(第13章)ビップの冒険

(第13章)ビップの冒険

 

『静かなる丘』の繁華街の繁華街のアリー・ストラグが襲われた

ゴミ箱近くの壁の穴の中に一人の若い女性が迷い込んでいた。

彼女は日本人で20歳の若い女性で勿論、人間では無い。

彼女は人を喰らう魔界の住人の魔獣ホラーだった。

名前は『ビップ』と言う。彼女は両頬まで伸びたサラサラの長いウェーブをした黒髪。

右側にキリッとした細長い眉毛。

右側は茶色を帯びた黒髪の2対の三角形の前髪で隠れていた。

ぱっちりとした茶色の瞳。丸っこい鼻。ふっくらとした両頬。

口紅を塗った唇。両肩からカラスの羽根に似た短い突起があった。

首には黒い三角形のネックレス。死人のように白い肌の胸元には

細長い鎖がネックレスの飾りとして付いていた。

深い胸の谷間が良く見え、真っ黒なコートを着ていた。

むっちりとした白い肌の両脚に両手には真っ黒の鳥の羽根の形をした

三角形の束が沢山重なった黒い手袋を嵌めていた。

更に両脚太腿から上の腰の辺りまでしかない超短いミニスカートを履いていた。

またウェーブの黒髪の右側に黒い丸い形の美しい花飾りを付けていた。

またむっちりとした両脚の太腿から全て細長い網タイツに覆われていた。

ビップはその壁の穴の先にある長四角の洞窟の中にあった真っ赤に輝く

超巨大な卵を茶色の瞳をぱちくりさせて見ていた。

「ほえーでっかい卵?これは?何なのかしら?」

ビップはおっかなびっくりと超巨大卵に近づいた。

そして手元にあった木の枝を持ち、

その巨大な卵の花弁状の部分をつんつんつついてみた。

やがて超巨大な卵の花弁状の部分がバキバキと音を立てて開き、入り口が見えた。

「なんか開いたじょ!中に入ってみよう!なにがあるかなーワクワク!!」

ビップ未知の体験を味わいたいと思い立った。そして超巨大な卵の中に入って行った。

その宇宙の卵の内部は真っ赤な巨大な壁と4対の数本のオレンジ色に輝く柱を見た。

しかし既に人間の魂はアキュラスの手で

解放してしまった為に柱と空間の実が残っていた。
ビップは歓声を上げた。「わああああああああああっ!!綺麗!!」

「へえーあのアキュラスって奴!この辺をウロチョロして何をしていたか!

アミリと一緒に探ってみたらこんな面白い物を隠していたんだな。

ビップの隣にはあの銀髪の青年『ジンガ』が立っていた。

「あーつ!ジンガ様っ!!もう!急にいなくなって!!探したんですよ!!」

ビップは泣きそうになりながらジンガに抱き着いた。

「おーしょし分かったな。まあーいい」

ジンガは優しくビップの茶色を帯びた黒髪を撫でた。

「『進化体』『太陽の聖環』は結局見つからなかったかー」

「あーら本当に変わった場所ね!卵の中にこんな広い空間と柱があるなんて」

やがてジンガとビップの前にもう一人のロングヘアの美女が現れた。

ジンガは黒髪の美女に笑いかけた。

「遅いじゃないか。アミリ何をしていたんだい?」

アミリと呼ばれた黒い長い髪の女性はにっこりと笑った。

「ちょっと。観光よ。モーテルの方に美味しそうな邪気が沢山あったわ!」

彼女はとても落ち着いた物腰をしていた。

しかしジンガに抱き着いているビップを見るなり怒り出して彼女に詰め寄った。

「ちょっと!ビップ!何!抱き着いてんのよ!ジンガに何をする気!!!」

アミリはヒステリックにビップに組みかかろうとした。

しかしジンガは「まあーまあー寂しかったんだ!勘弁してやれ!」

と少し笑いながらアミリを落ち着かせた。やがてアミリは不満そうに鼻を鳴らした。

そして両腕を組んでビップに背を向けた。

どうやらお得意の他人を嘲るような

慇懃無礼な態度を取れない事にふてくされてるようだ。

代わりにアミリは『静かなる丘・サイレントヒル』を旅している時に

頻繁に遭遇したケリヴァーミショナリーや反メディア団体ケリヴァー人間達を

八つ当たりに彼らとその団体を嘲るように

慇懃無礼な態度を取り、十分に笑いものにした。

アミリは元のツンとした顔に戻った。

彼女は赤い穂先を持つ魔導筆を真っ赤に輝く卵の天井内に向けた。

そして「ハッ!」と気合を入れた。すると赤い穂先からオレンジ色の光が放たれた。

アミリは「ふむ。なかなか興味深いね」と素直に感想を述べた。

続けてアミリはビップとジンガにこう説明した。

「どうやらここは貴方の言う通りなら。

これは魂は無いけど新宇宙そのものに間違いなさそうね。」

「つまり!本物の新宇宙ってやつだな!

俺がこっそり見たアキュラスって言う奴の話によれば

『宇宙の卵』は魔獣新生多神連合とやらの伝説に存在したらしい。

人間の魂を集めて孵化させれば新宇宙が出来るようだな。」

「新宇宙???つまりジンガ様とアミリ様の宇宙が生まれるって事ですよね?

いいなぁー!どんな宇宙なんだろう?」

ビップは楽しそうに両手を合わせてジンガとアミリが創世する宇宙を思い浮かべた。

彼女の茶色の瞳はキラキラと星のように輝き続けていた。

アミリはチッ!と舌打ちして両腕を組み、ビップを見た。

「でも結局は『進化体』と太陽の環じゃなかった。

『太陽の聖環』の事は良く分からなかったな。ただ。」

「ただこの宇宙の卵はジンガ様の野望に利用できる!」

朗らかな声で口をはさむビップにアミリは右手をおでこに当てた。

「そうだね!まあ!その位私も分かるけどッ!!」

アミリは精一杯意地を張った。しかしジンガは嬉しそうにパンパンと手を叩いた。

「よーし!この女はまだ役に立ちそうだ!喰うのは当分先になるな!」

ジンガの言葉にビップは残念そうな表情をした。

するとアミリは皮肉交じりに「よかったねー長生き出来てねー!」と言った。

するとビップは蛙のように膨らませて「もーつ」と返した。

ジンガはアミリに向き合うとこう言った。

「よーし!これをどうにかして!俺達のいる並行世界(パラレルワールド

の流牙達のいる牙浪・翔の世界にこいつを運ぶ方法を考えよう!!」

「えっ?ちょっと?無茶じゃない?こいつを運ぶなんて!!

余りにもでか過ぎるけど。まあ―出来たら色々面白そうね!」

「こいつがいきなりラインシティのど真ん中に現れたら。

流牙もリュメ法師もかなり驚くだろうね!

こいつは魔獣ラダン城に変わる新しい切り札になるかも知れない!」

「さてと!うーん!どうしたもんかね。時間が欲しいね。」

「まあ―方法がある筈だ!アミリ!」

またブツブツと方法を考える為に色々何かを言っていた。

「とにかく魔鏡と巨大な結界を利用して移動させるか?

どの道。かなりの量と魔力と結界の大きさも必要になる。

うーん。難しいね。こんなでかいの運んだことないからね。」

アミリは困った表情であれこれ長い間、ずっと考え込んだ。

ジンガとビップはその辺に座り、アミリが方法を思いつくまで気長に待つ事にした。

しかし座ったら宇宙の卵の赤い床がかなりヌメヌメしているのに2人は気づいた。

ジンガはまるでこれっぽっちも気にしていなかったが。

ビップは宇宙の卵の赤い床がヌメヌメしているのに気付き、大慌てで立ち上がった。

ビップはやや不快な表情でこうつぶやいた。

「いやあーつ!この床!ヌメヌメして気持ち悪いよおおおおっ!!」

ビップは自分のお尻を両手で触り、身体をもじもじさせた。

 

秘密組織ファミリーの本部に当たるジョン・C・シモンズの大きな屋敷。

シモンズ家当主にして秘密組織ファミリーの長であり。

全ての真魔界に住まう魔獣ホラー・メシア一族の全ての魔獣ホラーを統括する大君主。

魔王ホラー・ベルゼビュート事、ジョン・C・シモンズはかつて

アンブレラ社の元社員で今では秘密組織ファミリーとして所属している科学者で。

ホラーに憑依されたマルセロ・タワノビッチ博士事、魔獣ホラー・クラーケンは

『静かなる丘・サイレントヒル』で発見されたアキュラスが産み落としたとされる

2つ目の『宇宙の卵』をジンガとアミリがどうにかして流牙のいる牙浪(ガロ)

の並行世界(パラレルワールド」に運び去った。

そう冥王ホラー・サウロンから報告受けている。

どうやらこちら側(バイオ)の世界では一切危害を加えず立ち去ったようだ。

「なんだ!あいつら気まぐれな連中だな!」

「良かったじゃないか?同胞もむやみに食われずに済んでのう!」

「だが。宇宙の卵のこちら側(バイオ)の世界のアキュラスが

体内に取り込んだ・・・・。残り半分の・・・・。

いや確かアキュラスが解放して卵の中身は空か・・・・」

「いずれにしろ!無闇に手を出さない方が得策じゃったな。

しかし問題は未だに山積みじゃ!

すでに『静かなる丘』の神側の連中にジンガとアミリが去った情報が伝わっておる。

これで連中も大きく自由に動き出すだろう。」

十六夜咲夜(いざよいさくや)にはのぴのサポートとして少し働いて貰う。」

ジョンの冷静な静かな言葉にマルセロ博士はこう返した。

「例のあの宇宙へ行かせるんじゃな。あそこは人間にとっては未知の領域じゃ!」

「だが。誰かが今日。今。この時にやらねば。旧人類は滅び去る。」

静かな口調でジョン・C・シモンズは答えた。

「過酷な運命じゃな。あの子も仲間もフィッシャーズと同じ

ただのパソコンの動画内で活躍するアイドル系ユーチューバなのにのう。」

それでもやってもらわねばならない。今この危機的な人類を救えるのは。

あの子の中の存在が『鍵』となる。咲夜の中の存在と共にな。」

「ただの普通の人間の女が重要となる。正にヒロインじゃな。」

「だが特別な力は個人では必要ない。必要なのは大勢の人々の絆だ。

あの子がどれだけフィッシャーズと同様に動画で活躍してー。

人々の大勢の繋がりがあるかどうかにかかっている。」

「頼れるのは神では無く人間個人の心の強さだな。」

「ああ、それは他人の価値観や個人の好きなものを全否定する

反メディア団体ケリヴァーには欠けているものだ。だから彼らに人間は救えない。

それどころか。世界すら救えぬ。全くの役立たずじゃな!」

マルセロ博士はそう断言するとジョンも素直に納得した。

さらにジョンはマルセロ博士に予め採血した

のぴの血液を特殊な血液検査の結果を尋ねた。

するとマルセロ博士はしばらくして口を開いた。

続けてジョンにのぴの特殊な血液検査の結果を渡した。

しばらく特殊な血液検査の結果を読んでいたジョンは「やはり」と呟いた。

「やはり!外神ホラーの連中め!『神牙因子』が含まれていたな。」

「ジョン!あれは我々魔獣ホラーや人類の脅威になるぞ!」

マルセロ博士は慌てて言うと「その因子を血液から排除すべきだ!」と意見した。

しかしジョンは冷静に答えた。

「ダメだ!あの因子は必要なパーツである可能性が高い!」

「お言葉ですがジョン様!

あれを現世(こちら側・バイオ)の世界に残すのは・・・・」

「大丈夫さ!あれを絆で抑える事が出来れば有能な武器となる。」

マルセロ博士はジョンの反論に黙った。

しばらくしてマルセロ博士に言われた通りその血液サンプルを屋敷の

地下研究所のサンプルの保存庫に保管するように指示した。

マルセロ博士は黙ってそれに従った。ジョンは思い出したようにつぶやいた。

「エア・マドセンと魔人フランドールと冴島鋼牙は最後の

七色の廊下と真っ赤な心理の扉に辿り付いた。

間も無く『静かなる丘・サイレントヒル』の土着神は今夜中には・・・。

人間によって貶められたインキュバスから転生するだろう。」

「そして全ての神々と天使を従える太陽神はこの世界を変えるだろう。」

マルセロ博士とジョンは両腕を組んだまましばらく黙り込んだ。

 


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(ビップの冒険完結)