(第3章)旧支配者のキャロル

(第3章)旧支配者のキャロル

 

のぴは目にも止まらぬ速さで次々と上下左右にウィッチャーの銀の剣を振り回して

華麗に力士の幽鬼をズバズバと霊体を切り裂い行った。

続けて悪霊のオイルにより、更なる激痛を力士の幽鬼は感じた。

「うぐうあああっ!痛い!なんだ?!幽霊なのに!とても痛い!ぐっ!あっ!」

大きく怯んだ力士の幽鬼にさらにのぴは追い打ちをかけるようにウィッチャーの

銀の剣を振り続けて力士の幽鬼の右側と

左側の胸筋と腹部や背中をテンポよく切り裂いた。

さらに力士の幽鬼が両手を突き出して

高速で上下左右に張り手をのぴに仕掛けようとした。

しかしすぐにのぴは二度、地面をぴょんぴょんと跳ねてしっかりと後退して

距離を取り当たらない場所へと逃げた。それから右側に前転しながらぐるりと素早く

力士の幽鬼の背後に回り込み、両手でウィッチャーの

銀の長い剣の刃でX字に切り裂いた。

続けざまに両手で剣を構えて真上に振り上げて

一気に振り下ろして力士の幽鬼を一刀両断したが。

真っ二つにはならずまだしぶとく現世に留まり続けた。

怒り狂った力士の幽鬼は大声で叫んだ。「おのれえっ!許さんぞ!」と。

力士の幽鬼は大きく吠えた。すると力士の幽鬼は全身を物質から非物質化した。

つまり透明人間になり、目に見えないただの存在になったのである。

しかし冷静にのぴは腰の革袋からすっと何かを取り出した。

続けて彼女は素早く投げた。それはのぴの手を離れて遠くへ飛び。

そして大きく放物線を描きながら透明化した力士の

幽鬼の目の前でパアン!と破裂した。

次の瞬間、ふっ!と非物質化した力士の幽鬼は強制的に

元の物質に戻されて透明化は完全に無効化された。

「うっ!ぐっ!何故だ?!なんだ?この銀の破片は????」

力士の幽鬼は目に銀の粉が入り、涙目で両手で目を擦り、大きく怯んだ。

彼女は更にウィッチャーの銀の剣を構えると。

さらに素早く接近して一気に間合いを詰めた。

力士のの幽鬼はようやく瞼を開ける両手で銀の剣を構えた

のぴが紫色にらんらんと輝く瞳とまるでタコのような細長い縦の黒い瞳孔を向けて

力士の幽鬼を睨みつけ、その表情は正に殺し屋の鬼神よりも恐ろしい凄まじい顔で

こちらに何の躊躇もなく一直線に突進してくる姿に恐怖を感じた。

すかさずのぴは素早く片手の掌を力士の幽鬼に向けるとあの

怪人ガシマンテを攻撃した時のように紫色に輝く炎を放射した。

瞬時に力士の幽鬼は全身火だるまとなり大きく怯んだ。

その隙を狙ってのぴは両手でしっかりとウィッチャーの銀の剣を両手で構え直すと

力士の幽鬼にとどめを刺すべく大きな懐に飛び込み。

鋭利な剣の先端を水平に構えて、勢い良く突き出そうと一歩前進して駆けた。


www.youtube.com

しかし急に脳裏に一時的に一瞬だけ彼女自身の内なる魔界(精神世界)の灰色の荒野の

地面の上に転がっている緑色に輝く球体状のコア(核)が

フラッシュバックの後に見えた。さらに太陽の聖環はピカッと緑色に輝いた。

緑色に輝くコア(核)の中から自分を呼び出す声がした。

また内部から黄色に輝くらんらんとした瞳とタコのような黒い瞳孔で

自分をじっと見つめていた。のぴはまるで魅入られたように見つめ返してしまった。

「私はここを出たいの!!『ブロッサム』って人間の女の子!!あの子がいいな!」

と可愛らしい女の子の声がした後に暗転してしまった。

のぴが我に返ると今度は強烈な頭痛と全身の激痛を感じたと同時にドガアアン!と

激しく大きな激突音と共に胸部と顔面に強い衝撃を感じた。

「うぐああっ!」と声を上げて華奢な体はくの字に曲がり、空へと舞い上がった。

そして彼女の身体が放物線を描きながら土俵の外へとはじき出されて行った。

更に彼女の身体はズドオン!と激突した。

彼女は座った状態で意識が朦朧となり、ダウン状態でまったく身動き出来なかった。

「ふん!よくも!私の自慢の肉体と『まげ』に火を付けおって!許さんぞ!

ふふ今月はさらなる特別な特訓と力士に平然と逆らった厳罰として

更に最高の快楽を味合わせてやろう!」

そう言って舌なめずりをしながら

両腕を左右に広げて座って動けない『のぴ』に迫った。

しかし急に『のぴ』は瞼をカッ!と開いた。

その瞳は黄色にらんらんと輝いており、黒い瞳孔はタコの眼のままになっていた。

彼女の歯は人間の歯の形ではなく鋭利な無数の牙に変形していた。

すると続けてバリバリと口を開いたあと目にも

止まらぬ速さで起き上がると力士の幽鬼の懐に飛び込んだ。

「うおおおおおおおおおおおおあああああああああああああっ!!」

またかつてのヴィシュヌ・アバターのよう時のように長々と絶叫し続けた。

ドオン!と言う激突音と共に力士の幽鬼はのぴの思わぬ反撃に不意を突かれた。

結果、そのまま太い両足を左右にもたつかせて両足を滑らせた。

「うおおおおおおおおおおおおおおっ!!」と力士の幽鬼は大声を上げた。

それからうつ伏せにドオン!と力士の幽鬼の巨体は仰向けに転倒した。

そう、自分の体格の倍の力士の幽鬼を軽々とひっくり返したのである。

力士の幽鬼は強烈な力で地面の土俵の上に背中から凄まじい

轟音を立てて叩きつけられた事により、大量の土煙と土埃で

舞い上がった拍子に何も見えなくなっていた。

やがて舞い上がった入道雲のような土煙と土埃は長い間、天空を彷徨っていたが。

やがて消失して視界ははっきりとして行った。

のぴは屈んだ状態のままギロッ!ギロッ!と黄色にらんらんと輝く瞳と

黒いタコの瞳孔を上下左右にぐるぐるとまるでカメレオンのように

世話しなく動かし続けた。グルルッ!ガアアアッ!と無数の牙を剥きだして吠えた。

仰向けに倒れている力士の幽鬼はのぴの異様な姿を見るなり。

強烈な恐怖と絶望と狂気に駆られて顔面蒼白に変わって行った。

のぴは手に持っていたウィッチャーの銀の剣を土俵に置いた。

更に目にも止まらぬ速さで両腕を伸ばすと力士の幽鬼の首を掴んだ。

常人では到底出せないような超自然的な存在に一時的に変化した為かつ

物質的な制約を持たず計り知れない腕力で力士の幽鬼の太い首を瞬く間に締め上げた。

力士の幽鬼は呼吸困難となり、口から白い泡を吹いて

バタバタと体を左右に動かして何とかして抵抗しようとした。

しかしそれは無理であり、たちまち白目を引ん剝いて全身の力が抜けて行った。

やがて間も置かずにボキッ!と言う嫌な音と共に太い首の骨がへし折れるような。

そう、現実(リアル)に折れてしまい。

たちまち力士の幽鬼はそのまましゃべる事も体も動かす事もなく。

白目を引ん剝いて口から泡を吹きだしながら沈黙した。

まっすぐ両腕もまるで糸の切れた操り人形のようにダランとなった。

のぴはそのままブンブンと上下に乱暴に振り回すと一気に土俵に仰向けにズドオン!

と叩きつけた。さらにのぴはハアハアと荒々しく息を吐くと四つん這いになった。

それからのぴは口を大きく開けて無数の牙を剥き出した。

しばらくして眼を細めたあと、グチャッ!と力士の幽鬼の首を

無理やり伸ばすように顔面を掴んで引き延ばした。

それから大口を開けると力士の幽鬼の喉笛に嚙みついた。

ガツガツ!ガツガツガツ!グチュッ!グチュッ!プチュ!パキッ!

彼女は力士の幽鬼の霊体の偽肉を食い千切り、咀嚼して

盛んに口をモグモグと動かして食らい続けた。

バキッ!ズチュッ!パキッ!グシャリ!パキッ!ボキッ!ボキッ!

ゴクッ!と力士の幽鬼の最後の霊体の偽肉の破片を貪り喰らい、飲み込んだ。

彼女はゆっくりと立ち上がるとグオオオオオオオン!と長々と吠え続けた。

そして力士の霊体の偽肉は模倣された

内臓も全て食い尽くされて完全に空洞になっていた。

また肋骨も露出しており。

すぐに原形を留めない肉の塊と化していた。

のぴは正気に戻る頃には自分も全く一部の記憶が抜け落ちた状態で

訳も分が分からず困惑しつつも念の為に土俵のこっくりさんの用紙と

10円玉を置くと『イグ二』を放ち。

紫に輝く炎で10円玉を燃やし尽くして土俵のまわしのロープ燃やし尽くした。

これで形跡も残さず消滅させた力士の幽鬼は二度と現世に戻って来れない。

のぴは仕事を終えて依頼主の中国人の女子中学生のヤンに報告した。

のぴは倒した力士の幽鬼の討伐の証を一応見せた。

続けてのぴは礼を言うヤンに『聖ミカエル病院で精神科に入院中の

女子中学生3人に合わせて欲しい』とお願いした。

そしてヤンの案内により。聖ミカエル病院の精神科医

アシュリー・グラハム立会いの元で実際にさっき倒した

力士の幽鬼に性被害を受けた3人の女子中学生との面会に成功した。

勿論、3人のベットのある病院の中にのぴが入るとまずは自分が貴方達を襲った

力士の幽鬼を倒した事を記憶のない部分は伏せた上で大体の概要を説明した。

3人の女子中学生は喜びと申し訳なさで全員ベッドの上に目を向けてしまった。

やがてのぴは女性達にこう約束するように持ち掛けた。

『もう二度と他の一生懸命自分のやりたい事に打ち込んでいる

人をバカにしてはいけないのと。こっくりさんを二度とやらない事。いい?

この2つの約束をこれから守れるかしら?

男性を嫌悪尻憎悪したりしない事も含めてね』

すると3人の女子中学生は黙って頷き。一斉にすすり泣いた。

3人の女子中学生は大人になっても約束する事をお互い誓い合った。

そしてまだすすり泣いている3人の女子中学生の1人が涙目でのぴの顔を見た。

「全て私のせいなんです。私が悪ふざけで相撲の事を馬鹿にしたから・・・・」

しかしもう一人の女子中学生も体を乗り出して涙目でのぴに訴えた。

「私もですっ!私がふざけて変な相撲をして怒らせたから!」

「いや!違うよ!私が裸でデブとデブがぶつかり合う奴だとか言うから・・・・」

とさらにもう一人の女子中学生はそう反論した。

のぴはぴしゃりと「みんな悪い事をしました!いいですね!」

まるで先生のように鶴の一声で言うとすぐに3人は黙り込んだ。

続けてのぴは「とにかく貴方達を襲った力士の幽鬼も体格差のある

男性が貴方達に性的暴行を加えた事はやり過ぎだし。

そして貴方達を性的暴行をして屈服させた成功例から味をしめて。

あの場所に居座って好奇心で入って来た女子中学生達に

性的な暴行をするようになったのは当然、力士の幽鬼も悪い事をしました。

でもそうなる原因は貴方達が面白半分でこっくりさんをした事と

相撲と言う名前の日本の伝統文化を軽視して無知な

偏見から軽はずみでバカにしたのが根本的なものだよ。

いい?もう一度言うけど

『人が一生懸命に努力して自分のやりたい事に

打ち込んでいる人を馬鹿にしたりしちゃ駄目』よ。

そうやって他人の仕事を貶めて居場所を奪う事をしたら。

またあの力士の幽鬼の時みたいに怒った相手に痛い目に遭う事になる。

過激派ポリコレや似非フェミニスト活動家の人達がAV女優やAV業界を

貶めて馬鹿にした結果、自分の発言にブーメランが刺さるようにね。

いずれその人達も遅かれ早かれ痛い目に遭うだろうから。もう2度としちゃ駄目!!」

「わかりました・・・」

「今後も気おつけます。自分の発言で他人を傷つけないようにします。」

「今回は本当にありがとうございました。約束します!」

3人の女子中学生はのぴにゆっくりと頭を下げた。

そしてのぴはきちんと今後の約束を守るように厳しく説教した後に

担当医のアシュリー・グラハム氏にもう一礼をして彼女達の病室を後にした。

のぴは聖ミカエル病院から出るとポケットからスマートフォンを取り出した。

スマートフォンの画面を見て色々届いたDM(ダイレクトメール)の内容を確認した。

スマートフォンの画面のDMやおこさまぷれーとの個人アカウントとは

別の依頼用のDMや情報提供のツイートが載っていた。

主なものは以下の通りである。

『怪人ガシマンテの群れがグランドセントラル駅のホームに出現。

早く倒して欲しい。

怪人ガシマンテの群れによる人間に化けて道具を使えて知恵を

付けた個体が電車の中に乗り込んで10代の少女と成人女性に

痴漢行為をした後に電車から女性と人間に化けて降りた

怪人がガシマンテによって恐らくどこかグランドセントラル駅の

どこかにある自分の巣に連れ去っていて。現在毎日平均約6人の失踪者が出ています。

私の友人の女子大生の『ゆい』も失踪しました。

どうか怪人ガシマンテの巣を探して行方不明になった友人を探して下さい。

待ち合わせ場所はグランドセントラル駅の3番ホームの駅で待っています。』

『怪人ガシマンテに友人が攫われました。助けて下さい。』

「うーん怪人ガシマンテの依頼がここ最近、日に増して増えているわね」

のぴは指でスマートフォンの画面を上下にいじりながら。

その怪人ガシマンテもリヴィアのゲラルドおじさんが言うようになんだっけ?

『死鬼(しき)』でモータードとかいう奴は

家に忍び込んで老人を殺して子供を攫うとか?

それで何か子供の頭蓋骨とかで力を得て自信を得ていたとか?

とにかく地面にチョークか何かで魔方陣を書いて道具を扱う位、できるらしい。

あとは火をおこして鍋を使ったり、頭のいい奴だった。

きっとその怪人ガシマンテの1体もそんなところかしらね?

『大人のおもちゃとカメラを扱える』と言う情報から察するにそうでしょうね。

じゃ!その個体は強敵かもね。準備しないと。逆にやられないように入念にね。

それからのぴはスマートフォンの画面に瞬く目を通していると。

X(旧ツィッター)のトレンドに『似非フェミニストの亡霊』という題名が挙がり。

それを指で押すとそのトレンドとなったネームタグから次々と

『似非フェミニストの亡霊』!AV販売会社に現れる!!』

『似非フェミニストの亡霊』死んでも他人に迷惑をかける!!』

『似非フェミニストの亡霊』関係者の太ももをひっかく!』

等々のツイートがリストとなって続々をポストされた。

更にある動画にはとあるAVを販売する会社の事務所にて真っ暗な中。

誰もいないはずの部屋で呻く甲高い叫び声が急に部屋に響く様子が撮影された

動画がアップされていた。しかも事務所の奥には緑色の鬼火らしきものが見えた。

一瞬なので分からないが。それは何らかの悪霊に見えた。

のぴは興味を惹かれてその実際に悪霊の被害に遭っている

とあるアダルト(成人)向けのDVDやブルーレイを販売する会社へ行って

その悪霊がなんなのか?自分の目で確かめる事にした。

それは彼女の精神が大きく成長した証でもあった。

のぴはその場所へ向かう途中の電気屋の街頭テレビをふと見ると

番組の途中のニュース速報が流れていた。


www.youtube.com

『番組の途中ですがニュース速報です!

長い間、日本で活動停止中のだったあの一時期話題となった

『心の怪盗団ザ・レミリアスカーレット』が活動を再開したとの情報が入りました!!

情報によると元メンバーの2人と共に新しく再結成されたチームと手を組み活動を

再開しました。今日未明に予告状が現実(リアル)の人物に送られたようです。』

ニュースのキャプチャー画面には真っ赤な長四角の手紙に

『心の怪盗団ザ・レミリアスカーレット』のロゴマークがあり。

そして切り貼りした手作りのプリントの文字を

スタジオの女性アナウンサーはゆっくりと読み始めた。

若い女性の純粋に高校野球を応援する行為を冒涜し。女性の品位を損ない。

自分の正しさばかりを他人に押し付け。他人の主義主張を悪と決めつけ。

異なる他人の意見を否定し続け、真実を捻じ曲げ続け正義を押し付け。

自らの嘘を利用し、弱き女性やオタク。

反逆するものから示談金と称して大金を巻き上げる歪んだ正義の欲望を頂戴する。

以上。自らの虚像を並べ立てて歪んだ正義の大罪人堀口英利殿。

心の怪盗団ザ・レミリアスカーレットより』とあります。

今回はあの堀口さんのようですね。」

のぴはテレビの画面をぼんやりと眺めつつも確かどこかで

元メンバーの2人を見たような・・・・・・。なんとなくそんな気がしたのだった。

のぴはあれこれ首を左右に捻りながらなんとか思い出そうとした。

それから気が付くと例の悪霊事件のあったAVを販売する会社の事務所の前にいた。

 

(第4章に続く)