(第47章)フランドールの罪の懺悔。

(第47章)フランドールの罪の懺悔。

 

シルクロードは「えっ?」という顔をした後に魔人フランドールを見た。

「私は最初に『静かなる丘・サイレントヒル』の調査と言うか

都市伝説を自分の興味本位で調べていたの。

でも油断していて若村って男が再興した『教団』に捕まっちゃったの。

そして儀式に利用されて私が神をお腹に宿されて。

私が異世界をこの現世の呼び込んでしまった。私のせいで・・・・私が・・・・・」

「君が?うわー!その若村って日本人は酷い事をするなぁ。

こんな小さい子を利用してさ!同じ日本人として恥ずかしいなあー!」

シルクロードは憤慨した様子で両手を頭の下に入れて枕にした。

「私を責めないの??私のせいで・・・・」と魔人フランドールは静かに泣き出した。

「俺はあんたを責めないよ!それに仮にそうだったとしても。

結局は魔人フランドールとエアさんとエイダさんと鳴葉さんって人達と一緒に

復活した紙をようやく封印して世界を救ったじゃないか?」

「それはそうだけど。私がそもそも油断をしなければ・・・・」

「誰だってさ!色々やっていると失敗したりするのさ。油断もするさ。

ぶっちゃけ俺だって自分の好きな事を全力で動画を作ってさ!

自分は身体も人並みに頑丈だからって油断したらさ。気が付いたら。ハハハッ!

足底筋膜炎と疲労骨折。有痛性分裂膝蓋骨、神経絞扼症候群とさ。もう酷いよ。

息も出来ないくらい痛いわ。そのままの姿勢で。両足痛くて歩けなくなりかけていた。

踵からえーと足の甲辺りから折れててヤバかったな。

右膝のお皿近くの骨が割れていて。

膝ロッキングって膝をカクンって外したりして。

全身の筋肉が強張って神経が圧迫されてすげー痛いのよ。

もう脇腹もくそ痛いし!流石に休んだよ。やばいよ。もーう。

すんごい身体が超ボロボロになっていたのさ。

流石に俺みたいに物凄い品々が揃うって事が無いにしろ。

誰だってそんな感じの事はあるさ。だから気にすんな。

もう起きた事はクヨクヨ考えてもしょうがないさ!それに・・・・・」

「私は善人ではありません。ただ自分の失態を責任を持って後始末しただけです。

私はこんな。いや。やっぱり。やっぱり。今更思っても・・・もう何もかも・・・・」

「立派だね。なんか若村ってやつよりも大人だね!」

「大人?まあ。そうね・・・・」と魔人フランドールはシルクに褒められて喜んだ。

そこから彼女は少し上機嫌になり、「フフフッ!」と笑った。

するとシルクロードは更にこう言った。

「そう!フランちゃんは立派だ!自分の失敗はちゃんと最後まで責任を持った。

それはとても立派な事だよ!だから落ち込まないで!」

シルクロードに励まされた魔人フランドールはようやく元気を取り戻した。

「ありがとう!元気になったよ!」と笑いながら答えた。

「よかった!これでダーマとモトキも安心できるわ。」

シルクロードはそのまま両腕を伸ばしてうーんと背伸びした。

それからシルクロードと魔人フランドールはまるで童心に帰ったように笑い合った。

しばらく二人は緑の芝生の上でまどろんでいた。

突然、さっきまでの静寂を破壊するように

マサイの大絶叫(?)いや大声が聞こえてきた。

「うおおおおおおおおおおおまてええええええええええっ!俺の青春!!」

びっくりしたシルクと魔人フランドールは上半身を起こした。

そして声のした方を素早く見た。

するとマサイが両腕を振り回して、全速力で何かを追跡していた。

2人は彼が追っている物に視線を向けた。

どうやらマサイが追いかけているのはニューヨーク市警のパトカーのようだった。

シェリル刑事が運転するパトカーをマサイは息を切らせて全速力で

追っかけ回すのにシルクは大きく動揺した。

しかし魔人フランドールは楽しそうに笑い。

「あらま!フフッ!楽しそう!本当に愉快なグループだわ!」

彼女はしばらくにやにやと笑い続けた。

やがてニューヨーク市警に向かって街へ出てい行く筈が途中。

シェリル刑事はブレーキを踏んだらしくパトカーは停車した。

シェリル刑事がパトカーから出てきた。

シルクと魔人フランドールは仲良く並んで近くの茂みに隠れて様子をじっと観察した。

視線の先にはマサイとシェリル刑事がいた。

「あら!まさか!フフッ!パトカーに終われて全速力で逃げる犯人はよく見るけど。

逆にパトカーを全速力で追っかける一般人も初めて見たわ。

珍しい事もあるもんね。なんか面白いね!」

マサイは両手を膝に乗せて、ハアハアハアと激しく息を吐き、疲れた表情をしていた。

しかしすぐに背筋をピンと伸ばし、真剣な表情をした。

そして茶色の瞳で笑っているシェリル刑事をしっかりと見据えるとこう言った。

「あのーシェリル・モリス・メイソン刑事さん!日本語が上手なので・・・・そのー」

「上手なので?あら!ありがとう!

これでも頑張って勉強したの。役に立ってよかった。」

シェリル刑事はお礼を言いつつも。

彼女はさっきまで言っていた日本語を褒められて少し恥ずかしくなったのだろう。
両頬をややピンク色の染まっていた。戸惑いの感情もあった。

「あーそう。それで!その!私は貴方と太陽神テスカトリポカと

パソコンにネットで戦っていて。いや最初に見た時から貴方の事が。

貴方の事が・・・・好きになってしまいました。

それで・・・あの遠距離でもいいですが付き合ってくれませんか?」

「私は・・・危険よ!場合によっては命を狙われるかもよ。

私は超常的な『静かなる丘・サイレントヒル』の土着信の力があるの。

それは前世のアレッサ・ギレスピーだった頃の危険な力。シャーマンの力。

私と付き合うのは・・・・・危険なのよ・・・・。何に狙われるか?」

シェリル刑事はどう答えたらいいの分からずに黙り込んだ。

しばらく何かを色々考えを巡らせてゆっくりと口を開いた。

「とにかく!私は危険なの!そう私は『静かなる丘・サイレントヒル』の超常的な力。

それは『念じるだけで人を殺す』程の強烈な力を持っているの。

ただ今の私に憎悪は無い。だからこそ他の人間達を守る為に使用しているの。

とりあえず今まではね。でもそれをずっと続けられるか?

正直私には自信がない。この先私も貴方も。

もしかしたら私のお父さんと同じように。

『何の見返りも与えられないまま早すぎて死んでしまうかも?』。私のせいで。

私はお父さんや貴方の幸せだったって事を伝えられないかも知れない。

馬鹿馬鹿しい絵空自の話だと思うけど。

17年前の『静かなる丘・サイレントヒル』の事件を起こしたのは・・・・。

御免なさい。やっぱり今ここでは口で説明しきれない。色々積もる話だから。」

「俺が貴方を支える事は出来るのでしょうか?」

「うーん、それは貴方の努力次第かしら?」

「そう。かなぁ?頑張りますううっ!」

マサイの決意の表情に何故かハアと溜息をついた。

「あーあー私じゃ・・・他にもいい女は幾らでもいるのに・・・まあーいいか」

シェリル刑事が何かを話しかけた時、脳裏のある映像が浮かんだ。

それは自分はウェンディングドレスを着てブーケを持っていた。

目の前に黒いスーツの青色のネクタイに紫色の花を胸に付けていた。

そして肝心の目の前にいる男の顔は???えっ?うそ!未来????

「私はいいわよ・・・。メールアドレスを交換しましょ?信じられない。」

「やった!やったあああっ!よっしゃああっ!」とマサイは大喜びではしゃいだ。

そしてシェリル刑事とマサイはメールアドレスを交換した。

大喜びで両腕をブンブン振り回す、マサイを優しいまなざししばらく見つめた。

彼女は再びパトカーに乗り、窓から右腕を伸ばした。

シェリル刑事はマサイにバイバイすると再びパトカーを発進させて街の外に出た。

これも太陽の聖環の過去と現在と未来を見る力なのかも知れない。

 

それから事件解決後の約3時間の中、男子高生と女子高生やフィッシャーズと

はるかまゆみ男子高生や女子高生達や避難女性達の思考の中にある

SCP財団の存在そのものの記憶は結局は非常に強力な

『静かなる丘・サイレントヒル』の超常的な力に阻まれてしまい。

全員の記憶処理が完全に不可能と判断された。

結果、『静かなる丘・サイレントヒル』の一連の超常現象や新しい

SCPのバーサークフューラーとSCP財団の仲間の軍人と戦った事。

一方、マサイはさっき告白したシェリル刑事とメールアドレスを交換した事。

鍋パーティの事もSCP財団の存在の記憶も残っていた。

その為、SCP財団は現在、日常的に使用可能な記憶処理技術で

全く歯が立たない事が判明した。もうどうしようもないので。

この一連の『静かなる丘・サイレントヒル』の一連の超常現象は

SCP財団側はこの超常現象の性質がもはや収容不可能な程まで公(おおやけ)

に流布されたものと判断され『EXPIAINED』に指定された。

その為、鍋パーティは特に何もなく障害も無く始まってしまったのだった。

ちなみにリサ・ガーランドは今まで怖がらせまくった事をフィッシャーズメンバー達に

しっかりと『ごめんなさい』と

日本語で頭をしっかりと下げて謝罪するとすーつと消えた。

「やっぱり悪い人。と言うか霊じゃなかったね。」と笑うモトキ。

「うん!そうだね!まあ!そうだね!」

表面上は笑っているもののまだビビっているザカオ。

「世の中に良い奴も悪い奴も幽霊か人間なんて案外関係ないのかもな!」とダーマ。

「まあ。ちゃんと謝ってくれたからとりあえず許そう!」とシルクロード

しかしマサイはと言うとシェリル刑事にメールアドレスを

交換して貰った事で頭が一杯で独り舞い上がっていた。また盛大に酔っぱらっていた。

そしてエア・マドセンとエイダ・ウォンは鍋パーティに参加せずに

仕事中なのでと丁寧に断り、帰って行った。

シェリル刑事もさっき逮捕した鳴葉をニューヨーク市内にパトカーで送らないのと。

殺人を自首した彼女の事情聴取や逮捕の本人曰く面倒な手続きがある為。

ニューヨーク市内の街へと帰って行った。

残ったフィッシャーズとはるかまゆみ、ブリーや男子高生や女子高生達と

鋼牙と共に鍋パーティがキャンピングカーのところで行われた。

しかしSCP財団の『静かなる丘・サイレントヒル』の街の大規模な調査が行われる為。

パーティは約2時間程であっと言う間に終わった。

魔人フランドールも仕事を理由に参加しなかった。

勿論、フィッシャーズ達はがっかりしたものの彼女の意思を尊重した。

2時間後。鍋パーティがお開きになり、ちゃんと綺麗に使った容器や

箸やスプーンやフォーク、空になったビールの空き缶。

その他の沢山のごみをしっかりとキャンプのマナーを守り。

綺麗にみんなで協力して片付けた。

それからフィッシャーズと鋼牙と共にブリー達も含む

女子高生や男子高生達の高校に向かってキャンピングカーを走らせた。

彼ら彼女らは無事に表世界と裏世界のある奇妙な異世界から生還し。

現世・現実(リアル)の当たり前の日常のある世界に戻って行った。

SCP財団も『静かなる丘・サイレントヒル』の街の入り口を2か所封鎖した。

そして町の詳しい分析調査と危険性の異常性が無いか大規模な調査と実証によって

元凶の完全な太陽神として復活したテスカトリポカを

HCFのエイダ・ウォンとエア・マドセン。黄金騎士ガロ・冴島鋼牙。

魔人フランドールの手でフラウロスに完全に封印されたようだ。

その為、人の心を反映して異世界の異形の怪物を創造する機能が完全に喪失して。

異常性が見られなかったので『NEUTRALIZED』に指定された。

異常な性質が復活または再発した際に処理する為。

この調査文章は後世の為に記録される事となった。

またエイダ・ウォンと鳴葉を守護してキャンピングカーのところへ導いた

ゴールドピラミッドシング事、破壊神ミカエルは最高機密クラス

『TNAUMIEL』に指定されて極秘裏に保護された。

またシェリル刑事に逮捕された鳴葉有子は殺人罪によって逮捕されたものの

自分のお腹の中にいる子供(SHB・サイレントヒルベイビー)の為に罪を償い

裁判を受けて前向きに更生と社会復帰を目指す事になった。

 

HCFセヴァストポリ研究所の上層部のオフィス。

HCFの上層部達はオフィスで次の会議に必要な書類やさっき

『静かなる丘・サイレントヒル』から無事に帰ってきたエイダ・ウォン

エア・マドセンが回収した『静かなる丘・サイレントヒル

の土着神のデモニックジーン(悪魔遺伝子)を含む未知のウィルスと

新たに『静かなる丘・サイレントヒル』の土着神のデモニックジーン(悪魔遺伝子)を含む未知のウィルスに加えて全米に散っているテスカトリポカ由来の

変異型の賢者の石『賢者石・テスカトリポカ細胞』をHCFのダニア博士が

多数の医療スタッフと共に研究院と分析して報告書をまとめた。

さらに今回の仕事のクライアント(依頼者)の『未確認生物媒介性顧問委員会』

所属の研究チームが『賢者石テスカトリポカ細胞』の遺伝子とDND

ゲノム解析に成功していた。結果。魔人フランドールのゲノムが検出された事により。

太陽神テスカトリポカは娘でその母親が魔人フランドールであると

科学的に証明と裏付けがなされたと言う内容の

レポートがHCFにメールで送られていた。

また『R型』が創造した超巨大BOW(生物兵器)エロースに含まれていた

未知のデモニックジーン(悪魔遺伝子)と『静かなる丘・サイレントヒル』の土着神

の太陽神テスカトリポカのデモニックジーン(悪魔遺伝子)と99・9%一致した。

そして全米に散った未知のウィルスと『賢者石テスカトリポカ細胞』は数十万人近く

感染している可能性が高いとしてブルーアンブレラやBSAAや秘密組織ファミリー

は報告書の内容を基礎に感染者の人体の影響と本格的な調査を

『未確認生物媒介顧問委員会』と共に対処法を協議した。

 

『静かなる丘・サイレントヒル』を中心とした超常事件から一夜明けた次の朝。

HCFセヴァストポリ研究所の引っ越した広い新しい我が家となるエアとストークスの

自室では2人仲良く白いふかふかのソファーに座り体育座りしていた。

テレビのニュースによると。世間ではパニックを恐れて未知のウィルスの話や

賢者石テスカトリポカ細胞が全米に散った事はアメリカ政府は見事に隠蔽していた。

ちなみにストークスも現在も『太陽神テスカトリポカ』をフラウロスに封印した事で

僕と彼女の子供のアダムの子は完全に神の力を失っていた。つまり。

次の朝の現在は何の変哲もない人間の子供となっていた。

それで二人は現在、相談中ではあるがあの子は

僕達の子供なので両親として責任を以て育てる事にした。

大人になるまでである。ちなみに現在のアダムの子の年齢は10歳らしい。

勿論、母親のストークスも後で分かった事だが。

どうやら女性器に太陽の聖環があったらしく彼女もまた『進化体』だったようだ。

現在は女性器の太陽の聖環は残っているが彼女の子宮や膣の異常性は

完全に消失している事から機能そのものは完全に停止しているようだった。

彼女は今後もごく普通の人間として20年かけて成長する

正常な子供を産める状態まで回復しているとアッシュ博士から聞いていた。

勿論、2人目の子供はまだ未定である。

エアはテレビのスイッチをリモコンで消した。

彼は恋人で母親になったストークスの方を見た。

 

(第48章に続く)