(第2章)黄金騎士ガロ対へドラ(中編)

(第2章)黄金騎士ガロ対へドラ(中編)


www.youtube.com

奴はきっとこの先にいる筈だ!!間違いない!!

鋼牙はそう考えて林の中を走り続けながら暗闇から高速で飛んでくる

ヘドロ弾を素早い身のこなしで左右に側転して全てを回避し続けた。

外れたヘドロ弾はベチャッ!ベチャッ!と地面に落下して大きな

緑の汚泥溜まりが広がった。

更に近くに生えていた花や草木は瞬時に枯れ果てて行った。

またゴミで埋まっていた金属片も瞬時に腐食してボロボロになって行った。

鋼牙は更に早く早く疾風の如く走り続けた。

間も無くして林は左右に大きく開けて行った。

そして目の前には円形の広場が見えた。

鋼牙は最後の前転で緑色の汚泥のヘドロ弾を回避した。

彼は一気にその円形の広場に突入した。

鋼牙は茶色の瞳で周囲を見渡した。

そして円形の広場の中央にはあのへドラそっくりの

UMA(未確認生物)が直立不動で立ち尽くしていた。

しかし攫われた田中ルーラーンらしき人影は一向に見当たらなかった。
へドラそっくりの姿をしたUMA(未確認生物)は真っ赤に輝く縦に

細長く伸びた巨大な瞳をゆっくりと左右に大きく見開いた。

さらにいきなり頭でっかちな頭部と全身を上下に揺らした。

その度に両手の黒い海藻のような部分と身体の無数の海藻の部分がユラユラと

上下に揺れ続けた。それはまるで不敵に笑っているようにも見えた。

気が付くとへドラそっくりの姿をしたUMA(未確認生物)は

いつの間にか背の高い鋼牙よりもさらに大きく成長していた。

既に2足歩行も出来るようになっていた。

へドラそっくりの姿をしたUMA(未確認生物)眼の下にある突起からまた

緑色の汚泥の塊のヘドロ弾を数十発も放ち続けた。

鋼牙は素早く白いコートの赤い内側から真っ赤な鞘を取り出した。

すかさず銀色に輝く両刃の長剣『魔戒剣』を引き抜いた。

そして銀色に輝く両刃の長剣『魔戒剣』を高速で手首を捻り。

上下左右に振り回して剣が放つ衝撃波で次々とヘドロ弾を高熱で

瞬時に乾燥させて弾けて消滅させて行った。

続けて鋼牙は素早く片手で銀色に輝く両刃の長剣『魔戒剣』を夜空に掲げた。

すかさず頭上で一振りした。彼の頭上に円形の裂け目が現れた。

やがて円形の裂け目から黄金の光が差し込んだ。

やがて狼を象った黄金に鎧が落下した。

ガルルッ!とまるで獣の唸り声がした。

さらに銀色の両刃の長剣『魔戒剣』は黄金の両刃の長剣『牙浪剣』に変化した。

へドラそっくりの姿をしたUMA(未確認生物)は金色に輝く黄金騎士ガロの姿をした

鋼牙の姿に驚き、両眼を限界まで開いた。やがてへドラそっくりの姿をした

UMA(未確認生物)は眼の上部から真っ赤に輝く細長い熱光線をビーッ!

と音を立てて発射した。鋼牙は素早く牙浪剣を上下に振り回した。

そして全ての真っ赤な熱光線をガンガン弾き返した。

しかし予想外に光線の数が多く。

次々と執拗に飛んでくる真っ赤に輝く細長い熱光線は

鋼牙の黄金騎士ガロの鎧の左右上下の右肩と左肩、右胸部、左胸部に直撃した。

そして次々と爆発して行った。

同時に爆発後に化学反応により猛毒の黒い煙が発生した。

鋼牙は激痛と誤って吸い込んだ猛毒の黒い煙によって感じた事も無い

公害による苦しみをしばらく味わう羽目となった。

彼は一撃で地面に倒れてのた打ち回った。

ようやく鋼牙は足元をふらつかせて何とか起き上がった。

ぜえーぜえーと呼吸するのも辛そうだった。

しかし緑色に輝く瞳からは決して闘志が消える事は無かった。

するとへドラそっくりの姿のUMA(未確認生物)はそんな態度の

鋼牙が気に入らないらしく鋭い冷めた殺意を鋼牙に向けた。

それはどこか人間に対するやり場の無い怒りや憎悪や悲しみが込められていた。

魔導輪ザルバはこほこほと軽く咳をしつつもしゃべり始めた。

「全く!爆発したあとに毒ガスが発生するなんて・・・・なんて奴だ!!

鋼牙!こいつの正体が分かったぞ!!こいつは『本物の公害怪獣』では無い。

つまりゴジラ対へドラに登場した映画の中の怪獣をイメージして産み出された怪物だ。

イドの怪物ってやつさ。原因は『静かなる丘・サイレントヒル』の超常的な力が

こちら側(バイオ)の世界に強く長い間、残っているせいだろう。

あれは人間が生み出した怪物だ。」

鋼牙は何とか呼吸を整えて両手で牙浪剣を構えた。

「じゃ?奴を産み出した人間は誰だ?個人か?それとも集団意識か?」

「間違いなく後者の方だ。こいつは・・・・いや!そんな筈は・・・まさか?」

「どうしたんだ?」と鋼牙は長年の相棒の魔導輪ザルバの異変に気付いた。

魔導輪ザルバは「いや・・・・こいつは確かに膨大な数の残留思念が

凝り固まった巨大な悪霊の集合体だ!!しかも膨大な数の残留思念は

所謂、生き霊の一種でごく普通の日常で暮らしている人間達から漏れ出した

無意識な悪意が集まり渦巻いて産まれたものだ。しかもその悪意の原因は。

『性的過ぎて時代遅れのゲームキャラの排除と現実的なキャラを自分勝手で

性的な偏見や差別によって無理矢理、現実(リアル)の世界のゲームや

テレビやネット動画や公(おおやけ)の場所から追放された

無数のゲームキャラクターやVチューバーの美女や美男キャラクター達と

それを作成した人々。主にクリエイター達のやり場のな怒りと憎悪と悲しみ。

そして自分達を追放したポリコレ過激派や大勢の差別や偏見を持つ人々に対する

憎悪と復讐心があのへドラそっくりの姿のUMA(未確認生物)の正体だ。

たださらに厄介な事にこいつには賢者の石が含まれている。

だから賢者の石の力がある。持ち主は!間違いないぜ!この賢者の石は!

『原初の賢者の石』。

つまりこれは白痴の魔王ホラー・アザトホースの落とし子のものだ!

気おつけろ!単なる悪霊ではない!厄介な敵だ!」

「白痴の魔王ホラー・アザトホース?くそっ!?何故ここに現れたんだ!!」

鋼牙と魔導輪ザルバが議論を始める前に怨霊怪獣へドラは鋼牙に

向かって猛然と襲い掛かってきた。その為、鋼牙と魔導輪ザルバは

一度、議論を切り上げてまずは目の前の怨霊怪獣へドラの封印に集中した。

怨霊怪獣へドラは急に真っ赤に全身を発光させた。

同時に怨霊怪獣へドラの肉体が変化した。

それはヒラメのような魚の形に巨大な赤い瞳。

まるでUFO(未確認飛行物体)のような奇妙な音を出し続けながら飛行を始めた。

怨霊へドラは黄金騎士ガロの頭上を四方八方不規則に飛び回った。

鋼牙は急に頭上から白い霧雨のようなものが降り注いだ。

ざああああっ!と黄金騎士ガロの鎧の頭部、両肩、両胸に白い霧雨を浴びた。

その瞬間、彼は急激に鎧が熱を帯びるのを感じた。

同時に頭部や両肩、両胸にまるで獄炎に焼かれるような鋭い痛みを感じた。

そしてたまらず絶叫してその場に倒れ込んだ。

「ぐああああっ!なんだ?!これはッ?酸なのか?ぐうわああっ!がああっ!」

鋼牙は絶叫しながらその場をゴロゴロと転がり、のた打ち回った。

魔導輪ザルバも「あちちちちちっ!クソっ!ヤバい!ヤバいぞ!」と思わず口走った。

同時に彼も鋼牙と同様、命の危機を感じた。

鋼牙は眼は無事だったが喉に強い炎症を起こして痛くなり、急にしゃべれなくなった。

怨霊へドラは元の二足歩行の怪獣の姿に戻ると鋼牙に近づいた。

鋼牙は立ち上がり様に右腕を振り上げて怨霊へドラの胸部を殴りつけた。

しかし猛毒のヘドロによって高速で放った彼の拳は突き抜けてしまった。

その為、打撃攻撃は完全に無効化された。

それどころかヘドロに含まれる猛毒の硫酸により。

黄金の拳はまた熱を帯びて焼け付き、激痛を与えた。

「ぐああああっ!」と鋼牙は火傷を感じ、咄嗟に腕をひっこめた。

怨霊へドラは激痛と熱で焼ける痛みで右手の拳を押さえて激痛による苦悶の余り。

前屈みになっている鋼牙に向かって右腕を水平に振った。

同時にベチャッ!と濡れ雑巾を叩くような音と共に黄金騎士ガロの右頬を殴られた。

怨霊へドラに殴りつけられた鋼牙はそのまま水平に吹っ飛ばされた。

ドシャッ!と近くの変色した大木に背中を強打させて鋼牙はうつぶせに倒れた。

しかしすぐに鋼牙は想像を絶する

地獄のような激痛と熱さをしっかりと歯を食いしばり耐え抜いた。

そして足元をまたふらつかせてゆっくりと立ち上がった。

魔導輪ザルバは鋼牙にしっかりとアドバイスした。

「鋼牙!確か映画の『ゴジラ対へドラ』の中でその公害怪獣へドラは

肉体のヘドロは全て水分だから乾燥に弱い筈だ!

あいつは一気に燃やして斬った方がいいぜ!!何とか倒せる筈だ!」

「分かった!」と鋼牙は掠れた小さい声で

答えると素早く魔導火のライターを取り出した。

そしてカチッ!と金属音と共に緑色に輝く魔導火がボッ!と放たれた。

続けて素早く魔導火の緑色の炎を牙浪剣の両刃の長剣にかざした。

スーツ!と魔導火の緑色の炎を牙浪剣の刀身に炙るように水平に動かした。

同時に牙浪剣の両刃の長剣は一気に緑色の炎に包まれた。

これを見た怨霊へドラも流石にヤバいと思ったのだろう。

また素早くあの飛行形態になると下部から硫酸ミストを噴出させながら

空高く舞い上がり、夜空に向かって逃亡を図った。

しかし鋼牙は絶対に怨霊へドラを逃がさなかった。

もしここのまま逃がしたらまた更に被害者が増えてしまう!!

絶対に逃がさんッ!必ず斬る!!これで終わりだ!!

鋼牙は一気に広場をダッシュして飛び去ろうとする怨霊へドラのあとを追跡した。

続けて思いっきり、地面を踏みしめた。

同時に鋼牙は空高く空中で前転した。

続けて鋼牙は両手に持っていた牙浪剣の緑色に輝く

魔導火に覆われた両刃の長剣を容赦なく真上から真下に振り下ろした。

そして怨霊へドラの背中から胴体を真っ二つにバッサリと切り裂いた。

怨霊へドラは無数の男女の太い声や甲高い声。怒りの声。

呪いの言葉や長々と永劫に続く恨み節やすすり泣く声や怒り狂い呪詛に満ちた

悍ましい言葉や誹謗中傷等の怨霊達の

禍々しい絶叫や声が周囲の暗闇に響き渡った。

やがて怨霊へドラの猛毒のへドロの肉体は

魔導火の緑色の獄炎に包まれて焼き尽くされた。

そして全ての緑色の汚泥(ヘドロ)の細胞の欠片も残す事無く

燃やし尽くして炭化して蒸発して完全に消滅した。

鋼牙はドン!と地面に着地するとすぐに黄金騎士ガロの鎧を解除した。

頭上にまた円形の裂け目が現れた。

そして黄金騎士ガロの鎧は円形の裂け目の中に瞬時に吸い込まれた。

同時に彼は茶髪の白いコートを羽織った背の高い男に戻った。

「ぐっはっ!ゴホッ!ゴホッ!」と鋼牙は胸を痛めて大きく咳き込んだ。

「ふーつ・・・・危ない所だったぜ!!なんて奴だ・・・」

と魔導輪ザルバも一安心した。

鋼牙は険しい表情で「いや!まだだ!」と小さく呻くようにそう言った。

そしてボロボロの身体を無理矢理鞭打つ様に動かしてあの怨霊へドラに襲われた

田中ルーラーン巡査の姿を探して林の中をしばらく歩き続けた。

彼女は無事だろうか?まさか?もうすでにあの強酸にやられて!!いや!

まだ少しでも生存している可能性があるなら助けるべきだ!!無事な筈だ!!

しかし彼の手の甲は僅かに硫酸によって解けた小さな火傷の痕が残っていた。

右頬にもやはり硫酸で溶けた火傷の痕があり、呼吸も少しきつかった。

 

鋼牙と悪霊へドラの死闘にようやく決着が付いた頃、別の林の場所では。

田中ルーラーンを攫い、事情が終わったあの魔導輪ザルバの予想が正しければ

オリジナルの賢者の石と原初の賢者の石を

取り込むことで進化した雄の個体のへドラが佇んでいた。

あの真っ赤な瞳を持つ、青みが掛かった体色。

口の周りに複数の太い管が伸びていた。若干スリムな体形。

そいつは真っ赤な瞳で恥ずかしさと性的興奮で両頬と深い胸の谷間を紅潮させて。

右腕で目元を覆ってピンク色の唇の口を少し開け、ハアハア息を吐いて

仰向けに倒れながら余韻に浸っている田中ルーラーンを見た。

そこに一人の女性が現れた。彼女は青い瞳でへドラを見た。

「随分と楽しそうね。でも私は未成年だからセックスはお断りよ!

10人とセックスはしたんだ。随分少ないね。それにー。

貴方からホラーの気配がするわ!私にも見つけられるみたい。

しかも転生しているわ。しかも転生する際に『魔戒樹』と融合したようね。

悪魔合体と言うようなもんかしら?それで何になったの?」

へドラはテレパシーのようなもので彼女に話しかけた。

アリス・トリニティ・バレンタインは

彼の言う事を頭の中に響く声に素直に耳を傾けた。

「私は1970年の公害問題により。『公害怪獣へドラ』として誕生した。

そして50年以上は経った。しかし未だに怪獣王ゴジラを倒す事は叶わぬ。

私はもはや他の生命に『死』を与える役目から逃れたかった。

だから私は『公害怪獣』と言う人間達に宛がわれた役割を捨て去り。

白痴の魔王ホラー・アザトホースから与えられた『賢者の石』と

新しき命を与えられた。そして私は賢者の石と『魔戒樹』と融合して新生した。

こうして私は『公害』では無く完全なる『自然神』となったのだ。

『私の名はヘドロから産まれた公害怪獣へドラ』ではない。

私は『神樹カプレ』!!私はもう『怪獣王ゴジラ』とは戦わず!

この世界(こちら側・バイオハザードの世界)で

自由に生きるのだ!では!さらば!!」

『神樹カプレ』は全身が真っ赤に超発光した。

アリス・トリニティ・バレンタインは目が眩んでしまい両手で目を覆った。

間も無くして彼女が手を退けた。『神樹カプレ』の姿は

アリス・トリニティ・バレンタインの目の前から跡形もなく消えていた。

「チッ!逃げられたか・・・・賢者の石の力を応用して閃光弾にしたんだ・・・・」

 

それから更に1時間経過した頃。

冴島鋼牙は懸命にボロボロの身体を引きずり回して林の中を歩き続けていた。

彼はようやく近くの林の緑の芝生の中にうつ伏せに倒れて動かなくなっている

田中ルーラーンを発見した。しかも全裸で白い肌の背中を左右に倒れた

草木から覗かせて動かなかった。またこの場に既に魔王ホラー・へドラも

アリス・トリニティ・バレンタインもその場から姿を消した後だった。

鋼牙は素早く彼女の首筋に手を当てて脈を取った。どうやら生きていたようだ。

良かった!と彼は心の底からホッ!と胸をなでおろした。

どうやら猛毒ヘドロのせいで白骨化して即死する酷い死に方は避けられたようだった。

彼は直ぐに田中ルーラーンを仰向けにする前に自分の白いコートを背中に被せた。

さらに上半身を起こさせると。

しっかりと全裸の身体を包んで外から見えない様にした。

鋼牙は他人の性的な目から守るようにしっかりと配慮した。

鋼牙は彼女をお姫様抱っこしてそのまま素早く林の中を立ち去った。

 

鋼牙が田中ルーラーンをお姫様抱っこして立ち去ってから10分後。

ガサガサとまた大きく草木が左右に揺れた。

同時に巨大な緑色の頭部と真っ赤な瞳を持った怨霊へドラの

一回り小さいサイズの個体がのそりと現れた。

そして真っ赤な夜空を見上げると奇妙な声で鳴き声を小さく上げた。

「クウオオオオアアッ!!」と。

 

(第3章に続く)