(第70章)リバイアサン遺伝子変異症

(第70章)リバイアサン遺伝子変異症

 

「俺は今でも彼女の無事を祈っている。」

クリス隊長が言うと「そうですね」と穏やかに微笑んで答えた。

「ところであのDOOP(ドォープ)がその旧ソビエト連邦

異星人のDNAと人間のDNAを組み合わせた生体兵器を模倣した理由ですが。」

「ああ。一体?どうやって?その生体兵器の姿形を手に入れたんだ?」

「ここからはあくまでも推測になりますが。恐らくDOOP(ドォープ)は

以前取り込んだ凄腕のハッカーの知識を利用して何らかの方法でアメリカ合衆国

あるいは倒産前のネプチューン社のデータバンクにハッキングして・・・。

いや。それでは現実的ではありませんね。もしかしたらあくまでも可能性ですが。

アメリカ合衆国の軍事情報を人間側の情報を知って万が一発見された時に有利に

闘えるように武器やBOW(生物兵器)の情報。それと偶然にもあの旧ソビエト連邦

異星人のDNAと人間のDNAを組み合わせた生体兵器の存在にたどり着いたのかも?」

「だったらそれであいつらが模倣したと言うのは分かる気がする。」

ロボの推測に両腕を組んでどこか深刻な表情でクリスは答えた。

 

同時刻。秘密組織ファミリーの本部に当たるジョン・C・シモンズの大きな屋敷。

マルセロ博士はジョン・C・シモンズの自室で彼と例の新しく手に入れた

とある海洋型BOW(生物兵器)について話していた。

「例のDOOP(ドォープ)は現在、ニューヨーク湾に侵入した野性化したあの

ショゴス形態のDOOP(ドォープ)とは別に既に我々は旧ソビエト連邦の極秘施設の

厳重に警備されて隔離研究調査中の『ルーシ被検体サンプル』を既に手に入れている。

もう野性のショゴスの生体サンプルは必要ないだろう。

現在は既にロシアからアメリカまで

はるばるあの『ルーシ被検体』のDOOP(ドォープ)

バクテリア細胞の生体サンプルはこの通り!到着済みじゃ!じゃか!」

マルセロ博士は赤い宝石の形態をしたDOOP(ドォープ)の

コアユニットが保管された耐圧トランクをジョンに見せたあとに溜息をついた。

「例の『ルーシ被検体サンプルの赤い宝石形態のコアユニット』の護送中に

魔獣ホラー・グール事、芳賀真理が誤って『コアユニット』に触れてしまい。

最終的に護送用の機密飛行機内で男性スタッフと職員と

女性スタッフと研究員を次々に人体に融合させて取り込み。

彼女の人間としての自我も魔獣ホラーの本能も陰我で得た砂を操る能力と

以前のホラー形態を完全に喪失してしまい。完全にDOOP(ドォープ)と化した。

現在事故の原因は調査中じゃが。防犯カメラに・・・・」

「神崎りょうすけが映っていたんだろ?彼女をまるで旧約聖書の蛇が

アダムの妻のエヴァを唆して生命の実を喰わせたように!

神崎りょうすけは芳賀真理を誘惑してDOOP(ドォープ)のコアに触れさせた!

これも奴の妨害工作か?!それとも酷い嫌がらせか何かか?

ふざけるのも大概にしろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」

ジョンの鋭い剣幕で怒鳴り散らした声を聞いたマルセロ博士もキッパリとこう答えた。

「『間違いない!』じゃが!罪を認めさせても奴の事だから全く反省するまい」

「つまり追及して罪を問いただしたところで時間の無駄か?全く忌々しい奴だ!」

「勿論!飛行機はそのまま全て機体ごまるごと

液体窒素ハロンで凍らせて酸素を奪い。

ついでに強固な結界を張って地下の格納庫にまるごと隔離して封鎖した。

今は安全じゃ。当然、彼女の家族にも彼女が事故に遭った事を説明しておいた。」

「くそっ!妹だけではなく彼女まで!神崎りょうすけめえええっ!」

ジョンはとうとう怒りを堪えきれずにドオン!と両拳を木の机に叩きつけた。

「落ち着け!今怒り狂ってもわしらには何も出来ん!」

マルセロ博士は怒りを堪えきれないジョンをなだめた。

するとジョンも怒りがある程度収まり、静かになった。

そしてジョンが落ち着いたところを見計らい。

マルセロ博士は口を開いて説明を続けた。

「最近、神崎りょうすけの毛髪からこのDOOP(ドォープ)の

バクテリアの一部を発見したと言う未確認情報があるようじゃな。

この事から考えて恐らくDOOP(ドォープ)の研究開発に関わった

ネプチューン社の社員である可能性が高まった。

とは言えDOOP(ドォープ)は色々な意味で危険じゃぞ!」

実際、ジル・バレンタインの報告によるとニューヨーク湾の自由の女神像

あるリバディ島の見える漁港近くの橋の上で神崎りょうすけとデートを待ち合わせを

していたと思われるサマー・メイブリと言う女性が太平洋から生息範囲を広げて

ニューヨーク湾に侵入した『DOOP(ドォープ)兵器』の生き残りで

野性化したとされる個体に襲われる事件が先程、起こったばかりじゃぞ!

現在彼女はたまたま通りすがったクレア・レッドフィールド

彼女を聖ミカエル病院まで救急車で搬送して。

DOOP(ドォープ)の駆除をしたジル・バレンタインの手で

その『DOOP(ドォープ)兵器』の一部分だけは殲滅した。

彼女はすぐさま聖ミカエル病院に搬送されて精密検査を受けた後に入院中じゃ。

ついでに厄介なことに繁殖能力を見に付け始めておる。

サマー・メイブリーは後に妊娠して救急車から聖ミカエル病院に搬送される間に

子宮内で胎児サイズの金属の卵をひとつだけ産み落とした。

現在は冷凍冬眠。つまりコールドスリープの状態でカプセルの中に入れられて

保蔵されて我々の秘密組織ファミリーの地下の研究所で詳しく分析中じゃったが。

ようやく結果が出たのう。そう言ったマルセロ博士はDOOP(ドォープ)の

生き残りと思われる不定形のまるでショゴスの姿形の野生化した個体が

サマー・メイブリーの卵子とDOOP(ドォープ)バクテリア

含んだ人間の男性の精子が受精されて胎児サイズの銀色の卵を形成させた。

後に聖ミカエル病院後か隔離室に入院中じゃ。

現在彼女は天井の監視カメラの様子だと異常無しじゃな。

そして生き残ったDOOP(ドォープ)達は恐らくニューヨーク湾の海面か

海底の岩場の金属物質を通して全体的に結界を張って巨大な巣を

形成したのだろうとブルーアンブレラ社とわしらの調査で結論付けている。

ついでに『原形質の貯蔵場所』を知っておるか?つまりルーシの質が変化しておる。

DOOP(ドォープ)は取り込んだ相手の知性を吸収しておると言う事じゃな。」

「厄介な連中が増え過ぎれば困る。少しづつ駆除して数を減らす必要がある。

だから今は現状はジル・バレンタインに駆除を頼んでいる。」

ジョンはその報告書をマルセロ博士に見せた。

「当然、そのDOOP(ドォープ)兵器が危険なのは知っている。

我々は唯一神YHVAや大天使や天使達を全て倒さねばならない。

僕が神の玉座に戻る為にね。これらの行為は絶対に必要だ。

何が何でも成功させる!」とジョンは意気込んで見せた。

「そうか。現在はのぴの全身の細胞に寄生している『宇宙の賢者の石』は正常じゃ!」

「ああ。メールで読んだ。彼女はうまく共存している。人間だな。安心だな。

だがあいつに関わっている以上どうなるかは身の保証は出来ない。

あいつはクトゥルフ神話の伝説上の全にして一。一にして全。

門にして鍵であるヨグソトホースが。外神ホラーの副王が手を付けている。

そうなっている以上は全てがハッピーエンドと言う甘い考えは通用しないな。」

「そうじゃ。連中は全て明るい話で全て済ます程、生易しい事はするまい。」

「必ず知らない方が善い幸せもあるだろう。さて話題を変えよう。」

「いや待てもう少し連中について言わせておくれ!」

彼らも我々と同じ唯一神YHVAと大天使と天使達のヨハネの黙示録からの

防衛の為に魔人システムを開発しておる。皮肉にも目的は一致しておる。

いずれは彼女も我々の戦いに巻き込まれるかも知れぬ。」

「そうじゃ。いずれ数時間後に彼女の平和をいずれ残酷に切り裂くかもしれぬ。

さて。今度こそ話題を変えよう。

例のDOOP(ドォープ)のショゴス形態の本体と分離した。

一部の生態サンプルは太平洋上の公海の深海1000mで回収に成功した。

過去の1997年の海底基地のDOOP(ドォープ)再起動による暴走事件は

酷い回路の影響により、海底基地に勤務していた男性作業員3名が惨殺されて

バラバラにされて両腕や両足を積み木の様にして遊ぶ行動が見られたそうじゃ。

しかしあの黒幕の『ミランダ』と言う女がDOOP(ドォープ)の

回路を外に放り出してしまったが為に更に制御不能となり。

今度は女性作業員が襲われて5名が性行為を強要されて帰らぬ人となってしまった。

また5名以外に唯一生存した女性作業員は無事海底基地を脱出して生還した。

『DOOP(ドォープ)に精神支配されて人間を喪失する前の達也3回セックスの末に

彼との間にDOOP(ドォープ)バクテリアと共存に成功して人間の赤ちゃんとして

生まれて大人になるまで成長して自立した子供達とその孫達の家族に

見守られてアメリカの私立病院で命が尽きて自然と亡くなってしまった』と

あの映画で話題になって注目した世間達にはカバーストーリーとして流している。

本当は違う。彼女は今で自立した子供達とその孫達の家族などは最初から存在しない。

DOOP(ドォープ)バクテリアに感染した事で金属との同化と遺伝子変異による

リバイアサン遺伝子変異症候群』を発症していた。

後天的な遺伝子変異の不治の病気だ。

主にウィルスやバクテリアや遺伝子変異因子を含んだウォッカを飲む事で発症する。

その変異遺伝子を持つ生物は他の人間の体内に寄生感染して宿主の遺伝子を

組み替えて行き、そして宿主の肉体を乗っ取り、次々と他の人間に襲い掛かる。

そして自分の遺伝子を相手に植え付けて仲間を増やして行くんじゃ。

しかも芳賀真理もこの症状特有の症状によって我々の同胞の

魔獣ホラー・グールでさえも逆に肉体を乗っ取られてしもうた。

他の魔獣ホラーや天敵の魔戒騎士や魔戒法師にも肉体感染の危険が及ぶかもしれん。」

「我々、魔獣ホラーの血は人間や動物の体には有毒だ。彼女は人間の血液だった。」

「うーむ。だから容易に乗っ取られた?外神ホラー・シユブ二グラスの改造の影響か?

ついでに発症者は大体決まってドラキュラのように餌として血液を好む傾向がある。

だから経口感染や傷口感染を防止する為に秘密組織ファミリーが管理所有する

ソビエト連邦の極秘施設に厳重に警備されて隔離されている。

責任者の名前は2000年代のアンブレラ社復活を企んだあの旧ソビエトの軍人の」

「全てのタイラントのベースとなった『セルゲイ・ウラジミール大佐』か・・・」

「彼女は人間の寿命を失った。DOOP(ドォープ)と共に永遠に生き続けている。

犠牲となったその女性作業員達は彼ら彼女の証言によると全員、

人体が融合してしまって救助不可能だったそうじゃ。

後に暴走したDOOP(ドォープ)は現在も超大型個体が深海深くに潜り、

現在1997年から2030年の現在に至るまで消息は

不明なままになっている。どうやらかなり長い間休眠していたようじゃ。」

「しかし最近になって奴はまた活動を再開しているようじゃ。

さらに『静かなる丘・サイレントヒル』の超常現象の影響が

活動再開の原因と推測される。

ジョンは今日のニューヨークタイムズ紙の新聞を見せた。

「今日。未明。太平洋上の海上をクルーズしていた豪華客船

『スペンサー・ネプチューン・シン・タイタニック号』が何者かに

襲撃される事件が発生した。調査と救出に駆け付けた捜索隊と捜査官等が

豪華客船に突入後。生存者と軽傷者と意識不明の乗組員とクルーズ客が発見された。

そしてすぐにドクターヘリで聖ミカエル病院に搬送された。

更に生存者は豪華客船の事件の発生の際に不可解な状況があった。

それは若い男性と老人と幼い子供を除いて10代から

20代の若い女性や少女達のみ全員、忽然と姿を消したようだ。

なお40代と50代の女性達の生存も確認されたようだ。

そして大勢の船員や乗客の証言によると船の底に何か

超巨大な銀色の金属の塊が張り付いていたとか?

更に船の左右の横から無数の金属製のタコかぜん虫(ワーム)を思わせる

太く長い胴体が上空に高々と伸びて行くのが見えたと言う。

更に触手全体は無巣の棘に覆われており。

直ぐに触手の先端を口周りの大きな三角形の花弁の口を開き。

鋭い牙と4対の金属製の鋭い鉤爪を全開にして次々と3000人余りの

10代の少女と20代の女性達を次々と頭から丸呑みにしていったと言う。

とても恐ろしい光景で何人かは飲み込まれる前に失神しまったようです。

更に結局人々は恐怖におののいた彼女達は逃げ回りつつも。

また一人また一人と何処に隠れても四方八方からあらゆる穴から襲い掛かり。

あっさりと全ての彼女達を丸呑みにしてしまった。

そして恐怖で狂気に駆られてしまい。

船内はパニック状態になった。

最終的に女性や少女は全員一人残らず丸呑みにされてしまい誰もいなくなった。

そのあとは静けさを取り戻していたものの。

現在も2000人もの10代の少女や20代の成人女性は

全員忽然と失踪して生存も絶望的となった。

しかしそれでも僅かな生存の可能性を懸けてBSAAやブルーアンブレラ社と

クリス隊長率いるハウンドウルフ隊や各国の捜査官と協力して調査と捜査を着々と

進めて一刻も早い生存者の救出をを行う方針だとマスコミに発表した。

また1997年の海難事故の時以来の『DOOP(ドォープ)は誰にも

一切管理される事無く長い間放置された事で野性化したと思われていて動物的な行動。

つまり原始的な本能で動き回っており、

早急に捕獲と必要ならば破壊処分の処置と駆除の

予定だとアメリカ国防総省の幹部達は公式に発表している。ゾイ・ベイカー』

「なーるほど。長い間放置して野性化したと言うのは驚きだな。」

「そりゃ当然じゃのう。ろくに管理される事も無ければ失敗作として

破棄されて海の底に捨てる。アンブレラ社と同じ対応じゃな。」

「どうせ結局はDOOP(ドォープ)は

彼らにとってただの道具に過ぎないんでしょうね」

そこにアサヒナ・ルナ所長がジョンとマルセロの会話に割って入った。

「ああ。アサヒナ所長。『真のヨスガ』に目覚めた

アレックス・パパリオスと接触したかね?」

ジョンの質問にアサヒナ所長は妖艶な笑みを浮かべて笑った。

「勿論よ!ターロンメトロイドを見せたら私の要求を渋々飲んだわ!」

マルセロ博士は

「そうか。例の人工的にSR388系のメトロイドの遺伝子を組み合わせて

卵から完全に復元させた後に孵化したベビーメトロイドからフェイゾンを注入して

ターロンメトロイド化させた。そして孵化直後のベビーメトロイドに刷り込みを行い。

そしてアサヒナ・ルナ所長を母親と認識させる実験には成功したわけじゃな。」

ジョンとマルセロ博士は満足げに笑って見せた。

マルセロ博士は『メトロイド量産計画』の概要の資料をジョンの机に置いた。

ジョンは直ぐに資料に目を通した。

メトロイド量産計画の概要。人工的にSR388系メトロイド

遺伝子を組み合わせ卵を復元させた。

そして卵から孵化後のベビーメトロイドはアサヒナ・ルナ所長と

その卵から出てくる間を見せて刷り込みを行い。

ベビーメトロイドからターロンメトロイドに成長した。

また人工の卵は多数を極秘の研究所にて増やして屋敷の地下深くの広大な

保存庫にメトロイドの抑制シールドで冷凍冬眠状態で保存中。

そして卵のタンク内の温度は摂氏3度に保たれている。

勿論、タンク内環境の診断結果も良好である。

更に対抗策としてDOOP(ドォープ)バクテリアの抗体薬を投与して成功中。

続いて天使達のデモニックジーン(悪魔遺伝子)を組み込み投与して成功。

結果は実験体の質量は前回注入時の18%に達している。

これよりターロンメトロイドはDOOPバクテリアと大天使に

対抗する術を身に付けたと思われる。(まだ現時点でアサヒナ所長を母親として認識

している実験体ターロンメトロイドには目立った身体変化及び質量の増量なし。)

またジル・バレンタインの血液から取り出したオリジナルの賢者の石を投与。

無事にターロンメトロイドの全ての細胞に寄生して共存にも成功している。

主にエネルギーコアに寄生中。そこが一番住み心地が良いらしい。

勿論、ターロンメトロイドの幼生のベビーメトロイドも管理中である。

(ちなみにベビーメトロイドは『フェイゾン化合物』と接触した場合は

急激にターロンメトロイドに脱皮して成長するようだ。)

以上である。生物学者カン・ルネ博士。」とあった。

 

(第71章に続く)