(第39章)『第3の罪の十字架』

(第39章)『第3の罪の十字架』

 

のぴは迷いも一切無かったし。最初からこうしようと決めていた。
「勿論!私はッ!ゆいにゃとりあらとちゃきとリスナーさんと

チャンネル登録者様と!私のお父さん!お母さん!みんな!

これから出会う為の沢山の人達の為にこの普段の日常に戻す!

絶対に戻すんだああああああああああああああああああっ!!」

腹の奥底から絶叫するように上げたのぴの魂の叫びは

イリスオブジェクトの真っ赤なコア(核)の内部に大きく反響した。

またイリスオブジェクトものぴの強い意志に呼応した。

そしてあのキジバトとフクロウを掛け合わせたような吠え声を上げた。

再びイリスオブジェクトのコア(核)ではのぴは

『柳星張の宇宙』の星々が煌めく宇宙の天上に向かって力の限り、長々と叫び続けた。

「オオオオオオオオオオオオオオオオオッ!」と。

のぴはふと気が付くといつの間にかあの巨大なガイウスの槍を手に持っていた。

魔王アリオクもどきはそのガイウスの槍を見るなり怯えた表情をした。

「何をする気だぁっ!」

「止めろ!浄化されるのは我々じゃないッ!」

「人類は神になる!」

「この前世の記憶と我々反メディア団体ケリヴァーの存在が消される!」

「我々の儀式は正しい!そのやり方は間違っているんだ!止めろっ!消すなああっ!」

魔王アリオクもどきの内部に取り込まれていた若村秀和を初め、

反メディア団体ケリヴァーの男女のメンバー達がまるで蜂の巣の様に大騒ぎを始めた。

それは途轍もなくやかましかった。

余りのやかましさにちゃき、ゆいにゃ、りあらは両耳を塞いで瞼を閉じた。

かましい!全員!喋んな!一人一人喋れよ!

鼓膜敗れそう!お願いやから!静かにしゃべって耐えられへん!

ううっ!うううっ!勘弁してよ!あーあーあーもーもー!うるさいっ!うるさいいっ!

一方、咲夜とヱヴァンゲリヲン4号機の真っ赤なコア(核)の内部にいる霧島マナ

冷静に分析した。つまりこれはー。

太陽神テスカトリポカも反メディア団体ケリヴァーもー。

のぴとおこさまぷれーとのメンバー達と名も無き不特定多数の人々が自分達と

意図したものではない想定外の

独自のインパクトを本気で起こそうとしている事を悟った。

もしもこのインパクトが成功すれば太陽神テスカトリポカと

反メディア団体ケリヴァーのいずれの宿願は達成出来ない。

最終的に日常の元の世界に戻った楽園では無く在りし日の人間社会に戻るのである。

当然、反メディア団体ケリヴァーの若村秀和も大勢のメンバー達も焦る訳である。

のぴは右手に持っていたガイウスの槍を見た。

「うあああああああっ!」とのぴは絶叫した。

同時に『月』ヴィシュヌ・アバターはのぴの声に共鳴した。

さらにのぴの声に共鳴するように『月』ヴィシュヌ・アバターも大きく吠えた。

「ウオオオオオオオオオオアアアアアアアッ!!」

のぴの体内にも何か目覚めつつあった。

それは胸部にあった『ネガブドネザルの鍵』が起動を始めた。

それにより彼女は人間を超えて行った。

続けて大きな変化が続いた。

のぴは全身の細胞内でも眠っていた賢者の石を活性化させた。

また他にも運動と共鳴を繰り返しながら

『月』ヴィシュヌ・アバターの細胞内の神の力を促進させた。

のぴは身体を丸めて獣のように唸り、激しく吠え続けた。

そして自らの変化に耐え続けた。

彼女自身、強烈な精神的負担と大きなル肉体に負担を抱えていた。

それでも自らの想いと目的を果たす為に強烈な意思で耐え続けた。

ちゃきは心配になり、今にも泣きそうな表情になった。

「のぴ!苦しいんか?ちょっと!のぴ!しっかりしいや!」

のぴはちゃきの悲痛な呼びかけに反応できずただ

精神的苦痛と心の負担に耐え続けていた。

のぴと『月』ヴィシュヌ・アバターの霊体内部では本来存在しない筈の

エヴァの儀式に使用されるものとは全く異なる別の神の物質が組み込まれていた。

それは『神牙因子・神の牙』である。これは『静かなる丘・サイレントヒル』の

太陽神テスカトリポカが密かに『神の牙』の因子を手に入れる為に

魔王ホラー・ジンガを街に呼び寄せた。

そして太陽神テスカトリポカは彼の因子を手に入れていたのは確かであり。

それに対してのぴは真相は不明だが。

恐らく彼女の魂の改造に関わったのは外神ホラーの副王ヨグ・ソトホースと

思われるが真相は不明のまま真実は闇の中である。ただ唯一分かるのは。

『神の牙・神牙因子』が彼女がインパクトを起こす事を

予め想定された上に利用されたのは確かなようだ。

事実のぴの魂とアストラル体(霊体)の内部では『神牙因子』が活性化していた。

さらに変化は続き、真っ赤な無数の球体は急激に青く輝く無数の球体に変化していた。

やがて苦しんでいるのぴの髪は金髪に変化していた。

彼女の魂とアストラル体内部では青く輝く球体内部から無数の触手が生えていた。

「うぐっ!ぐがああっ!ああがああっ!」とのぴは両手に頭を付けて苦しんでいた。

さらに両頬には狼の牙のような奇妙な形状のあざが現れた。

それはかつて『静かなる丘・サイレントヒル』の遊園地のステージで最初に

『神化』した時とは全く異なる別の種類の『神化』をしようとしていた。

両頬には太陽の聖環が真っ赤に輝いていたが現在は『神牙因子』の影響を

色濃く受けている為、両頬には狼の牙のような奇妙な痣が真っ赤に輝いていた。

髪の色も単純に真っ赤だったものが金髪に変化していた。

両瞳はなんとか人間の茶色の瞳の色を保っていた。

のぴは苦しそうに呻き、なんとか人間の姿を保とうと精神を集中させた。

そして元の日常を取り戻して『おこさまぷれーと』の毎日投稿アイドル活動再開と。

リスナーさん達や登録者様や不特定多数のファンの絆を取り戻す為に。

世界を守る為にも。彼女は歯を食いしばり、悪魔で人間の姿を保ち続けた。

彼女は天を仰ぎ、口を大きく開けた。

しかし口内は発光する事は無かった。

のぴは神の領域に歩を進めて足を踏み入れてもあくまで人間である事は捨てなかった。

「がんばって!のぴ!人の姿を保ったまま神の力を使って!世界を元に戻すのよ!」

咲夜は自然に彼女を応援した。続けてちゃきもりあらもゆいにゃも大声を

張り上げて心の奥と腹の底から声を上げて全身全霊で彼女を応援し続けた。

「きばれや!」

「がんばって!しっかりして!」

「信じるのよ!のぴ!がんばって!」

のぴの状態と咲夜、ちゃき、ゆいにゃ、りあらが全身全霊で応援する様子を

ヱヴァンゲリヲン4号機の真っ赤な

コア(核)の中で霧島マナは羨ましそうに見ていた。

しかし彼女も一人の人間として真っ赤なコア(核)の内部から

全身全霊で腹の底から大声でのぴを応援し続けた。

だが若村秀和と反メディア団体ケリヴァーの男女の声で酷く慌てふためいた様子で

魔王アリオクもどきは絶叫して、彼女のインパクトと神化を止めさせようとした。

「やめろっ!のぴ!

俺の長年苦労して考えた人類補完計画が駄目になるッ!止めろッ!」

「それは正義じゃない!歪んだ悪魔の行いだ!」

「楽園創造が出来ないの!」

「我々は創造神となり!単一生命体へと進化するんだ!」

「正義は私達にッ!」

「戦争の悲惨な現実(リアル)を無くす為に!」

「人は自らの贖罪を行わないと変わらないんだよ!」

「俺達の!若村様の計画は誰にも邪魔させないぞ!くそがあああっ!このっ!!」

魔王アリオクもどきは自分達の声がもはやのぴに届かないと悟ると実力行使に出た。

「仕方が無い!のぴを正しい心に目覚めさせる為に!」

「のぴを応援している全員を一人残らず現世・現実(リアル)の

こちら側(バイオ)の世界の縁を断ち切り!我々の中に取り込んでしまおう!」

「彼女らの魂を全て私達と一つになればのぴも目覚めるはずだ!!」

魔王アリオクもどきは最初はおこさまぷれーとのちゃきに刃を向けて狙いを定めた。

続けて右腕を振り上げてちゃきの

頭上から禍々しい形の両刃の長剣を振り下ろそうとした。

ちゃきは両眼を大きく見開き、彼女自身の記憶や前世が抹消されるかも知れない

『死』の危機を感じた。

「きゃあああああああっ!!」と彼女は悲鳴を上げた。

彼女の悲鳴に咲夜、ゆいにゃ、りあらも気付いた。

しかし咲夜が動くよりも早く魔王アリオクもどきの

禍々しい形の両刃の長剣が高速でちゃきの魂の中の

現世・現実(リアル)のこちら側(バイオ)の世界の

縁の記憶を断ち切るべく勢いよく振り下ろした。

りあらとゆいにゃは顔面蒼白となった。

咲夜はすぐにペルソナ『正義』ゼルエルを呼び出そうとしたが間に合わなかった。

直ぐにのぴは無意識に『月』ヴィシュヌ・アバターを使役した。

のぴは無意識の内にガイウスの槍を持っていない右腕を水平に軽く振った。

それに連動して『月』ヴィシュヌ・アバターも女性のようにしなやかな

黒と黄金の左腕を水平に軽く振った。

そして『月』ヴィシュヌ・アバターの真っ赤に輝く左手から

真っ赤な両刃の長剣が一気に伸びて行った。

その左手はまるでゴムのように伸びると完全に

魔王アリオクもどきを宇宙の塵に還すべく魔王アリオクもどきの巨体を

水平に切断する事で『呪い返し』を仕掛けようとした。

しかしすぐに無意識からのぴは自我を取り戻した。

同時に彼女は大声で『月』ヴィシュヌ・アバターに呼び掛けた。

「ヴィシュヌ・アバター!駄目!止めて!」と。

のぴの呼びかけを聞いた途端、『月』ヴィシュヌ・アバター

魔王アリオクもどきを水平に切断する前にピタリと動作を急停止させた。

若村秀和も反メディア団体ケリヴァーの男女のメンバーも絶叫していた。

「うわあああああっ!」

「クソっ!あともう少しだったのに!」

若村秀和と反メディア団体ケリヴァーの男女のメンバー達も困惑していた。

のぴは「約束したから!ヴィシュヌ・アバター!この人達の魂を救って!」

と『月』ヴィシュヌ・アバターに命令した。

『月』ヴィシュヌ・アバターは右腕を魔王アリオクもどきに向けた。

その時、急に周囲に『翼をください』の曲が流れた。


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続けて左腕を魔王アリオクもどきに向けた。両掌は真っ赤に発光した。

「ウオオオオオオオオアアアアアアアアアアッ!」と大きく長々と吠えた。

魔王アリオクもどきはそのままグアッ!と大きく後ろにのけ反った。

続けて『月』ヴィシュヌ・アバターの背中から12枚の黄金の翼が生えていた。

やがてバアン!と言う大きな音と共に

魔王アリオクもどきの巨体は風船のように破裂した。

同時に若村秀和を初め、反メディア団体ケリヴァーの

大勢の自分勝手なケリヴァーの『排他主義の思想』は完全に抹消された。続けてー。

個人の思い出と人生の記憶が完全な状態で保持された無数の若村秀和を初め。

反メディア団体ケリヴァーの大勢の魂とアストラル体から強引に引き剥がされた。

更に分離させられた若村秀和と反メディア団体ケリヴァーの自己中心的で

自分勝手な欲望と邪心の入り混じったメディアのテレビやゲームやスマホや携帯。

パソコンに対する敵意と憎悪。全ての人間社会に対する一方的で

独り善がりな敵意と排除しなければならない正義感。

自分達が選ばれたと言う妄想と妄信。創り出された偽善や選民思想

自分達が選んだ楽園に行けて。

選ばれなかった人間が排除される。

他人の気持ちも個人も一方的に苦しめようとする醜い心。

それら全てがひとつの魂に融合していた邪悪で汚れた霊的物質を

超巨大な雲のように変形させた。

『月』ヴィシュヌ・アバターは素早く薄汚れた赤い球体をメキメキ

と大きな音を立てて更にバリン!

と言う大きな音と共に噛み砕き捕食してしまった。

若村秀和と反メディア団体ケリヴァーの大勢の魂は今までしてしまった

大きな大罪の記憶と今まで自分が人生でやって来た

全ての争いの元となる過ちの記憶を残しつつも。

若村秀和も反メディア団体ケリヴァーの

大勢の男女のメンバーも自らの選民思想を失い。

自らを聖なる戦士特別視していた筈の若村も彼らも大きな悲しみに包まれた。

そして若村秀和や反メディア団体ケリヴァーの人々の魂は浄化された。

若村秀和や反メディア団体ケリヴァーの大勢の男女の人々も。

ただの大衆となり果てあっと言う間にイリスオブジェクトの

真っ赤なコア(核)の内部に落下して行った。

そして完全に吸収されて行き人の個人の多様性を受け入れて、融合して一つとなった。

これにより若村秀和や反メディア団体ケリヴァーは

インパクトのコア(核)として機能を停止させた。

一方、ちゃきは自分の命が助かった事にほっとしつつも。

まさかのぴが使役するあの巣食うもの(『月』ヴィシュヌ・アバター)が

本当に悪霊か悪魔を捕食する姿を見て顔面蒼白になりかけた。

しかしどうにか勇気を振り絞ってちゃきは礼を述べた。

また自分の大親友の『のぴ』が若村秀和や反メディア団体ケリヴァー達

にした事は『第3の罪の十字架』の選択をしたのだと何故か唐突に理解した。

りあらもゆいにゃも余りのショッキングな出来事に無言だった。

霧島マナはのぴが自我を取り戻して人の手ではコントロール

絶対にできない筈の『月』ヴィシュヌ・アバターが動いているのを見てー。

目を丸くして信じられない表情をしていた。

まさか?巣食うものをあの子がコントロール?信じられない・・・・・・・。

若村秀和と反メディア団体ケリヴァーの邪心と欲望と『選民思想』が集まった

魔王アリオクもどきと若村秀和と反メディア

団体ケリヴァーの大勢の魂とアストラル体

分離させてイリスオブジェクトの真っ赤なコア(核)に融合させて救い出したの?

「彼らや彼女らの魂をどうして?あいつらは貴方達に危害を加えたのに・・・・」

霧島マナは驚きつつも小さくつぶやいて聞いていた十六夜咲夜は。

「それが純粋なのぴさんの願いだったからよ。

あの子はインパクトが始まる前に若村秀和と反メディア団体ケリヴァーを救うって。

約束を彼にしたのよ。でも若村本人は全く信じていなかったけど。

そして彼女ら彼らの魂と分離した魔王アリオクもどき。

あれはこの儀式の最後の贄となり。

彼女自身の為に儀式が始まる!!私も!!」

 

(第40章に続く)