(第37章)アリオクもどき

(一週間入院して兵糧攻め作戦の癌治療が終わって病院から退院したので

何事もなかったかのように小説やブログネタの投稿を再開する畑内。では♪スタート♪)

 

(第37章)アリオクもどき

 

太陽神テスカトリポカ出現まであと29分。

咲夜は止む負えず独りで戦う決意をした。

彼女は直ぐに右腕を曲げて、自らの5本指をまるで小型拳銃の様に形作った。

そして左側頭部に2本の指を当てると大声を上げた。

「ペルソナ!『正義』ゼルエル!」と。

パリン!とガラスが割れる音と共に十六夜咲夜(いざよいさくや)の顔と容姿を

したあの『天魔』ゼルエルは大きな口を左右に広げて飲み込もうとしている

若村秀和と反メディア団体ケリヴァーの悪霊の融合体の攻撃を

真っ赤に輝く分厚いバベルの壁で弾き返した。

「ぶわああああっ!」と声を上げて若村秀和と反メディア団体ケリヴァーの

悪霊の融合体は吹っ飛ばされてバランスを崩した。

のぴは未だに『正義』メルキセデクと巣食うものが取っ組み合いを続けていた。

彼女はまるで車酔いにでもあったかのように顔を

土色でずっと吐き気は収まらなかった。

うげええっ!苦しっ!今!そんな場合じゃないのに!

お願いっ!元に戻って!あたしはッ!

おこさまぷれーとの仲間達やリスナーさん達やファンクラブや他にも!

色々な人達やユーチューバー動画で繋がりたいんだッ!!

みんなと一緒にいたい!お願い!闘わせて!

メルキセデク!何かさん!私の願いを聞いてっ!

のぴは自らの熱い想いと願いを全力で心にぶちまけた。

すると不意に気持ち悪さが収まった。吐き気も収まった。

彼女の強い想いと願いが届いたのか巣食うものと

メルキセデクは取っ組み合いを止めた。

「お願い!『ネガブドネザルの鍵』の守り人の私が告げる!

私と私の仲間と今まで繋がっているみんなの為に元のあるべき姿に戻って!!」

彼女がそう言った途端に体内が暑くなった。

やがて自分の心の中が真っ赤な光に満たされた。

心の中で『正義』メルキセデクと巣食うものはお互い受け入れた。

そして融合して行った。間も無くして新しい存在が産まれた。

その容姿は黄金に輝く鉄の仮面をつけた頭部に両肩から黄金の2対の細長い鳥の羽根。

両腕は女性のようにしなやかで黒と金色の皮膚に覆われていた。

両手は真っ赤に輝くボクサーのグローブの形をしていて10対の指があった。

胸部は左右黄金に輝き、三角形の赤い印が付いていた。

全体の形は長四角をしていて左右に開く仕組みになっていた。

両脚も分厚い黄金の鎧に覆われていて。両脚は黄金の靴だった。

黄金の靴の底は真っ赤に輝いていた。

ガバッ!と口を開くと無数の真っ赤な鋭い牙が並んでいた。

更に大口を開けると野太い声で咆哮した。

「ウウオオオアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」

またうしろの首元には2対の細長い白いカプセルのプラグのようなものが生えていた。

それは巣食うものの銀色のあの人型の生物にそっくりだった。

ただ正体不明故に本当に同一の存在なのかは不明だった。

のぴはゆっくりと瞼を開けた。「『月』ヴィシュヌ・アバター!」と。

それを見た若村秀和と反メディア団体ケリヴァーの悪霊の融合体は

のぴの身体にから現れた『月』ヴィシュヌ・アバターの存在に恐れおののいた。

「うぐうううううっ!なんだあああああっ!こいつわあああああっ!」

「おい!おじげづくな!おそれるなあああっ!たちあがるんだあああっ!」

「悪魔を倒すんだ!ぐぞおおおっ!ここにきて諦めきれるかあああっ!ああああっ!」

「みんなで力を合わせて善意の我々が悪を滅ぼすのだああああっ!!」

若村秀和を中心に反メディア団体ケリヴァーの悪霊の融合体は

自らの足元に存在するイリス・オブジェクトの真っ赤なコア(核)の

内部に向かって無数の触手を次々と差し込んだ。

穴がゆっくりと開き、どんどん中へ入って行った。

それからドクン!ドクン!と脈打つ音が聞こえた。

若村秀和と反メディア団体ケリヴァーの悪霊の融合体の

芋虫の触手を通して何かを吸収していた。

その度に若村秀和と反メディア団体ケリヴァーの

悪霊の融合体は若い男性も女性も性別も

関係なく全員平等に恍惚の笑みを浮かべていた。

さらに悪霊の融合体はまるで体格ががっしりとした

成人男性として急激に成長していった。

同時に体内の邪気も欲望の力も増大して行った。

その姿は超巨大な邪悪な2本の角を生やした鬼のような姿をしていた。

やがて激太りし、背中からは2対の蝙蝠のような翼を生やした。

そして右手に真っ黒な禍々しい形の長剣を構えていた。

続けて胸部から腹部まで大きく裂けて超巨大の無数の牙の生えた

口が縦の形に広がって行った。

更に口内から6本のピンク色の触手に似た

太く長い触手がにゅるにゅると伸びて行った。

「こいつ成程ね。ホラーじゃないけど。悪魔になったわね。自らの意志で。

レミリアお嬢様から聞いた事があるわ。こいつは『魔王アリオクもどき』よ。

本物の伝承通りのモデルになった魔王ホラー・アリオクとは紛い物。

つまり偽物の魔王ね。だから聖なる戦士にも悪魔にもなれない人間の半端者。

所詮は悪霊の集合体よ。」

咲夜がのぴにそう説明している魔王アリオクもどきは若村の声で怒鳴った。

「違うウウッ!違うウウッ!私は聖なる戦士ケリヴァーだあああっ!!」

咲夜は「哀れな奴。最近の過激派ポリコレやツィフェミの他人や

社会のせいにして自分の意志で何もしない連中と同じね!」とバッサリと言った。

彼女の言葉に魔王アリオクもどきは激怒した。

「違うと言っているだろおおおおっ!この小娘があああああっ!!」

咲夜は魔王アリオクの怒号に一切怯む事は無かった。

のぴも普通ならいつも通りビビるがこの時ばかりは毅然とした態度を保ち続けた。

いいえ!違わないわ!貴方は今まで行った自分の大罪と悪行を行い続けて

貴方自身が『正義の為に行っている』『自分が正しい』と信じ続けていた。でも!

実際は違う!周りの人々や私達は『貴方達の行為は間違っている』

『自分勝手な行為』のせいで大勢のゲームやテレビの関係者の人達が

大変迷惑をしている!!しかも過激派ポリコレやツィフェミ達と同じように

他の女性達は色々な場所から立場が追いやられて傷付けられて悲しんでいる!!

貴方達や過激派ポリコレやツィフェミ達がやってきた事は全て人間じゃない。

悪魔の所業なの!自らの邪心も欲望も制御できなかったから結局は悲しい

紛い物の神であり、悪魔もどきなの!悲しい奴らね。

善かれと思ってやって結局は闇に堕ちるなんてね!」

咲夜はコンパクトレンズを取り出して魔王アリオクもどきの姿を鏡に映した。

「自分の顔をよーく見て見なさい!これでも真っ当な善人か天使に見える???」

魔王アリオクもどきは素直に自分の姿を鏡に映した。

するとみるみる表情が変わった。

やがて若村の太い絶叫と男女の低い声と高い声が入り混じった

絶叫が周囲の空気を激しく上下左右に揺さぶった。

「嘘だああああああああああああああああああああああああああっ!!」

さらに魔王アリオクもどきは自分が善人でもなければ天使でもない

存在になった事に激しい精神的ショックを受けた。

同時にパリン!とガラスが割れる音と共に彼らの中にあった

全ての聖なる戦士ケリヴァーと創造主の神聖が砕け散り、消滅した。

魔王アリオクもどきは全ての悪行と

悪魔に堕とされた責任をのぴと咲夜に全て押し付けた。

更に怒り狂いながら右手に持っていた真っ赤な禍々しい形の両刃の長剣を

乱暴に振り回して自暴自棄になりながら襲い掛かった。

「うおおおおおっ!全てお前達のせいだああああっ!

よくも堕としたなあああああっ!」

咲夜は肩をすくませて両腕を上げてこう言った。

「今まで自分のしてきた事が自分に返って来ただけの事なのに・・・・」

「うるさあいいいいいっ!」と魔王アリオクもどきは絶叫した。

魔王アリオクもどきは右手に持っていた禍々しい形の両刃の長剣を振り上げた。

そしてまずは一番腹の立った咲夜の頭上に向かって振り下ろした。

しかし咲夜はまた小型拳銃を形取ったまま、右側頭部に当てるとこう言った。

「『正義』ゼルエル!」と。パーン!と言う破裂音と共にまた

咲夜そっくりの容姿をした『正義』ゼルエルが現れた。

そしてまた真っ赤に輝く分厚い壁であっさりと

禍々しい形の両刃の長剣を受け止めて弾き返した。

同時に彼は大きく巨体をうしろにのけ反らせた。しかし倒れなかった。

続けてのぴも『月』ヴィシュヌ・アバターを動かして真っ赤な拳で

魔王アリオクもどきの若村秀和そっくりのオールバックの髪と

2本の鬼のような角の生えた顔面を殴りつけた。

「ぐおおおっ!」と彼の顔を大きく丸くへこんだが直ぐに戻った。

続けて魔王アリオクもどきはまた右腕を水平に降り。

『月』のヴィシュヌ・アバターの胸部を切り裂いた。

同時にのぴも胸部に激痛を感じた。胸部には水平の切り傷があった。

咲夜はチッ!と舌打ちすると『正義』ゼルエルを召喚した。

そして傷を負ったのぴに回復魔法をした。気が付くと胸部の傷は消え去って。

痛みも消えていた。魔王アリオクもどきは

苦しそうに顔を醜く歪ませると大声を上げた。

「クソがあああっ!早く消え去れ!

お前達のようなゲームやネットに染まり切ったお前達を見ていると!

イライラするんだよ!まるで生ごみをぶちまけられたようにな!」

「下品にして下劣極まりないわ!若村秀和さん!それは大人の言葉遣いじゃないわ!

まず神様としての気品も神格も全く感じられない!恥を知りなさいッ!!」

「ああっ!どうすればいいの?」

「ふざけるな!我々の計画を邪魔するな!」

「クソっ!いい加減にしくてくれよ!」

「ふざけるな!我々の計画が達成しなかったら!また地獄に逆戻りだぞ!」

「クソ!小娘共め!この神に等しき我々に逆らうんじゃねえええっ!」

若村秀和と反メディア団体ケリヴァーの

メンバー達は執拗に咲夜やのぴに怒鳴り散らした。

2人は彼らや彼女達の誹謗中傷に耐えた。

「ダメよ!現実(リアル)から!何よりも自分達から!」

「うるさい!うるさい!うるさい!戻ったところで幸せになれやしないんだよ!」

「楽園が待っているんだ!」

「この裏切りの女神共め!」

「若村秀和の言う通り!信じれば救われるんだよ!」

「最低な子娘共!恥を知るのは貴方達の方よ!」

若村秀和の言葉にまんまと乗せられて反メディア団体ケリヴァーの

メンバー達は思い思いの怒りをのぴと咲夜にぶつけた。

若村秀和は笑いながら蔑むようにのぴと咲夜にこう言った。

「君達は馬鹿な小娘達だ!君達のような小娘にメディア社会に

穢れた人間共は我々が救済するんだ!そうすれば!

パソコンやゲームや命の無いフィギュアも使えない道具だからさ!」

「そう。全て捨てて当然の代物だよ!車だって乗り捨てて当然な!」

「あはははははっはっ!わはははははははっ!そうだよ!必要ないんだよ!」

更に他の反メディア団体ケリヴァーも彼女達を蔑むように笑い続けた。

続けて若村秀和は笑いを堪えつつも自信満々にこう言った。

「もう儀式もゼロからやり直すつもりもないんだ!それに!今回はうまく行く!

何故なら!邪魔な太陽神テスカトリポカはフラウロウスに封印されるんだ!

あとは我々がしっかりと処分する!全てが今が可能なのだよ!」

のぴは若村秀和の言動に困惑した。

咲夜は両腕を組んで冷めた表情でその若村の魂をに言った。

「単一生命体になったところで彼らにどうやって勝利する気?

悪いけど万が一失敗して若村さんも

他のメンバーも現実(リアル)に逃げ出したとしても

必ず天魔ヴァルティエルやリサ・ガーランドさん。

シェリル刑事やドラキュラ伯爵。

クリス・レッドフィールドジル・バレンタイン

彼ら彼女らが目に見えない霊体でも魂であっても肉体でも必ず見つけ出すわ!」

「それは無いさ!必ず成功する筈なんだ!さあ!

この計画の総仕上げと行こうじゃないか!あんた達は必ず滅する!」

「そうだ!のぴの『ネガブドネザルの鍵』をよこせ!!」

「私はたった一人!若村様に選ばれた『欠けた心・イーリス』を宿す巫女。

咲夜さん!早くその『虹の女神イーリス』を私達に寄こしなさいッ!」

それから1分後。魔王アリオクもどきの口は縦に大きく広がった。

大口から伸びた6本のピンク色の舌の1本が高速で咲夜の方へ伸びて行った。

「クソっ!渡さない!」と咲夜は叫び、パチッ!と指を鳴らした。

しかし何も起こらなかった。彼女はいつも当たり前に使っていた

『時間を操る程度の能力』が使えない事に激しく動揺した。

仕方無くまたペルソナの『正義』ゼルエルを呼び出そうと慌てて5本指を動かした。

 

(第38章に続く)