(第1章)天使殺しのジルと神の牙ジンガ

(第1章)天使殺しのジルと神の牙ジンガ

 

『静かなる丘・サイレントヒル』のトルーカー湖を一望出来る展望台。

白い霧に覆われたトルーカー湖を一望する20代の女性がいた。

ここではかつてメアリー・シェパード・サンダーランドとジェイムス・サンダーランド

夫妻がここに数年前に訪れたのを最後に失踪した場所である。

ジルはトルーカー湖近くの森の中を歩き周囲を散策してみた。

すると岸と湖の通る砂地に僅かだがブレーキ痕を見つけた。

恐らく車で全力でアクセルを踏んで湖に自らの意志で落ちたのだろう。

ジルは悲しそうな表情をした後にこう言った。

「バカな人。愛していたのは確かかもね」と。

それからジルはまた展望台の方へ戻った。

どうやらここにはあの『ホラー食いのホラー』ジンガはいないようだ。

ジルは改めてここへ来た理由を思い出した。

「私はジョンの命令で最近、ニュースやネット、新聞の都市伝説で

話題のSHB・サイレントヒルベイビーについて調べているのよ。

私か彼の命令でそのSHB(サイレントヒルベイビー)を

妊娠した若い女性の回収をする事になっている。

これから『静かなる丘・サイレントヒル』の公園や資料館辺りを巡ってみましょう。

リビドー・ストランディング(性の座礁)がどこかで起きていれば

目標の人を見つけられるかも知れないし。あとは世間を恐怖に陥れるであろう

反メディア団体ケリヴァー『教団』のズタ袋集団も見つけ次第、全員狩らないと!

既にアメリカの刑務所で多数の死者が出たみたい。このまま放置しておけば。

どんどんゲームやテレビ、携帯、スマホのメディアと共に平和暮らしている一般人が

狩られて犠牲者が増えてしまうわ。なんとかしないと。

私は。もう普通の人間じゃない。その時、ガサガサと周辺の草木が左右に揺れた。

続けてその草木から茶色のズタ袋を被った多数の男女の集団が飛び出して来た。

つまりその集団が反メディア団体ケリヴァーの教団達である。

どうやら教祖は若村秀和と言う日本人らしい事はジョンから聞いていた。

その多数の集団は長四角のコンクリートの床の駐車所に次々と現れると

あっと言う間にジル・バレンタインを取り囲んだ。

彼らは口々にまるで呪文のように自らの思想をしゃべり続けた。

ジルにはとても押しつけがましくどうでも良く聞こえた。

ズタ袋を被った集団は2つのズタ袋の穴を通してジル・バレンタインを見た。

彼女は髪型も変えて、服もBSAAの服とも普段着とも違っていた。

両頬まで伸びた黒みを帯びた茶髪のショートヘア。

細長くキリッとした茶色の眉毛。丸っこい高い鼻。ピンク色の唇。

両耳には右耳に金色の球体のイヤリングを。

左耳に紫路の球体のイヤリングを付けていた。

首には茶色のネックレスの中央に青い球体の宝石が付けられていた。

両頬はふっくらしていて美しい顔立ちしていた。

また瞳は青い瞳から真っ赤な瞳に変わり、真っ赤な髪のショートヘアに変わった。

ふっくらとした両頬には真っ赤にか早く模様が浮かんでいた。

全身は黒い革のレザースーツを着ていた。その為、ボディラインははっきりと

浮き上がり、スレンダーな体形や大きな丸い両胸とお尻も良く見えていた。

また背中にそった黒い鞘から漆黒に輝く両刃の長剣を引き抜いた。

シャン!と音を立ててその剣が現れた。その剣はかつて冴島大河の弟子だったバラゴが

暗黒面に堕ち、暗黒騎士キバとなり、その剣を用いて人を殺め、黄金騎士ガロの冴島大河とその大河の息子の鋼牙に刃を向けた。しかし敗北して後の魔王ホラー・ベルゼビュートが回収し、ジル・バレンタインの手に渡った。剣の名前は『黒炎剣』。

一方多数のズタ袋の集団ケリヴァーミショナリー達は両手の銅の杭を両手で構えて

鋭利な先端を一斉にジルに向けた。すると脳裏に威厳のある男の声が響いた。

「フン!下級悪魔に成り下がった貴様らに我とジルが殺せるのか?」

「その通りね。魔神ヴィシュヌ!創造と破壊を司る最高神!」

続けてジルの全身から放たれた始祖ウィルスの起源たる賢者の石の力を

黒炎剣に乗り移らせた。続けて魔神ヴィシュヌの力も黒炎剣に乗り移らせた。

黒炎剣は真っ赤から紫色、金色と点滅するように何度も何度も発光し続けた。

とうとうケリヴァーミショナリー達は一斉に両手の銅の杭を振り上げ、

常人離れしたジャンプ力で3mも飛び上がり、ジルに襲い掛かった。

そしてジルの頭上に多数のケリヴァーミショナリー達が振り下ろした

銅の杭の先端が高速で迫って来た。ジルは口元緩ませてニヤリと笑った。

続けて右手に黒炎剣を持ち、腰を大きく右に捻り、身体をコマのように回転させた。

ブウウン!と空を切り裂いた。同時に黒炎剣もコマのように一回転した。

たったそれだけだ。たったそれだけで。

巨大な真っ赤な光と稲妻と紫色の光と稲妻と金色の光と稲妻が入り混じり。

放たれた超高速の剣圧の暴風は正に竜巻となり、一瞬で襲い掛かってきた

ケリヴァーミショナリーを一人残らず全員飲み込んだ。

彼らは一斉に木の葉のように舞い上がり、三色の特大威力の電撃により、

全員致命傷を負い、しばらくして竜巻は完全に消失した。

ひゅうううううっ!ひゅううううううっ!ひゅううううっ!

と音を立てて思い出したかのように巻き上げられた多数のケリヴァーミショナリーは

頭を深く抉れたクレーター状のコンクリートの床に向けて

まるで雨のように次々と降り注いだ。ドゴッ!バコッ!グシャ!と音を立てて

次々とケリヴァーミショナリーはコンクリートの床の瓦礫の山の中へ沈んで行った。

もう、全員動かなかった。やがて肉体が保てず全員、白い霧の中へ消滅して行った。

全滅である。しばらくして再び脳裏に魔神ヴィシュヌの威厳のある声が響いた。

「愚かな人間共よ!自らの精神で考える事も無く。

ただ自ら力が非力故に間違った権力者に縋(すが)りつく。

全てはその権力者の言う事が世界の全てだと思い込んでいる。愚かで浅はかよ。」

「テレビやゲーム、携帯、スマホ、全てのメディアを排他すれば幸せになれる。

浅はか極まりないわね。今の時代を壊してまでそんなに自分の考えと

おしつけがましい思想が大事なのかしら?」

「それはそうと最近、魔獣新生多神連合の本部の屋敷で秘かに行われている

『夜宴(サバト)』そして寄る辺の女神にして魔獣ホラー・メシア族のカルキ

(救世主)と不特定多数の男と交わり、白き卵から生まれた赤子達

『天使殺しの狩り人』。成長した彼らは魔導術やオリジナルの

賢者の石の力の使い方を教わり、肉体を変異させて生殖能力は持たず子を成せない。

しかし普通の娘と交われば賢者の石と魔力を与えられる。」

「彼らは大天使や天使、唯一神側の霊長、異なる別種のホラーを狩る

運命を背負っている。お話は終わりSHB(サイレントヒルベイビー)を

妊娠した女性を回収しないと。」

「よろしい!では!行動を開始しよう。のんびりとな。」

 

場面が変わり、こちらは『静かなる丘・サイレントヒル』の

『KOONTS』通りのアルミケラ病院近くの道路に銀髪の青年が歩いていた。

銀髪の青年の周囲を茶色のズタ袋を被った奇妙な集団に取り囲まれていた。

大体20代から30代位だった。しかも片手には銅の杭を持っていた。

何人かは勝どきのように左右それぞれの腕を振り上げていた。

銀髪の青年は右腕を挙げて茶色の瞳で周囲のズタ袋集団ケリヴァー

ミショナリーを見ると演じるのように大声を張り上げた。

「よう!人間!絶望って知ってるか?怪物に成り果てた屑共よ!

この辺に『太陽の聖環』と『進化体』について知らねえか?」

しかしケリヴァーミショナリーは銀髪の青年の話を聞こうとすらしなかった。

続けてまるで呪文のように何度もループするように同じ言葉をしゃべり続けた。

「若村様の為!ゲームやテレビやスマートフォンのメディアやAI(人工知能

の一切存在しない新世界の楽園の創造。ゲームやテレビやスマートフォン

人間の精神に悪影響を与える!お前はサクリファイス(生贄)!!

心臓と血を神に差し出せ!差し出せ!死をもって罪に抗え!!」

銀髪の青年はとても退屈な表情で聞いていた。

「お前達はそうやって他人の言う事を聞かなきゃ何も出来ない。

いや!それどころか自分の頭で善悪の区別すら付けられないのか?

若村だか何だか知らんが!!俺にとってはどうでもいい話だ!!

もう一度聞くぞ!この辺に『太陽の聖環』と『進化体』って知らねか?

今!知りたいのはそれだけだ!答えてくれよ!!」

しかしケリヴァーミショナリーの集団は彼の質問に一切答える事は無かった。

それどころか一斉にケリヴァーミショナリーの集団は銅の杭を持つ両手を振り上げた。

そして銅の杭の先端を銀髪の青年の胸部に向けた。

「メディアに犯され悪魔となり、堕ちた汚れた魂・・・・・」

銀髪の青年は腰の鞘から銀色に輝く両刃の長剣を引き抜いた。

続けて目にも止まらぬ速さで振り上げ、ケリヴァーミショナリーの男の首を

刎(は)ねた。「だーかーら違うだろ?答えが?もういい!全員斬る!!」

銀髪の青年は目にも止まらぬ速さで剣を振り回し、ケリヴァーミショナリーの集団が

銅の杭で攻撃する間も無く一人残らず首を刎ね、四肢を切り裂いてダルマにした後に

一刀両断し、上半身と下半身を切り裂き、右肩から左肩から右腹部か左腹部を

切り裂いて全滅させた。あっと言う間でその間、僅か99・9秒だった。

周りが静かになった後、彼はたまたま落ちていたカセットテープを再生させた。

彼はそのカセットテープの曲が気に入ったらしく。

ゆっくりと瞼を閉じ曲に聞き入った。

彼はまるで指揮者のように銀色に輝く両刃の長剣を上下左右に振り続けた。

 


【神ノ牙-JINGA-】慟哭の彼方 Doukoku no kanata / JAM Project ギターを弾いてみた【牙狼】

SILENTHILLS MICHAEL(サイレントヒルズ・ミカエル)

 

(第2章に続く)