(第12章)謎の巨大生物出現……そして!大惨事!

次のゴジラの自作小説です。

(第12章)謎の巨大生物出現……そして!大惨事!

 凛のクラスはバスに乗り、水族館に移動すると
「流氷の天使」と言われるハダカカメカイ「クリオネ」を見た。
小さな水槽の上に氷が浮かび、青い光に照らされ、
青く透明な身体に頭とお腹が赤く、両方の翼状の足で優雅に泳ぐ姿を見て、
女子生徒達から
「すごく可愛い!」
と歓声が上がった。
もちろん友紀や凛、洋子は楽しそうにそのクリオネを見ていた。
 しかし飼育員の一人がミジンウキマイマイの入った水を
クリオネのいる水槽に入れた途端、
とても可愛く、両方の小さな翼状の足を動かし優雅に泳いでいた流氷の天使は一変し、
ミジンウキマイマイに急接近し、頭部が割れて、バッカルコーンと呼ばれる6本の触手を広げ、
ミジンウキマイマイを抱え込むと養分をゆっくりと吸収した。
 その哀れなミジンウキマイマイの透明な残骸は水槽の隅に投げ捨てられ、水槽の底に沈んで行った。
 その姿を見た友紀は蓮の部屋で一瞬だけ見たあの蓮の部屋の
デジタルカメラで洋子の腹から数本の触手が飛び出す光景を
フラッシュバックで思い出し、背筋がゾッとした。
そのクリオネのあまりの豹変ぶりに多くの生徒達は口を半開きにして、
言葉を失い完全にその場で固まってしまった。
中山は「可愛いくせしてなんちゅう食い方だよ!」
尾野は「ヤダ~夢に出てきそう!」
山岸は「怖い……」
凛は「流氷の悪魔ね!」
すると長野先生は
「自分が生きて、子供を作るには他の生物を捕食していかなく
てはいけません!まあ!『美しいものには必ず棘があります!』
と言う事ですね!」
と笑いながら言った。
凛はまさに長野先生の言う通りだと思った。
それから水族館を出た凛のクラスは再びバスに乗り、
その間、男子生徒達はクリオネが捕食するシーンを
「凄かったね!」
とか
「何かカッコよかったね!」
と感想を言っていた。
それに対して女子生徒達はまだショックから立ち直れず無言だった。
 それから凛のクラスは原田先生と長野先生に先導されて
「流氷観光砕氷船おーろら号」に乗り、
観光ガイドの人から流氷がどうして日本の網走の沿岸に来るのか、
またクリオネや流氷に住む生物達について説明があった。
 しかし凛はデジタルカメラで山岸をバックにオホーツク海を撮った。
水平線の彼方に沿って大量の流氷が浮かんでいた。
凛はクリオネの事は一度忘れ
流氷にデジタルカメラを向けてズームにすると黒いペンギンの群れが見えた。
友紀と一緒にいた蓮もデジタルカメラを取り出し、
海岸近くの流氷を他の生徒達と共に撮影し始めた。
 流氷が漂着した海岸の上に幾つもの人影を捉えた。
蓮はそのままためらうことなくカメラをズームにした。
あまりにも遠いので良く分からなかったがようやく
数人の男性と女性だと分かった。
 蓮がデジタルカメラで撮り続けていると、
小さな水しぶきが一瞬見えて、人影は消えていた。
 それから凛のクラスは流氷の景色を満喫した所で、流氷観光の船は方向を変えて、
新しく出来た分厚い氷の床を砕きながら港へ向かって戻り始めた。
 しばらくして偶然、友紀のデジタルカメラから、数km先の
分厚い氷が「バリバリ!」と音を立てて、割れ始めるのが見えた。
観光客やクラスメート達が
「なんだ!アレ!」
ゴジラだ!」
「ヤバイぞ!」
「怪獣だ!早く避難を!」
「船長に早く伝えろ!」
と言う声が聞こえた。
友紀は不特定多数の人達に向かって
「凛ちゃん!山岸君!皆!先生達は??あっ!イタッ!」
凛は、パニックになり逃げ始めた観光客に足を踏まれ、
つま先を押さえている友紀を見つけた。
凛は
「友紀ちゃん!危ないわ!何かに捕まって!」
と、大勢の悲鳴や絶叫に負けず力の限り大声で言った。
 友紀は近くにあった船の巨大な柱にしがみつきながら、
青緑色の身体にゴジラらしき背びれと8本の触手を振り回すヒグマ
コブラと蜘蛛を掛け合わせた様な巨大生物をカメラに収めた。
 その直後、「ガシャーン!!」と言う大きな轟音と共に船体
が勢い良く右に大きく傾いた。
 友紀が見ると凛と山岸はそのまま跳ね飛ばされ、
ドアに激しく全身を打ちつけた。
さらに右に傾いた勢いで船が元に戻ろうと左に大きく揺れた。
その激しい衝撃で友紀も柱から手が離れ、友紀は船体の手すりに右手を強くぶつけ、
危うく真冬の極寒の海に放り投げられる寸前、蓮がその手を掴んだ。
蓮は額から鮮血を流し
「下を見るな!!」
と大声を上げた。
 上空からバケツ一杯の極寒の海水を全身に浴びながら、
柱に捕まり損ねた多くの観光客が極寒の海に次々と投げ出されてい
るのを見て、友紀は再び死の恐怖に身体が凍りついた。 
やがて激しい揺れは収まり、その巨大生物も流氷の割れ目から水柱と共に姿を消した。
 それから他の観光客達は友紀を助け出そうと奮闘している
蓮を手伝い、極寒の海水を浴び、手が凍り尽きほとんど
力が入らなかったもののなんとか友紀を船内に引っ張り上げた。
 友紀は頭の中がパニックになり
「先生は??他のみんなは??」
蓮は
「分からない!でも何人かは海に投げ出された!」
友紀は慌てふためいた声で
「大変!!」
と大声を上げた。
 数時間後、海難事故の救助隊が駆けつけた。海に投げ出され
た意識不明の生徒達を始め、多くの人々の救助作業が開始された。

(第13章に続く)

では♪♪