(第41章)別れの時間。さよならはおまじない。

(第41章)別れの時間。さよならはおまじない

 


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再びイリスオブジェクトの真っ赤なコア(核)の内部。

儀式を成功させたのぴと咲夜と霧島マナ

『おこさまぷれーと』のメンバーのちゃき、りあら、ゆいにゃは

呆然とした表情で誰もいなくなったコア(核)内部を彷徨っていた。

足元にさっきまであったコア(核)は跡形も無く消え去っていた。

そして役目を終えた『ヱヴァンゲリヲン・ヴィシュヌ』の姿も消失していた。

気が付くとのぴに『正義』メルキセデクと『月』ヴィシュヌ・アバターがいた。

咲夜には『正義』ゼルエルがいた。

どうやら全員、儀式後に分離したようだ。

また周囲にはちゃきとゆいにゃとりあらの魂とアストラル体(霊体)が立っていた。

さらに目の前にはヱヴァンゲリヲン4号機のコア(核)の中にいる霧島マナがいた。

「もう!これで大丈夫!何も心配ないわ。

あの現世・現実(リアル)のニューヨーク市内の人々は

生命の力を取り戻して元の人間の形に戻ったわ。

それに貴方達がずっと心配していた事。

その太陽神テスカトリポカに操られていた

怪異天使レギオンの大群も既に彼女と戦っていた冴島鋼牙。

聖母フランドール、エア・マドセンと言う天使の力を得た

人間の男とフィッシャーズのマサイと言う男の手によって機能を停止させました。

もう誰も傷つかないし、これ以上、誰かが殺される事も無いでしょう。」

「よかったー」とりあらは全身の力が抜けてへたり込みかけた。

それをちゃきとゆいにゃは彼女の身体をしっかりと支えた。

のぴと咲夜もなんとか自らの想いが通じ、未来を変えた達成感で心が満たされた。

2人は自然に笑みをこぼしていた。

しかしすぐにマナの言葉に全員が大きく顔を曇らせた。

「では。これで貴方達とお別れです。元の現実(リアル)の世界に戻って」

「えっ?」

「はっ?」

「どうしてや!」

「一緒に行こう!しゅがも紹介したるから!」

ちゃきとゆいにゃとりあらは彼女の一言に驚き大き戸惑った。

のぴは寂しそうに大きな声で言った。

「そうやっぱりー。でも!本当に一緒に来れないの?」

霧島マナは無言で首を左右に振り、申し訳ない表情でなるべく丁寧に断った。

「いいえ。もう無理なんです。

私にとって『生と死は同価値』なんです。

わたしにとって。

私は肉体から魂の分離『死』を以て唯一無二の絶対的な自由を手に入れました。

しかしそれと引き換えに元の世界の現実(リアル)の日常や恋人や

友人や仲間と共に当たり前の日常を過ごし、眠ったり、夢を見る事も。

触れ合う事も。笑い合う事も。

みんなで食事する事も何も出来なくなってしまい。

全ての幸せな当たり前の日常を過ごす権利は剥奪されてしまいました。

私は神に近づけたのかも知れない。

でもそれは人間が進むべき道じゃないわ!

どうか!貴方達は神から離れてかつての

私が持っていた元の現世・現実(リアル)の日常に戻って欲しいの。

のぴさん達には貴方を支えてくれる人達が大勢いるのね?」

のぴは徐々に悟り、静かに両眼からじわーと涙が流れ始めた。

咲夜も「マナさん・・・・」と静かにつぶやくとすすり泣き始めた。

「大勢いるよ」

「たーくさんおる」

「あんたもや!あんたも仲間や!」

そのりあらとゆいにゃと最後のちゃきの言葉にマナは面食らった表情をした。

「私も仲間?どうして?駄目よ!私が深く友人になったら・・・・みんな心が・・・」

「どうしてや!」

「友達でええやろ!」

「もう顔を見てしゃべったらあんたは・・・・」

反論するゆいにゃとりあらとちゃきに対して霧島マナは彼女達に辛そうにこう言った。

「この方がいいんです。貴方達と余りにも親しく深い関係まで近づけば

深く傷つくでしょう?だから余り深く関係を持たない方が傷は浅い筈!だから!!」

「そんなの浅いとか深いとか関係ないよ!!」とのぴは反射的に大声で返した。

のぴは更に力強い声でこう言った。

「もう!一回会ったら!もう友達だよぉっ!もう!友達だから!たとえ!!

どんなに離れていても!宇宙の果てでも!最果てでも!絶対に繋がっているから!」

そんな彼女の力強い声に霧島マナは心を強く動かされた。

やがてマナは両瞼を強く閉じた。

そして両目からゆっくりと大粒の涙が流れた。

そしてポロポロと大量の大粒の涙を両頬からどんどん流れていた。

彼女は強く歯を食いしばり、顔を下に向けた。

ゆっくりと嗚咽を漏らした。

「うっ!くっ!ひっ!あたし・・・ありがとう・・・ありがとう!」

マナは両手で流れる涙をゆっくりと拭った。

とにかくとにかく涙が止まらなかった。

彼女はただただただ嬉しかった。

「嬉しいよー。でも私は成長できない!でも・・・・ああっ!私は!私はッ!」

彼女の涙につられてのぴもゆいにゃもりあらもちゃきも咲夜も涙を流した。

「いや!誰が!悪魔の子と!空想のただの人物だと!みんな心の無い奴が

貴方の存在を否定しようとも!マナちゃんは私達の仲間で友達!

誰が何と言おうと絶対!友達なんだよ!霧島マナさん!」

のぴは腹の底から大声で魂の全身全霊の叫びでマナに全ての想いをぶつけた。

「その通りよ!私達はこんなに短くても!もう友達なのよ!」

咲夜も気が付くと青い瞳をマナに向けて両眼から両頬まで大粒の涙を流した。

「そうや」「友達だかんな!!そんなとこおっても!」とちゃきとゆいにゃ。

「もう!私らと話して力を合わせた時点でもう!友達や!」とりあら。

霧島マナは涙ながら改めて感謝の言葉を述べた。

「ありがとうのぴさん。咲夜さん。ゆいにゃさん。りあらさん。ちゃきさん。

本当にありがとう!私はその真心と心の強さをずっと大切にするわ。だからこそ。

世界に帰れます。十六夜咲夜さんもこのまま直接。幻想郷の紅魔館へ還れます。

私とこの出来事は全員、今まで今までイリスオブジェクトの真っ赤なコア(核)

の中にいた人々もきっとただの夢の出来事と認識されるでしょう。

今まではただ眠っている間に観た曖昧な夢として皆は思うでしょう。

そして動かなくなった怪異天使レギオン達を見て驚くかも知れません。

また今後の事ですが。 

のぴさんは未完成で途中だった『ヴィシュヌ・アバター』を完全体にしました。

これにより『ヴィシュヌ・アバター』は最初よりも姿形が変化して

以前よりパワーアップしているかも知れません。

暴走は『正義』メルキセデクが抑えてくれれば日常生活に

支障をきたす事はまずないと思います。

今回の事件は解決しました。

しかしながら現実(リアル)には未だに世界の終焉を望む人々がいる

可能性は否定しきれません。

だからのぴさんも咲夜さんも『おこさまぷれーと』の皆さんも

闇に堕ちた魔戒騎士や魔戒法師と名乗る者。

あるいはオズウェル・E・スペンサーの関係者と名乗る者。

さらに怪しげな宗教団体やイスラム原理主義者と言った者達。

過激派ポリコレやフェミニストの団体かあるいは集団の不特定多数の人々。

そいう人達が何らかの方法でのぴさんの中の『ヴィシュヌ・アバター

を利用して大事件を起こす可能性も否定しきれないのです。

十分にそういう連中には注意して下さい!

特にのぴさんはさっきの『ヱヴァンゲリヲン・ヴィシュヌ』になった事で

本来の破壊と創造。特に窮極の創造神の力が解放されました。

実際その影響でヴィシュヌ・アバターも不完全な肉体と霊体から

更に強大な力に満たされて形態を変化させて進化しています。

扱いには注意して下さい。

『ヴィシュヌ・アバター』はパワーアップ状態になっています。

怪しげな宗教の人々や過激派ポリコレやフェミニスト団体や連盟の不特定多数の

男性嫌悪や女性嫌悪の人々にはのぴさんは人一倍気おつけて下さい。

ちゃんと勧誘してきたらしっかりと断って下さい。

『ヴィシュヌ』や『ヱヴァンゲリヲン』の情報は

連中には知られないようにお願いします。」

「うん!分かった!」とのぴは素直に返した。

「分かったで!その『ヴィシュヌ』や『ヱヴァンゲリヲン』については

『おこさまぷれーと』のメンバーの秘密にしよう!」

ちゃきは提案した。するとゆいにゃもりあらも咲夜も同意して約束した。

マナはほっと一安心した。

実際、約束した全員はこんな出来事はもうこりごりだと思っていた。

「しゅがーにも秘密にしよう。

これはここにいるあたしらの秘密や!」とちゃき。

ゆぃにやもりあらも黙って「うん!」と頷いた。

勿論、のぴも頷いた。

「ありがとう!そろそろ元の現実(リアル)のこちら側(バイオ)の世界と

幻想郷に送ってあげる。何か困った時はのぴさんは。

『リヴィアのゲラルド』。

『フィリパ・エイルハート』

『冴島鋼牙』『魔女王ホラー・ルシファー』。

十六夜咲夜(いざよいさくや)さんは『魔人フランドール』。『冴島鋼牙』。

パチュリー・ノーレッジ』のいずれかの人物に相談するといいわ。」

「あっ!ご丁寧にありがとうございます。でもマナちゃんはどうするの?」

のぴは何となく分かっていたがついつい質問してしまった。

「『対悪霊・ホラー天魔型防衛兵器ラミエル』を再起動させて私もここで眠ります。

また若村秀和や反メディア団体ケリヴァーやサイレントヒルの教団。

あるいは過激派ポリコレやフェミニストの集団や

団体がここに辿り着くか分かりません。

漂着されるとまた悪用されて同じ悲劇を繰り返します。

これが今の私の大切な仕事です。

ここは私が死守しなければなりません。永劫の果ての任務として・・・・・」

マナはそう答えるとまた短い間、友達になったのぴ達の別れを惜しんだ。

そしてしばらく黙った後に霧島マナは最後の別れの言葉を述べた。

「ありがとう!外神ホラー・イリスの復活は貴方達が止めてほしかったの!

人間の手で!そうしなければ貴方達はそのまま

大勢の人間達と現実(リアル)で生き続けられる!

私はその手助けをする事、現実(リアル)には戻れずここで守り続ける。

それが私の運命。結果、友達になって直ぐに離れ離れになる事になってもね。

さあー行きなさい!私の力で現実(リアル)の

こちら側(バイオ)の世界に帰してあげる!

勿論。咲夜さんは幻想郷にね。ここにに残るべきものは私だけ。

現実(リアル)の未来を与えられる生命体はひとつしか選ばれない。

それがのぴさん。ちゃきさん。ゆいにゃさん。りあらさん。咲夜さん貴方だけなの!!

ありがとう!本当に短い間だけど友達になれて凄く嬉しかった・・・・・・・。

貴方達に必要なのは現実(リアル)と人生の未来なのよ。いいわね。ありがとう。」

霧島マナの身体が黄金に発光した。

それはヱヴァンゲリヲン4号機のコア(核)

と共鳴し、咲夜、のぴ、ゆいにゃ、りあらの全身を包んだ。

全員、視界が黄金の光に覆われて何も見えなくなった。

しかし不思議と眩しくは無かった。

それはとてもとても暖かった。

やがてのぴ、咲夜、ゆいにゃ、りあら、ちゃきの姿は

イリスオブジェクトの真っ赤なコア(核)から消失した。

霧島マナは『対悪霊・ホラー防衛兵器ラミエル

の再起動プログラムを操作しながら静かにつぶやいた。

「ありがとう。そしてさよならはまた会う為のおまじない。」と。

こうして十六夜咲夜は幻想郷の紅魔館の玄関の大きな門の前で眠っていた。

やがてそれを居眠り門番事、紅美鈴(ホン・メイリン)が発見して

無事に館の主人のレミリア・スカーレットとその仲間と友人、

家族一同に再会して抱き合い、喜び合った。

またイリス・オブジェクトの真っ赤なコア(核)

の外にいたクリス・レッドフィールド

ドラキュラ伯爵は目の前がオレンジ色と青の光に染まるのを感じた。

彼らの脳裏に惣流・アスカ・ラングレの元気な声が聞こえていた。

「これで!任務完了!私もこの子の世話の為に在るべき場所に戻るわ!

元気でね!クリスおじさん!ドラキュラ伯爵さん!じゃあね!」と。

2人は既に惣流・アスカ・ラングレの姿が見えなくなり。

惜しみつつもさよならの挨拶をした。
しばらくしてドラキュラ伯爵とクリスはゆっくりと瞼を開けた。

気が付くと久しぶりに見た仕事の休日で訪れていたハワイのオワフ島の

高級ホテルのスイートルームでは無く、朝日が昇りつつあるオレンジ色の

空の日の光に照らされたビーチの浜の上に大の字で眠っていたことに気付いた。

ドラキュラ伯爵とクリスは天空のオレンジ色の空をぼんやりと眺めながらー。

「今!どれくらい経った?」と質問した。

「丁度、午前6時30分。もう。太陽神テスカトリポカと魔人フランドールと。

エマ・マドセンと冴島鋼牙。そして魔導輪ザルバやフィッシャーズ達と。

シェリル・モリス・メイソン刑事の死闘も若村秀和や反メディア団体ケリヴァーの

妨害工作も彼が起こそうとしたインパクトもこちらですべて処理しておいたから。

何も問題も大きなトラブルも起きる事無く終了するな。

あと10分後には決着は着く。全て予定通りだよ。」

クリスは腕時計を見た。現在の時計の時刻の10分後は・・・・。

がちゃんと現実(リアル)の通りならー。6時40分と言った所か・・・・。」

クリスは相変わらず天空のオレンジ色の色をぼんやりと眺めながら。

「そうか!ようやく任務を終えてあのループから脱出できたんだな。」

ドラキュラ伯爵も相変わらず天空のオレンジ色の空をぼんやりと眺めながら。

「咲夜って子は?のぴとゆいにゃとりあらとちゃきの女の子達は??」

ドラキュラは伯爵は相変わらずまだ天空のオレンジ色の空を眺めながら言った。

「心配ないよ。少しより道はするが必ず現実(リアル)から

こちら側(バイオ)の世界に必ず全員帰れるさ。

彼女達は『命のこたえ』を見つけたのだから。」

クリスは「寄り道?『命のこたえ』とは?なんなんだ??」

と面食らった表情で言った。

「もっとも十六夜咲夜は幻想郷の紅魔館に家族と再会したようだ。

勿論、その前に『命のこたえ』を見つけて然るべき場所に呼び出されるが。

そしてまた幻想郷の紅魔館のベッドで目覚める事になる。

ゆいにゃ。ちゃき。のぴ。りあらの4人も然るべき場所に呼ばれた後に。

現実(リアル)の世界で聖ミカエル病院の屋上かベッドの上で目覚めるのさ。」

「然るべき場所とは?」とクリスはきょとんとした表情で見た。

しばらくドラキュラは伯爵は黙っていたが。ゆっくりと口を開き答えた。

「『ベルベットルーム』と呼ばれる場所だ。」

「ベルベットルーム?なんだそれは??????」とクリスが答えた。

「『命の答え』を見つけた者が辿り付く場所。彼女達はここにいる。」

ドラキュラ伯爵はよっこらしょと白いスーツを着た筋肉質の上半身を起こした。

また周囲を見ると約1000体以上の怪異天使レギオンが砂浜の上で

猫のように丸くなっていた。どうやら眠っているらしい。

「どうなっているんだ?」とクリスは呟いた。

「太陽神テスカトリポカのコントロールが切れて休眠状態になったのさ。

全てはフィッシャーズのマサイとシェリル刑事のおかげさ!」

とドラキュラ伯爵は答えた。

それからザーザーと押し寄せては返ってくる潮の満ち引きを黙って2人は見ていた。

 

(第42章に続く)