーンの卵や一部の機械技術も提供して貰うのよ!」

「ですがあいつらがいつまで我々人間を信用するのか?」

「勿論!裏切れば私達はBOW(生物兵器)やスパイ達を利用して我々と連中

の関係が表沙汰にならない内に手早く始末するわ。勿論、秘密組織ファミリーや

BSAA,ブルーアンブレラ社にアメリカ政府を利用してね!!」

ダニア博士は残酷な笑みを浮かべた。

するとAI(人工知能)アポロは「やれやれ」と声を上げた。

「そう言えばスパニッシュハーレムのピエロ宇宙人の事件を実際にあったものとして。

基にした映画がニューヨークとアメリカと日本、世界中に公開されたわよね?」

「はい!かなり脚色されていますが映画化されていますよ。

タイトルは『キラークラウン』です。脚色は1950年に量産されたB級SF映画

をキッシュな80年代ティストで愛情を込められて付けられたとか?

主演女優には『真・女神転生Ⅱ』と『真・女神転生Ⅲ』でトキの役を演じていた

山田真帆さんが出るようです。」

「へえーどんな役かしら?」と好奇心に駆られてダニア博士は

AI(人工知能)アポロに尋ねた。

ピエロ型宇宙人にデート中に遭遇した一般女性の役です。

でも実は大学で生物学を専攻していたピエロ型宇宙人の生態を解明しようと

色々な科学や解剖調査を進めたりします。

デート相手は新人のハリウッド俳優の

グラント・クレイマーと言う人物が出演しています。

保安官の役でもアレン・ネルソンやムー二役に

ジョン・ヴァーレンが出演しています。」

「へえー今度、彼の心の整理が付いて落ち着いたらストークスとの

デートにどうかしらとエアに進めてみるかしらね。」

ダニア博士はニヤニヤ笑い、そう言った。

その表情はどこか悪戯っ子を思わせぬ純粋な子供のようだった。

するとAI(人工知能)アポロも彼女の意見に賛同した。

「いいアイディアです。気分転換にいいでしょう!」

AI(人工知能)アポロは話を続けた。

「ストークスとエアさんには一般人のフリをさせれば問題は無いでしょう!

BSAAやブルーアンブレラがいるのがかなり厄介と言えば厄介ですが。」

 

(第41章に続く)