(第8章)ネガブドネザルの鍵

(第8章)ネガブドネザルの鍵

 

ジョンの言葉に返答しながらマルセロ博士は話を続けた。

「そうじゃ!あの力は人の負の感情に強く反応するするからのう。

「彼女は家族以外の人間と外に出られなくなった状態はしばらく続いた。

つまり家に引きこもった状態だな。

でも現在は薬を飲んでちゃんと自分に向き合いながら

病院に通い日常生活が普通に出来るように回復していた。」

「そう言う人間もいるんだな。僕もある程度理解したよ。」

既に外にも出られ薬さえ飲めば交通機関も乗れるようだ。」

「でなければアメリカまで飛行機などとても乗れぬまい。

だからこそ彼女の胎内にある『鍵』をどうにかしなければ。あれは重過ぎる。」

「そうじゃな。一応方法は考えてある。

また別の若村の意志を受け継ぐ者に彼女が利用される事が無いように。

周りの人にも愛されて。彼女にはまだ『助けて』と言う勇気があった。

しかしあれは普通の人間の力では助けられまい。」

「本当にそう思うのかね?君が思っている程、人間は軟弱じゃない。

少なくとも僕はそう思っている。胎内に『鍵』が体内にあっても

周りの人々の支えがあれば大丈夫かも知れない。

しかしあれは使い方を間違えれば大変な事になる。

あれは人類滅亡に追いやる可能性を持っている。個人が所有するのは危険だ。」

「ああ、確かにな・・・・じゃが・・・・賢い判断が求められるが・・・・」

「あの聖なる破片が全て消えたとしても『鍵』だけは決して消える事は無い。

何故ならあれはかつてヱヴァンゲリヲンが存在していた世界宇宙。

つまりループ世界に存在していた『ネガブドネザルの鍵』だからだ。

あれは全く別の異教の力であって。

『静かなる丘』の土着神の太陽神とは全く異質で違うものだ。

恐らく若村はサイレントヒルの力を利用してあの『鍵』を手に入れたのだろう。

ただ『鍵』は一時的に働き。

のぴは危うく人間を捨てて神になるところだった。

しかし今は我々が『鍵』の神の力と『静かなる丘』の土着神の太陽神の力を

魔戒結界で完全に封印している。

その間、『のぴ』はちゃんとした人間のリリンを保っている。」

「そのネガブドネザルの鍵の場所も分かった。

どうやら彼女の精神世界の内なる魔界の遥か奥深くの境界を

彷徨っている『のぴ』の精神体。

アストラル体の魂の中に存在しておる事が特殊な霊視エコー検査で判明しおった。

故に外科手術及び物理的な摘出方法は不可能じゃ!」

「それに関して既に対策済みだ!これは並行世界(パラレルワールド)の

破壊と本来の秩序の崩壊の危機にある。

ましてやあの若村秀和と言う人間の屑が一般人の普通の人間の女性に『鍵』を

与えてガフの扉を開けさせて全ての人類を絶滅させる引き金(トリガー)を

引いたんだ!当然!外なる神の副王が黙っちゃいないだろう。」

「まさか?ヨグソートスと交信したのか?」

「その通りだ!奴に通報してやったのさ!彼はかなりのお怒りのようだ!

若村秀和の魂は決して救われる事は無いだろう。怒りを買ったのだから!

二度と輪廻転生も天国にも行けず。彼とそのお仲間達。

無理矢理洗脳された者の魂を除いてほとんどの幹部や男共や女共。

毒親共は『死』の概念が存在する『地獄の第七層』に落ちたさ!

あそこは硫黄が燃える獄炎の湖で永劫に焼かれ続けるのさ!」

「太陽に近すぎた人間は羽根をむしり取られて地に落ちるか?」

「正確にはアポロは蝋で創った羽根が溶けて高い所から落ちて

海に叩きつけられてあっと言う間に死んでしまうのさ。

そして肝心の対策だが。現在。僕と外神ホラー副王の働きかけにより。

死神ホラー・タナトスが復活する現場に伝説の英雄達が死者(極楽)の

国から集まるように手配した。大体、誰か想像がつくだろう。」

「しかし何故?ヨグは人間達に協力的なんだ?」

「『柏崎の悲劇を忘れるな』だそうだ。良く分からんが。」

「わしにもさっぱりじゃな。そして『鍵』は?」

「あの『鍵』は永遠に『のぴ』の体内に存在し続けるんだ。

だからさっきマルセロ博士が指摘した方法で絶対に取れる事は無い。

僕に言える事は彼女の存在は『諸刃の剣』と言う事だ。

勿論、死神ホラー・タナトスは死者の英霊達が封印する。

最低限の問題は僕が責任もって解決した。

しかし他にも問題があり。

既に我々メシア一族にも人類にも時間が残されていない。」

ジョンの言葉を聞いたマルセロ博士は質問した。

「それはどう言う意味じゃ?」と。

ジョンはおもむろに地下室の真っ赤なに輝く棺の頭上部分の壁に付いている

スイッチれるべく歩み寄り、テレビのスイッチを押した。

モニター画面のスイッチが作動し、真っ黒なテレビ画面に映像が入った。

映像はどうやらニューヨーク市内の埠頭倉庫内の映像のようだ。

ちなみに埠頭倉庫とは解説すると。

アメリカ合衆国には2030年現在でも

港湾都市としても世界有数の規模を誇っている。

そしてかつて17世紀から18世紀にかけてマンハッタン島の南東に出来たピア

(岸に対して垂直に建造された埠頭)が南西ブルックリンなどにも

次々と造られて世界最大級の港に成長して行った。

ピア敷地内や周辺には数多くの倉庫があり。

19世紀頃に建てられた古い倉庫は観光名所となっており。

これはその中の一つである埠頭倉庫である。

丁度場所はハドソン川沿いの西14丁目付近の22番埠頭倉庫に当たる。

内部は長四角の部屋があり。

その奥にも大きな四角い部屋があった。

そこに新しく変身して姿を変えて人間の前に現れた天魔ヴァルティエルがいた。

天魔ヴァルティエルはかつての姿から全く別の形を

取って人の前に姿を現わそうとしていた。

その姿形はボロ布のような司祭服や頭部に布をかぶせた異形の怪物とは異なり。

黄色の皮に包まれた頭部は目の無い純白のウナギの頭部に変化していた。

また真っ赤な唇に黒い舌を伸ばしていた。

また中指、人差し指、薬指が繋がった奇妙な形の手袋を着用していた。

更に天魔ヴァルティエルは純白の全裸の筋肉質の身体をしていた。

天魔ヴァルティエルは太陽神テスカトリポカに魔人フランドール由来の賢者の石が

与えられており。また聖母となった魔人フランドールの膨大な魔力も有していた。

天魔ヴァルティエルはニューヨーク市内のどこからか太陽の聖環を刻まれて連れて

来られた約7体のハンターα(アルファ)が立っているのが映像で確認できた。

天魔ヴァルティエルは右腕を一人一人前に出たハンターα(アルファ)の額に掌を

かざした。やがて掌が発光し、光の柱をハンターα(アルファ)の額の中に注入した。

それを見ていたマルセロ博士はジョンに言った。

「奴は何をしているんだ?まさかヨハネの洗礼みたいな事をしているようだが。

それに9人?セフィロトの生命の樹なら1人足りないぞ!」

「9人以外の1人分の円の中には中心の円の上に

『神化』した『のぴ』とネガブドガドネザルの鍵だ!」

「まさか?またガフの扉を開ける気なのか?」

「そのまさかだよ!マルセロ博士!次の儀式の用意をしているのさ!」

若村が失敗したガフの扉を完全に開くのさ!完全に開いたら・・・・・。

今度こそ全ての並行世界(パラレルワールド)の人類は芋づる式に滅亡する。

いや。それは無いな。人間がいなくなれば神は存在できない。」

「それに天魔ヴァルティエルは太陽神テスカトリポカの従者だ!

そして本来の神の従者の役割は輪廻転生を司る。

いくらなんでも自分の役割を捨てる事は無いし。

太陽神テスカトリポカも流石に許すまい。」

間も無くして天魔ヴァルティエルは右掌を真っ赤に発光させて自らの

魔人フランドールから産まれた太陽神テスカトリポカ由来の賢者の石の

魔力と太陽の聖環の力を洗礼を受けている

ハンターα(アルファ)達の額から次々と注入して行った。

やがてハンターα(アルファ)の肉体は原形を保ちつつ変化した。

同時に収容展開が可能な外側が純白で内側が漆黒の鳥の翼を広げた。

「あれは天使だ。どうやらBOW(生物兵器)ハンターα(アルファ)

達から天使になっている。量産可能な天使だよ。

正確には自分と同化させているんだ!儀式の道具としてね。」

そして天使化、あるいは天魔ヴァルティエルと同化した

ハンターα(アルファ)は全員の共通して口紅を塗ったように真っ赤に染めていた。

「トラウマものだな!」とマルセロ博士。

「思い出したアニメ映画のワンシーンのように気味が悪い」とジョン。

2人は顔を揃えて不快な表情をした。

また8体のハンターα(アルファ)と同化させただけでは飽き足らず。

あるいは用意周到なのか?真意は不明だが。

他の2000体余りのハンターα(アルファ)達に次々と洗礼を行い、

自らと同化させて天使へと変えて行った。

マルセロ博士もジョンもしばらく見ていたが。

「8体以外の全身の翼の純白のハンターα(アルファ」は予備パーツじゃな」

「ああそうだ。万が一の為のものだろう。だから言っただろ?

あれは。量産可能な天使達なんだ。もっとも数に上限があるようだがね。」

「太陽の聖環の呪力は『死と再生』を無限に繰り返す。

あれを完全に封じるか?『のぴ』に近づけない様に対処しなければ!」

「そうだね。僕の屋敷に大群で来られたら面倒だ!

メイドや家族の娘や孫娘達や若い母親達に無差別に襲われたんじゃ目も当てられない。

それにあの地下室の『のぴ』が連中に連れ去られたらまた大変な事になるだろう。

しっかりと対策を考えなければ!

さらに強力な結界を何重に張るかあるいは・・・・。」

「4人の神殺し達に迎撃させると?リスクが高過ぎるぞ!ジョン!」

「うむ、しかしさっき言った通り我々には時間がないのだよ。」

そう言うとジョンはマルセロ博士にある資料を渡した。

彼は資料に軽く目を通すと。

「成程のう。確かにゆっくりしておる場合ではあるまいのう」

「そうだ!最後の儀式はここで鋼牙達が止めなくては始まってしまうだろう」

それと『のぴ』の心の在り方次第じゃな。

彼女自身が太陽神テスカトリポカの幻視から

『破壊』『守る』いずれの選択を迫られておる。

どちらか『のぴ』が決めて選ぶ事で神か人間かいずれかが優位になるだろう。」

しばらくしてマルセロ博士が真っ赤に輝く棺をチラッと見るとこう言った。

「『のぴ』の精神は恐らく太陽神テスカトリポカの幻視の中にいる。」

「ああ、奴は『のぴ』と対話を始めているかも知れない。

奴は『のぴ』に人間同士の殺し合いや死の現実を

突きつけて死の生の境界線へ連れて行こうとしている。

あとはマルセロ博士の推測通りに『破壊』をのぴが選んだ場合。

彼女がこちら側(バイオ)の世界や全ての並行世界

パラレルワールド)の魂が彼らの所有物になる。

そして彼女は『寄る辺の女神』となり。

星の数だけの膨大な人間達を転生させて。

沢山の子供を産み。育む。

そして新人類として住まう権利を与える。

ついでにさっきの映像のSHB(サイレントヒルベイビー)を妊娠した

女性達も天魔エグリゴリ(ツイスデッドヘリックス)やワンバックのSHB

サイレントヒルベイビー)を妊娠した

彼女達も同じように平等に楽園に住む事になる。」

「しかし仮に『守る』を選んだとしてもその前に・・・・

あれが目覚めたら・・・・。」

「彼女の意志が死神ホラー・タナトスに飲み込まれるかもしれんな。」

「ああ、あいつは確実に『のぴ』をコア(核)の中に閉じ込めるじゃろうな!」

 

(第9章に続く)

 

 

『おこさまぷれーと』のぴの動画投稿を休んでいた理由の動画。

 


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