(第32章)逆・秒殺!

おはようございます。
畑内です。
ゴジラの自作小説を載せます。

(第32章)逆・秒殺!

 アパラチア山脈の山岳付近に現れたジラは地響きを立て木々をなぎ倒し、進撃を始めた。
 一方アメリカ軍の戦車や戦闘機は一斉にミサイルや
アサルトライフル、レーザー光線で攻撃を仕掛けた。
 戦車や戦闘機から放たれたアサルトライフル
「パパパパ」と言う乾いた音とミサイルの空気を切り裂く
「ヒュルルル」と言う音が混じり合い、ジラに向かって行った。
 やがて「ドガガガガガーン!」と爆音が響き、ジラの全身は炎に包まれた。
 しかし炎と灰色の煙を破り、ジラは咆哮を上げた。
アメリカ軍の軍曹は
「間髪を入れるな!マッハタンの10倍の兵力でジラを圧倒しろ!」
アサルトライフルやミサイルレーザーの量が増え、さらに激しい攻撃をジラに加えた。
 しかし肝心のジラはまるで何事も無かったようすで歩き続け、木々をなぎ倒した。
「畜生!アメリカ国家のメンツにかけて!奴を殺せええええっ!」
と急に狂った声で絶叫した。
 さらに通常のミサイルとは一回り大きい1発のミサイルがジラに向かって放たれた。
 ジラは冷静にそのミサイルを徐々に盲目から回復
しつつある両目で捕え身体を回転させ、鞭の様な長い尾で弾き飛ばした。
 弾き飛ばされたミサイルはそのまま戦車のいる
ド真ん中に落下し、大爆発を起こし、次々と
戦車や戦闘機を巻き込み、辺りは火の海と化した。
それを見た軍曹は
「クソオオッ!」
と激しくまるで子供の様に飛び上がり地団駄を踏んだ。
やがて爆発音が止み、落ち着いた軍曹は
「信じられない……マグロを食っているような奴が我々の軍事力を圧倒するなんて……」
とだけ吐くと、いそいそとアメリカ軍の本拠地になっているテントの中に戻った。

 新しい「アルカドラン」のある場所に向かって移動中のヘリの中で北村は一時マークの事は忘れ
「それで!G塩基を持つ、宇宙植物に寄生された人間の人口の調査は?」
尋ねられ、ローランドは
「3年前から徐々に増えています!3年前にX星に労働力として連れて来られたX星の反乱軍が
M塩基の製造工場を爆破させたテロ事件がきっかけの様です!」
「噂ではアルカードKが現れたとか?」
「もしかしたら?反乱軍の誰かがG塩基の存在を知っていたのかも知れない……」
「推測の域は出ていないがね……そのM塩基の
製造工場を爆破した反乱軍は全員死亡したと聞いている……」
「きっとその反乱軍が利用したG塩基を持つアオシソウは
新しい寄生対象を求めて地球へ来たんだろう!」
「どちらにしろ!彼らは自由の身だ!」
「地球人や他の怪獣達もX星人に家畜や労働力としてこき使われる事も無い!」
「我々の勝利は目前だ!G塩基は、支配を排除し、
自由を求める者達に与えられるものなのかも知れない……」
それから北村は黙ってヘリの窓から沈みかけた夕陽を見た。

 真っ暗な海底でゴジラはまだ2つの死体の周りをウロウロしていた。
 肝臓の主な役割は再生能力や体内に溜まった有害物質を浄化させ、
いらない水分を排出するのを助けることである。
 この人型怪獣の死体から取った肝臓もM塩基が作り出した特殊なたんぱく質で出来ている。
だから奴にとって重要な栄養源なのだろう。
 いや!もしかしたら?奴はレッサーギドラを捕食した際に出た
猛毒のPS45を浄化させ、なおかつ再生能力を向上させるのが目的なのだろうか。
 ゴジラは海底の岩場を迂回し、ジラの跡を追って泳ぎ始めた。

 CCI・真鶴特殊生物の一室で、金田トオルの目はパソコンの画面にくぎ付けになり、
キーボードをいじり、あるデータファイルを開いた。
そのあるデータファイルには
「1992年の調査隊が、シベリアのツングースの爆発跡
(通称ツングスカー・バタフライ)の周辺に生えていた
樹齢130年のゴダイトヒの幹から採取した球粒物質は、宇宙植物のアオシソウの胞子だと分かった。
 ちなみに25億年前、1億3000年前、
6500万年前の各地の地層からも全く同じ球粒物質、
つまり宇宙植物のアオシソウの胞子が検出されている。
 さらにそのツングースの爆発跡
(通称ツングスカー・バタフライ)付近の地面を掘削機で穴を掘り、
調べた結果、何らかの機械の部品らしき物が数多く出土した。
しかし本体は見つからず、
恐らく核エネルギー級の爆発によって全て蒸発してしまった可能性が高い。」
文章を読み終えたトオルはパソコンの前で両手を上げ、背伸びすると大きく欠伸をした。
昨日からパソコンの画面しか見ていないので目や肩に疲労が溜まっていた。

 新しい「アルカドラン」に向かうヘリの中でふとローランドは
「そう言えば!」
と言い2枚の写真を取り出した。
 その写真はショートヘアーの音無美雪と娘の凛の写真だった。
「やっぱり親子揃って美人だ!だからマークも惚れた訳か?」
と北村が真顔で言ったのでローランドは少し笑い
「そうだな!娘のほう、特にふっくらとした両頬は母親似だが……
狼の様な鋭い眉毛と目、金髪は父親に良く似ているな!ただ、怪獣の子供とは思いつかんよ!」
と親子の写真をカバンの中にしまい、新設されたアルカドランの見取り図と説明文章を取り出した。
「さて!世間話はここで終わりだ!そろそろ仕事の説明をさせてくれ!」
「どうぞ!」
と北村は何処までも続く果てしない地平線に沈む夕日を眺めな
がら返事をした。
アパラチア山脈のアルカドランに到着するのは今日の午後1時頃で、
到着してからすぐの午後2時に、MWM社の上層部とアメリカ大統領の
エバートさんが新しいアルカドランの施設の視察に来る!」
「なるほど……いよいよ大物が登場ですね!」
「楽しみだな!」
とお互い笑い合った。

(第33章に続く)

では♪♪