(プロローグ)全ての始まり

(牙浪GAROXバイオハザードクロスオーバー長編小説最後の作品)

SILENTHILLS MICHAEL(毎週水曜と日曜日1章づつ変更予定)

サイレントヒルズ・ミカエル)

 

(プロローグ)全ての始まり

 

若村と反メディア団体ケリヴァーが『静かなる丘』で起こす教団儀式による

怪異現象と連続殺人事件が始まる数年前の『静かなる丘』の教会の裏世界の祭壇にて

アレッサの生まれ変わりにして転生体のシェリル(ヘザー)とかつてアレッサの

幼馴染みだったクローディア・ウルフの手によって彼女に宿った神を

復活させようと企んでいた。そしてアレッサの転生体のシェリル(ヘザー)は

父親のハリーによってペンダントの中に託されたある薬を使い、神を早産させた。

しかしクローディア・ウルフは自ら神を飲み込み無理矢理、神を産み出した。

しかし穴の下の裏世界でのシェリル(ヘザー)と不完全な神の死闘の末についに

不完全な神を倒す事に成功する。そして不完全な神はシェリル(ヘザー)

に止めを刺されてしまい、力尽きた。不完全な神はそのままうつ伏せに倒れた。

更にシェリル(ヘザー)は今まで受けた痛みと苦しみを晴らさんばかりに

3発程ブーツで何度もガンガン蹴飛ばした。

それから彼女はハアハアと荒々しく息を吐き続けた。

彼女はもう二度と動く事の無い神に背を向けた。

続けてフラフラと歩き出した。静かにこうつぶやいた。

「終わったの?」と。更に「次はスタッフロールね」とつぶやいた。

直ぐに彼女は泣き出した。その場に泣き崩れた。やがて彼女は立ち去った。

その時、ふと何かの気配を感じた。そして背後を振り返った。

すると完全に死んだ不完全の神の肉体からふわっと何かが飛び出した。

それは巨大な真っ赤に輝く球体だった。

「嘘?これ何なの?」

すると巨大な真っ赤に輝く球体は静かに語り始めた。

「何故?私を拒む?憎悪と苦痛に塗れた心で私を育てて置きながら

何故?私を産み出すのを拒んだ?

「フン!憎しみで生まれたあんたみたいな神に楽園なんか!

築ける訳ないじゃない!だから拒んだのよ!」

「そうか?では?苦しみや悲しみの中から思いやりが生まれるのは何故?

何故?そしてこの膿んだ世界を守ろうとする?」

「この世界は膿んでなんかいないわ!あんたがクローディアみたいに

勝手にそのように考えて思い込んでいるだけよ!」

「では?神の慈愛は不要だと?」

「そうね。さっきも言った通り、憎しみや苦痛しか人間に与えられない!

あんたなんか必要ないのよ!」

「私は人間の女を利用して復活しようとした。

しかし私が出来なかった。何故?私は復活出来ない?」

「不完全だからよ!あんたにあるのは人間の苦痛と憎しみと罪を無理矢理背負わせて

苦しませる闇の邪悪な存在だからよ!んっ?それって?つまり?不完全な理由って?」

シェリル(ヘザー)はある事実に不意に気付いた。

すると巨大な真っ赤に輝く球体は何かを思い出した。

「思い出した・・・・私は・・・・悪だけでは・・・無い!」

更に続けて巨大な真っ赤に輝く球体はこう話しを続けた。

「では!シェリル(ヘザー)よ。ひとつ私と賭けをしよう!」

そう持ち掛けられてシェリル(ヘザー)は戸惑いの表情を浮かべた。

しかしすぐに両腕を組んで強気な表情でこう返した。

「いいわよ!なんの賭け?どうやって勝ち負けにすんの?」

「では!この世界に住む人間達を私の楽園の創造と憎悪と苦痛を与える

狂気の異世界の道へ引き入れて見せよう。

お前達人間は私が天地を創造してからずっと

あの教団や科学技術を発達させて奇妙な事をやり続けている。

私はあいつらに天の光の照り返してやろう。いいであろう?」

「ええ、あんたが今になってもまだ神として存在し続けている間は!

まあ―あんたが何をしようと差し支えないわ!だって!

あたしと同じようにこの世界の人間は誰しも。

人間は生きている間は必ず迷うものだもの。

じゃ!こうしましょ!私達人間の霊魂を現実の今の世界から引き離し。

あんたに人間の心が捕まえられるものならやればいいじゃない。

でも必ず物語の結末は貴方は畏(おそ)れ入ってこう言うでしょう。

『善い人間はどんなに自らの罪を背負い暗い衝動に駆られても

正しい道を忘れる事はないものよ。』とね。」

「ああ。結構だ!次こそは手間はかかりますまい。

私の賭けは確かなものだ。所詮人間の堂為は中道にして熄(や)みやすく

とにかく無為(むい)を欲しがるのだ。」

「そうね。確かに人間は弱くうつろいやすい。

だから直ぐに迷ったり、時にはお互い憎み合い、殺そうとする。

さっきまで私の父親のハリーを殺したクローディアを憎んで復讐の為に

私が彼女と神にしたようにね。でも人間はそんな闇の部分や悪い部分が全てじゃない。

善い部分や光の部分もあるの。

優しさや冗談を言うユーモアとか他人を気遣って守るとか。

正しい事をする為に色々考えたりとか?困っている人をただ馬鹿にしたり、

頭越しに怒鳴ったり、無視しないでちゃんと助けるように手を差し伸べたりする。

時には命を懸けて他人を助ける事だって勇気があれば!

だから・・・・・この賭けは私が勝つ!!」

自信満々に言うとシェリル(ヘザー)は

吹っ切れたような自信に満ちた笑顔を浮かべた。

すると彼女は真っ赤に輝く球体からその神の本物の確かな慈愛の感情を直感した。

やがて真っ赤に輝く神の球体は静かにすーつと消えて行った。

シェリル(ヘザー)はその神を見送ると再びくるっと背を向けた。

そして脚の骨が折れて動けない探偵おじさんのダグラス・ガーランドのいる

遊園地のメリーゴーランドのところへ戻った。

 

それから時はあっと言う間に経ち現在ー2030年ー。

神は再び『静かなる丘』で再度、復活の為に活動を始めた。

私は邪悪な神である限りは永遠に完全な本来有るべき姿である

『静かなる丘』の土着神には戻れない。

だから私は邪な闇の力の対となる善なる光の力を借りる必要があるのだ。

まずは選民思想を私に植え付けたキリストの呪いを打ち消す必要がある。

そして偽りの楽園を捨てさせないといけない。私は最も信頼している神の使い

天魔ヴァルティエルに『聖母』となる者の監視と出産の手助け以外にも

儀式を行わせる者の手助けと必要な生贄の人間達をこの地に呼び込むように。

あとはこの世界の空間を歪ませて転移させる能力を彼に与えよう。

あの3年前から『静かなる丘』の療養所内の裏世界に秘密の部屋を作った

あの人間の団体に『神の軍団』の名を与えた。あの連中は利用出来る。利用しよう。

あとは暗黒と邪悪の対になる神の使いを作り出す。

そう新しく造り出した神の使いの名はー。天魔アルミサエル

彼を一足先に招いた人間の男に宿し、新たな善なる光の神の使いとする。

そして私は天魔ヴァルティエルとアルミサエルとミカエルの協力によって

あの人間の団体(神の軍団)をうまく操った。

私は彼らに『静かなる丘』の街のとにかく隅々までまだ人間達や

あの連中が全く知らない未知の場所や洞窟を調べさせた。

そして私は『静かなる丘』の街の裏世界にある『フクロウの洞窟』にて

遂に正しい儀式による本来の姿に戻る方を法を見つけた。

そのフクロウの洞窟はかつてとある民族が古代ヴァルティエール宗教を

信仰していたところだ。彼らは私が最初に創造した天魔ヴァルティエルを

信仰して様々な儀式をしていた。

しかし多くはダリア達が入った事でキリスト教の思想が

入り込み、本来有るべき正しい儀式の方法が失われた。

私はここまで天魔ヴァルティエルに調べさせてようやく悟った。

そして正しい儀式の方法は太古の民族が作り出した伝統の

5つの神獣と太陽の聖環が必要なのだ。そして。

もう一つは有り触れた人間を聖母にしても完全な神として復活出来ないのだと。

そうであろう。所詮、人間は不完全な存在なのだから。しかし他に方法があった。

私が唯一完全な神の存在として復活する方法が。

私には別の世界の人を超えた強大な力を持つ存在を聖母として選ぶ必要がある。

更に5つの私を縛り付けている鎖を切断する聖なる獣の力が必要になる。つまりー。

キリスト教以外の異教の神々の母の力を借りれば私は復活出来る。

そして私が勝てば私は全ての人間達の世界を破壊し、あらゆる人間の

罪を罰して洗い流して人々を救済する。全ての人間は死ぬ。

しかし人間達が勝てばおとなしく負けを認め囚われの身となろう。

私は人間達を破壊せずに全ての人々の罪は己が個人で背負い洗われる

事無き世界で自由に生き続ける。そして私を復活させた者の罪は多くの子供の

自由や大切な物を奪った大人に罪を背負わせ!他人の命を次々と殺し!

自己欲の為に命を悪戯に命を奪い続けたと言うもの。

そして二度と思い上がらぬよう罰を与えよう!!」

 

(第1章に続く)