(第16章)ある伝説の真相(その3)

(第16章)ある伝説の真相(その3)

TVリポーターである山根優香は思わず持っていたマイクを小美人に向けていた。
小美人はかまわず話を進めた。
「『朱雀』が狂ってしまった事で…巫女の人格も逆に破壊されました。」
しかも『朱雀』やコウモリの様な怪獣達は、
『青龍』や『白虎』の巫女達やアトランティスの人々を食らいながら成長して、
やがて巫女は殺人鬼となり果てて自ら破滅したのです。
そのあと責任を感じた四神の開発者は『ネックウノマガタマ』を作り出し、
最後の希望『玄武』と共に『朱雀』を倒しました。
しかし『朱雀』やコウモリの様な怪獣達は卵を産みました。
その一つが『ヤサカニノマガタマ』と共に日本に流れ着いたのです。
それを見つけた日本人は『この世に災いをもたらすかも知れない』と恐れて祠を立てて祭りました。」
とまで言った時、健太郎
「その『ヤサカ二ノマガタマ』ってたしか京都で発見されて、博物館に保存され
ていたけど……盗難に遭って、犯人は18歳の少女で、警官たちの目の前で勾玉
を海へ投げ捨てたとか?ニュースでやっていました」
と思い出した様に言った。
小美人は
「それが一番賢明かもしれません……いずれにしろあなたは怪獣と因縁を持ち続け、
1954年の芹沢大助さんとして生まれ、自らの命を懸けて、
初代ゴジラと運命を共にして人類を救いました。
いま音無凛としてこの世に生まれたあなたは
今度は怪獣であるゴジラと人類のつなぎ役になる番です!!かつての『玄武』の巫女の様に……」
すると美雪が
「まさか!!」
と思い当った表情で言った。
小美人は頷いた。その話を聞いた凛は怒った様に
「あたしが……あの大勢の人々を東京で殺した憎いゴジラの巫女となって
デストロイアを倒せとでも?」
小美人は冷静に頷きながら
「たった一つ忘れてはならない事があります!!あなたは生体兵器を作りだして
しまった因縁を一生背負い続けなければなりません」
凛は大声で
「どうして!!」
小美人は
「前世で犯した罪は来世で償わなくてはいけません!前世で芹沢博士が作りだし
てしまった悪魔の兵器は今の世でデストロイアとなり、一般の人々が犠牲になっ
ています!!因縁をここで断ち切らなければまた来世で繰り返しになります」
しかし凛は
「嫌!!ゴジラも憎い!!オキシジェンデストロイアも憎い!!戦いも憎い!!
もう嫌!!あたしのせいじゃない!!」と泣き出し、頭を抱え込みその場に座り
込んでしまった。すると小美人が
「それではいいんですか?また繰り返しになっても!!」
と声を荒げた。凛は無言となり、しゃくり上げた。
小美人は
「あなたが行動しなければ運命も変わりません!!」
凛は
「そんなの……いきなり言われても無理よ!!」
小美人は
「いえ、あなたならきっと出来ます!モスラも私達もあなたの力を信じています」
と優しく言った。小美人は「『自分がどんな存在か?』は自分で決める事が出来
ます」
美雪も
「人は努力する限り迷うものだ……お父さんがそう言っていたわ」
と優しく言った。
凛はしばらくして
「分かりました…必ず何とかします」
と決心した様に言った。

小美人はデストロイアを倒す事を決意した凛に向かって笑い掛けてから
「山根優香さん!山根健太郎さん……
これが生まれ変わった芹澤大助博士の運命です……彼女にはまだ迷いがあります……
心が乱れてはどうしようもありません……ですから助けてあげてください!!」
とお願いして言った。
優香は「はい!!」
健太郎
「僕に出来る事なら何でもします!!」
と言った。小美人は
「世紀末に復活した『玄武』は自らを犠牲にして、卵からかえった
『朱雀』とコウモリの様な怪獣を倒して死にました。
その時、,小笠原怪獣ランドの2代目ゴジラを覚醒させました。」
凛は
「どうして?ゴジラも生体兵器なの?……やっぱり……」
しかし小美人は首を振りながら
「いいえ!!宇宙怪獣バガンの生き残りです!!」
凛は
「どうしてバガンと玄武が共鳴したの?」
と聞いた。

(第17章に続く)