(第60楽章)動き出す神殺しのアイドルと魔獣新生多神連合の悪魔達。

 (第60楽章)動き出す神殺しのアイドルと魔獣新生多神連合の悪魔達。

「わっ!分かりましたっ!烈花法師!鋼牙!このおっ!」
シェリーの返答と何かを投げる音と弾ける音と共に「ぐおおっ!」
と言うあの太陽神ケッアルカトルの怯んだ声がした。
「クソっ!ふざけるなあっ!人間のクセにっ!」
続けてズドドドドドドン!と言うマシンガンの連続した銃音がした。
また何かを投げる音。弾ける音。「がはっ!」と言う太陽神ケッアルカトルの声。
更にビュウウッ!と言う風の音。シェリーの悲鳴。
ズドドドドドドドッ!と言うマシンガンの連続した銃音。
またマハムドオンを投げる音。ズバババッ!と何かを切り裂く音。
「ちょっと!毒っ!ハーブをっ!あとは再生させて!」
「チッ!あれが噂のグリーンハーブとブルーハーブか?厄介な回復薬だな!
だがっ!太陽神である私には無駄な足掻きにしか見えん!だが!何だ?
あの女?今まで負った全身の傷がどんどん再生して行って!まさか?
あの女が大君主様が言っていた例の神の力を手に入れた『シェリー・バーキン』か?」
「えっ?私の事を何で知って?しかもGの事も!どうして!」
「チッ!どうやらただの人間ではなさそうだな!んっ?これはっ!魔獣ホラー!
いや魔王ホラー・マーラ様!わっ!分かりましたっ!全員惨殺を完了しましたっ!
では悪質アイドルハンター『ジョーカー』の
メンバーの魂を全て持ち帰らせて貰います!」
一方、レオンが持っているOSA専用端末機からシェリーの声が続いていた。
「うっ!なんなのよっ?こいつ!物凄く大きいクロコダイル??
いや??恐竜??ちょっと黄色の目玉でこっち見ないで!!」
やがてそのシェリーの声に代わってOSAの端末機のスピーカーから
魔王ホラー・マーラのやけにノッた今時の若者らしい男の口調で語り始めた。
「太陽神ケッアルカトルさん!なんでこんなところでさー。
何で?この女と争っちゃってるの?元々この女と僕達のグループの
我々魔獣新生多神連合が争う必要なんかさーないんだよね!
ほらほらこんな所で道草喰っていないでさー。早く戻って!
戻って!ああと!勿論!狩った人間のソウルも忘れちゃ!駄目だぜ!へっ!」
「承知しました!偉大なる魔王ホラー・マーラ様の命令なら仕方ありますまい!
では私は浄化した人間の魂を持ち帰らせて貰おう!!」
太陽神ケッアルカトルのバサバサと翼を上下に振る音が聞こえた。
「あっ!魂を集めて飛んで逃げる気?クソっ!」
シェリーの声と共に「カチャリッ!」と引き金に指を掛ける金属音が聞こえた。
しかし次の瞬間、カアアッ!と言う何かを吐き出す声が聞こえた後、ジュウウウッ!
と音を立てて何か焼ける音が聞こえた後、ボタボタと液体が大量に滴る音が聞こえた。
しかし間もなくしてシェリーの声が驚きと戸惑いの声が聞こえた。
「クソっ!ショットガンがっ!ドロドロに溶けて液化した!!
あいつ!あの恐竜クロコダイルっ!!あの口から酸を吐くなんて!!くそっ!もう!」
「強酸を吐いただと?あいつそんなことが出来るのか?」
レオンも戸惑い、動揺し、端末機を持っている烈花の横顔を見た。
「そうだ!あいつの酸は霊獣の毛と人間の血肉魂以外の衣服や武器を溶かす。
魔導衣や魔導筆さえ溶かされて無防備にさせられてかなりの
数の若い女性の魔戒法師が奴に精気を喰われて犠牲になった!」
やがてOSA専用端末機から突如、「フン!」と鼻を鳴らす音と
バリバリバリと電撃が走る音。そしてシェリーの絶叫が長々と聞こえた。
「うっ!きゃああああああああああああああっ!」
やがてバタン!とシェリーの倒れる音がした。
「全く何をしてんのさ!軍曹ホラー・リャナンシー!」
そしてOSA専用端末機からさっきの魔王ホラー・マーラの今時の若者らしい
口調の男の声とは全く異なる別の今度は若い女の声が聞こえた。
「勿論!手加減はした!多少、肉は焦げただろうが、問題無い!
ちゃんと息をしているし、その程度なら死なないだろう!」
「そうか!それならいいよ!いいかい?
この女は外神ホラーが由来の賢者の石に含まれる
始祖ウィルスとネメシスプロトタイプを使って生まれたGウィルスを。
つまり神の力を持つ女だ!それに彼女はアメリカ合衆国のエージェント組織の
SODのエージェント!大君主様にとって唯一絶対神YHVAを殺す為の計画をさ!
アメリカ国家を利用して進める為の大切な駒なんだよね!
GウィルスもG抗体も我々、魔獣新生多神連合には必要さ!だから!
この女も生かしておくんだ!勿論シェリー以外の要人物も全てさ!
寄る辺の女神のジル・バレンタイン
テラセイブのクレア・レッドフィールドとモイラーバートン。
あとはその『BSAA関係者やSOD関係者。グローバルメディア企業』。
HCFや秘密組織ファミリー、元老院も全ては利用価値がある。だから守るか?
協力してバイオテロや大天使と天使と戦うか?選択は二つに一つだよ!いいね?」
「私は強い奴と戦えればどちらの選択も構わない」
「では!話は終わりね!やっぱり!この女は少々やり過ぎかな?」
「では!どうする気なのだ?まさか本気で助ける気なのか?」
「勿論だ!傷を一つ残らず消す!もう自分の酸は衣服や霊獣の毛。
人間の血肉魂も武器も溶かす様に成分が変わっている。
丸呑みして丸ごと消化できるようにね。だから頭部の皮膚の一部を注射針にして……」
「まさか?自らの身体の一部をあの女の体内に投与する気か?正気とは思えんぞ!」
リャナンシーは信じられないと言った呆れた口調で答えた。
一時間後、とうとうリャナンシーとマーラの声は消えた。
直後に地元のニューヨーク市警とBSAA特殊部隊の
警官や隊員がバコオオン!とドアを破壊して突入する大きな物音。
続けてどやどやと言う多数の人々の声。さらに外では救急車のサイレンが響いた。
やがて一人の隊員がシェリー・バーキンを発見し、
他の隊員達に報告する声が聞こえた。
「彼女を発見!生きています!保護します!」
「君?大丈夫か?何だ?首の付け根に注射痕??」
「周りも酷い有様だな!」
「うっ!肉が焦げる匂い。炭化した。うわーっ人間?幾ら何でもこれは酷いぞ!」
「いくら何でも!ゴク潰しとは言え!ここまでとは……」
やがてシェリーが持っているSOD専用の端末機を見つけた一人のBSAA隊員は
シェリーは無事に救急車に運ばれて聖ミカエル病院に搬送された事』を
しっかりと伝えた。それからBSAA隊員は現場に来たニューヨーク市警やFBI
BSAA隊員と協力して現場検証に当たる事を烈花、
レオン、ヘレナ、鋼牙達に伝えた。
しかしヘレナとレオンはシェリーの容態が心配でたまらなかった。
それから一人のBSAA隊員が現場の写真と資料を持って会議室に現れた。
丁度、聖ミカエル病院のシェリーの担当医師から彼女の容態が報告された。
精密検査の結果、シェリーは何者かによって強力な電撃で傷付いたであろう跡が
どこにも見当たらなかったと言う。しかも精密検査の結果、驚いた事にクロコダイルの
DNAと有史前の古代生物プレシオサウルスのDNAを持つ
特殊な幹細胞が検出された。しかもこの特殊な幹細胞を
シェリーが『G』の力で自ら取り込んだ。
その結果、急速に傷が回復したのだと説明した。
一応、シェリーは体内にその特殊な幹細胞を持っているが
健康上には問題無いとされた。
その報告に心配していたヘレナ・ハーパーもレオン・S・ケネディ
安心し、ようやく精神状態も楽になり一息ついた。
鋼牙の推測によるとどうやら魔王ホラー・マーラはクロコダイル好きか恐竜好きの
人間に憑依した事によってその男の陰我(人間の邪心や欲望)
に応じて変化したようだ。
以前は好んでキノコの菌糸に憑依していたが
今回は何らかの理由で憑依先を変えたようだ。
しかも元はBOW(生物兵器)の実験体に憑依した可能性をジルは指摘した。
BSAA隊員は会議中のレオンとヘレナ、烈花、クエント、パーカー、鋼牙に
現場の状況を説明した。例の襲撃された悪質ファングループ『ジョーカー』の
現場写真を予め見せた上でその状況は一言で表すなら惨劇だったそうだ。
何故なら全ての一室のほとんどが真っ赤な血で染まっていて
壁や天井、床には大量の血が飛び散っていて、机や箪笥。
その他家具には鋭い爪や風の刃で切られたような長く細長い傷が多数残されていた。
また床一面には悪質ファングループの『ジョーカー』の
メンバーの血まみれの遺体が多数転がっていたと言う。
こうして悪質ファングループの『ジョーカー』は太陽神ケッアルカトル
の手によって呆気なく壊滅したのである。
 
ヘレナとレオンは会議が終わった後、すぐにBSAA北米支部から
シェリーが入院している聖ミカエル病院の病室へすぐにお見舞いに行った。
レオンとヘレナは病室でベッドの上に座り込んでいるシェリーを見た。
シェリーはしばらく茶色の瞳をただただ病室の
個室の目の前の白い壁の一点を見つめ続けた。
シェリーはすぐに病室の個室に入ったヘレナとレオンの存在に気付いた。
シェリーは茶色の瞳をヘレナとレオンに向けた。
「大丈夫!レオン、ヘレナ、私は何でもないから……」
彼女は心配する二人を安心させようといつも通り振舞った。
それからレオンとヘレナはシェリーの身に何があったのかは
既に担当の精神科医アシュリー・グラハムから聞いていた。
だからレオンとヘレナはあえてシェリー本人には聞かなかった。
何故なら彼女は自分の身に有り得ない出来事に襲われていて。
自分自身の頭でも全く思考が追いついておらず一種のショック状態だと言う。
これからしばらく入院している彼女にカウセリングして気持ちの整理と
思考の整理を進めて元の精神状態とは至らずとも
徐々に近づけて行く予定だと説明した。
それからレオンはイングリッド・ハ二ガンにシェリーの現状を説明した。
 
秘密組織ファミリーの本部に当たるシモンズ家の大きな屋敷。
ジョンの自室にはある日本人女性がいた。
日本人女性は胸元まで伸びたサラサラの茶髪のウェーブ。
右側の茶髪に銀色の飾りを付けていた。
日本人女性は『NYK48』のメンバーの一人である山田真帆だった。
彼女はジョンと共に白いベッドの上に2人揃ってお互い同じ横向きで寝転がっていた。
ジョンは白いベッドの上にお互い同じ横向きで寝転がっている山田真帆に話しかけた。
「よろしい!これで君の体内の全身の細胞内に
僕の変異型賢者の石は広がり、寄生した。
これで君は何も対処しない運営に頼り、すがらずとも君や他のメンバー、そしてその他のアイドルグループの連中による暴行や巷で噂になっている『時を停止させられる男』
の襲撃からも自宅の襲撃も全て予想しうる事態に全て対処が可能だ!
君は僕の力があれば十分、独りで闘い、
抗い他のメンバーも自分自身を守れるであろう。
そうそう、僕と契約をし、魂と肉体を捧げて力を得た。
その対価として君は今日から僕とこれから出会うであろうジル・バレンタイン
『神殺し』だ!君には唯一絶対神YHVAを倒すのを手伝って貰う!」
ジョンの真横で白いシーツで全身を覆い、恥ずかしそうに顔を赤らめて
微笑んでいた真帆は彼の声を聴くなり、真顔となった。
そして真剣な美しい茶色の瞳でジョンをしっかりと見ると静かにこう述べた。
「分かりました!ベルゼビュート殿!ジル・バレンタイン殿に忠誠を誓います!
力を与えてくれてありがとうございます!」
真帆がお礼の言葉を述べるとジョンは嬉しそうな表情をしながらこう言った。
「どういたしまして!その唯一絶対神YHVAを滅する日は30年後だ!その日までは
NYK48のメンバーとしての活動を卒業するまで続けてくれ!自由はある!」
「分かりました!その日までNYK48のメンバーのアイドル活動を続けます!」
「これで安心しました。貴方様の力があればこの先もどんな敵が現れても平気だと」
 
(第61楽章に続く)