(第9章)神の牙

(第9章)神の牙

 


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『静かなる丘』の境界の裏礼拝堂の地下のバベル超結界の内部では。

太陽神テスカトリポカの挑発する声に鋭く最初に反応したのはエア・マドセンだった。

彼は直ぐに両手にミカエルソードをしっかりと握りしめた。

そして両腕を振り上げ、太陽神テスカトリポカに切りかかった。

「うおおおおおおおっ!」と精一杯、雄叫びを上げた。

続けてエアはブン!と空を切った。

同時に右斜め下にミカエルソードを目にも止まらぬ速さで振り下ろした。

しかし太陽神テスカトリポカは目にも止まらぬ速さでエアが振り下ろした

ミカエルソードの両刃の長剣を自分に向けた刃を素手で。

しかも小指一本で受け止めた。エアが驚くリアクションを取る間も無かった。

太陽神テスカトリポカは左肘を曲げて目にも

止まらぬ速さで豪快にエアの左頬を殴りつけた。

エアは首を目にも止まらぬ速さで捻りながら真っ直ぐに吹っ飛ばされた。

エアは真っ赤な床に右肩、左肩、右肩、右腹部を強打しながら転がった。

彼はそのままうつぶせに倒れた。

しかしようやく起き上がった。

続けて「うおおおおおおおっ!」とエアよりも更に太い雄叫びを上げて

黄金に輝く牙浪剣を振り上げて鋼牙が太陽神テスカトリポカに切りかかった。

太陽神テスカトリポカは余裕の笑みを浮かべた。

更に切りかかって来た鋼牙の高速移動を両眼を

大きく見開き、真っ赤な瞳を発光させた。

それだけで鋼牙は金縛りとなり、一切、指一本さえも動かせなくなっていた。

太陽神テスカトリポカは妖しく笑って見せた。

素早く鋼牙の目の前に立つと目と鼻の先で高速に右腕と左腕を振った。

更に彼はまるでサンドバックのように拳で

高速で鋼牙の右頬と左頬を交互に殴り続けた。

その度にバキイン!バキイン!と音を立てて狼の仮面の両頬から

金色に輝くメッキが何度も何度も剥がれてはキラキラと周囲に散って行った。

鋼牙は左右に激痛を感じた。しかし鋼牙が怯む事無く牙浪剣を

振り上げると太陽神テスカトリポカに再び切り掛かった。

しかしすぐに太陽神テスカトリポカは右手から5本の長い爪を伸ばした。

彼女は目にも止まらぬ速さで右手を振り、上下左右に振り回す牙浪剣の両刃を

大量に火花を散らして上下に弾き返した。その度に金属音と共に火花が散った。

続けて太陽神テスカトリポカは両腕をまるで指揮者のように左右に広げた。

左右に広げたまま彼女は鋼牙の牙浪剣の両刃を5本の長い鉤爪で正確に弾き返した。

鋼牙が水平に振った牙浪剣の攻撃を腰を曲げて屈んで回避した。

続けて鋼牙が横を向いて牙浪剣を真横から水平に振るのを更に長剣の形に伸ばした

5本の爪で火花を散らして弾き返した。太陽神テスカトリポカは強烈な刺突で攻撃を

仕掛ける鋼牙の牙浪剣を真っ赤な半袖の先の白い肌の右腕と

強力な力で牙浪剣の刃を自分の右脇腹にしっかりと挟み込んだ。

驚いた鋼牙が牙浪剣を持ち上げようと力を込めた。

その瞬間、太陽神テスカトリポカは左手から伸びた5本の長い爪で

牙浪剣の刃の真上に乗せて強力な力で抑え込み、それを阻んだ。

「CQC(クオーターコンバット)も良いが我には合わぬ!

やっぱり!我には太古の戦士の戦い方と神の牙のやり方が性に合う!」

太陽神テスカトリポカは両腕を組み、左右に広げた。

バチイイン!と言う大きな破裂音と共に鋼牙は真っ赤に輝く火花と

衝撃波で身体をくの字に曲げたまま吹っ飛ばされた。

その時、タイミングを見計らったように魔人フランドールが恐ろしく

長いオレンジ色に輝く高熱の両刃の長剣『神の大剣レヴァーティン』を両手で構えた。

続けて太陽神テスカトリポカを高速で切り裂こうと高速で左に水平に振った。

しかし太陽神テスカトリポカは鋼牙がくの字に身体を曲げて吹き飛んだ直後に

目にも止まらぬ速さで奪い取った牙浪剣の両刃で魔人フランドールの

『神の大剣レヴァーティン』の燃え盛る刃をあっさりと受け止めた。

激しいギイイイインッ!と鋸を切るような

甲高い音を上げながら大量の火花を散らした。

太陽神テスカトリポカは右腕を伸ばし、魔人フランドールの紅い服の胸倉を掴んだ。

更に何度も何度も豪快に彼女の白い肌の額に強烈な頭突きを炸裂させた。

続けてフラフラになった魔人フランドールを片手で高々と空中に持ち上げた。

更に目にも止まらぬ速さで赤い土煙を巻き上げながら

真っ赤な床に仰向けに叩きつけた。

背中に激痛を感じつつも魔人フランドールは上半身を起こそうとした。

太陽神テスカトリポカは魔人フランドールを仰向けに倒した時に目にも

止まらぬ速さで『神の大剣レヴァーティン』を取り上げて燃え盛る刃の大剣の

鋭利な先端を魔人フランドールの目と鼻の先に向けた。続けてこう言った。

「もはや旧人類に世界は不要だ!!レギオンの大群とエアとストークスが

産み出したアダムの子が女性達を虐げ支配する男達や欲望に汚れ切った

大人達が子供を虐待するこの間違った世界を崩壊させる!!

そして反メディア団体ケリヴァーも完全に消滅させる!!」

「じゃあ。とにかく。この。私・・・・は・・・・」

魔人フランドールは太陽神テスカトリポカの行動に戸惑っていた。

太陽神テスカトリポカは魔人フランドールに

『神の大剣レヴァーティン』を目と鼻の先に向けながらこう言った。

「さあ!我が愛しき母上よ!!既に人類の絶滅と新人類の誕生が始まっている。

そしてケリヴァー・ミショナリー達によって性的暴行を受けて洗脳されて思想を

無理矢理押し付けられて異形の怪物と化した多数の女の子達。

その他多数の男に支配されて虐待されて仲間させられた女の子や女性達も

我の手によって全員、異形の怪物から元に人間に戻した。」

魔人フランドールは驚いた表情を浮かべた。

「どうして?そんな事を?一体?!何を考えているの????」

「既に解放された女達は真っ赤な卵の中にいる。今後!

全ての旧人類の欲望と支配欲で立場の弱い女の子や女性達を虐げる害虫男を

どんどん抹殺して消し去る!傍ら女達を新人類の両性両具のレギオンとアダムの子。

かつてツイスデッドヘリックスと呼ばれた『天魔エグリゴリ』やワンバックの雄達

によってSHB(サイレントヒルベイビー)を腹に宿す最初の女達とする。

それにあんな反メディア団体ケリヴァーと言うふざけた連中の為に

人生を棒に振る必要もあるまい!!楽園と現世の為にな!

解放したければ!我を封印して力を消して見せよ!」

「分かったよ。僕はストークスと俺と世界の為にッ!!」

エアは起き上がり、再びミカエルソードを両手でしっかりと構えた。

太陽神テスカトリポカは何故か奪った『神の大剣レヴァーティン』

を魔人フランドールが倒れている真っ赤な床に深々と突き刺した。

そしてあっさりと手放すとや異様神テスカトリポカは宙に浮いた。

すかさず鋼牙が駆け付けて魔人フランドールを助け起こした。

大空に飛んだ太陽神テスカトリポカは再び両腕を左右に広げた。

そして静かに口を開き、こう言った。

「汝らも我よりもこちら側(バイオ)の世界の現世の男達による支配によって

立場の弱い女性が虐げられ、無理矢理レイプされ、何も出来ぬまま泣き寝入りしている

理不尽な現実を知っておろう!もはやそんな男達の支配する世界など必要無いと!!

我は立場の弱い女達を守る為に楽園を創造するのだああああああああっ!!

グウオオオオオオオオオオオオオオオン!」

太陽神テスカトリポカはまるでジャガーのような

凄まじい獣の唸り声を長々と上げ続けた。

同時に太陽神テスカトリポカの両腕と全身から無数の大中小のオレンジと

真っ赤に輝く太陽の形をした球体を円形に一気に放出した。

それは高速でオレンジと真っ赤に輝く無数の大中小の太陽の形をした球体は

そのまま天空から真っ赤な床に向かって集中豪雨の様に一直線に降り注いだ。

凄まじい爆発音と轟音と共に真っ赤な床全体隅々まで埋め尽くさんばかりにオレンジと

真っ赤な業火が高速で走り、鋼牙とエアと魔人フランドールを飲み込んで行った。

エアと鋼牙と魔人フランドールは目の前の視界がオレンジ色と真っ赤な

業火に覆い尽くされて何も見えなくなっていた。

しかも全身はじわじわと高熱で焼かれ、痛みが走り抜いていた。

エアは耐えられず背中から無数の剣が集合して出来た翼を左右に広げた。

彼は翼の途中を曲げて構えて盾にした。鋼牙も魔人フランドールも

それぞれ牙浪剣や神の大剣レヴァーティンを真上に水平に構えて盾にした。

それでも無数の業火と落下して来るオレンジ色に輝く大中小の太陽の形をした球体は

情け容赦なくエアの無数の剣が集合して出来た翼の盾と鋼牙の牙浪剣と

魔人フランドールの神の大剣レヴァーティンの

刀身に激突し、凄まじい衝撃で震わせた。

そして大爆音は3人の耳の中の鼓膜に響き続けた。お陰で何も聞こえなかった。

すぐ隣にいる声すらも。「ぐっ!くっそおっ!何だあの量は??」とエア。

「くそっ!ザルバ!どうすればいい??」と鋼牙。

「だあああっ!うるさくてかなわんぞ!こっちこそ何とかしてくれだぜ!」

魔導輪ザルバもほとほと困った様子で声を上げた。

魔人フランドールも余りにもうるさすぎて両手で耳を塞ぎたかった。

「畜生!どうすりゃあっ!」とエアは呟いた。

すると魔導輪ザルバは思い出したようにこう言った。

「鋼牙!フラウロスだ!フラウロスで奴を!」

「だが。こんな激しい攻撃を受けては駄目だ!全く誰に似たのやら・・・・」

「聞こえているわよ!冴島鋼牙!失礼な!!」

鋼牙の愚痴にすかさず魔人フランドールは鋭く突っ込んだ。

「もう!そっちでジョーク言っていないで何とかしてくれよ!」

エアはほとほと困り果てて完全に詰んでしまい2人に助けを求めた。

 

再び秘密組織ファミリーの本部に当たる大きな屋敷。

地下室の『のぴ』の『鍵』と肉体を完全に封印している真っ赤に輝く棺が

安置されている前のモニター映像をジョンとマルセロ博士は見ていた。

モニターの映像にはニューヨーク市内の埠頭倉庫内のハンターα(アルファ)が

天魔ヴァルティエルに洗礼されている区画の部屋から。

テロリストの死体の山が放置されている区画の部屋から

ジョンはリモコンを押して場面を変え続けていた。

しばらくしてようやくモニター画面の映像は止まった。

そのモニター画面にはテロリストがバイオテロの為に保有していた

ハンターα(アルファ)2000体が天魔ヴァルティエルに洗礼を受けている間。

この映像の区画の部屋ではこの埠頭倉庫に辿り付いた大勢の若い女性達が

身体のどこかに刻まれていた太陽の聖環の呪術を通して頭の中に響いて来た

『静かなる丘・サイレントヒル』の太陽神テスカトリポカの命令により。

そこにいた残りの2000体余りのリッカーの群れと交尾する為に

自らの意志で上着と下着を脱いで全裸になっていた。

どうやらリッカーの群れもピンク色の肥大化した脳の右側に刻まれた真っ赤に輝く

太陽の聖環を通して太陽神テスカトリポカの命令を受け、女性達と交尾していた。

ちなみに天魔ヴァルティエルに洗礼を受けていたハンターα(アルファ)は

アンブレラ社の研究と開発により、人間の授精卵に爬虫類の遺伝子をTウィルスの力を

利用して掛け合わせて爬虫類ならではの鱗に包まれた堅牢な皮膚と高い身体能力を持ち。純粋に命令に従う事が出来る知能を人為的に与えられて誕生した存在である。

しかし反対にリッカーはTウィルスに自然に感染した人間がゾンビ化した後に

激しい新陳代謝を賄うだけの食事を摂り続けた事でTウィルスによる

肉体の再構成が人間の手を借りずに自然に行われた事でゾンビは突然変異をした。

それによって自然に与えられて誕生した存在である。

リッカーの脳は肥大化して外部に剥き出しになり。

腐敗した肉体は完全に消滅し、新たに形成された強靭な筋肉が剝き出しとなり。

筋肉質ながっちりとした体格の人型の新しい生命体に進化した。

ある意味は新人類ともいえるし。あるいは人間の別の可能性でもある。

また変異により視力は失われているが代わりに聴覚が異常に発達しており。

目の前の女性が立てる僅かな物音でも反応して。

位置を把握してゆっくりとその女性に接近して行った。

ちなみに太陽の聖環はピンク色の肥大化した脳の右側に刻まれていた。

リッカーは骨格の変形に伴い4足歩行でヒタヒタと先へ歩き続けた。

やがて女性はリッカーの為に自らコンクリートの床で仰向けに寝転んでいた。

彼女の名前は『安位裕子』と言う名前の日本人だった。

それからジョンとマルセロ博士はモニター画面で繰り広げられる

リッカーと女性達の交尾の姿をただ黙って見ていた。

 

(第10章に続く)