(第4章)助けた覚えは無い!!

(第4章)助けた覚えは無い!!

ある日、尾崎と美雪は司令室に足を運ぶと
1人の男が立っていた。
美雪は男の顔を見て
「あっ!!2日前にあたしを助けてくれた…」
とつぶやいた。
尾崎が「えっ?知りあい?」
美雪は男に「名前は?」と尋ねた。
その男は機械的な声で「覇王圭介」と名乗った。
男をスカウトした関係者は「彼はミュータントのような力を持っているらしいが・・
最初はお金や生活用品を全く持ってはおらず、ただ町中を
10日間さ迷い歩いていた所を警察に保護されて・・・」と言うと新聞を取り出した。
美雪は「これ?知ってる。なんかテレビとかで話題なっていたわ・・
どこかで見たことのある顔だと思ったら…」と言った。
新聞には「謎の男東京の地下鉄で発見!!」との大見出し記事と共に
「保護した男に『何か思い出せないか?』と質問したがその男は何も思い出せず
手掛かりをつかむために彼にこの場で今思いついた絵を描いてほしいと紙とペンを渡すと彼は突然頭が痛くなり、そして黒い竜のような絵と黄金のキングギドラによく似た竜を描き始めたという・・しかし何かはわからず警察は首をかしげた。もう一枚の絵には数百体の黒い竜やモスラによく似た蛾の様なものも描かれていた。あるオカルト研究者やUFO研究家や霊能力者の間から様々な憶測が飛び交った。また一部ではUFO研究家が呼び出した霊能力者が催眠術を掛けたところ50円玉が粉々になり、糸がズタズタに引きちぎられ、霊能力者を恐怖のどん底に叩き落としたとされる。
この奇妙な男の正体は現在でも謎に包まれている。」
と書かれていた。その後、覇王はミュータントのような身体能力があるかどうか調べるための身体検査の準備をしていた。その時、美雪は覇王という男に「2日前にヤクザ達から助けてくれてありがとう!!
あなたがすぐいなくなるから何も言ってなかったの」と笑顔で言ったが
彼は「助けた?何のことだ?」と途端にすっとぼけた。
美雪は「何の事って?覚えていないの?」と聞いた。
すると思い出したように「ああ…あの時か・・」
と言った。美雪は「ようやく思い出してくれた!!」
と安心したのも束の間、冷たく覇王はこう付け加えた。
「お前を助けた覚えはない・・・ただあいつらが通行の邪魔だっただけだ!!」
美雪は「何よ!!素直じゃない人ね!!」
覇王は「素直じゃなくて悪かったな」
と言い返した。2人は睨みあい、そこを尾崎が「まあまあ」となだめようとしたが
「ちょっと余計な口をはさまないで!!」と美雪。「邪魔するな!!」と覇王も怒鳴った。
尾崎は「すいません・・」と言うと見ざる、言わざる、聞かざるの状態になった。
するとゴードン大佐が出てきて、
「とりあえず今の2人はほっておこう」
と言うと、抵抗する尾崎を部屋から連れ出した。
尾崎は「えっ?でも?」と言うが
ゴードン大佐は抵抗する尾崎を部屋から連れ出すと
「触らぬ神に祟りなしだ!!お前が美雪を好きなのはわかるが・・・
時には余計なおせっかいはしない方がいいぞ!!」
と自信たっぷりにアドバイスしたが
尾崎は「何を勘違いしてるんですか?」
とあきれたように聞き返した。
記憶喪失で警察に保護された覇王圭介にミュータントの
ような身体能力があるのかどうか確かめる為、
広い空き地で彼の身体検査が実施された。
その空き地周辺は立ち入り禁止区域にされた。
相手は何と尾崎だった。そしてゴードン大佐が審判を行った。
「2人とも準備はいいか?」とゴードン大佐が言った。
覇王は「本気でな!!」と言った。
尾崎は黒い手袋をはめ直しながら「分かった!!」と返した。
ゴードン大佐が「始め!!」と言うと尾崎が走り始めた。
しかし覇王が走り出すのが早かった。
尾崎が驚いてひるんだスキに顎にハイキックが炸裂し、そのまま一方的に尾崎を吹き飛ばした。
覇王は「どうした…俺はまだ右足でしか攻撃していないぞ!!」
と挑発するように言った。
尾崎はふらふらと立ち上がると右手を出した。
体から激しい黄金のオーラが出たかと思うと突然見えない力が働いたかのように覇王の動きが止まった。覇王はまるで眼に見えない力を薙ぎ払うように手を右に振った。
すると周りにあった土管や立ち入り禁止の看板が数mも吹き飛びバラバラになった。
波川司令は「信じられない・・・」とつぶやいた。
尾崎は「まさか通用しないのか?」
と驚愕した。さらに力を集中して覇王を吹き飛ばそうとしたが、
覇王が見えない力の壁をこじ開けるように両手を広げると、左右の木、コンクリートの破片は吹き飛び、次々と地面に落下しバラバラになった。
尾崎は「何故だ?!」と叫んだ。
そして尾崎は今まで感じたことのない殺気に襲われた。
尾崎はその激しい殺気に戦慄し背筋が凍りついた。
その隙を狙って覇王が尾崎に顔面パンチを食らわせようとしたが
ゴードン大佐が「そこまで!!」
と言ったので、尾崎の顔の2cm手前でパンチは止まり、すぐに降ろされた。
尾崎は地面に力なく座りこんだ。
額と背中には凍りつくような冷汗がどっと吹き出た。
尾崎は青ざめて無言だった。
覇王は「どうした腰が抜けたか?」
と言って彼の手を掴んで立ち上げようとしたが、
尾崎はあまりの恐怖で体が言うことを気かなかった。
先ほどの殺気は消えていた。
ようやく立ち上がると尾崎は「あいつは一体?何者なんだ?」
とつぶやき、その場を去った
そしてその実力が買われ覇王は地球防衛軍に正式に入隊した。
 
(第5章に続く)