(第3章)転生されし『静かなる丘・サイレントヒル』の土着神

(第3章)転生されし『静かなる丘・サイレントヒル』の土着神

 

エアと鋼牙、魔人フランドールはエイダと鳴葉を破壊神ミカエルに

任せてこのバベル超結界の地下へ行く事が決まった。

その直後、エアの無線に再びグーフィから連絡が入った。

「こちら!HCF保安部隊!グーフィだ!実は君の子供を妊娠したストークスが

さっきたった一日で28週の9か月分の成長して30分前に無事出産したんだ!」

エアはストークスがあっと言う間に子供を出産した事実に驚きつつも

更なる説明をグーフィ博士から聞いていた。その表情は茫然としていた。

「その子供の見た目は人間の胎児と全く変わらない。

性別は男の子だ。

しかもその男の子は急速に周囲の環境に適応し始めて。

更に周囲の人間の言葉を覚え始めて、行動も覚え始めて。

背も伸び始めて今じゃ!2本足で立ち上がっている始末だ。

肉体の成長も生殖器官も急速に発達している。

そして自らをアダムの子供と名乗り始めている。

更にアダムは先ほどニューヨークや全米各地で不特定多数の女の子や

女性達が変貌した変異天使兵レギオンをHCFセヴァストポリ研究所から

遠隔操作するようにワンバックやツイスデッドヘリックス

(天魔エグリゴリ)を支配する彼女達の大群を指揮して急速に組織化している。

その為、現在BSAAやブルアンブレラ社。

米陸軍、米空軍、FBI捜査官、OSAによるレギオン駆逐作戦が困難を極めている!

このままじゃ!僕達の異場所も特定されるかも?

だから今!そのアダムを無力化させようとあらゆる方法を試して見たが全然駄目だ!

まるで神の力に囚われているようだ。

多分!大元のメインサーバー『静かなる丘』の土着神を

完全にシャットダウンさせない限り無力化は無理だ!!

とにかく早く大元となる『静かなる丘』の土着神を封印してくれ!

そうすればアダムや変異天使兵レギオンを無力化させられる筈だ!」

「くそっ!何がアダムとイヴだっ!俺とストークスは人の赤ちゃんが欲しかったのに!

それを!それを新人類だと?許せないッ!」

魔人フランドールはエアに大声で呼びかけた。

「エア!何しているの?早くこのバベル超結界を無力化させるわよ!

必ず『静かなる丘』の土着神を封印するわよ!」

「ああ、分かった!分かっている!グーフィ!また連絡するよ!」

エアと魔人フランドールが右手と左手をバベル超結界の方へ向けて。

「はああっ!」「やああっ!」と気合を入れた。

同時にそれぞれの左右の掌から真っ赤な光を持つ賢者の石の力を放った。

やがてバチン!と電気がショートして火花が散った時のように大きな音がした。

そして教会の地下に続く大穴を覆っていたバベル超結界を無力化させた。

素早くエア、魔人フランドール、鋼牙はしばらく大穴の中を一直線に落ちて行った。

やがて穴は無くなり、真っ赤に輝く床の上に無事に全員着地した。

全員は周囲を見た。

そこは広大な球体の真っ赤な壁に覆われていた。

更に球体の中央には四角の真っ赤な板が床になっていた。

そして目の前にはあの神の胎児が成長しきった姿があった。

神の胎児はかつて母親ダリア・ギレスピーの手によって

娘のアレッサ(シェリル刑事の前世)を母体にして

不完全なまま産まれた神のインキュバスだった。

その姿は頭部に2対の茶色の昆虫の脚に似た2対の細長い角。

細長い三角のヤギの頭部。茶色の胴体には小さな丸い両乳房と茶色の乳首があった。

両腕は茶色で女性のようにしなやかで細長い。

背中からは2対の蛾の羽根に似た巨大な翼を左右にバサッと開いた。

インキュバスは飛行したまま空中で静止していた。

「時は満ちた!我は今!新しい儀式によって忌まわしいキリスト教の影響を排除し!

ようやく完全な神として復活するのだ!」

インキュバスの四角の真っ赤な板の床に

4対の四角い窪みと中央の四角い窪みが発光した。

やがて5つの四角い窪みが次々と発光すると予め配置されていた

『父親の神獣』『母親の神獣』『操り人形の神獣』

『種族の神獣』の文字が浮かび上がった。そして転生の輪が発動した。

インキュバスの全身は真っ赤な発光体に包まれた。

やがてバリバリと電気が走る音を立てて火花が周囲に散った。

バシュウウン!と言う音と共に真っ赤な発光体が

インキュバスの身体に吸い込まれるように消えた。

やがて真っ赤な発光体がインキュバスの身体に吸い込まれるように消えた。

やがて真っ赤な発光体が完全に消えた時ー。

ようやく転生に成功した新たな本来の姿である土着神が現れた。

新たな本来の姿である土着神は聖母となった魔人フランドールに良く似ていた。

魔人フランドールはそれよりも新生した本来の姿をした

土着神を見た時、ふいに懐かしい感覚がよみがえった。

それはかつて火刑で死んだアキラの少年の面影を思い出した事だった。

そして本来の土着神は成人女性の姿をしていた。

金色に輝く髪はサイドテールにまとめられていた。

両瞳は血のように真っ赤だった。

魔人フランドールとアキラの特徴を持つ顔には真っ赤な縞模様と

茶色の縞模様のメイクをしていた。

更に暗黒を基調とした半袖とミニスカートを履いている。

細長い白い肌のしなやかな両腕と10対の短い赤い爪。

むっちりとした白い肌の太腿を持つ両脚に赤いストライプシューズを履いている。

更に黒曜石鏡の形をした両翼の中央からオレンジ色に輝く巨大な太陽が浮いていた。

また歳は20代でIカップ95cmの巨乳に相反する華奢な身体をしていた。

かつて不完全な神『インキュバス』と呼ばれた存在はー。

『静かなる丘』の土着神は正しい儀式によって完全な力を取り戻した。

完全な神に転生した事でダリア達教団による入植者の

キリスト教の影響が初めて消え去った。

同時に本来の創造主にして太陽神の名前を思い出した。

「我は創造神にして太陽神テスカトリポカ!我の名の意味は『煙を吐く鏡』なり!

これから再び楽園への扉を開き!人々を救い出そう!!

そして苦痛も憎悪も穢れも全て浄化しよう!」

太陽神テスカトリポカはフフフッ!と満足げに笑った。

続けて彼女はゆっくりと両腕を左右に広げた。

エアと魔人フランドール、鋼牙はそれぞれ最後の戦う準備をした。

それは午前0時の間の出来事だった。

 

エア、エイダ、鳴葉、鋼牙、魔人フランドールを太陽神テスカトリポカの

元へ導いたシェリル刑事は一人の日本人の男を追い詰めていた。

彼女はハンドガンの銃口を向けたまま厳しい口調でこう言った。

「もう!逃げられないわ!若村秀和!」

「クソっ!この悪魔の子の生まれ変わりめ!俺のやり方は正しんだよこの野郎!」

シェリル刑事は悪態をついて怒鳴る彼の言葉を無視した。

「貴方は私と同様に『静かなる丘』の目に見え無い神の力を持っている!!

刑務所で貴方は若い女性達の精気を使って『アキュラス』と言う操り人形を作った。

ついでにもうひとつ『W型』自分そっくりの人形をね!

そちらは無事に我々SCP財団が『W型』の操り人形の残骸を回収したわ。

こちらは『SCP2417K・JP・W』として本部に送ったわ。

「まて!俺そっくりの人形は誰が破壊した??」

「破壊したのは銀髪の男よ。アメリカ中で

世間を騒がせている連続殺人鬼。名前はジンガ。」

そして若村が何かを言い出す前にシェリル刑事は話を続けた。

「でも『A型』アキュラスは魔獣新生多神連合が回収してしまったけど。

それにこのままニューヨーク市警やBSAA特殊部隊が逮捕してもまた

私と同じように『静かなる丘』の力で脱走してしまうでしょうね。

また刑務所の時みたいに超常的な力に頼れば並大抵の事は何だって出来る。

そして私もクローディア・ウルフやウォルター・サリバンと同等の力を持っている。

勿論、貴方もよ!だから野放しには出来ないの。私は最初の人間。」

シェリル刑事は真剣な表情で若村に話を続けていた。

勿論、貴方もよ!だから野放しには出来ないの。私は最初の人間。

私はあのクローディアとアレッサ・ギレスピー

の因縁に決着を付けて終わりだと思ってた。

でもそれは間違いだった。過去に再び『静かなる丘』の教団の洗脳や

虐待によって人格が崩壊したウォルター・サリバンや貴方達のような生き残りが

他人に超常的な力と儀式で人に危害を加え続けている。

私は耐えられなかった。だから私は自らの意志で動く事にした。

彼女はハンドガンをホルスターにしまった。

そして若村に向かって太くて丈夫なロープで芋虫の様にグルグル巻き

にするイメージを脳内に浮かべてそれを強く念じた。

太くて丈夫なロープで芋虫の様にグルグル巻きにする

イメージを脳内に浮かべてそれを強く念じる。たったそれだけで。

若村は太くて丈夫なロープで芋虫のように全身を完全に拘束されて

身動きひとつも出来なくなっていた。

彼は意味不明な言葉を叫び続けながら

うつ伏せにステージの床にどてっ!と無様に倒れた。

シェリル刑事はたちまち動けなくなった若村に近づくと屈んだ。

彼女は右手で若村の頭部を掴んだ。

更に人とは思えない握力でギリギリと握り締めた。若村は激痛で悲鳴を上げた。

やがてシェリル刑事の右手が真っ赤に発光したかと思うと若村を包んだ。

次の瞬間、バリバリと電撃が走り、若村は全身と股間の激痛に絶叫し続けた。

真っ赤な電撃が収まり、若村は楽になった。

シェリル刑事はようやく若村の頭部から右手を離してやった。

若村は怒り狂ったようにシェリル刑事を怒鳴りつけた。

しかしシェリル刑事は全く意に返さずこう返した。

「貴方はアキュラスや既に壊れて動かない貴方を模した『W』人形や

ケリヴァーミショナリー達を使ってテレビ、スマートフォン、ゲーム、携帯。

ゲーム機、ソフトを本人や破壊した者達に心の痛みや悲しみ、悲鳴、恐怖を与えた。

貴方は現代人の在るべき人間の創りし文化を破壊して踏みにじった。

人や物を傷付けた罪は死よりも重いわ。

また性行為の意思の無い人間の女性を暴行させて仲間として洗脳させたり。

精気を喰わせてマネキンに変えて命を奪い。

ケリヴァーミショナリー達に生贄として多数の男性の心臓と命を奪わせて。

コトリバコで罪のない女性の命と子供の命を平然と奪おうとした。

ついでに『R型暴走事件』を起こしたりと悪行を挙げてもキリがない。

大罪人であると同時にもはや人間じゃないわ!」

「どういう意味だ?同じ人間じゃないと?俺はモノじゃ・・・・」

「いいえ!貴方はもう十分な危険な物!オブジェクトよ!」

シェリル刑事がそこまで言った時、後ろから誰かの声がした。

「ご苦労様!やっぱり君は優秀なSCP財団の職員だね!」

そして男の声と同時にバサッバサッと翼の羽ばたく音が聞こえた。

シェリルが振り向いた時、背中から鳥の羽根を生やしたもう

一人の日本人の男がゆっくりと空高くから舞い降りた。

「貴方は人間じゃない?!まさか?本物の悪魔??魔獣ホラー?」

彼女の眼にはどう考えても自分が所属しているSCP財団の

研究員でもなければ職員でも護衛隊員でも無かった。

現れた日本人の男は丸い眼鏡をかけて黒い服を着ていた。

歳は20代の若者で確か鳥や獣や花をモチーフにした怪物。

鳥や獣、蝙蝠とモデルになった若い女性の裸体をモチーフに組み合わせた人型の

日本の特撮ヒーロ番組、映画、ゲームの敵キャラクターのデザイン画や

造形人形とCG画像や特殊効果を手掛けている

有名な造形師の板尾龍と言う名前の男で間違いない。

彼の絵と造形は色々見た事があるがどれも悪魔的で美しく野性的で

自分は不気味に思いつつも魅力を感じていた。

男のモデルも時々使って獣や蝙蝠や鳥をモチーフにした怪物は好きだった。

筋肉質でエロティックで芸術的に自分もファンだった。

 

(第4章に続く)