(第32章)アキュラスとインキュバス

(第32章)アキュラスとインキュバス

 

エアとホワイトフランドールに説得されてようやく鳴葉は肉屋を出た。

それから裏口から出てすぐ隣の電気屋へ向かった。

その時、鳴葉は思い出したように肉屋で見つけた謎のメモの存在に気付き。

胸の白い肌の露出した旨の谷間と白いシャツの間からその謎のメモを取り出した。

エアは気にしないふりをした。そして何事も無かったかのように謎のメモを読んだ。

「むかーし、むかーしあるところに一人で悩んでいる『インキュバス』と言う

悪魔がいました。彼女の真名は全く違うもので本当は太陽の神様で

それはそれは強い神様でした。

彼女は最強の戦士であり、最強の魔術師でもありました。

そして力のある人間の男や女を好み、力を求める王族や戦士、魔術師、奴隷、

犯罪者でも誰でも応援していました。とにかく豪快で気まぐれでした。

しかしある日。古くから土着神として『静かなる丘』を治めていた土地に移民達が

入り、彼らは唯一神キリスト教の思想を無理矢理に先住民に押し付けました。

そして怒った先住民達は移民達を追い払おうとしました。

しかし移民達は永遠の泥土の呪いをかけて身体に苦痛を与え。

心に憎悪を与えられ、お互い傷つけ合うようにしてしまいました。

そして彼らに復讐を誓いました。それから新しく入った移民達によって

間違った信仰と儀式により、呪われし異教の唯一神キリスト教の力に

よって太陽の神様は貶められ、堕とされてしまい。

太陽の神様は邪神か悪魔としてインキュバスに変えられてしまいました。

そして太陽神とその神々はその永遠の呪いに縛られ続ける事になりました。

彼らはそれ以降、間違った信仰と儀式を用いて悲しみも苦しみも一切存在しない

空想の楽園を求め続けました。しかしそれは最初から存在しないただの妄想でした。

それを良くないと考えた太陽神は一人の人間の少女(アレッサ・ギレスピー)を

お母さんとして儀式を移民達にやらせて何とか本来の姿に戻ろうとしましたが

失敗してしまいました。結局、呪いは解けませんでした。

インキュバスは困り果てました。さあー困った。困った。」とあった。

「本来の姿?じゃ!今まで『静かなる丘』に出現し続けた

神様は本来の姿では無いと?じゃ!今回のは?」

「なんだか良く分から無いけれど。元に戻ろうとしているのかしら?」

「だとしたら。完全に復活したらマズいな。

噂では通常の人間の力でもどうしようもない程、危険な存在になるとか?」

「マッ!マジ?それは大変ね!急いで止めないと!」

エアと鳴葉は危機感を抱き、不安を感じた。

それから3人は既に壊れていた電気屋の裏口のドアの中から入って行った。

ドアは真っ二つに割れていて床に転がっていた。

中は酷い有様だった。周囲の家電コーナの棚にあったであろう

大量の電化製品が粉々になり多数の瓦礫の山と化していた。

しかもどうやら内部から破裂しているらしい。

ホワイトフランドールは悲しい表情をした後に怒り始めた。

「ああなんて事を!畜生!畜生!!私の能力を悪用して!こんな!こんな!」

ホワイトフランドールは静かに青い瞳から涙を両頬まで流した。

また販売用のVHSビデオテープも内部から破壊されて瓦礫の山となり。

テレビコーナにあるブラウン管テレビも誰かが落とした携帯も

スマホも古いパソコンも全て破壊し尽くされ、テレビの液晶画面が粉々になり。

パソコンやテレビの液晶画面と箱部分も原形を留めない程、破壊し尽くされていた。

またスマホや携帯も真っ二つにへし折られて無残に投げ捨てられていた。

「酷いな」とエア。

鳴葉はそっと割れて粉々になったゲームキューブ

赤いCD型のカセットを掌に乗せた。

「きっと!母親がこれを全て壊してしまうか目の前で壊すように

無理矢理強要されたに違いないわ。」

「あるいは子供の目の前で物を壊したか?物を壊して捨てる行為をまるで

ヒーロのように称える大人の言動聞くと本当に虫唾が走るな!クズな大人達だよ!」

エアも不快感と嫌悪感を露わにした。

全く最悪な気分だ!さっきの断末魔の絶叫の主がこの壊れた電気屋

物達だと思うと更に気分が悪い!吐き気が襲って来そうだ!

実際、本当に吐きかけた。

鳴葉は壊れた家電の瓦礫の中から屋上の鍵を見つけた。

かなり小さかったが金色に光って目立っていたのですぐに見つけられた。

それから鳴葉は鍵を拾った後、「屋上の鍵ね!」と言った。

そして鳴葉は手に入れた小さな鍵を南京錠の鍵穴に入れてくるりと回した。

カチャン!と共に床に南京錠と鎖が落ちた。

それから扉を開けた。鳴葉とエアとホワイトフランドールは中へ入った。

どうやら長四角の部屋で事務室のようだった。

机や棚、書類棚、請求書の束があっちこっちに散らかっていた。

更に床には大量の書類が散乱していて足の踏み場も無いほど覆い尽くされていた。

エアはその覆い尽くされた書類の中から破られたノートのページの白い紙が

一枚落ちているのを発見した。そのノートのページは真っ白で真新しかった。

どうやら『静かなる丘』へ最近来た人物が書き残したようだ。

「全く!ここの連中は狂っているな!!人間様が作ったゲームやテレビ、携帯。

スマートフォン。後はメディアだっけ?よく知らんが。

それさえ排除すれば人間は幸せになれる?

『メディアは悪だから排除してしまうこそが正義だ!』

あのズタ袋を頭に被ったゴミ人間がそう言っていたな。

でも一人残らず全員切り殺したが。

フン!正義など歪んでしまえばただの悪だ!!

くだらねえ!!正しいと断言できるものなどこの世に存在しない。

そもそも答えが無いのだからな。(神の牙・ジンガ)」

「ジンガ?神の牙?!確か秘密組織ファミリーの情報部から

おっと!!とっ!とにかく!『危険人物』とか聞いたな。

FBIニューヨーク市警が追っている銀髪の青年の凶悪犯で殺人鬼だ!」

すると鳴葉は思い出したらしく大きく口を開けた。

「知っています!確か長剣で人を切り殺す殺人鬼とか?」

彼女はブルブルと全身と両手を震わせた。

「まさか?屋上にそいつがいるとかないんでしょうね?」

「正直!分からん!!だから危なくなったらここへ逃げ込んでくれ!

ホワイトフランドール君もだ!!」

鳴葉もホワイトフランドールも無言で「うん!」と頷いた。

エアはとにかくこの電気屋の屋上に何が待ち構えているのか分からない。

とりあえず今は鳴葉やホワイトフランドールには覚悟を決めてもらわなければな。

それから2人は覚悟を決め、エアもちゃんと決めた。

3人は迷わず事務室の奥の扉を開けて、多分、

屋上へ続く階段を上へ上へと昇り続けた。

倉庫の屋上は見ただけで一階建てだと分かっていたのである。

そして3人は無言で屋上へ続く階段を上へ上へと昇り続けた。

この電気屋の建物は見ただけで一階建てだと分かったのである。

3人は無言で屋上へ続く階段を上へ上へと昇り続けた。

やがて屋上へ続く扉が見えた。エアは先頭に立って慎重にドアノブを回した。

屋上は四角い広場で水道タンクや倉庫の建物が2ケ所見えた。

周囲は表世界の特徴の白い霧に空は覆い尽くされて何も見えなかった。

しかし3人が屋上に足を踏み入れた途端にまたしてもあのサイレンが鳴り続けた。

ウウウウウウウウウーウウウウウーツ!ウウーウウウーッ!ウウウウウウッ!!

そして再び屋上の白いタイルの床がどんどんぺリぺリぺリと剥がれて行った。

やはて真っ赤な血と錆のに覆われた汚れたタイルの床へ変わって行った。

また水道のタンクの青い鉄も赤い錆塗れになった。更に書庫の建物の

白いコンクリートの壁も真っ赤な血と錆にどんどん覆われて行った。

更に白い霧に覆われた空もたちまち真っ暗闇の夜になったように

一面暗黒に覆い尽くされて行った。また裏世界であろう。

「やっぱり」とエア。「でも!」と鳴葉。

「気おつけて!」とホワイトフランドール。

3人は周囲を警戒して中央に一か所に固まった。

しばらくして裏世界の屋上に12歳の少年が現れた。

エアはその12歳の少年を見た。

「君が?まさか?アキュラスか?」と尋ねた。

12歳の少年は答えた。

「そうだよ!僕がアキュラス!!」

ホワイトフランドールはアキュラスを青い瞳で睨みつけた。

「貴方がテレビやゲーム!携帯やスマホを壊したのは!

この最低のクソ野郎!よくも!」

アキュラスは「フフフッ!フフフッ!」と笑い出した。

「君は何者なんだ?君が例の神の儀式を!」

「そうだよ!僕が呼んだんだ!楽園を創造する為にね!」

エアは笑顔で言うアキュラスに怒りを覚えた。彼の特徴は。

黒髪のオールバックに丸々と太った7歳の黒い子供用との服と

赤いネクタイを付けて黒いズボンを履いていた。

また両脚には真っ黒なスポーツシューズを履いていた。

アキュラスは怒りの表情でするエアと

ホワイトフランドールを茶色のくりくりの瞳で見た。

「なーに!怒っているんだい?お兄さん!姉ちゃん!」

 

(第33章に続く)