(エピローグ)ケイア・モルヘンへ

(エピローグ)ケイア・モルヘンへ

 

のぴはしばらくジョンの話を聞き、黙っていた。

しかし次の瞬間、いきなりパアアアアン!という

破裂音と共にいきなり魔獣新生多神連合の本部の大きな屋敷の

ジョン・C・シモンズの自室に真っ白な光が部屋全体を覆いつくして行った。

ジョンは思わず両手で顔を覆った。

なんだ?!天使??何者か??くそー???何者だッ!

のぴもキーンと甲高い耳鳴りが響いていてしばらく何も聞こえなくなった。

「申し訳ありません!ジョン様!私はやっぱり!この子を暗殺者にできません!」

「ごめんなさい!私にわがままに付き合わせてしまって!」と別の女性の声がした。

聞き覚えがあったフィリパ・エイルハートだ。間違いない!!

のぴは目が見えずに視界は真っ暗だったが何とか手を伸ばした。

そして誰かの手を掴んだ。「よし!行くわよ!」とフィリパは大声を張り上げた。

「うん!よろしくお願いしますッ!」とのぴも声を張り上げて答えた。

再びパアアアアアン!と言う破裂音の後に目の前が真っ暗になった。

やがて真っ白な光はフッ!と消えた。

ジョンは元に戻った自室を見渡した。

彼は青い瞳をらんらんと輝かせてグルルッ!と大きく獣のように唸った。

「いない・・・」とつぶやいた。そう彼の目の自室にはさっきまで

座って話を聞いていたのぴの姿が跡形もなく消え去っていた。

くそーちくしょう!ああ魔人フランドール!はあー仕方あるまい!!

ジョンはやれやれと首を左右に振り、ゆっくりと椅子に座った。

「マルセロ博士!魔人フランドールの手引きでのぴはフィリパ・エイルハートの

手で奪還された。やはり君の予測通りだった。あとはしばらく監視を!」

ジョンはスマートフォンでマルセロ博士に連絡したのだった。

「やはりのう。彼女を利用するのはそんなに簡単ではないのう。」

「ああ。どうやらそのようだ。何!私の話を聞いた後はー。」

「彼女の自由意思次第じゃな!報復か復讐か?それともー」

「どうなるか楽しみだな。」とジョンとマルセロ博士は笑い合ったのだった。

 

パアン!という破裂音と共にのぴはビクッ!となり恐る恐る目を開けた。

そこはかつてニューヨーク市内で自分の隠れ家にしていた高級ホテルの跡地だった。

12年前に廃業となった場所。

そこに魔人フランドールとフィリパ・エイルハートがいた。

のぴはおずおずと立ち上がりペコリと頭を下げた。

「ありがとうございます。助けてくれて!」

フィリパと魔人フランドールは「いいのよ」と口を揃えて言った。

それから魔人フランドールは「ところでリヴィアのゲラルドは?」と尋ねた。

するとフィリパは彼女の質問に何故か答えずに不敵な笑みを浮かべていた。

「ああさっきから寝てるけどね!ふふふっ!」

「えっ?なんですか?」とのぴは戸惑った表情をした。

「すーぐに分かるわよ!」とさらにクスクスと笑いながらフィリパは答えた。

「おい!フィリパ!俺の鎧と服はどこだ?!おい!フィリパ聞いているのか?」

とそこに部屋の奥からリヴィアのゲラルドが登場した。

魔人フランドールは「うわあっ!」と顔を赤らめて両手で顔を覆った。

のぴも彼女のリアクションに困惑してついうっかりまじまじと

リヴィアのゲラルドの身体を見てしまった。

まだ何が何だか分からなかった。

濡れたオールバックからして風呂に入っていた事はのぴにも分かった。

さらに改めてみると彼は白髪だった。(後で聞いたが年齢は100歳らしい!!)

そして短いポニーテール。

キリッとした細長い白い眉毛。高い鼻。

白い顎ひげをたくわえた白い肌の筋肉質な体格の身体。

さらに胸部には数多くの人間や化け物と闘ってきた時に

ついたであろう茶色の稲妻やかぎ爪の形をした傷跡があった。

のぴはまだ何も気づかず(なんで笑っているんだろう?)と思い

フィリパ・エイルハートの方を見た。

彼女は茶色の三つ編みの両肩まで伸びたツインテール

キリッとした細長い眉毛。

鋭い目つきに黄色く輝く美しい瞳。

高い鼻。ピンク色の唇。

ふっくらとした両頬。

頭に白く輝くフクロウの一枚の羽がついていた。

赤い服を着ていて灰色のスカートと美しい銀色のベルトのついた腰。

のぴはそこまで見てまたリヴィアのゲラルドを見た時。

ようやく彼が上半身のみではなく下半身が丸見え全裸だという事に気づいてしまった。

のぴはみるみると顔面と耳まで急速に赤くなって行った。

「う・・・わ・・・・あ・・・」と声を上げる頃には。

フィリパは両手で腹を抱えてその場で笑い出した。

のぴは大きく深く深呼吸した後にさらに大口を開いた。

「きゃあああああああああああああああ

ああああああああああああああああああああ!」

彼女はドッキリのお化けを見た時と同じくらいの大絶叫した。

さらに続けてのぴは顔面を両手で覆ってその場に座り込んだ。

「ちょっと!どうして裸なの?いや!

いいから早く服を着てよ!服!うわああああっ!」

彼女は途中までテンポよくラップしながら早口で行った後にまた叫んだ。

「あらあら。そんなに恥ずかしがるの?日本って『なかなかやらせてくれない』

ガードの堅い女性が多いって聞いたけど。男の全裸なんてうぶなのね。」

フィリパがはははっ!と笑っている内にゲラルドはぶちっ!と怒った口調で。

「いいから!俺の服は?鎧はどこだ!ここは日本でなくてもまともに出歩けんぞ!」

するとフィリパは嫌味たらしくわざとねちっこい声でクスクス笑いながら。

「あーらごめんあそばせ!ちょうど試作の魔法の粉を試していたのよ。

それで貴方の服と鎧はちゃんと置いたところにあるわよ!wwwwww

魔法で透明化されてただ見えないだけだからwwwwwでも失敗作ねwwwwww

効果は10分しか持たないし。ほーらーほーら一度戻ってみなさいなwwww

すぐに元に戻っているからwwwwww」と笑いながら答えた。

それから確かにフィリパの言う通り戻ってみると確かに魔法の粉の効果は切れていた。

勿論、ちゃんと元通りの黒い鎧と白いシャツと下着の一式が

すーつと椅子の上に現れるのを見た。

ゲラルドはやれやれと首を左右に振った。

一方、フィリパはリヴィアのゲラルドが奥の部屋で

着替えている間に好奇心でのぴに色々『性』について質問をしていたのだった。

「どう?あの男のOOOはどんな感じだった。」

「えっ!あっ!それはそのー」

のぴはいきなりのフィリパの質問に気が引いてとても答え辛かった。

それからぽつりと小さな声で

「大きくてたくましかった」とうっかりと答えてしまった。

彼女は顔面をさらに真っ赤にしてあおむけに倒れて両手両足をバタバタと

上下左右にまるであおむけにひっくり返った亀が

起き上がろうとしたかのような動きをした。

そんな中ー。ようやくいつもの鎧と服を着てまともに外に出られる格好をした

リヴィアのゲラルドは奥の部屋から出てくるなり両腕を組んで説教をしようとした。

フィリパも( ̄∇ ̄;)ハッハッハと笑いながら「ごめんごめん」と返した。

勿論反省しているとは最初から思っていなかったゲラルドは口を開きかけた。

しかしすぐ近くにのぴがいるのが分かると「説教は後だ」と言い放った。

ゲラルドは近くの椅子にどっこうしょと座った。

「そうね」とフィリパもようやく笑うのを

止めて気持ちを切り替えて真剣な表情となった。

魔人フランドールもちょこんと小さな椅子に座った。

フィリパも古びた長椅子に腰を下ろした。

「さて!フィリパ!魔人フランドール!この子になんて説明するか?」

ゲラルドはそう話を切り出した。

しばらく色々考えていたフィリパはゆっくりと極めてまじめな口調で話し始めた。

「さてと貴方の『宇宙の賢者の石』の事は魔人フランドールや魔獣ホラー退治の

専門家の冴島鋼牙さんから聞いているわね。

あと貴方のホテルを襲撃した唯一神YHVAの天使の軍隊の兵士の

天使達が貴方を『兵器』として連れ去ろうとした事をね。」

貴方は今、人間としてまずい立場にいる。もうかなり理解できているはずよ!」

「うん!分かる。

このままだと『おこさまぷれーと』のみんなのところに戻っても・・・。

きっとまた危険な目に遭うと思うの。隠れないといけないのは分かるけど・・・・・」

のぴはとても悲しそうにうつむいた。するとフィリパは優しくこう言った。

「だから私と彼で貴方をとにかく目に見える身近な人守れるように怪物や悪霊や

悪魔や異教の神々と戦って身を守り、他人を守る術を教えようと思うんだけど。」

「私は復讐や報復のための力は欲しくありません。でも誰かを守れるなら・・・・」

のぴは真剣な茶色の瞳でフィリパとゲラルドと魔人フランドールを見た。

ゲラルドはのぴの瞳から強い意志と決意を感じ取った。

「よし!俺が剣術を教える。ウィッチャーの『狼流派』の剣術だが。

技術を教える事は出来る。

血が繋がっていなくても技術と経験が親子以上の絆を繋げる」

両腕を組んでゲラルドは優しく微笑み、そう言った。

さらにフィリパ・エイルハートはのぴの前に立ってこう話を続けた。

「私は霊薬や他にも色々な錬金術のやつをなんか色々教える事ができるわ。」

のぴ「うん・・・・でも・・・・」と自分がうまくやれるか自身なさげに答えた。

「厳しい訓練をすればできるはずだし。錬金術の材料の組み合わせも教えてあげる。」

フィリパはのぴを安心させるように優しくそう言った。

「そこでだ・・・君は一度。実は・・・」

少し言いにくそうにゲラルドは言った。

「シャニーと俺とフィリパも

俺の世界のウィッチャーの世界に帰る為の魔法のゲート(門)

のほとんどの昨日の修復が完了しつつある。帰れるメドがついたんだ。」

「まあー私からしたらとんだ災難な魔法ゲート(門)の実演ショーだったけど。

今思えば楽しい事はあったし。それなりの私の知らない技術や色々な薬や

アニメやアイドルや映画や怪獣王ゴジラにも生で出会ったし。

それなりの私の知らない技術や色々な薬はたくさん有ったし。

あのニューヨーク市警のムーディ捜査官の追いかけっこで

遊んでいられるのもあと数日なの。それでものは相談だけど。」

「それで君をトレーニングする為に君を一時的に。なのか・・・・それで・・・。

ケイア・モルヘンに来てくれないか?という話だが・・・・」

「あっ?えっ?ケイア・モルヘンってどこ?」

のぴは目を丸くして困惑した表情をした。

「そこはウィッチャーの魔法剣士の城だ。つまり君を一時的に訓練生として

俺と彼女かトリス・メリーゴールドが面倒を見てくれる筈だ。保証する。」

「私・・・その・・・」と戸惑いつつものぴは答えようとした。

「あそこなら!君の訓練に必要な剣や人形や丸太がある。

ただ冬はかなり寒く厳しいが君なら『宇宙の賢者の石』の力があれば」

「分からないけど。自分の立場がマズイのは理解しているつもり。」

のぴがこう答えるとゲラルドはできるだけ落ち着いて話を続けた。

「ああ。とにかく君は『宇宙の賢者の石』の力が余りにも

強大な為にその魔力と増幅能力と神殺しの力を求めて

大量に天使達や他の『ヨスガ』という組織の

ツィフェミニストや過激化ポリコレの集団が集中的に彼女を狙っている。

このまま『おこさまぷれーと』の傍にいても君の力を狙う連中が

君の知り合いや両親達を傷つけるかも知れないから。だから。その。つまり。」

「貴方には自身や他人を守る力を利用して戦いに参加しなければならない」

「ただ強制はしない。無理にとは言わない。」

ゲラルドとフィリパは大体説明したのちに全ての選択をのぴに任せた。

それ以上はいろいろ言いたい事や特にフィリパの自身の野望もゲラルドの

親御さんを心配させる気持ちも

怪しい人物と一緒にするのを反対するかも知れないと言う

懸念も全てそれぞれ自分の胸の中にしまいフィリパもゲラルドも

何も言わずに黙ってのぴの返答を待ち続けた。

のぴはしばらく口を閉じて天井を見上げて黙って何かを考えていた。

勿論、魔人フランドールも何か言いたそうにしているがのぴの反応を待っていた。

やがてゆっくりと唇を動かして口を開き、言葉を発した。

「分かった。身支度は必要かな?カイロとかジャンバーとか?防寒具とか?」

その彼女の返答に驚いて「いいのか?」とゲラルドは尋ねた。

「はい!このまま私のせいでまた誰かが大怪我したり。

死にかけるところを見たくない。」

のぴはあの天使達にホテルを襲撃された時に『おこさまぷれーと』のメンバー達が

大怪我をして倒れている光景が脳裏にフラッシュバックされていた。

そしてのぴは茶色の瞳を輝かせてとても真剣な表情でゲラルドとフィリパを見た。

「私も連れてって!そして『おこさまぷれーと』のみんなやたくさんの人達を

守れる為の力と技術が私はみんなを守りたい!悪魔や天使や怪物や魔獣ホラーから!」

ゲラルドはのぴの言葉に嘘偽りない事を真剣な表情と瞳の輝きから読み取った。

「分かった。出発は7日後。一週間だ。だからそのー」

「私の行くわよ!魔獣新生多神連合のジョン・C・シモンズ様の命令よ。」

魔人フランドールもついて行くと申し入れた。勿論だが2人は了承した。

多分、拒んでもどんな手でも使ってついて来るのは分かっていた。

「ただ。その仲間さんや親友の『おこさまぷれーと』のみんなに何をどう伝えるかは。

その・・・・。ああ。方法を考えなければな。」

心配そうにフィリパはのぴの真剣な顔を見た。

「それは私に任せて自分でなんとか言い訳をとか説明して

みんなをどうにかそのとにかくなんとか納得させてみる。

両親にも。とにかく心配ないように伝えるから。」

のぴは真剣に自分なりに考えて説明したりする事をフィリパと

ゲラルドと魔人フランドールに約束した。

こうしてのぴは他人や自分を守る為の『力』『技術』

を求めて旅立つ事に決めたのだった。

 

(シン・サイレントヒル完結。)

 

エンディングテーマ。


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