(第21章)反逆

(第21章)反逆

凛は深い森を抜けて、やがて畑へ出た。
突然小型船が森から現れた。
小型船が発光した。中国人3人が田んぼに入り込み、彼女を囲んだ。
そして小型船から虹色の柱が射し込み、
その中国人3人と凛を捕らえると飛び去た。
バイオメジャーやCCI、CIAは口々に
「クソ!!」
とか
「あれはX星人の宇宙船か?」
と言った。
一方上海からさほど遠くない森にある田舎町では、
ゴジラとジュニア、バガンの戦いが始まろうとしていた。
3体がしばらく殺気を放って睨み合い、戦いが始まった。
バガンは背中から生えた長い何本もの蔓を閉じると、挑発するように突然、後ろ
を向き走り出し、両手を組んでジャンプして、マンションを次々と破壊した。
ゴジラとジュニアはバガンの後を追って瓦礫の山を踏み付け、走り出した。
次々と粉々になって行くビルを尻目に3体の怪獣の追跡は続いた。
友紀はビデオで次々とマンションが破壊されて行くのを録画しながらも、
安全な場所を探して人混みの中を走り続けた。
その間にビデオをしまい、カメラを取り出し、逃げ回る人々の写真を次々とフィルムに収めた。
バガンは近くの児童公園まで逃げ、横滑りに止まると、身体をかがめて、走って
来たゴジラの腹に猛烈なタックルを食らわせた。ゴジラは両足を踏ん張り、
耐えようとしたがものすごい力で近くのマンションに叩きつけられ倒れた。
ジュニアが振り向いたバガンに体当たりした。しかしバガンは簡単には倒れず、
両脚を踏ん張り、ジュニアを横に投げつけその頭を踏みつけた。
そこへゴジラの放射熱線が飛んで来た。
バガンは背中から暁色の蔓を広げて飛び上がり、それをかわした。
小型船のなかでは、さらわれた中国人3人の前に樟運佑陵硺舂気現れ
「それでは君達が知っている『闇の森の神』の伝説をお聞かせ願えないものです
かね……」
と邪悪な笑みを浮かべながら3人にレーザー銃を向けた。
捕まった凛は小型船の巨大な部屋に閉じ込められていた。
彼女は落ち着きが無く周りをウロウロしていたが、
研究所から深い森を長時間走り回り疲れていたのか、いつの間にか眠ってしまった。
小型船の巨大な部屋で眠ってしまった凛は夢を見た。
夢の中で再び黄金の『何か』ともう一人の自分と戦い始めた時、
凛は右肩から胸にかけて激痛を感じて倒れ込んだ。
黄金の『何か』が凛の首を掴み持ち上げると、右肩から胸にかけて暁色のアメー
バーが蠢いていた。もう一人の凛が
「『闇の森の神』……まさか?」
黄金の『何か』は
「トカゲの尾の様な物……あなたはその内…『闇の森の神』の
一部になって自分が自分で無くなるわ!!」と答えた。
凛はショックを受けて
「そんな……嫌よ!!あたしは…イヤアアアァァァッ!!」
と絶叫すると黄金の『何か』に殴りかかった。
しかし黄金の『何か』は凛の右胸を蹴り飛ばした。
凛は両手を付き倒れた。
中国人3人は『闇の森の神』について正直に話した。
高新一は
「なるほど…宇宙怪獣バガンの死体に寄生していたのか?」
李仙竜は
「『闇の森の神』と三体のゴジラが戦っている様です!!」
そこへ突然、陳天来が慌てふためいた様子で走って来た。
「大変です!!6日後に到着予定の爆破部隊から緊急連絡です!!」
と言った。高新一は「何!!」
と言うと脇に控えていた仲間達に向かって大声で
「仙竜!!天来!!その裏切り者を部屋に閉じ込めて置け!!」
と言うとあわてて凛が閉じ込められている部屋の近くの通信室へ急いで走って行った。

高新一は通信室でX星の本社に連絡した。
するとX星の社員が息も絶え絶えに慌てふためいた様子で
「爆破は中止だ!!」
と大声で言った。
それを聞いた高新一は
「何故だ!!わざわざここまで来たのに!!一体何があった??」
と逆に大声で質問した。
X星人の本社の社員は
「現在!!X星は攻撃を受けている!!」
高新一は驚いた様に「それはどう言う事だ!!」
X星の本社の社員は「家畜の『例の生物』と、
生物兵器として強化された『例の生物』の群れが突然、何の前触れも無く一斉に暴れ出した!!」
高新一は冷静を装って
「落ち着くんだ!何故暴れ始めた…原因は何だ」
「『例の寄生生物』!その目的は我々に対する反逆だ!!」
高新一はたちまち顔が真っ青になり、
「まさか?有り得ない……これまでも大量に『例の寄生生物』を使用して、
『例の生物』や様々な生物を支配して利用してきたと言うのに……」
X星人の本社の社員は
「それと!!『例の寄生生物』に対抗する様に『奴』……『奴』が……現れた!!」
高新一は
「落ち着け!!『奴』とは何者だ??」
X星人の本社の社員からその『奴』の名前を聞いて、彼の顔がさらに真っ青になり、
「何故X星に!?」
X星の本社の社員は
「『奴』は……X星で暴れている『例の寄生生物』を捕食するのが目的らしい!!」
高新一は
「それでは軍事企業の存続があやうくなるでは無いか!」
「X星のほとんどの地下都市が彼らの激しい戦いで壊滅した!!うわぁぁぁぁっ!!」
と絶叫と共に激しい爆音が聞こえたのを最後に通信が途絶えた。
高新一は無線に何度も必死に呼びかけたが、そのX星の本社の社員から反応は全く無かった。
高新一は
「何て事だ!!」
と通信機を叩きつけるように切ると両手で頭を抱え込み座り込んだ。

(第22章に続く)