(第10章)地獄の未来と悪夢の病院

(第10章)地獄の未来と悪夢の病院

 

エイダとエアはついでに他にはも失踪した魔人フランドールに関する情報が

無いかもう少し『アルミケラ病院』の玄関前を探した。

『アルミケラ病院』の玄関近くの『KOONTZ・ST』の

道路のコンクリートの上に金色の羊紙が一枚落ちていた。

エアが手に取ってみると金色の羊紙は赤いインクでとても

優雅に美しい筆跡で文字が書かれていた。まるで貴族が書いたかのようだ。

「ジョン様。マネキンモンスターが産み出した『宇宙の卵』の片割れを発見。

破壊の為に心臓部を攻撃。破壊完了。

もう一つの『宇宙の卵』は現在捜索中」とあった。

エイダとエアが周囲を見ると病院の玄関はうっすらと白い霧に覆われていた。

そして長四角の空間の建物の角には古びた救急車が停めてあった。

エアとエイダは斜め向きに停まっている救急車に近付いた。

そして救急車の運転席の窓ガラスに紙が貼ってあった。

エアはその紙を手に取った。

『ある看護婦の走り書き』とあった。

「私がこのアルミケラ病院でマイケル・カウフマンに薬漬けにされて

殺されてから長い年月が経っている。今、私は『静かなる丘』に

天魔ヴァルティエルの手によって縛られ続けている。

私は何故?ここにいるのだろう??ここは天国でも地獄でも無いイカれた世界。

シェリルに転生する前のアレッサ・ギレスピーもここに縛られていた。

私は気付いてしまった。この街のおかしな日本人とおかしな集団がここにいるのを。

彼らはかつて教団が犯した大罪をしようとしている。馬鹿な奴ら。

しかも前よりも更に大変な事をしでかそうとしている。あいつら?馬鹿じゃないの?

あいつらはダリア達が知らない新しい儀式をして

忌々しい邪神を連れて来ようとしている。大変な事になっている!

私やアレッサ・ギレスピーには分かる!!前よりも更にやばい!

ここではもっと酷い事になる!!私は異変をいち早く察知した。

だから私は『金髪の全身血塗れの赤い服の看護師の霊』として何も知らずに

ここに来るもの好きな人達を片っ端から追い払う事にした。

勿論、彼らを呪い殺す気は無い。私はこれでどうにか次々と来る若者達を

震え上がらせてどうにか街の外へ追い払い続けた。

彼らを危険から必死に遠ざけようとしたの。一応ある程度効果はあったけど!

駄目!彼らは次々とここに来ちゃう!ここに来ちゃ駄目よ!

巻き込まれたら命の保証は無い!馬鹿な真似は止めて欲しい。

だから今日も人を怖がらせている!馬鹿みたい!でも!今はこれしか思いつかないの!

この走り書きで信じてくれるといいけど!この地から立ち去りなさい!

死にたくなければ!早くここから消えろ!早く消えろ!

いや!やっぱり駄目だわ!アレッサが傍にいたら・・・・。

いや!でも私は!えっ?信じられない!!シェリル??

アレッサの転生体がどうしてここに??これはきっと幻覚かも?

PTVのドラッグのせいかも知れない。でもー。彼女は。彼女は私に力をくれた。

儀式は出来てしまった。今、魔人フランドールの胎内に神は宿ってしまった。

もう!時間は無い!彼女の身体は業火に焼き尽くされていた。

このままじゃ!私はアレッサの力で未来を視た。

結果は悲惨だったわ。こちら側(バイオ)の世界は

神の業火と柱によって崩壊していた。

あっちこっちで大爆発が起こって。穴だらけだった。

そしてメディアの全ての人々に関わった人々は次々と男も女も子供も

全員一人残らず原因不明の頭痛の後に次々と急死してしまって。

更にメディアに関わった人々は他にも胸の激痛を訴えて苦しみながら死んで行った。

術者を拒絶する奴らはことごとく死んで殺されて行った。

辺りは死体の山だった。文明は破壊されて全ての世界は分断された。

生き残った人々は荒野の中でお互い寄り添いながら苦しい生活をしていた。

あの街は今や頭のいかれた連中が創造した

『楽園』で暮らす人々はメディアを捨て去り。

彼らは女を犯して怒りを植え付けて逆らう子供や男をクリーチャーを使って処刑し。

支配して行った。やがてそれも楽園は崩壊して、人類は滅亡する。

正確にはメディアにいた人類は全て死滅してしまうのよ。

だから私に出来る事をしないと!!

あのシルクロードって言う霊感の強い日本人に読ませて。

私の神の力であの話が現実であったかのように体感させて、危険を確実に知らせた。

彼はこの世界に危険が迫っている事を肌で感じ取った。

だから助けられそうな人を呼んでいた。名前は冴島鋼牙と言うらしい。

大丈夫かしら?あとはあのー。リサ・ガーランド」

「冴島鋼牙さん??彼もここに??」とエアはきょとんとした表情を浮かべた。

エイダはアルミケラ病院の長四角の空間の割れた青い窓ガラスのある

窓の右側の病院の壁にもメモがあった。彼はそのメモを手に取って読んだ。

どうやらユーチューバーのフィッシャーズのシルクロードと言う日本人の男が

書いたメモのようだった。内容は『シルクロードのメモ』のようだ。

「(若者も読め!!)彼女。リサ・ガーランドの走り書きを呼んだユーチューバ達へ。

彼女の警告文は読みました。私は幽霊を感じたり、時々、私に近付いています。

多分、やらせだとかそう思っているでしょうが。どうか僕の話を聞いて欲しい。

彼女はどうやらここがヤバい場所だと警告してくれているようです。

ですから信じてここを立ち去って下さい!他のメンバーも安全の為に帰ります!

リーダなんで!他の人達もお願いします。(追記)

さっきあの幽霊からこれから起こる未来を幻視しました。

こんなの初めてです。それから彼女が言うには。

あの全米で世間を騒がせている『リビドーストランディング(性の座礁)』

に関係ある日本人がいるらしいって話を聞きました。

原因が彼なのか?正直良く分からん。

そして最近、宮田フーズってアメリカのニューヨークにある日本食品の会社の社長

の愛人2人が失踪したって話があるが。それと関係しているのだろうか?」

「宮田フーズ?確かあの権力を振り回して好き放題贅沢している

社長のフランス人2人の愛人が・・・・」

「失踪した事件ね。でも2人は28週後に発見されたわ」

「しかもSHB(サイレントヒルベイビー)を妊娠させて戻って来た。」

「勿論、社長は2人に子供を堕ろすように脅したらしいわ。

彼女達をまるで所有物のように扱っていたみたい。

ディレック並みの最低男ね!でも彼女は決して屈しなかった。」

「そのあとも嫌がらせや暴言で2人を怖がらせて。

命を狙うとあの手この手で脅しつけて子供を堕ろせと強要した。

自分の愛人はその失踪事件で有名になって。

マスコミに社長の愛人だと知られるのを極度に恐れていた。

だから無かった事にしたかったけど。

やがて『リビドーストランディング(性の座礁)』

に対する調査チームが2人の愛人を保護した。

そしてあらゆる権力や根回しで2人の愛人を取り戻そうとしたけど。

アメリカ政府や国家権力には全く勝てなかったわ。

それどころか。逆に脅されて何も出来なくなったんだけど。」

「国には勝てないんですね。当たり前ですけど」

「彼は弱みを多く握られているわ。

『社員に対するパワハラ』『息子のいじめ問題の黙認』

『厳しいノルマによる仕事』『指示待ち人間と罵倒して殴りつける暴力』。

『以前勤めた会社の評判を利用して精神的に追い詰める』。

これらのせいでほとんどの社員や職員、スタッフが自殺してしまったり。

止めたりしていたと言う事実。幾らニューヨーク市内の角を

牛耳っても国家権力には勝てない。あの男のいい加減に反省しているかしらね。」

「確か失踪したサトルと言う家族に陰湿な嫌がらせをしていた。

と言う噂を耳にしていて。本人は否定していますが。」

「全く反省していないわ。国相手に裁判を起こすとか

言っていたわね。ちなみにこれが愛人。」

エイダは悪戯っぽく自分の端末機に顔写真を2つ表示した。

どうやら二人共フランス人の様だ。一人目はー。

茶髪のお団子の髪型。細長いキリッとした眉毛。

ぱっちりとした茶色の瞳。丸っこい高い鼻。ピンク色の唇。

形の整った丸顔。黒い服に覆われた両胸は巨乳だった。

もう一人は。オールバックの茶色の髪に髪型はポニーテール。

キリっとした細長い眉毛。丸っこい高い鼻。

ふっくらとした両頬の丸顔にまだ幼さが残っていた。

彼女は黒いドレスを着ていた。とにかく二人は美人だった。

しかも黒いドレスの下はロケット砲のような巨乳だった。

エアは見るのを止めた。エイダは「ステファニーとマロウシアらしいわ」

「いいですよ。きっとそのファントム(幻影)と楽しんだのでしょう」

「そうらしいわね。しかも日本人の黒い服の男の子で顔に『オペラ座の怪人

のファントムの白い仮面を付けていたそうよ。」

「成程。オペラ座の怪人か。この先出あうかも?」

「そうね!!じゃ!さっそく!病院内に潜入しましょう!!」

エイダとエアは目の前のアルミケラ病院の玄関の木製の扉を軽く片手で左右に押した。

すると大きな木製の扉はいとも簡単にギ~ッと左右に開いた。

エイダとエアは両手にハンドガンを構えた。

慎重に左右に銃口を向けて、安全を確認した。

2人はゆっくりと進み、アルミケラ病院の中へ潜入して行った。

やがて二人が病院内に入った途端、いきなりバタン!と音を立てて扉が閉まった。

 

(第11章に続く)