(第71章)旧ソビエト連邦の負の遺産

(第71章)旧ソビエト連邦負の遺産

 

2030年。アメリカ・ネバダ州の砂漠地域、細かい情報は極秘。

「俺のカーク・シンクレア少尉の無事を祈りが通じたのか?

正直、無事を信じていたが。未だに信じられん。

まさか・・・・ここに例の旧ソビエト連邦の実験で人為的に創り出された

異星人のDNAと人間の遺伝子を組み合わせた生体兵器がアンブレラ社の

初期の実験の失敗作のキメラを創造した研究チームが拐取していたとはな・・・・」

クリス隊長は驚きを隠せない様子でその

砂漠の立派な地下研究室の広場をぐるりと見渡した。

さらに電気を付けた事で真っ暗な広場は明るくなり部屋の全体像がはっきりと見えた。

そこはDDOP(ドォープ)が模倣した異星人と人間のDNAを組み合わせた

生体兵器の旧ソビエト連邦負の遺産が入った大量の

コールドスリープ(冷凍冬眠)のカプセルが長四角の形に綺麗に並べられていた。

内部にはその生体サンプルが冷凍冬眠状態になって保存されていた。

またロボとタンドラとナイトハウルは注意深く周囲に武器を向けて

警戒しつつも周囲の研究所の広場を捜索していた。

すると広場の中央にひときわ大きな最新式のコールドスリープ(冷凍冬眠)

カプセルがあった。その内部には全裸のうしろ姿の女性が立ったまま眠らせていた。

クリス隊長はその張りのある小振りのプリプリした白い肌のお尻に見覚えがあった。

さらに「まさか!」と思いクリス隊長が正面に回ると確かに2017年に

アフガニスタンで行方不明となったカーク・シンクレア少尉だった。

しかも老化している事は無く2017年の20代の女性のまま

美女のスレンダーな身体と若い肉体を保っていた。

彼女はウェーブのかかった両頬まで伸びた茶髪のボブヘア。

キリッとした茶色の細長い眉毛は茶色で瞼を閉じていた。

丸っこい高い鼻。ピンク色の唇。ふっくらとした両頬。

張りのある丸い掌サイズより一回り大きな両乳房とピンク色の乳輪と屹立した乳首。

スレンダーな身体も全てクリス隊長が最初に出会った頃とは

全く顔も容姿も変わっていなかった。

「隊長!これを!」とナイトハウルは近くの研究所の広場のブレーカーの

レバーを上に持ち上げた。するとパチッ!と電気がついて周りが明るくなった。

同時に赤と緑とオレンジの妖しく発光する細長い形のコールドスリープ(冷凍冬眠)

カプセルが大量に現れた。しかもかなりの数のようだった。

内部には異星人と人間のDNAを組み合わせた人型の生体兵器の

姿がまるで影絵のように浮かび上がっていた。

「これは?!どのくらいの数が保管されているんだ!」

するとタンドラは「ざっと見たところ軍隊クラスね。少なくとも」と答えた。

次にナイトハウルは「ああ。一個小隊レベルぼ数とみて間違いないな」と言った。

アメリカ政府はこれを軍隊として利用する気だったのだろうか?」とロボは言った。

「分かんが。恐らくアンブレラ社の初期のBOW(生物兵器)の失敗作のキメラが

幹部や上司達に研究の全てを中止させられて腹が立ったのかも?」

「それでキメラ研究のBOW(生物兵器)の成功例をアンブレラ社や

アメリカ政府に売り込む気だったんだろうな。ほら資料です。」

ロボがクリス・レッドフィールド隊長に埃まみれの鉄の机に

置いてあった白い何十枚の資料を手に取って読んだ。

また他の隊員とブルーアンブレラ社の殊生物部隊隊員が

手分けして捜索していると白衣を着た男性研究員と思われる

人物の椅子に座ったままの状態で白骨死体として6名発見した。

一部には下顎や右腕や両脚の骨が粉々になって

欠損している白骨死体が3体発見された。

机の上にはバラバラと折り重なり、机全体にまんべんなく

広がった状態の大量の実験の資料が放置されていた。

またボイズレコーダーらしきものが置いてあるのも回収した。

資料はDNA や化学物質や数式が書き残されていた。

他にも幾つかの入り組んだタイルの壁の廊下をクリス隊長率いる

ハウンドウルフ隊とブルーアンブレラ社の特殊部隊員は銃口を真っ暗闇に

向けて周囲を警戒して研究所の奥に進んでいた。

すると急にまた視界が真っ赤に染まった。

全員目が眩んで両眼を覆った。

やがて暗闇から真っ赤な視界に慣れて両手を避けた。

円形の除き窓から胸部から腹部まで裂けた鋭い牙の生えた口に茶色の

円形の何かがプカプカ浮いていた。全員とにかく唖然とした。

ジーザス」

「マジかよ!」

「あれがオリジナルの?」

「まだ残っていたんだ・・・」

空爆の際にあの旧ソ連の水槽は無事だったからうまく回収したんでしょう」

またよく見るとまだ虚ろな青色の瞳がこちらを見ているようで思わず身震いした。

それからクリス隊長はボイズレコーダーのボタンを押して再生させた。

『いいのか?この旧ソビエト連邦の極秘施設を間借りするなんて正気じゃない!』

『しかしアンブレラ社は倒産した!しかし我々は手に入れた!

例の昆虫型BOW(生物兵器)キメラは失敗した。

蠅の遺伝子を素体に組み込んで両種を強制的に融合させた。』

『だが知能は蠅並みで失敗してしまったが。

しかしGウィルスとワクチンを手に入れた!』

『そう!我々はあのCIAが拘束した

カーク・シンクレア少尉の卵巣と子宮を利用すれば!』

『失敗作のキメラに代わる最強のBOW(生物兵器)いや!

有機生命体兵器を製造出来るんだ。TウィルスとGウィルスを

うまく利用すればきっと素晴らしい作品が創り出せるんだ!もう!ヘマはしない!」

『その前にバレないいいがな。知られたら我々は破滅だ!』

『安心しろ!ここはアメリカ政府も知らない。極秘中の極秘!バレやしないさ!』

『そうか。それならいいか。あの女と実験体の交配実験を行う!』

『彼女は我々実験の被験者となり。そして彼らの母親となるんだ!」

そこでボイズレコーダーはカチッと切れる音がして音声は停止した。

「くそ!最悪だ!」「酷い話ね!」「クソ共だな!」「吐きそうだぜ!」

ハウンドウルフ隊の隊員メンバー面々のそれぞれの感想を聞いた

クリス隊長も流石に吐きそうになり顔をしかめた。

 

再び秘密組織ファミリーの本部に当たるジョン・C・シモンズの大きな屋敷。

「ふーむ。資料はこの通りか。よろしい研究と実験を続けて欲しい。」

ジョン・C・シモンズが言うとマルセロ博士は「分かった。伝えるよ。」と返した。

ジョンは『メトロイド量産計画』の資料に机に置いた。

それからマルセロ博士はジョンの方を見た。

「『メトロイド』はきっと

唯一神YHVAと大天使と天使達を倒すのには必ず役立つ筈だ!」

ジョンはそうマルセロ博士に言った。

するとマルセロ博士は呆れた表情で「危険過ぎる」と意見した。

そしてジョンは「勿論、危険は承知だ!とにかくDOOP(ドォープ)も色々危険だが。

この『メトロイド』も危険極まりない。

メトロイド』はあらゆる生命体にとり付き生命エネルギーを吸い尽くしてしまう。

メトロイド』は非常に凶暴だ。この『メトロイド』はアサヒナ・ルナ所長が

刷り込みをした人間もしくはAI(人工知能)かクイーン個体のみに従うものの

それ以外の生物には一切従う事は無い。我々魔獣ホラーでさえも

生命エネルギーと邪悪な魔力を吸い尽くされたらひとたまりもあるまい。

「ああ。その通りだな。下手すれば魔戒法師にも魔戒騎士ですら危険な存在だろう。

勿論、人間もDOOP(ドォープ)にとってもだ・・・しかし・・・」

ジョンは両腕を組んだまま口元を緩ませて笑った。

「だが強化型のターロンメトロイドをうまくアサヒナ・ルナ所長か?

そのクローン体をうまく利用して制御可能なら少なくとも

唯一神側の天使軍の一個小隊で敵全部隊を全滅させて一掃する事が可能だろう。

大勢でもメトロイドを利用すれば天使軍を圧倒させられる」

「それも確かにそうだがメトロイドは危険じゃぞ!増殖すれば大変じゃ!

とてもじゃないが制御出来なければ脅威でしかないのう」

「勿論、アサヒナ・ルナ所長とターロンメトロイドと母と娘の

関係をモデルに完全に制御する方法をもっかのところ研究中だ。

あとはカン・ルネ博士に全てのメトロイドの研究を一任する事にしたのだった。

「まあートラブルが無ければ良いが・・・」

マルセロ博士は不安そうにしつつも彼女を徹底的に監視する事にした。

それからジョンは今後ものぴの魂の血液の内部に潜んでいた宇宙の賢者の石も

今後の暴走中の状態を制御する方法を模索しないといけないと話していた。

それにマルセロ博士は同意していた。

「とにかくまずは神崎りょうすけは冴島鋼牙やのぴ。

いや『のぴしゅらM6』に任せる事にして。問題は奴が封印されたあとじゃな。

『ヨスガ』と『シジマ』の仁藤夢乃氏とギルマン・マーシュと氷川司令。

そしていずれ再び活動を再開するであろうDOOP(ドォープ)兵器。

通称『ドォープズ』の群れの対処。問題はこちら側(バイオ)の世界中に

潜伏している唯一神YHVA側の大天使メルカバーの命で動く『偵察用小隊』の

様々な兵器強奪計画とスパイや工作による我々組織の冷戦下の彼らの行動の対処。

問題は思った以上に山積みじゃ!

あとはあのDOOP(ドォープ)と化した芳賀真理も。」

「ああ。だが一つ一つ片付けてゆくしかない」とジョンは言った。

「それもそうじゃな。」とマルセロ博士もジョンの意見に賛同したのだった。

 

再びアメリカ・ネバダ州の砂漠地域の旧ソビエト連邦の極秘施設内。

クリス隊長率いるハウンドウルフ隊とブルーアンブレラ社の

殊生物部隊隊員と協力してカーク・シンクレア少尉を利用した元アンブレラ社の

アークレイ研究所から恐らく移動させられたラクーンシティのNEST研究所所属の

6名の研究員が主導を行った極悪非道な人体実験についての実態調査を進めていた。

その際にハウンドウルフ隊員はカーク・シンクレア少尉が軟禁されて

生活していたと思われる独房部屋と主任研究員の部屋からも

カーク・シンクレア少尉の日記と主任研究員の日記をクリス隊長は回収した。

2つの日記の内容は以下の通り。

『あの事件から何年たったかは分からない。でも今にも最悪の頭のイカれた

マッドアサイエンティスト(悪の天才科学者)に拘束されてしまった。

仲間の2人の男は口封じに射殺された。何故か私だけが生き延びた。

気が付くと私はアメリカ合衆国ネバダ州の砂漠地帯のまた同じ

ソビエト連邦が作った極秘施設の中にいた。

そこにはアンブレラ社の研究員が6名いた。

その中のクソハゲの主任研究員は過去に初期の

BOW(生物兵器)キメラを創造したとか言っていた。

更にそいつは・・・私の肉体いや、女性の卵子と卵巣を利用して

極秘かつ非人道的な実験を行おうとしていた。私は逃げ出そうとしたが出来なかった。

既に極悪かつ非道な実験が始まって早14年。私はすっかり・・・・。

あの忌まわしい生体兵器の性の虜にされていた。

もう!身体も精神もあいつの心を読む能力と接続能力のせいで心を読まれ。

精神も体も拒絶しようとも自力で脱出不可能になっていた。

あいつらは私にGウィルスとワクチンか抗ウィルス剤か何かのDEVILを投与された。

そのせいで私は老化しない身体に作り替えられた!永遠に・・・・・・・・。

あの・・・いや・・・・きっとシェリー・バーキンって子のせいじゃないわ。

だから・・・・くそ!もう奴らの言いなりになるしかないのよ・・・・。

誰か助けて・・・・・おね・・・が・・・い。シンクレア少尉。』

もう一つの研究院主任の日記はとにかく気持ち悪くて全員吐き気がした。

『素晴らしい!まるであの初期の人間のDNAと異星人のDNAを合成させた

ソビエト連邦の生体兵器はTウィルスを使用した遺伝組み換えによる

改良実験によって既に我々の制御下に置かれている。

我々が彼に息吹を与えたのだ。人間の遺伝子に蠅の遺伝子を組み込む事

によって創造したキメラはウィルスの特性で見事融合した。

そう。我々は若い女性の子宮にTウィルスを利用して蠅の遺伝子を組み合わせて

受精卵として。妊娠させて若い女性達にお腹から出産させる方法で産み出したが。

どれも役立たずだった!しかし我々はアンブレラ社が倒産しても。

アークレイ研究所やNEST研究所内の女性研究員達

性被害の訴えに研究所を次々とクビにされても我々は諦めないのだ!

我々は必ず実験を成功させるのだ!アンブレラ社は!!

キメラ研究所主任研究員アンソ二ー・ホワイト。」

ラクーンシティのアンブレラ社の研究所NEST。あのクレアが発見した言う研究所か」

「はい!メンバーはあの死体の白衣に付けられていた名前のタグから

身元の6名の名前が判明しました。

トビー・ジャクソン。

サラ・タカハシ。

ウォルト・べイジー

アンソニ・ホワイト。

シリル・アーチャー。

デズモンド・ロックだ。

他にも恐らく1000人余りの女性と男性の

研究員とスタッフも存在しているようです。

それでさらに地下の長四角の巨大な生体兵器保管庫が存在するようです。」

さらにクリス隊長は保管庫に続く細無い廊下の隅の小さな机の上に

『キメラの製造方法の初期の方法について』と言う見出しの資料があるのを見つけた。

『キメラの製造方法は人工授精させた人間の卵子に蠅の遺伝子をTウィルスを

用いて組み込み。それを女性の胎内に戻して出産させる方法で製造した。

それから昆虫レベルで失敗作と判断されつつも。

出産直後には幼体であり、つまり赤ちゃんサイズである。

直ぐに蠅と同等の成長サイクルのスピードで急成長して羽化後に成体となる。

自然界の蠅は2週間程で成体になる為。

成長スピードは約2週間と思われる。

そして最初の個体のみであり。

それ以降はクローニング技術を利用して量産させた。

また我々はTウィルスを使用した遺伝子操作を行い、人間の成人を

直接キメラ化させる技術を確立させた。しかしそれでも失敗作!クソっ!」』

「クソ共め!それはお前らの方だっ!」と思わずクリス隊長は悪態をついた。

「もう!吐きそう!紙袋頂戴!」とタンドラはマスクを外して両手を差し出した。

近くにいたナイトハウルが袋を差し出すと

タンドラは耐えられず紙袋の中に吐き出した。

それからクリス隊長は旧ソビエト連邦の極秘施設の

地下の長四角の巨大な生体兵器保管庫にどうやら保管庫前に

ルーアンブレラ社の特殊部隊が集まっており。

ハウンドウルフ隊のクリス隊長に突入の指示をしてくれるように頼んだ。

しかしクリス隊長はこう指示を出した。

「いや!突入は止めてくれ!保管庫にももしかしたら仮死状態のままの

強化改造された例の異星人と人間のDNAと融合した生体兵器がいる危険もある。

厳重なロックを外した途端に残りの一個大隊が飛び出す恐れもある。

しっかりと閉じたまま。もしかしたら保管庫内部に食料として研究員や

スタッフや職員の死体も転がっている恐れとゾンビ化している可能性もある。

いいか!!まずはきちんと保管庫内部をX線や赤外線や

熱探知によって調査して状況を把握する事。

危険ならば決して開けずにそのまま放置する事、いいな!」

「はい!了解しました!」とブルーアンブレラ社の特殊部隊の隊長は言った。

さらにクリス隊長はシンクレア少尉が入った最新式のコールドスリープ

(冷凍冬眠カプセル)に戻ると彼女を黙って見ていた。

そしてロボ。ナイトハウル。アンバーアイズ。タンドラ。

ケインナインのハウンドウルフ隊の面々はそのカーク・シンクレア少尉が入った

最新式のコールドスリープ(冷凍冬眠)カプセルを見上げて黙って見ていた。

クリス隊長は頭をフル回転させて何とかしてカーク・シンクレア少尉が入った

最新式のコールドスリープ(冷凍冬眠)

カプセルから助けようと色々知恵を絞らせていた。

そんな中、ケインナインは近くの最新式のコールドスリープ(冷凍冬眠)

カプセルの操作盤のモニター画面を起動させて

他に何か罠が仕掛けられていないか慎重に操作していた。

 

(第72章に続く)